8年が経ち、車の走行距離が100万キロを超えてきました。これまで以上の車両トラブルが予想されます。故障や事故を未然に防ぎ、安全で快適な運転をするには、運転者が車の状態をいつもよく知っていることが大切です。運行開始前に必ず点検を行って下さい、かなりの車両トラブルが防げると思います。以下の表は走行中に警報灯や警報音が作動した場合の対処などを簡単に示しています。参考にしてください。

                                                          整備士

故障表示

警報灯

警報音

最悪の事態

対   処

火災警報
《エンジンルーム火災》

車両火災

運行中止!安全な場所に緊急停止!エンジン停止!乗客避難!通報!

エアー《不足》

ブレーキが効かなくなる

運行中止!指示を受ける

ブレーキ《液不足》

ブレーキが効かなくなる

運行中止!指示を受ける

冷却水不足

エンジン焼きつき

運行中止!指示を受ける
※注 リザーブタンクも噴出の恐れ

冷却水温度上昇
《オーバーヒート》

エンジン焼きつき

運行中止!エンジンを止めない!
指示を受ける

エンジン油圧低下

エンジン焼きつき

運行中止!指示を受ける

ギヤ位置インジケーター(黄・赤)

ギヤシフト不能

運行停止して、指示を受ける

FCTウォーニングランプ

ギヤシフト不能

運行停止して、指示を受ける

充電不能

バッテリーあがり

エンジンを止めない! 室内灯等OFF!  停車して指示を受ける

トランク扉
(ふそう・西日本)

停車して確認!

非常扉

停車して確認!

【車両停止】
 警報灯点灯、もしくは警報ブザーが鳴ったら、直ちに車両停止。必ず所属営業所の整備管理者もしくは点呼に連絡し指示を受ける。

【運行前点検】
 毎日必ず、運行前点検を行ってください。法律で定められた点検であり、車両故障防止、ひいては安全運行につながります。

― 運行を中止する勇気を!― 
                                          洲本営業所 小原 恭裕

2004年10月20日台風23号が直撃した。当日私は1行路(洲本⇔新神戸間2往復)に乗務しておりました。大型で強い勢力の台風が淡路島に接近していたので、午前中から点呼、乗務員ともども台風情報を収集し、その動きを注視していました。台風が接近するにつれ、各乗務員や券売所、お客様などから運行中止の時期や運行状況などに関する問合せが増えてきました。そういったなか、運行管理者の「明石大橋が通行できるからまだ大丈夫」との判断で、そのまま運行が続けられました。
 予定通り新神戸14:00発で洲本へ向かうよう指示が出されました。出発直後からだんだん雨が強まり、明石大橋を渡る頃には大雨になっていました。津名一宮から津名港間の交差点では川のように水が流れ、津名港につく頃にはブレーキも効き難くなっていました。15:10頃に津名港を発車し、スピードを落とし車間距離をとりながら洲本へ向かいました。国道28号線の安乎を走行中、対向車がパッシングしてくるので、「何かな?」と思いスピードダウンしたところ、前方で土砂崩れが起こっていて道路をふさいでいました。直ちに洲本の点呼に電話したところ、しばらく現場で待機するよう指示がありました。その間にも前方で土砂崩れが起こりました。危険を感じた私は、津名港で待機する事を伝えUターンして津名港へ向かいました。ところが、今走ってきたばかりの道でも土砂崩れが起こっていて道路をふさいでいました。幸い「おのころアイランド」(埋立地)へ通じる道が、その手前にあり「おのころアイランド」を通り津名港へたどり着きました。津名港には後続の乗務員も待機していました。洲本営業所から高速も通行止めになっており、山手線か西浦線で洲本へ向かうよう指示がありましたが、「それは危険だ」と判断し、お客様と津名港で待機する事にしました。
 幸いなことに津名港バスターミナルは、津名町の災害避難所に指定されていて、町職員らの協力で待合所で安全に待機する事ができました。毛布なども手配していただき大変お世話になりました。また、同僚の乗務員と券売所員みんなで協力して、お客様に飲物と軽食を手渡しました。「どうなっとるんや!」「他の道は無いのか!」「こんなんやったら三ノ宮に泊った方がよかった!」などと、缶詰状態が長引きイライラしたお客様が声を荒げる場面もありました。また、家族の方と連絡をとり家族の無事や家の状況等を確認するお客様もおられました。いろいろ不安もあるなかお客様も次第に落ち着き、ニュースで台風情報を見ながら高速が開通するのを待ちました。そして、翌21日00:30に、ようやく高速が開通して洲本に無事到着したのは01:30でした。お客様は、心身ともに疲れた表情で下車されていきました。
 今回、台風のなか運行を続け、お客様を危険な目にあわせるという結果になりました。私の運行するバスが、もし数分前後していたら土砂崩れに巻き込まれていたと思うと、今でも身が縮みます。私は、この度の台風直下で運行を続けたことは、判断ミスであったと思っています。この判断ミスを誘発した原因は、これまで台風による事故がなかった事から「今回も大丈夫」という過信と、会社の安全に対する姿勢にあったことは否めません。事故は、「不安全状態」と「不安全行動」に、「原因」がタイミングよく重なったときに起こります。今回は、たまたま運良く、タイミングが少しずれていただけの事です。
 私は今回のことで、船員のときに「荒波を乗り越える技術をもった人よりも、運航を中止する勇気をもった人が優秀な船長である」と、教えられたことを思い出しました。

整備から
車両警報
―「ゆとり」は安全へ ―
                                         洲本営業所 平野 弘章

JR福知山線脱線事故から半年、「なぜ事故は起こってしまったのか?」同じ公共交通機関に携さわっている者として、もう一度自分自身に問いかけてみた。
 事故原因については、報道などで色々取り上げられたが、一つの要因として焦り(心のゆとり、時間の余裕がない)があったのではないかと思う。
 いま、自分の環境に置き換えてみると、日々バスを運転していて、あまりに時間(ダイヤ)を気にし過ぎているのではないかと思う。時間(ダイヤ)を気にするあまり、心の「ゆとり」というものが欠けてしまっているように思う。発車時間が遅れているとき、掲示板が「この先渋滞」となっているとき等、急がなければという心理的プレッシャー(焦り)が勝りすぎているように思う。
 時間(ダイヤ)を気にしすぎるあまり、『乗客への対応が雑になっていないか?』また、『加速時に2速・3速と引っ張りすぎていないか?』、『交差点手前で信号が黄色に変わりそうなときアクセルに足を置いていないか?』、常に自省している。
 実際、運行ダイヤの取り方で時間的な余裕のない区間や運行便はあると思うが、こればかりは現時点ではどうしようもない要因である。今出来ることは、心に「ゆとり」を持ち、安全に努めることであると思う。何事でもそうだと思うが心に「ゆとり」があると大事に至らず小事に収まると思う。

      ― みんな、心に「ゆとり」を持って日々仕事に、人生を送っていこう! ―

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