大寒に想う

2010年1月20日 記

 
 雪の降る夜に母さんの
 膝にもたれて思うこと
 赤い帆かけたおもちゃの舟は
 夏の河原に忘れた舟は
 どこへどうして行ったやら

何という題だったかしらと思うのですが、幻想的なこの歌は私の大好きな歌です。時々雪がちらつくこの季節はしぜんに口ずさんでしまいます。
 
 先日のこと、朝から冷たい雨が降っていました。その日はゴミの収集日。いつものよう自分の家の前を掃いて、道の向かい側にあるゴミ置き場に出しました。その周辺を掃除するのもいつものこと、側溝に下りて掃いていると、誰かが私のそばにいるのです。「えー」
と顔を上げると男の人が立っていて私に傘をさしていくださっているのです。
そして「濡れますよ」と言われました。少し照れくさそうに。
「すみません、すぐ終わりますから」と私は何かつっけんどんに言ってしまいました。
本当は感動で胸がふくれているのに、うまくお礼を言うことができませんでした。

 あー、なんとやさしい人でしょう、通勤途上だったから電車の時間も気になったでしょうに。冷たい雨の中、濡れながら掃除をしている「おばさん」に傘をさし掛けずにおれなかったのでしょう。
ありがとう。ありがとう。私の娘や息子もそんな人であって欲しい。
その心はあっても、実際その行動が出来るかしらといろいろ考えました。
子供への願望ではない。自分自身がそうでありたいとつくづく思いました。雨の中、傘もささずに掃除をするなんってことは、見ている人に気を遣わすという配慮が足りなかったのです。
 
 こんなうれしい日もあるのですが、その反対のことも多々あって、近頃どうしても納得できないことがあるのです。それは日本航空JALの再建問題で、株主は大きな損害を蒙ったのです。上場廃止は突然決定されて思いもよらぬ最悪の方法を採択されたことです。
減資になるかもという懸念はありましたが、こんな結果になって驚きです。
鳩山首相の言い分は「OBにも株主にも責任はある」とのことですが、それはおかしい。

 お国が地方にいっぱい飛行場を作ったからではありませんか!
採算の合わないフライトを強要させて、JALの経営を傾かせたのではありませんか。責任の一端は国にあるのです。
民主党のいう「国民の皆様のために」「国民の生活が第一」という標榜の国民とは、どこに焦点を合わせた言葉でしょうか。
 
 その国民とは、選挙の時の「一票」に焦点が合わされているようです。国税をばら撒いて「一票」を取るのはおかしいではありませんか。税金は国民が働いたお金です。自分の政党の票集めに使ってもらっては困ります。もし、ばら撒いて票集めをしたいなら私財を出してください。
 
 一生懸命に働いて、正直に税金を納めている人のことを考えたことがあるのでしょうか。真面目に働いて自助努力している人が、不条理な目に会わぬよう公平で納得のいく政治を、また健全な財政で将来に燭光が射してくるような国政をぜひともお願いしたいのです。
 げに、政治とはむずかしいものですねえ。いいえ人間とは度し難いものです。ほんとうに不完全なものです。
 
 これからの日本国はどうなるのでしょう。このように危うい薄氷の上で歴史は繰り返されてきたのでしょうかしら。年寄りの杞憂であればいいのですが。