迷子の迷子の子猫ちゃん、貴女のお家はどこですか?



「どうしましょう。困ったわ。変な世界に迷い込んじゃったみたい。
 あぁ・・・。やっぱり、桜の木になんか登るんじゃなかったわ・・・。
 あれほどお父様やお母様、お姉様たちにも、
 ”家主様の言う事をちゃんと聞いて、おてんばはしてはいけませんよ。”
 って、注意されていたのに・・・。
 春姫。ももお姉様。みかんちゃん・・・どこ?。」





 桜子は泣きそうになりながら、
桜の木の上で思いっきり後悔しました。

 後悔してもただただ優しい風が桜子の頬をなでていくばかり、
目の前は一面桜の花、花、花。下を向いても、横を見ても、前を見ても
上を見ても、桜の花しか見えません。

 もちろん怖くなって木の下に降りようとしたのですが、
降りても降りてもいっこうに地面にたどり着けなくて、
とうとう諦めてしまったのでした。

「本当にどうしましょう・・・。
 どうしてこんな事になっちゃったのかしら・・・?」

 疲れ果ててしまった桜子は、とにかく今日の朝からの
出来事を思い出して、頭の中で整理することにしたのでした。
そうする事で、何か解決策が見出せるかもしれないと思ったからです。


「遠い日の想い出」
プロローグ
物語創作・・・秋さん
写真撮影・・・春姫