サクラソウ 

2011年2月25日 記


  この季節、陽射しがパーッと明るくなって、春の温かみを感じるのに実際は冷たい風が肌をさすのです。ちょうど早春賦の歌詞「春は名のみの風の寒さや」と同じ場面です。
でも、我が家ではサクラ草がいっせいに開いて、それもすごい勢いで咲き誇っているのです。

 去年の7月の初めの頃でした。こぼれ種から芽を出した小さい苗を一つずつ鉢に植えました。元気なものばかりを選んで、普通のサクラソウと雲南のサクラソウの2種類を合わせて50鉢ほど。一日がかりの仕事でしたが、周りの人にお分けしようと思うとそれくらいは要るのです。
だんだん陽射しが厳しくなり、これは危ないと思って、すぐにスダレで覆いました。しかし、盛夏に向かって気温は上がる一方です。苗は生気をなくしていきました。
 
 考えてみると、冬の花ですから、雪でも、氷雨でも負けることなくスックと立っているのですが、この日光と、35℃の暑さにはとても耐えられそうもありません。急遽、風通しの良い日陰に移しました。それでもどんどん弱ってもう息も絶え絶え。それで少し元気そうな鉢を思いきって家の北側の一番涼しいところに移しました。が、萎えて消滅していくばかりで、もう諦めました。植え替える時期が早かったし、置き場所も最初から涼しい所に置けばよかったのです。

 私の失敗でした。可哀想なことをしたと後悔していたのですが、9月に入ってしばらくすると、元気なのが数鉢あるのに気がつきました。それは雲南の種類のものばかりでした。雲南といって中国の雲南省だったら南の方だから、それで暑さに強かったのかしらと一人合点をしましたが、サクラソウには種類がたくさんあってネットで引いても解からないのです。一昨年に苗をくださった人に聞いたのが「雲南のサクラソウ」でした。

 寒くなるにつれて、雲南のサクラソウはぐんぐん大きくなって、
18cmの鉢に一株を植えても葉っぱが繁って、花が咲かないのではと思うぐらい大きな株になりました。そして、ある日、その中に蕾がいっぱい潜んでいるのを見つけました。あの猛暑を生き抜いて来ただけあってその逞しいこと。
五鉢あるのですが、大きい白い花が数え切れないほど咲き競っているので、「きれいですね。いつも見ています」と声をかけてもらっています。サクラソウは見た目が可愛いいのですが、とてもタフで寿命が長いのです。この満開の状態はまだまだ続きます。

 先日のこと、姉妹で北陸の芦原温泉に行きました。私は、大雪で列車が立ち往生したニュースを見ていましたから、深く積った雪、まだまだ降りしきる雪を窓の外に見ながら、温泉につかりたいと思ったのです。
大阪駅から「雷鳥」で2時間あまり。思いがけないことに雪はありませんでした。道の傍らに寄せてある雪ぐらいで、雪国のイメージとはほど遠いものでした。
驚いたことに、その日、大阪は雪が降っているとのこと「えーっ」5cmほどの積雪らしいですが、そんなことは非常に珍しいことですのに。翌日、タクシーで東尋坊や越前岬に水仙を見に行きましたが、雪に遇うこともなく、日本海は青く穏やかな姿を見せてくれました。2月14、15日のことでした。

 永い間、生きてきた途上で、驚くことや、思いがけない出来事はたくさんあります。
自然も社会も「動き」「流れ」とどまることなく変化していきます。それに従容と合わせながら、人間は生きてきました。特に近頃は国際情勢が緊迫していると思うのです。そして、 自然現象も激変しています。これから先のことは解かりませんが、心を落ちつけて、対峙していきたいと思っています。