青い海と空・波の音と鳥の声 大三島よりNO6

〜“一人で建てる木組みの家の骨組みができました〜   2006年5月23日

気持ちの良い春がようやく訪れたと思うや、早梅雨入りでしょうか。爽やかなはずの5月に雨続きです。例年より少し遅く今日から、島中にみかんの花の香りが漂い始めました。

 伊予柑の発送も終わり、「凍害にあわず、完熟を待って、無事発送できたああ〜〜〜万歳!!」とほっとするや、海、山、畑の春の訪れや活動は早くて勢いがいいので、負けないように、畑仕事や海や山の収穫に追われています。

草刈り、種まき、株分け、挿し木、剪定、そしてワカメ採り、ワラビ採り、たけのこ炊き、ふき採りなど。瀬戸内の島国は海山の食べ物の宝庫です。

 島の主婦達は、野菜作りも山菜や海草採りも、いかに早く食べるかが、腕の見せ所であり自慢話。「早くワカメ採りに行かにゃあ」「はよ、種撒かにゃア、採れるのは来年よ」とお尻を叩いてくれます。

 3月にたけのことワラビを戴いたのに驚きました。そして4月には、軽トラの荷台に一杯積んだたけのこを、「好きなだけとって行き」と、何人かが家の前を通るたびに声を掛けてくれます。

一度に食べきれないので、瓶詰めだけでなく干したけのこ(調理法不明)まで作りました

 今年のお花見は、近所の人と軽トラの荷台に乗り合わせて、たけのこすし、ふき、しいたけ、ワラビなど持ち寄り、10数本の満開の桜、眼下に海と船と橋を眺めながらの島ならではのものでした。

ワカメを採って、干しワカメに

 

たけのこは大鍋で炊いて。瓶詰めに

 

3月より組で4人ものお葬式を経験しました。30所帯で4人も!「ちょっと、多くない??」と、伊予柑・はっさくの収穫発送と重なり、大忙しでした。

 もっともこちらのお葬式は、縁の薄いものにとっては、一種のリクレーションのような雰囲気かもしれません。野良仕事を休んで、女子衆は朝から夕方まで、組全所帯100人分の折り弁当を作って喋って・・男衆は、葬式の準備をして・・いつも”はみご”にしないで、堀内さん夫婦を呼んでくださいます。主人は、大工仕事も工作も得意なので、祭壇作りや葬式花作りに重宝されているのですが。 

 

 私はといえば?100人分の折り詰め弁当作りには、煮しめの味付けから、沢庵の切り方までこまごまとマニュアルがあって難しそうなので、もっとも単純な大鍋洗いとゴミの分別作業を担当することにしています。「ほら、10年程前、井戸で死んだ人を引き上げた時は怖かったねえ〜」、「あの井戸まだあるの」、「フタしてある」など、興味深深、吃驚する昔話をいろいろ聞きながら・・・。
 

 4人の内お二人は、民家全焼ご夫婦焼死という痛ましいものでした。主人は消防団員として、消火活動から焼け跡の片付け作業まで出動です。その後は、組の者で、パワーショベルまで使いこなし、家の解体や地ならし、そして炊き出しなど、3日ほどのお手伝い(コウロクと言うらしい)です。

 いろいろな経験して、カルチャーショックです。都会では、お役所や業者任せで遠巻きに見ていた事を、自分達の知恵と労力で解決していく島の人の生活力、自立心、逞しさには驚くばかりです。

 もっとも、こんなことはめったにないことで、「堀内さんは、僕らが10年間居ても経験しないことを、一時にいろいろしている」と言われています。

テキスト ボックス: 一人で建てる
木組みの家

  

4月19日建前開始

三又と滑車で梁や桁を上げて、かけやで、仕口を叩き込んでいく。

5月9日棟上げ、垂木も無事上がった!

野地板の杉板を、命綱をつけて、貼っていく。この頃には高所恐怖所も克服!

野地板の杉板を二重貼りにする算木打ち

野地板を二重貼りにする

アスファルトルーフィン貼り

家のほうは、雨やらいろいろで中断して、焦り気味でしたが、ようやく骨組みができました。 
今夏の台風までに、完成はとても無理ですが”一人で建てる木組みの家”の最難関の建前、棟上げを突破できました。 
建前と言っても、今まで加工した桁や梁を、たった一人で、滑車とロープと三又で持ち上げ、仕口を大きなかけやで叩き込んで組んでいくので、何日もかかります。近所の人も、毎日どれ位進んだかが楽しみらしく、「太い良い材木を使っとる。これに菊間瓦を載せたら、ちっとやそっとの台風でも大丈夫」と見に来ては、感心してくれます。 

 しかし、コストと手で上げて一人でも施工できる屋根材を検討した結果、なんと”銀色のトタン屋根”の家になるらしいです。私も嫌なのですが、「いい材木の立派な家じゃ」絶賛してくれた人もトタン屋根には二の句を告げず「あの鶏小屋と同じ波板??夏、熱いで。雨うるさいで」と心配そうです。 

無垢の材にこだわった結果というか、当初計画のカラーベストの下地には、コンパネ(合板)を使う必要があるのが、 嫌だそうです。 

 ロフトを作り、トタン屋根の下地を杉板で2重にして、断熱と防音の空気層を作るとか、なんとか工夫するらしいですが、どんな家になることやら・・・・・心配ですが、文句を言うと「お前は、雨降りと夏は、古い家に住んだらいい」と意地悪を言われるので我慢です。

番外編→噂の銀色の屋根??

bV 工事中です