〜NEXT SALON Their respective VISIONS Vol.6より〜

昔ながらの家屋が並ぶ滋賀県は彦根市薩摩町。そんなのどかな風景に異彩を放つ真新しいサロン。「with a simle Hair Park Sion」。2歳の幼児から90代のお年寄りまで、世代を超えて集う”憩いの場”を実現したのは、弱冠25歳の若きオーナー福原祐介さん。オンリーワン・サロンという独自色を打ち出し、商圏内で競合することなく共存共栄をはかっています。

いまは子供をターゲットに。そして大人へと広げていければ・・・。

キッズ 広々とした待ち合いは、まるで賑やかな託児所のような雰囲気。「オンリーワン・サロン」とは思えないような贅沢なスペーシングです。さらに手作りの玩具やかわいいフィギュアなど、店内には子供たちが喜びそうなものがいっぱい。日常の中の非日常、「with a simle Hair Park Sion」にはわくわくするような楽しさが溢れています。
「遊園地に行くような気持ちで来てほしかったから・・・」と、まだあどけなさの残る笑顔で福原オーナーが「Hair Park」に込めた思いを説明してくれました。そして、大人も子供もみんな笑顔でいてほしいと、あえて「with a simle」を付けたとも。

こういういかにも子供たちが喜びそうな店づくりにしたのは福原さん自身子供が大好きということもありますが、もう少し奥深い理由も。
「子供さんが行きたいと言ったら、親は必ずついてくるでしょう。そして子供から始まって、お母さん,お父さん・・・と広がっていけばいいなぁと」。
その思惑通り、家族そろって来店いただくこともしばしば。ある家族など、みんなで弁当持参で来店し、ひとりずつ交代でカットしたこともあったとか。こんなほとんどピクニック気分でサロンへ来店されるのも、まだまだいい意味での濃密な人間関係が生きている地域ならではの良さでしょう。

「いままでサロンへ行くと必ず泣いていたのに、ここだったら泣かないから・・・とけっこう遠いところから来てくれる常連さんもいます」。将来は、塗り絵コンテストなどサロン内でのイベントもいろいろ企画したい、と文字通り「Hair Park」をめざす福原さんの夢はますます広がります。
ちなみに男性客・女性客の比率はほぼ半々。サインポールもないので、美容室と思っている女性客もおられるそうです。

近所の方に助けられることもいっぱいあります。そのへんがいいところですね。

マスコット福原さん最初から地元で独立しようと決めていたのでしょうか。

「正直、最初はなかったですね。修業先(大阪)の人も彦根ではしんどいと。やっぱり人口の絶対数が少ないですからね。でも僕はひとりでやりたかったんです、一から十まで。大型店みたいにカットだけして交代とか、シャンプーはシャンプー担当者にまかせて、みたいなのは嫌やったんです。もともと修業時代から快感技術というかシャンプーが好きで、シャンプーもカットも全部ひとりで最後までやりたかった。そう考えると、ひとりでじっくりやっていくんやったら、ここでもいいかなと」。

顧客の”量”を追い掛けるなら立地は都市で効率重視の分業制も止むを得ないが、一対一の接客、いわば量より”質”で行くなら人口の絶対数が少ない彦根でも十分やっていけると判断されたのでしょう。
開業の気持ちが固まりその気でまわりを見回してみると、けっこう昔からの理容店や美容室があったそうです。すぐ近所にも一軒理容店がありました。

「そこのオーナーさんは僕の親父と同年代でそろそろ引退される年齢。で、後継者もいないと聞いて、事前に了解をもらって開業に踏み切りました。まわりの人もかまへんよと言ってくれたので」。こういう土地柄では周辺住民の方々の理解がないとなにかとスムーズに運ばないもの。福原さん、25歳という年齢にも関わらずそのあたりの呼吸はちゃんと心得ているようです。
基本的には予約優先なのですが、お年寄りのお客様はついつい予約なしでお見えになることが。それも遠方から歩いて来られたお客様だったりすると待たせるのが辛いと福原さん。そんなとき、施術途中のお客様が「わたし近所やからちょっと家に帰ってるわ。このおばあちゃん、先にしてあげて」といって進んで交代してくれたこともあったとか。

それにしても広々としたサロンです。将来スタッフを入れる計画があってもよさそうですねをと水を向けると、
「全然考えたこともないです。まだまだ自分の限界が見えていないし、とりあえず行けるところまでひとりで」と語られる福原さん。夢が現実されることをご期待いたします。


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