ねんねこ

2009年11月17日 記


 今日は雨です。よく降っています。
近頃は何故か雨が少ないように思っていたのですが、朝からずっしりと本降りです。
そしてかなりの寒さです。灯油のストーブを出して点火しました。いつもより時期的には早いのですが、気持ちがほっとして落ち着きました。

 雨の日でも日々のお買い物があります。それにこの寒さに驚きながらオーバーを着て 出て行きました。
町を歩いていて気がついたのですが、小さい赤ちゃんをベビーカーに乗せてビニールのカバーでしっかり覆って雨の中を進んで行かれるのです。赤ちゃんの気持ちはどうでしょうか、不安ではないかしらと思うのです。背中におんぶして「ねんねこ」で覆ってやれば、どれだけ安心でしょうか。
お母さんのぬくもりと、ねんねこの暖かさに安心して身をゆだねることでしょう。これは胸に抱かれていても同じことです。


パステル、模写 ゴッホ「First Steps」 2009.10.16 toshi

 ずっと以前のことですが、初めての孫がまだ1才にもなってない頃に東京にいる娘から電話がありました。
「きゃぁーきゃぁー泣いてどうしょうもない」とのこと。私は、とっさに自分の母から教えてもらったことを思い出しました。「おんぶして、ねんねこを着て 背中で寝かしてやりなさい」と。
しばらくして様子を聞くと、ぐっすり背中で眠っているらしく事なきを得ました。乳児でも幼児でも、情緒の不安定な時があるのでしょう。そんなときは母親の体にしっかりと付けてやることだと思います。
私の母はいつも「抱いてやりなさい」「おんぶしてやりなさい」といっていました。とくに風邪を引いたときなど体調の悪い時はなおさらのこと、母親の背中で治してやるのです。

 ねんねこって、なにかしら、と思われるかも分かりませんが、銘仙など和服の生地で作った「はんてん」のようなもので、中には綿が入っています。おんぶ帯で背中に背負った子供の上から羽織ります。真綿を入れて軽くしたり、私などウールの生地で作りました。また、袖が無くて背中のところだけの「おちかけ」とか「亀の甲」といわれるものもありました。もう少し後では「ママコート」と呼んでいましたが、これらは動きやすくてとても便利なものです。

 今から4〜50年ぐらい前までは、親はずっと子供を身の回りにおいて一緒にいたものです。
私は2人しか育てていませんが、もっと以前の人は7人も8人もの子どもを産んでいました。そんなお母さん達はえらいですね。
宿した子供を産み育てるのは作為的なものはなく、まったく自然のままだからです。時代は目まぐるしく進化していきます。人間は一番いい方法を考えて生きているのですから、心配しなくてもいいのです。が、

 ボランティアで乳児院にいっていた友人の話によると、ベッドに寝かされている子を抱き上げると、ピッタリとひっついて離れないそうです。ベッドに戻そうと思っても腕にくいこむほどしがみつくらしいです。むりに離すのが可哀想だと言っていました。
乳幼児期はもっと親子が肌を合わせても良いのではないかと思います。母子の絆を一段と深めますし、双方にとって大きな安らぎではないでしょうか。この時期をはずしては2度とそんなチャンスはないと思います

 子供が大きくなるにつれて親は言いたいことも言えなくなるものです。
言えるときに言っておく、できる時に充分してあげる。
今、私はそんなことを反省と後悔とを交えながら考えています。親の不完全さを子供はどこまで許してくれるでしょうか。