−ダイエット話その5「太りにくい食生活」− |
前回に本来生き残るための機能として生理的に太りやすく痩せにくいと書きました。
では、それにどうやって逆らうのか? どうせ運動と言うんだろうとお思いでしょうが、これも前回言ったようにその前に出来ること、と言うかやらねばならないことがあります。 それは消費を増やす前にまず無駄な摂取を減らすということ。 これは、消費の大きいスポーツ選手や肉体労働者が犯しやすい過ちを避けるためです。 一般人に比べて過剰な摂取カロリーも、その悪い取り方も消費の陰に隠れて何とかなってしまうため、引退、退職したりしていざ運動量が一般人並みに落ちた時が非常に危ないことになりますから。 さて、前置きが長くなりましたが前回言いかけた「敵を減らす」作業を現実的に考えてみましょう。 「食べる量を減らせばおk」なんて考えてる人は最初からダメダメです。 これで結果的に痩せたとしてもバランスが崩れたままでは意味がありませんし我々は体重が減った後も生活し生きていかねばなりませんから健康に克つ恒久的に体重を管理出来なければ意味はありません。 更に過激な摂取量制限は生命の危険すらあります。 食べないことで早く痩せたいなんていう考え方は努力などではなくただの思考停止です。 一般的な体格の人でも基礎代謝だけで一日に男性で約1500、女性で約1200kcal程度は必要ですからこれを割り込むのもいけません。 基礎代謝というのは安静臥床時(要は寝ころんで何もしない状態)に必要な分ですから。 因みに基礎代謝量の計算式というのもあって出せるのですが式に身長と体重を当てはめて計算するのでそれだって正確ではありませんのでここでは割愛します。 (同じ身長体重でも骨格や筋肉量でかなりの差が出るのと話が小難しくなってくるからw) まあ一般的には活動分も合わせて男性で2000kcal/日、女性で1800kcal/日、程度が目安ですが、これもその人の一日の消費量によって異なりますので消費の計算をしていない今の段階では軽く流しておいてください。 じゃあこの段階で何を考えるかというと栄養バランスとカロリー摂取の方法です。 これを知っていれば単に「駄目なものは我慢する」よりもより精神的に楽になりますし、誰だってなるべくは食べたいですからね。 これは、そのためにも必要な知識です。 まずはバランス。 三大栄養素、ミネラル、ビタミン等我々が生きていくのに必要なものは数多く、そのベストバランスも細かく書けなくもないですが、やはり小難しい話になってしまいますのでここはシンプルに三大栄養素のバランスから。 炭水化物と蛋白質の摂取比は4:3がベストで、脂質はなるべくひかえる。 燃料である炭水化物と建材である蛋白質が最も重要で脂質はこの場合考えない。 勿論脂質だって重要な栄養素ですが脂質は自前で合成できるのですから。 逆に考えれば食べられる量は熱量が多い脂質をひかえる方が効率よく総カロリー量を落とせる訳ですから摂取制限も精神的に楽になりますしね。 比率の方は正確にというよりも糖分の摂取制限です。 炭水化物=糖質ですが糖分そのものは、より少ない重さで高カロリーであるため甘い物を多く取る人は必然的に比率が大幅に増えバランスが崩れることになります。 だからといって全く駄目というわけではなく要は主食と糖分で蛋白質との比率を大きく超えないように折り合いを付けなさいということです。 主食(穀類や芋、トウモロコシも含む)を多く食べたい人は甘い物は厳禁ですし、逆に言えばどうしても甘い物を食べたい人は主食を減らして調整するのもある程度はアリでしょう。 ただし、甘い物は主食とはまた別のデメリットもあるため注意が必要です。 それは糖質も取り方によって受け側の身体の対応が変化するためです。 所謂「食べ方」って奴です。 糖質の摂取により脂肪が蓄積される条件と順序はこの前書きましたが、量もそうですがその食べ方でも当然変化します。 つまり例え摂取が少量でも血糖値が大幅に上昇すればインスリンが分泌されて瞬間的に血糖が下げらるわけですから例え一日の総カロリー摂取量が目標値を下回っていたとしても食べ方によっては十分太ります。 つまり総量だけで単位時間での摂取量を調整しなければ意味がないということです。 これが急激に上がるのが先程書いた甘いもののデメリットです。 更にいうと例え同じものを食べるのでも単位時間を短くしてしまうと同じデメリットが生じます。 つまり一言で言えば、「早食いしてはいけない」ということ。 早く食べることで血糖値は瞬間的に上昇し尚かつ満腹刺激のタイムラグ内(大体20分は実際と感覚で差が出る)に食べる量が必然的に増え、更に単位時間で摂取量が多い人はインシュリンの応答性が増し、そういう生活を長く続けると胃腸の筋力もより必要になってくるため胃が大きくなり腸の運動性もアップします。 最大に近い負荷をかければ筋肉が鍛わって肥大するように消化器官だって例外ではないのですから。 こういったことからダイエット的な観点で言えば早食いは百害あって一利無しなのですがどういう訳か日本人は御飯を早く食べることが美徳であるかの如き考え方があるから困ったものです。 まあ時間を有効活用できるわけですからそれだけ働き者ということなのでしょうが健康第一に考えるなら御飯は20分以上かけてゆっくり食べるのが理想です。 単位時間で食べる量を少なくすることで血糖の上昇曲線を緩やかにするわけです。 こういった様々な理由から甘い物の摂取には気をつけなければならないわけです。 ダイエット的には甘い物をひかえるのは最早常識ですが、これだって単に総カロリー摂取量を増やす以前に単位時間での摂取量を増やす=血糖上昇曲線が急である食品の他ならないからです。 逆に言えば、血糖の上昇曲線が緩やかな食材は非常にダイエット向きとも言えます。 精神的にも無理せず正しい食生活をすることによりまず痩せやすい身体を作りましょう。 (この辺に主眼を置いた「低インスリンダイエット」は珍しく理論的に正しいダイエット法) あとダイエットは短時間で大きく痩せる方が偉いみたいな風潮がありますが食べ方と一緒で急いでも何も良いことはありません。 急がば回れ、ゆっくりしていってねw 次に食べる時間帯。 要は一日の総カロリー摂取量を三食にどう割り振るかですね。 これは生活習慣や運動量の日内分布にもよりますから消費カロリーの方でも追々書くとしても概ねのコンセプトは消費の増減に摂取も合わせ込むのがベストです。 活動しない時間帯に多く摂取すれば当然余る率が増えますし、逆に言えば消費の激しい時間帯前の御飯に一日の総摂取カロリー量から大きく割り振るということです。 だから、一般的には朝や昼を抜くのは得策ではありません。 多くの場合活動的な時間帯前である「昼」を多めに取り、その後睡眠に入る「夜」を少なくするのが普通ですが夜勤の多い職や午前中に消費の多い活動を強いられる人は当然それに合わせます。 しかし、全てにいえることですが間食は滅多なことがない限りひかえるということです。 特に睡眠時間に近ければ近い程ダメなのはここで言うのも馬鹿らしいくらい誰でも知っていることですねw まぁ、どうしても間食をしたい人はより活動的な時間帯に取ることで痛手を減らせますけど、内容が高カロリーなものだったり、量が多かったり、小さくても取る回数が多いと総量が馬鹿にならないですからその辺は激しく自重しましょうw 折角三食のバランスを取っても間食で崩してしまっては元も子もないですから。 (その6につづく) |