緊急命令申立書

平成14年5月29日

東京地方裁判所民事第11部 御中

   申立人                               中央労働委員会
                                           代表者 会長 山口 浩一郎

   被申立人                             本四海峡バス株式会社
                                           代表者 代表取締役社長 川真田 常男

1.申立の趣旨

 申立人は、被申立人本四海峡バス株式会社を原告、申立人を被告とする御庁平成14年(行ウ)第68号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成12年(不再)第40号事件について発した命令によって維持するものとした兵庫地労委平成11年(不)第5号事件について、兵庫県地方労働委員会がした平成12年6月20日付け命令の主文第1項に従い、
 「1被申立人本四海峡バス株式会社は、全日本港湾労働組合関西地方神戸支部から平成11年8月9日付けで申入れがあった組合活動についての協定事項、緊急要求及び解雇撤回要求を議題とする団体交渉に誠意をもって応じなければならない。」
との決定を求める。

2.申立の理由

(1)被申立人本四海峡バス株式会社(以下「会社」という.)の従業員のうち運転士及び整備士58名全員が、会社とユニオン・ショップ協定を蹄結している申立外全日本海員組合(以下「海員組合」という.)を脱退して全日本港湾労働組合(以下「全港湾」という.)に加入したところ、会社が、海員組合から組合員を脱退させた首謀者として除名処分とされた中田良治、日野隆文及び板谷節雄(以下「中由ら3名」という.)を、ユニオン・ショップ協定に基づく措置要請を受けて解雇したため、申立人全日本港湾労働組合関西地方神戸支部(以下「全港湾神戸支部」という。)から、平成11年8月9口付けで、解雇撤回等の要求を議題とする団体交渉を申し入れられた(以下「8.9団交申入れ」という。)が、会社がこれに応じなかった。全港湾神戸支部は、上記の団体交渉拒否が不当労働行為であるとして、平成11年9月20日に兵庫県地方労働委員会に救済を申し立てた。
 同委員会は、上記救済申立てについて、兵庫地労委平成11年(不)第5号事件として審査の結果、平成12年6月20日付けで別添疎甲第1号証の「主文」記載のとおりの命令(以下「初審命令」という。)を発した。

(2)被申立人は、初審命令を不服として、平成12年7月4日、申立人に再審査を申し立てた。この再審査申立てについて、申立人は、中労委平成12年(不再)第40号事件として審査の結果、平成14年1月9日付けで別添疎甲第2号証の「主文」記載のとおりの命令を発し、上記命令書(写)は同月22日、被申立人に交付された。

(3)被申立人は、平成14年2月12日、上記命令の取消しを求める旨の行政訴訟を提起し、御庁平成14年(行ウ)第68号事件として現在審理中である。

(4)被申立人は、上記命令書(写)交付後も、初審命令主文を任意に履行する態度を示していないことは、命令の履行状況調査(疎甲第3号証、同第4号証)から明らかである。なお、被申立人の疎甲第3号証には、抜本的な解決は全日本海員組合と全港湾との水面下の折衝が続けられ、この中央折衝の推移に委ねざるを得ない旨の記載があるが、全港湾神戸支部回答書等(疎甲第4号証)にあるとおり、初審命令主文の事項も全く履行されていない。
 本案行政訴訟事件の判決が確定するまで現在の状態が継続することに なれば、さらに長期にわたって団体交渉拒否という不当労働行為が継続されることとなる。これは全港湾神戸支部の存在を否定するに等しいものであり、その組合活動は大幅に阻害されることとなる。このように、被申立入らによって侵害された全港湾神戸支部の団結権及び組合員の被る損失は顕著であって、上記団結権等を回復することが困難なものとなることは見易いところであり、これは労働組合法の趣旨、目的に反するものである。
 また、全港湾神戸支部からは、早期に緊急命令を申し立ててもらいたい旨の申入書及び意見書が提出されている(疎甲第5号証、同6号証)。

(5)申立人は、上記のような状態がそのまま存続するならば、労働組合法の立法精神も没却されてしまうこととなるので、平成14年5月8日開催の第1355回公益委員会議において、労働組合法第27条第8項の規定に基づき、本件申立てを行うことを決議した(疎甲第7号証)。

よって、本件申立てに及んだ次第である。

疎明方法

1 疎甲第1号証 兵庫県地方労働委員会命令書(写し〉

2 疎甲第2号証 中央労働委員会命令書(写し)

3 疎甲第3号証 本四海峡バス株式会社からの、「命令の履行状況について」(写し)

4 疎甲第4号証 全日本港湾労働組合関西地方神戸支部からの、「命令履行状況についてのご報告」(写し)

5 疎甲第5号証 全日本港湾労働組合・同関西地方本部・同関西地方神戸支部からの、「申入書」(写し)

6 疎甲第6号証 全日本港湾労働組合関西地方神戸支部からの、「意見書」写し)

7 疎甲第7号証 中央労働委員会第1355回公益委員会議議事録抄

 付属書類

1 疎甲第1号証ないし疎甲第7号証 各1通

2 指定代理人指定書          1通

別紙2(本件命令主文第1項)

 被申立人は・申立人から平成11年8月9日付けで申入れがあった組合活動についての協定事項,緊急要求及び解雇撤回要求を議題とする団体交渉に誠意をもって応じなければならない。



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