なめくじ

2003年6月26日 記

 気が小さいというのか、狭いとでもいうのか、私は、異常にムシが嫌いなのだ。特に、毛虫、青虫など這うものは、こわくて、からだじゅうの血が逆流しそうなぐらい気持ちが悪い。
 庭いじりを楽しみたいと思っても、まず、虫が怖いから限られたものしか触わらない。
我家の地面はもと田んぼだったらしく、湿気が多い。震災後の建替のとき、かなり地上げしてもらったのだが、やはり湿気は免れていないようだ。庭には、アリやダンゴ虫やナメクジがいっぱいいる。

 

 一昨年の春、私が大事にしていた羽子板の羽根のようなサツキが見事に咲いた。色はむらさきがかった濃いピンクで、私のお気に入りの花だった。その前の年、たくさんの蕾が、ナメクジ食べられて無念の想いをしたので、その鉢植えを写真にとったりして大喜びをしたものだった。

 

  そのサツキは、ある時、忽然と無くなってしまった。愛好家に持って行かれてしまったようだ。幸い、挿し木をしていたのが根付いていたので、それを、後生大事に冬には藁をかけたり、日向に置いたり、雨にあてたり、我流の苦心をしながら、今年やっと2年目にして、一株のサツキの鉢植えができた。 

  そしてサツキはたくさんの蕾をつけた。かなり大きな蕾で毎朝のように数をかぞえたり、ナメクジにやられないよう、くすりの粒を置いたりして様子を見ていた。それが、もう咲きそうになった頃から、急に元気がなくなってだんだん萎えてくるのだった。

 またまたナメクジにやられたのか?。
でも、ナメクジは来ている様子がない。土の表面には銀色のうねうねと這い回ったあとはないし、くすりも食べられた痕跡はない。置いたままの姿なのだ。さては、ダンゴ虫かとそのくすりを置いてみたがなんの効果もなく、蕾はエキスを吸われて生気をなくしてしまった。後には茶色に変色した蕾がいつまで残っているだけだった。

 昨日のことだ。雨が上がったあと、植木鉢を動かして掃除をしていると、ナメクジのふんらしきものがたくさんあった。重いけれど裏側を見ると、なんとナメクジが3匹もいた。つぎの植木鉢も横を向けて底を見ると、いるいる、たくさんのアレが。片っ端から底をしらべて見ると、どの鉢にも小さいのが何匹もいるのだった。

  「ナメクジに負けたー、悔しい。!」土の表面ばかり見てガードを固めていたつもりだったが、何とまあ彼等の方が賢かったのだ。下から入ってエキスを吸っていたとは知らなかった。何と無知なのだろう私は。それも桁はずれに。きっと、ナメクジ達は笑っていたにちがいない。


 私は、小さい頃ナメクジのことを「ナメクジラ」と言っていた。ずっとそう思っていたが、それは形からクジラ連想していたのだ。どこか似ているところがあると思う。
 私が目にするナメクジは小さいのばかり、親玉はどこにいるの?浅いお皿にビールを入れてその中にクスリを5.6粒入れておくと次の朝たくさんのナメクジを捕獲する事ができる。でも、そんなことでは追つかない。誰か、ナメクジの根絶法をしりませんか。
 
 しかし、根絶だなんてかわいそう。
「まあ、いいか。そんなにあの羽子板の羽根のようなサツキが好きだったのなら、仕方がない。また来年、勝負しようね。」