全国民主連合労組は組合員2800人の、ソウル、京畿、江原、忠清圏などに支部を置いている全国一般労働組合である。主に市・区・郡庁舎や委託会社に所属している環境美化員、道路水路の浚渫・保守業務、庁舎と公園の管理などの業務を行っている労働者が所属している。仕事の特性上、組合員たちの平均学歴は小卒や中卒程度と低く、平均年齢は50歳以上と大変高い。
オー、あそこに私たちが映っている!
最初は講義でやったんですよ。そのような教育はみんな退屈で、理解するのが難しかったのです。昨年、政治資金の税額控除事業の説明をして質問を受けるのに、ほとんど8時間かけたのですよ。そして教育が終わって、いざ署名をもらおうと思ったら、また説明してくれと言うんですよ。講義の効果がなかったということです。
少し前にご覧になったでしょうが、教育が少し長くありませんか? 苦痛ですよ。講義式の教育はすごく嫌いですよ。何を言っているのか理解するのも難しいから。そこで映像を挟めば時間は上手く行くでしょう。集中もできて。組合員が好みますから。
そして始まったのが組合員の動映像教育。2006年に部分的に試みたところ評判が良く、2007年からは教育の度ごとに動映像を活用している。動映像は労働組合の歴史から最近の懸案事項まで必要に応じて作り、時には再編集して新しい教育資料を作ることもある。特異な点は、動映像教育といっても教育時間の全てに動映像を詰め込むのではないという点。
講義の中間中間で3〜5分程度の短い動映像を見せて注意を喚起させ、これに対する説明を簡単にするといったやり方で続けた。そのためどのような映像を使うかの選択の幅が広い。例えば「わが労組の歴史」を講義する時は、労組の結成の時からの写真で作ったスライドと、労組結成の行事のビデオ、組合員のインタービューを見せるといった方法である。
普通、動映像を作ろうとすると大変な仕事だと感ずる。そのため大きな行事でなければ企画するのが難しく、専門業者に外注しようかと考える。しかし全国民主連合労組は自分たちの手で作るのを原則としている。執行委員会で組合員の教育についてテーマを選定すれば、内部の担当者3人が制作を始める。
なかまうちで見るのだし、売るものでもないのに、精巧に作る必要がありますか? 装備や技術が必要でなければ、今ではプログラムに従って、われわれが作れるものはわれわれが作ります。今は良いプログラムがたくさん出ていますよ。
制作といっても平素のその時々の集会や会議、教育、活動をビデオレコーダーで写し、支部別の行事や集会の写真が本部に集まるので、テーマに合う資料を探して適当に配列すればできあがり。上映時間が長かったり、特別に気合いを入れなければならないものは、最終編集だけを外注業者に頼み、ほとんどは自分たちで解決し、費用も多くは掛からないという。
このようにして作った動映像が100本余り。新しく作って使うことも多いが、以前のものを再編集して使うこともある。テレビで放映された時事プログラムやニュースから教育テーマに関係のある映像を借りてくることもある。
テレビのニュースや時事プログラムで放映された映像を見せてやるじゃないですか。組合員が「労組というのは、みなこのように話すものだ」と考えるじゃないですか。ところが、テレビでも同じような話しをするので、「アー、あれが事実なんだな」。そのように考えるでしょう。はるかに良く理解します。
組合員の教育時間を執拗に確保すること
このような動映像を活用した教育ができるようになった背景には、団体協約に教育時間を必ず挿入するという執行部の意思があった。市・道・郡庁別に団体協約を結び、支部毎に内容に違いはあっても、すべての支部の団体協約には毎月2時間の有給の組合員教育時間が必ず含まれている。その他にも毎月の教育は支部で、宿泊教育は本部労組が引き受けて行われる。
支部での教育は支部長が担当する。そうして教育テーマは全体の支部長が集まる常任執行委員会で決定し、作られた動映像の最終点検も常任執行委員会で行われる。この会議ではただ点検をするだけではなく、一緒に討論する時間を作り、支部長が教育を準備して訓練することができるように手助けする。
このようにして完成した動映像は労働組合のホームページにもアップされ、CDに作られて支部別に配布される。毎月繰り返されるこのような過程を経て、組合員の動映像教育が完成される。また教育内容を土台に10〜12人で班を作り討論をすることもある。討論内容は支部のまとめを経て、本部労組まで上がっていく。これを土台に労組の活動と評価も行われる。この時に特異なことは、会議や評価の時にも写真と映像が活用されるということ。
その時に場面を再び見ることになるので、「これは上手くいった、あれは少しまずかった、次には気をつけよう。」といったような生々しい意見が出ます。見れば記憶がよみがえるでしょう。一回そのように会議をすれば、次にはしくじりが減るでしょう。
面白い組合員教育、このようにすれば
よく今は映像の時代だという。テレビとインターネットには市民が直接撮影した映像があふれ出ている。こんなことを労働組合の活動に使ってみたらどうだろうか? 労組の教育時間は退屈で面白くないという組合員に、効果的に近付く方法が何かあるか? このような悩みを持っている労働組合が少しずつ増えている。団体協約で保障された教育時間に会議をしたり、習慣的に講師を呼んで、昨年も行ったような教育を繰り返す形から離れて、新しい教育の形を作り出してみよう。その努力に全国民主連合労組の事例が手助けになることを期待する。 |