夾竹桃

H.12.8.20 執筆
H.14.5.12 追記

 「夾竹桃の花咲けば」という、少年少女小説があった。昭和のはじめ頃の作品ではないかと思う。キョウチクトウという言葉がとてもロマンチックに受け取れて「どんな花かな」と思っていたのだった。

  ある時、と言っても子供の頃のことだがその花を知った。 それは、私の家の前に道路を隔てて大きな公園があった。その周囲に植えられていた濃い緑の葉っぱを繁らせてピンクの花を茎の先にいっぱいつけたのが,それだとわかった。 イメージとはかけはなれていた。「ええっー」という感じ。 子供の頃いつもいつも、そこが遊び場であった。かくれんぼでも,鬼ごっこでもその木の周りを走りまわっていた。2.30本の木が大きな一塊の株になっていて、2〜3メートルぐらいの高さで繁茂している。


 近頃、夏の真っ盛り炎暑、酷暑の中をけなげに咲くこの花に,「お見事。」と喝采を送りたい。長い間、雨も降らず人間が「はー、はあー」とくたばっている時、この花は萎れもせずにシャンと咲き誇っているのだ。

 暑いときに、燦然と咲く花にもうひとつサルスベリがある。枝先きにピンクやシロの花をたわわに咲かせてゆすらゆすらとゆれている。花は、7月から9月ごろまで咲くのだそうだ。それで、「百日紅」と書くらしい。テレビで、今、京都嵯峨の二尊院で、サルスベリの花が満開だと言っていた。それは,真っ赤な色だそだ。 行ってみたいと思う。 どちらも、葉っぱに厚みがあるから水分を蓄えているのかも知れない。  真冬に咲くウメもすごいと感歎するが、やっぱり,暑さに強いこの花達には脱帽のほかはない。

 

追記    2002.5.12

 ゴールデンウイークを終えて、ホーッとした頃、掲示板を開けてみたら「夾竹桃の花咲けば」は、佐藤紅緑さんの作品ですよと教えてくれた人があった。私は、吉屋信子さんのものとばかり思っていたのでびっくりした。調べてみるとご指摘のとおり佐藤紅緑さんの作品であった。兄や姉達の口からその言葉をよく聞いていたから、吉屋信子さんの「花物語」に関連したものだと勘違いをしていたようだ。

 佐藤紅緑先生申し訳ありません。教えてくださった方ありがとうございました。「ああ玉杯に花うけて」と「夾竹桃の花咲けば」は早速買ってきて読ませていただきます。

  「夾竹桃」のページを検索してみると、私のように、夏の真っ盛りに元気に咲くこの花に感動している人もおられるようだし、特に、広島や長崎で原爆の洗礼を受けた人がこの夾竹桃の歌をたくさん詠んでおられる。焦土と化した中で、たくましく、けなげに咲くこの花に思いを込めての鎮魂の歌である。毎年、夾竹桃が赤や白に咲き始めると、同じ思いになられるのだろう。広島の市花にもなっているという。