−鍼とは−
 
鍼治療は一定の方式にしたがって、鍼を用いて「経絡経穴」(ツボ)を目標に、体表より接触または穿刺し機械的刺激を生体に及ぼすことにより、一定の生体反応を引き起こし生体の変調を調節し、矯正して疾病を治療する方法です。
つまりは、患者さん自身の調整能力を鍼によって呼び覚ますと言ったところでしょうか。

作用としては下記の6項目が挙げられます。

・調整作用 異常に機能が更新している時は、(神経痛、痙攣、下痢など)鎮静、鎮痛法を行い、逆に機能が低下している時は、(知覚鈍麻、弛緩性便秘など)興奮作用を起こす鍼を施す。
 
・誘導作用 鍼を刺鍼した部位の血流が増加するのを利用して、局部の血流量を調節する。
 
・転調作用 自律神経失調症やアレルギー体質など、病的体質を改善し、体質を強化する作用。
 
・消炎作用 慢性炎症の治癒を促進する作用。
 
・反射作用 患部に関係した遠隔部に刺鍼して、反射により患部の機能改善を促す。
 
・防衛作用 免疫機能を高め、治癒力、防衛力を強化する。
 

 このように、鍼の作用とは、概ね患者さん自身の治癒力や生体反応を利用して治療効果を発揮します。
ですから、鍼とはあくまできっかけで、治しているのは患者さん自身なのです。

昨今注目されつつある鍼治療ですが、鍼自体は古代中国で最初に考案されたもので、最古の医学書「黄帝内経、素問、霊枢」を原典としています。
 現代の鍼師は、それと近代医学を考えあわせた上で鍼治療を行っています。どちらに重きを置くかは、術者次第です。