冬真初恋物語
物語創作・・・秋さん
写真撮影・・・春姫
それはまだ冬真が、画家になる前…
秋さんの家に来るず〜〜〜〜っと昔、昔のお話です。

 冬真は秋の家に来る前は、
編みぐるみ王国のウキキ森に住んでいました。

 ウキキ森は1年の大半が暖かく、とても綺麗な森です。
冬真はこの森が大好きでした。

 ある日の事です。

 その日はとても穏やかで気持ちのいい日でした。
彼はふとお散歩に行こうと思いました。

 「あ〜。今日はいい天気だぁ〜。」

 大きな樹の枝の上に飛び移り、
器用に尻尾でくるりんと一回転した後、森を見渡しました。




いつもの森、いつもの見慣れた風景…。

 じぃぃいいいぃいぃいいいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

 ふっと、冬真は誰かに見られているような感じたので、
辺りをキョロキョロ見渡しました。

???????????????????????
「誰かいるの????」

 首をかしげて声に出してみましたが、返事はありません。

「う〜〜〜〜〜ん。気のせいかな?(~_~;
 おや?( ̄○ ̄;)! あんな所に道があるぞ?
 おっかしいなぁ・・・?あんな所に道なんてなかったのに。」

 もっと道をよくみる為に、冬真は枝から飛び降りて、
森の更に奥へと続く道をじ〜〜っと見つめました。

 すると今度は突然彼の耳にとても美しい笛の音色が聞こえてきました。
どうやら森の奥から聞こえてくるようです。

「笛の音もする・・・。綺麗な音色だなぁ・・・。
 どうしよう?ちょっと怖いなぁ。
 でも、とても綺麗な笛の音だ・・・。」

 とうとう彼は我慢しきれずに、森の奥へと続く道へ
フラフラ〜っと歩いていきました。

 森の奥へと続くその道は一本道で、明るいウキキ森の道とはうって変わって
薄暗く、寂しい道でしたが、冬真は勇気を振り絞ってドンドン歩いていきました。

 歩けば歩くほど笛の音色はよりはっきりと冬真の耳に聞こえ、
そしてとても心地よい気分になるのでした。 

 どの位歩いたでしょうか?

 急にパッと目の前が開けました。
一瞬冬真の目は、真っ白になりました。

 ゆっくり、ゆっくり目を開けると、そこは一面のお花畑でした。
そのお花畑の真中に一人の少女が座って、笛を奏でていました。
(小人達も、その笛の音にうっとりと聞き入っています・・・)




素敵なワンピースを着たその彼女は、
とても愛らしいキラキラしたつぶらな瞳、可愛い唇、小柄な身体で、
身体全身を使って、とても楽しそうに笛を奏でていました。




冬真ははっと息をのみました。
 どっきゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!
。・*:.。.☆†_( ̄◇ ̄*)βキューピット♪☆.。.:*・°☆

冬真の胸を、まるで心臓を人間の鉄砲で打ち抜かれたような衝撃が、
走り抜けました。

 そう一目見て、彼女に恋をしたのです。

 冬真の視線を感じたのでしょうか?
急に笛の音が途切れましたが、冬真はそれでも彼女を
見つめる事を止めませんでした。けれど冬真は動く事も、
彼女に声をかけることも出来ませんでした。

 冬真がじっとその少女を見つめていると、
彼女も冬真の方をじっと見つめましたが、みるみる内に
その少女の顔は急に真っ赤になり、そして何も言わずに、
くるりと冬真に背を向けると、反対の方向の森の奥へと
走り去ってしまいました。







「あ!」

 慌てて、冬真は声をかけようとしましたが、
もう時既に遅く、彼女は森の奥へ去ってしまった後でした。

「何て綺麗な方なんだ…。」

フラフラフラっと冬真は、少女が座っていた所まで歩きました。

 こつん・・・

ふと下を見ると、少女が吹いていた笛が冬真の足元に
転がっていました。





「これは・・・、あのコの笛・・・。」

 まるで壊れ物を扱うかのように、そっと拾い上げて、
祈るような気持ちで天を見上げました。





「また明日逢えますように・・・。」

 その後冬真はどうやって家に帰ったのか、
どの位あの森にいたのかさえも思い出せませんでした。

 次の日・・・。
お日様が昇るや否や、脱兎のごとく昨日の森へ行きましたが、
あの不思議な道を見つける事は出来ませんでした。

 来る日も来る日も、雨の日も、強い風の日も、暑い日も、寒い日も
あの不思議な森の道を探して歩きましたが、
結局見つける事は出来ません。

 彼女に逢えない・・・

 冬真の心の中は彼女への想いで一杯です。
毎日、毎日何も手につかないありさまで、口を開けば、

「・・・・・・もう一度逢いたい・・・・。」

 これしか言わなかったので、周りの人達はとても心配しましたが、
冬真の方は、誰に何と言われようとも、気にしませんでした。

 けれど、日毎に彼女へ対する想いは、ドンドン募っていきます。
もう冬真自身どうすることも出来ないほどに。

「逢いたい!逢いたい!逢いた〜〜〜〜〜い!」
o((><o))((o><))oo((><o))((o><))o

 でもどんなに逢いたいと思っても、地団駄踏んでも
彼女には逢えませんでした。

「くすん。(p_q)
愛しいあの方に逢えないのならば、せめて記憶の彼女に逢いたい…。」

 こうして冬真は画家になる事を決意したのでした。
彼が中学2年生の頃のお話です。

 その後冬真は猛勉強して、編みぐるみ王国の芸術学校へ入学、
ひょんな事から、秋さんの家にいく事になり、その後、春姫の家へと
お引越しする事になりましたが、またそれは別のお話です。

 ただいえる事は未だに冬真は彼女にも逢えず、
記憶の彼女の絵は、描けないでいるのでした。