子どもたち一人ひとりが地域の中で自分らしく、いきいきと過ごせるように。
人との出会いが子どもたちの成長に大きく影響します。自分の事を理解してくれる…理解しようと努力してくれる。そんな人が身近にいる事で子どもたちは安心して日々を過ごすことが出来るでしょう。ただ、それは子どもたちに限ったことではありません。自分の事を理解してくれる、理解しようと努力してくれる人が身近にいて安心できるのは、大人も子どもも、障がいがあってもなくても同じなのではないでしょうか?誰だって、誰かに自分の気持ちを理解して欲しいと思っているのではないでしょうか。
自分の気持ちを伝えることが苦手なお子さんでも、受け取る側が「理解しよう」という努力を惜しまなければ、子どもたちも自分自身で様々な方法を考え、気持ちを伝える努力をしてくれます。言葉を発して伝えることが苦手なお子さんでも、文字や絵を書いて伝えてくれたり、マカトンや手話、ジェスチャーで伝えてくれたり、指を指して教えてえてくれたり…。得意な表現はそれぞれ違います。自分の得意な方法で相手に気持ちを伝えられるようになって欲しい。
自分の想いが「伝わる」「伝える」喜びから、相手の想いに耳を傾ける「思いやり」を覚え、そしてお互いにとってベストな答えを自分たちで導き出して、一緒に過ごしていく…そういう過程を実際の体験を通して覚えていってほしいのです。
簡単な事ではありません。例えば、自分では開ける事の出来ないお菓子の袋を「開けて欲しい」とお願いする事が出来るように…、例えば、他の子が遊んでいるおもちゃを「貸して欲しい」と伝える事が出来るように…というような小さな事から始めていく場合もあります。そんな当たり前の事と思う方もいるかもしれません。ですが、そんな当たり前の事がうまく伝えられないお子さんもいるのです。自分の言う事はどうせ伝わらないとあきらめているお子さんもいるのです。周りの人からすると、理解出来ない行動や言動で想いを表し周囲の人を困惑させてしまう子もいるのです。
ですが、
『行動には意味があります。』私達はその行動の意味、つまりは子どもたちの「想い」を理解する事から始めていきたいのです。想いが伝わってうれしいという、人として当たり前の事を体験してもらう事から始めていきたいのです。
お子さんによってはとても時間のかかる事ですが、子どもの頃からさまざまな体験を積み重ね、人として大切なコミュニケーション能力を身に付け、少しでも生きやすく育ち、社会へと巣立っていってほしいと考えています。
人と人との繋がりの大切さや喜びを経験してもらい、自分の気持ちを伝える事を諦めない、そして相手の気持ちを思いやることが出来る成長へと繋がる支援をしていきたいと思っています。だからこそ、はっち上ヶ原では子どもたちとのコミュニケーションを大切にし信頼関係を構築する事に重点を置いています。
ご家族の皆さまへ

子どもたちの一番の理解者はご家族の皆さまです。子どもたちの一番の幸せはご家族の笑顔です。あるダウン症の女性が言いました…「今の自分に生まれて良かった。」障害があってもなくても、心から同じ言葉を言える人は少ないと思います。こういった言葉を言えるのは、本人はもちろんご家族の力が大きいと思います。大好きな家族の笑顔が近くにあるからだと思います。子どもたちにとって、ご家族の存在程大きなものはありません。ご家族の力に敵うものはありません。
自分の「想い」を相手に解かりやすく表現できないお子さんたちの想いを理解し受け止めるには、相当の努力と根気が必要です。時間もかかります。思うようにいかず疲れ切ってしまう事もあるでしょう。ご自身を責めてしまう事もあるでしょう。私たちの力は微力で到底ご家族の皆さまの力には適いませんが、子どもたちと関わらせていただく事で、ご家族の負担や不安をさまざまな形で「分担」「共有」しご家族への支援へも繋げていきたいと考えています。
ご家族と子どもたち両方への支援を続けさせていただく事で、ご家族と子どもたちの絆が今以上に強くなり、これから先もその揺ぎない信頼関係をもって、子どもたちと一緒に進んでいける力をご家庭の中に育むお手伝いをさせて頂きたいのです。
ご家族と子どもたち、お互いの笑顔がお互いの幸せになるように。それが子どもたちが地域社会へと関わっていく時の基礎となり、将来社会の一員として子どもたちの得意な方法で社会に関わっていけるような成長に繋がっていくと信じています。