29号
2003年10月8日 発行
全港湾神戸支部
本四海峡バス分会
東京高裁判決!会社主張完全棄却!
判 決 確 定 は 刑 事 罰 !
組合選択に自由及び団結権の否定は許されない!
労働委員会「団交応諾命令」を全面支持!
 労働委員会の「会社は団体交渉に誠意をもって応じなければならない」とした救済命令を不服として、会社側が救済命令の取消しを求め提訴していた裁判で、平成15年1月15日、東京地裁は、会社側請求を棄却する判決を下すと同時に、中労委の緊急命令申立に対し、本件判決が確定するまで、「上記労働委員会命令に従わなければならないとする」緊急命令を発した。
 緊急命令に基づき中労委は、本四海峡バス株式会社と全港湾神戸支部に対し、緊急命令の履行状況ついて報告を求めた。双方から報告をうけた中労委は、「履行義務者である会社からは、団体交渉に応じている旨報告してきたが、本件不当労働行為事件の申立人である組合からは、会社が団体交渉と称する折衝の席上で『全港湾とは労使関係を認めておらず、労働協約は書面化しない』旨主張しており、このような会合は団体交渉とは到底認められるものではなく、決定を履行していない旨報告があった。」として、「これら会社及び組合からの報告内容から判断すると、会社の対応は、使用者に要求される誠実団体交渉義務に反するものであり」「緊急命令の履行がなされたとは言えない状況にある」と、会社が緊急命令を履行していないと判断し、本年8月8日、神戸地裁に「緊急命令不履行通知」をおこなった。これにより、裁判所が罰金額(1日最高10万円)を決定し、不履行日数に対し罰金が科せられることになる。
                  主    文
  1. 本件控訴を棄却する。
  2. 控訴費用は、補助参加によって生じたものも含め、控訴人の負担とする。
労働組合法 第五章 罰則

第二十八条

 第二十七条(労働委員会の命令等)の規定による労働委員会の命令の全部又は一部が確定判決によって支持された場合において、その違反があったときは、その行為をした者は、一年以下の禁こ若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

この裁判は、兵庫地労委が発した「団交応諾命令」(2000.6.20付)を不服とした会社が、再審査を申立て、中央労働委員会は「全面棄却」(2002.1.9付)した。会社は労働委員会の救済命令が不当であるとして、東京地裁へ救済命令取消訴訟を提起したが「全面棄却」(2003.1.15付)が言い渡された。会社は、この判決も不服として東京高裁へ控訴したが、第1回の控訴審をもって結審となり、本年8月20日に東京高裁において「完全勝利」の判決が言い渡された。地裁判決からわずか7ヶ月であった。会社は、性懲りも無く9月2日に最高裁へ上告受理申立を行ったが、門前払いの上告棄却による判決確定は火を見るより明らかである。この判決が確定以降、救済命令に反して会社が団交拒否を続けるならば、刑事罰が科せられることになる。救済命令違反で刑事罰を科せられた経営者は、未だかつて、いない。
 労働組合である海員組合が54%所有の絶対筆頭株主の会社において、きわめて悪質な不当労働行為が続いている。それは、隠れて行われるのではなく、恫喝や嫌がらせの材料として不当労働行為であることを、公然と宣言するに等しいやり方で行われる。
 そして、会社の発言等によればこの行為は海員組合(筆頭株主)の意向であるという。一連の不当労働行為は、会社と海員組合が一体となって、おかしな事を「おかしい」と意見する労働者(全港湾組合員)を社内から排除するための弾圧である。
これは、どういう理屈を並べても労働組合である以上は、おこなってはならない愚行であり、また、絶対に看過し得ない行為である。

東 京 高 裁 判 決

【会社主張】

  1. この会社は、海員組合等の長い架橋闘争を経て、離職者対策の一助として設立された特殊な会社であり、海員組合は平成12年5月時点で54%を所有する株主である。海員組合とは、こういった特殊な関係にあったため、クローズド・ショップ協定を締結した。最高裁判決(S24.4.23)は、クローズド・ショップ制において「使用者は被除名者を解雇すべき義務がある」と有効性を認めている。などとして「ユニオン・ショップ協定に関する判例の一般理論を適用するのは妥当ではなく、クローズド・ショップ協定の締結組合を脱退し、他の組合に加入した者の団結権は、控訴人(会社)内においては否定されるべきものである」
  2. ユニオン・ショップ協定に関する最高裁判例は、同協定の機能を不当に軽視するものである。労組法は、ユニオン・ショップ協定を有効としてり、同協定締結組合への団結権は、労働者個人の団結権より優位に位置する。として「ユニオン・ショップ協定は、憲法28条の精神に合致し、労組法が明文を持って認めた団結強制の一手段であり、その機能を重視すれば、被除名者あるいは理由なく脱退したものに対する解雇は、基本的に有効になし得ると解すべきである」
  3. 全港湾は、会社との間でユニオン・ショップ協定の締結を求めているが、会社の存立趣旨を損なう事項であり、応じることができないことは明らかであり、「団体交渉に応じなかったことには、やむを得ない事情がある」
  4. 全港湾組合員であると主張している従業員らは、海員組合からの脱退意思が明確ではなく、全港湾への加入手続が行われているとは認めがたい。これらの従業員は真に全港湾に加入する意思はなく、様子を窺っているだけである。として「上記の者らが明確な態度を示さないのに、控訴人(会社)が補助参加人(全港湾)の組合員として求めてきている団体交渉を受け入れないことには、正当な理由がある」
  5. 「交渉事項とされた中田ら3名の解雇問題については、平成15年2月27日判決確定により既に解決済みである」
  6. 初審命令後、全港湾からの申入れを受け、多数回にわたって折衝(交渉)をおこない対処できる部分は対処してきた。「実質的には団体交渉を行ってきている」

【裁判所判断】

東京高等裁判所第11民事部は、「労働者には、自らの団結権を行使するため労働組合を選択する自由があり、ユニオン・ショップ協定締結組合以外の労働組合の団結権も等しく尊重されるべきである」として、「ユニオン・ショップ協定が労働者の労働組合選択の自由及び他の労働組合の団結を侵害する場合には、無効と解すべきである」と判示した。
 会社主張のクローズド・ショップについても「本協定はクローズド・ショップ協定ではない」と指摘した上で、たとえクローズド・ショップ協定であっても、前述と同様に「他の労働組合に加入した者の団結権を否定することは許されない」とした。さらに、2つの労働組合が併存する場合は、ユニオン、クローズド・ショップ協定締結組合とのみ団交を行い、締結組合以外との団交を拒否することは「他の労働組合の団交権を侵害するとともに、これに所属する労働者に対する差別待遇である」とし、「中田ら3名の解雇が無効であり、社内に2つの労働組合が併存しており、全港湾との団交を拒否したことは不当労働行為に当たることはいうまでもない」と厳しく指弾した。
 また、会社は、設立経緯、特殊性などを主張しているが「不当労働行為性を否定すべき事由にはあたらない」、さらに、上記最高裁判決(S、24年)の引用についても、事件内容が違い「本件に適切ではない」と一蹴にして、「会社主張の1、2の主張は採用できない」とした。
 会社は「申入れ事項に応じる意思がない」ことを主張するが、「組合の申入れ事項に応じる意思のないことが明らかであるとしても、これをもって団交を拒む正当な理由とすることはできない」とし、海員組合脱退の意思についても、「脱退意思に疑義を抱くべき事由は認められず」としたうえで、「脱退意思は、少なくともその大多数において明確であるとみとめられる」とした。
 また、「最高裁決定により解雇問題は、解決している」、「多数回にわたって折衝を行い、実質的な団交である」との主張について、「本件命令後に事情が変更したとしても、これにより本件命令が違法となるものではない」としたうえで、会社との折衝は「全港湾との間で一定の労使間合意の形成に向けた協議ではなく、およそ団交と認めることはできない」と、斥けた。
 最後に裁判所は、会社は、その他るる主張するが、「本件命令は適法であるとする判断を左右するものではい」として、東京地裁の原判決を相当とし、「本件控訴は理由がないから棄却する」と、会社の主張をすべて斥ける判決を言い渡した。

緊急命令不履行通知!
罰金は誰のために!?
<激励のメッセージ> 韓国民主労総全北地域本部

全港湾神戸支部本四海峡バス分会のなかまのみなさん!
 手紙を読んで、みなさんの闘う姿が目に浮かびました。そうです。みなさんの闘いは、まさにわれわれの闘いです。それなのに、返事が遅くなって申し訳ありませんでした。返事が遅くなったのは、主に6、7月が韓国の労働運動において最も忙しい時期だったからです。手紙を受け取った直後に、政府の労働法改悪案が国会を通過する可能性が高まったために、緊急の闘いが継続して配置され、余裕を持って返事を書くのが困難になりました。その上、昨年11月に通過した経済自由地域法に基づいて、7月16日に、全羅北道が地域での論議を全く行わず、政府(財政経済部)に群山港とイングンの工団地域2000万坪を経済自由地域に指定するように申請しました。そこで、これに抗議する行動を組織し、21日から全羅北道の道庁前で、集会と徹夜籠城闘争に突入しました。街頭での連続した集会と警察との闘いが続き、22日からは全北地域の一つの基礎単位地域である扶安郡に核のゴミ置き場(放射線廃棄物処理場をわたしたちのこのように呼びます。)を誘致しようとし、これに対する反対闘争も始まりました。あれやこれやの日程によってなかなか返事を送ることができず、重ねてお詫びします。

全港湾神戸支部本四海峡バス分会のなかまのみなさん!
 みなさんが最高裁判所で勝利し、会社が結局みなさんの会社員としての地位を認めたことは、常識のレベルでも、会社の主張が無理であったことがはっきりしたということです。依然として会社と海員組合が「働く労働者」として「全港湾労組員」として接しないでいますが、段々と現れてくる真実の波頭を何で止めることができますか? 労働者歌手・池ミンジュ氏の歌「波頭の前で」−いまわたしたちはインターネットを通して一緒に聞いています。−で叫んでいるそのままに、人類の真実と理想を実現するために、世の中を変えていく労働者の波頭は、だれも止めることができない。
 わたしたちは真実を守ろうとする意思が労働者に生まれた、その瞬間が、既に勝利の進軍を始めた瞬間であると信じます。みなさんが闘いを始めたときに、既に勝利を手に入れました。真実を放棄し、偽りに屈従することを強要する会社で、労働者が闘うことを決心した瞬間、世の中は希望を持つようになります。闘う労働者が希望であり、闘う人は花よりも美しいというのは、まさにそのためです。その典型をまさに本四海峡バス分会の仲間が示してくれています。
 わたしたち、民主労総全北本部の労働者は、教育時間にこのような話しを聞きました。「労働者は必ず勝利する。先ず、団結すれば90%勝利する。次に、団結して闘争戦術を上手くやれば100%勝利する。第三に、そして、勝利するまで闘うこと以上に、完全無欠に勝利する方法はない。」そうです。労働者は勝利するまで闘うから、必ず勝利します。われわれの世代の労働者ができない課題は次の世代が、再び成し遂げるでしょう。韓国の労働者ができない課題は、日本の労働者が成し遂げるでしょう。だから、時間と空間を超えて、労働者は一つです。

全港湾神戸支部本四海峡バス分会のなかまのみなさん!
 闘いにはもちろん力が要ります。しかし、資本主義社会で生きていくこと自身、すべてに力が要ります。人類は苦しみを背負って生まれたと釈迦も話し、イエスも話したほどです。だから、われわれが闘わない道を選んでも、別の困難と苦しみがついて来ます。しかし、われわれ労働者が味わっている苦しみというのは、まさにわれわれ自らが選んだ道です。われわれはその苦しみを苦しみと感じません。間違った飼い主から「悪口を言われる」のは、われわれの誇りです。御用労組から「過激だ」と評価されるのは、われわれの自慢です。もし彼らがわれわれを非難しなかったら、却って異様なことです。だから、同志よ! われわれが闘いで彼らをやっつけるということは、彼ら個人を非難するためではなく、むしろ彼らの歪曲された人間性と価値観を回復させてやるためです。より苛烈な闘いで、これ以上退く所がない所まで追い込まなければなりません。そうしてこそ彼らは、なぜ資本家が労働者を尊重しなければならないか、なぜ人の雇用と生活が大事か、労働組合はどんなものでなければならないか、を知るでしょうし、少なくとも力で押されて認めることになるでしょう。
 みなさんが「正義を貫徹しよう! We seek Justice!」というスローガンを出したことは、まさにこのような世の中を変える労働組合と労働者の役割について、明白に認識しているためだと思います。

同志のみなさん!
 遠く険しいと言っても、行かなければならない道を、行くしかありません。人類の高貴さは守ることは守るところから出てくるものだと思います。正義と真理は労働者が守らなければならない高貴な価値です。このための勇気は必須的な徳目です。世界人類の人権と平和が脅威にさらされている危機の時代、新自由主義の搾取体制の中で、われわれの労働運動がぶつかって、闘わなければならない課題が山積している中で、根本精神、現場精神を繰り返すことが重要です。既に本四海峡バス分会の仲間たちが見せているその姿から、わたしたちは不屈の闘魂を見ます。みなさんの闘いが「会社員認定」から「原職復職」に、「原職復職」から「労組認定」に進むその日を共に見据え、いつも連帯しています。連帯は労働者の辞書に出てくる最も美しい言葉です。
 同志の手紙がわたしたちの連帯意識を呼び覚ましてくれたことに感謝しながら、みなさんの勝利を心から願いつつ、手紙を終えることにします。 トゥジェン!

2003年7月26日 朝8時   全国民主労働組合総連盟 全北地域本部

本四海峡バスの闘いは既に勝利し、
会社と御用労組は白旗を出すことになるだろう!
 本年2月に「全港湾は団体交渉を求め得る地位にある」「3名の解雇は違法無効である」とする、最高裁決定が下されました。しかし、会社は、海員組合(筆頭株主)の意向でもあるとして、いまだに全港湾を否認し、3名を職場に帰さないという傍若無人な違法不当行為を続けています。
 一方、海員組合には昨年12月「全日海は労組法上の使用者にあたる」という神戸地裁判決が言い渡され、11月14日には大阪高裁での控訴審の判決が下される。控訴から結審まで約半年という超スピード裁判である。この「労組法上の使用者」とは、不当労働行為の当事者になるということである。この判決が確定すると、海員組合は、不当労働行為の当事者(労組法上の使用者)として認定された日本で最初の労働組合になる。
 全港湾本四海峡バス分会は、全港湾全国の仲間や地域の働く仲間の力強い支援を受け、正義を貫き、団結を守り抜いて、権力による卑劣な恫喝を跳ね返し、会社と海員組合を後のないところまで追い詰めた。
 本年1月15日に、全面勝利の東京地裁判決(労働委員会の団交応諾命令全面支持)と「本判決確定まで団交に応じなければならない」とする緊急命令が下された。「罰金を払えば違法でない」とする会社の愚行方針に、私たちは「会社と海員組合は法と正義に従え!」と、本年1月20日厳寒からの海員ビル前無期限座り込み闘争に突入した。この座り込み闘争は40日間に及んだ。大成功を収めた座り込み闘争最終日に上記最高裁決定が送達されてきた。
 全港湾中央は、筆頭株主である海員組合に対し、最高裁決定に従うよう申入れを行なった。こういったなか、両労組中央での和解協議の話が浮上してきた。神戸支部と分会は、海員組合が全港湾否認方針を変更するような兆しはなく、現地から見ていて「和解による解決」の時期に至っているとは考えられず、様々な論議が起こった。そして去る7月8日全港湾中央、関西地本、神戸支部の協議の結果、「当該と連携をとりながら海員組合・全港湾の中央による和解協議を進める」との確認がなされた。
 その後、中央レベルの和解協議は8月11日と9月1日に行われ、第1回は双方が和解協議を進める意思表示をおこない、第2回で協議を「小委員会方式」で行なうことが決まった。第3回(9月25日)の折衝で海員組合は、性懲りもなく「全港湾は認めない」「3名は戻さない」「金銭解決はしない」とする従前どおりの主張を繰り返したようである。次回第4回は10月22日の予定である。
 この協議によって、争議が解決に向かうかどうかは、ひとえに海員組合と会社の判断、姿勢にかかっている。
本四海峡バスと海員組合は
           法と正義に従え!

本四海峡バス株式会社は、罰金を避けるために「全港湾との団交に応じている」との報告を中労委におこなった。しかし、中労委は「本四海峡バスは団交に応じていない」との判断を下し、神戸地裁に「緊急命令不履行通知」を行った。会社は、事ここに至っても「全港湾が団交をしていないと騒ぎ立てるから罰金が科せられてしまう」と、自身の違法不当を棚に上げ、本末転倒な釈明に終始する。この事態に陥ることは自明であったにもかかわらず、いったい誰のために、何のために、会社の正常化を拒み続けているのであろうか。
 そして、同じことが海員組合(筆頭株主)についても言えるのではなかろうか。12月24日には「海員組合は労組法上の使用者にあたる」とした、神戸地裁判決の控訴審判決が大阪高裁で言渡される。

漂流する全日海
シフトダウン  迫りくる過労運転の恐怖!

 大型トラックの悲惨な事故が毎日のように報道されています。罰則や取り締まりが強化されても、トラック事故は、ますます増加しているといわれています。そして、運転手の無謀な速度違反を防ぐためスピード・リミッターをトラックに取り付けるという。はたしてそうであろうか。
 トラックによる事故件数は、規制緩和以降、急激に増加しました。トラック業界は過当競争により低運賃・低賃金化が進みました。そして、企業は収益をあげるため運送のスピード・アップを含む違法承知の過重運行の下命、運転手は業務命令と低賃金を補うために過重労働を余儀なくされています。多発するトラック事故は、こういった過労運転の常態化が第一の原因ではないでしょうか。そして、規制緩和が引き起こした人災ともいえるのではなかろうか。規制緩和の波はバス業界へも押し寄せてきています。
 また、法律で定める8時間の必須休息や連動する拘束時間規制をクリヤーすることで、過労運転防止は十分だろうか。通勤時間(往復)を一時間と仮定したとしても、帰宅後の食事や風呂、仕事前の食事などを考慮すると、睡眠時間は5時間をきるのではなかろうか。昨年、当社においてもサービス向上のため運行のスピード・アップが実施された。それに伴う行路の再編で労働内容が以前より過重になった。これは行路再編のつど繰り返されている。業務内容が現状のままであっても、社内的な対応次第で過労防止への取組みが可能である。たとえば通勤時間などを最大限に考慮した人事配置により、十分ではないが実際の休息時間が延びる。また、行路編成の方法によっては拘束時間の短縮も可能である。このように会社の姿勢次第で、運転手の一定の過労予防が可能であることは明らかであり、社内対応も十分可能である。
 事故は、被害者はもとより加害者にも悲惨な現実がおとずれる。悲惨な事故をひき起こさないためにも、過労運転防止に全社をあげて取り組まなければならない。
 たしかに企業内の運動だけでは解決できない問題が多々あることは事実であり、企業の枠を越えての取組みも必要である。
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年休中の賃金と
    時間単価を是正しろ!

【年次有給休暇】

 当社の就業規則には「年次有給休暇中の賃金」について定めがありません。実際には、有給休暇を取得した場合、基準内賃金が減額されないという扱いがされてきました。つまり会社は、有給休暇中の賃金について、基準内賃金のみ支払ってきたということです。
 ところで『労働基準法』は年次有給休暇中の賃金について、次のように定めています。
【第39条6項】以下の3つの方式のいずれかで支払うことが義務づけられています。
  1. 平均賃金(前3ヶ月間の総賃金の平均日額)
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常賃金
  3. 健康保険法による標準報酬日額(ただし労使協定を締結した場合に限る)
    ※ 有給休暇中の賃金に関して労使協定がないので、3は採用できない。
 また、どの支払い方を取るかを、あらかじめ就業規則で定めておかなければならず、その都度選択することは許されません。つまり会社の現行制度は明らかな労基法違反であり、早急な是正が必要です。
 現実には、有給休暇を取得した場合「乗務員手当」等の基準外賃金がまったく補償されないため、賃金は大幅に減額してしまい、有給休暇取得にブレーキがかかる結果となっています。労基法の附則136条では、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な扱いをすることが禁じられており、現状はこれにも反しています。

【時間賃金単価】
 当社においては、時間外賃金の算定基礎となる時間賃金について、算定方法を以下のとおり定め、これにより各割増賃金が算定されます。
 【賃金規定第22条】

             (基本給+勤務地手当+技能手当+事務兼務手当)×12
                      1,962(年間労働時間)

 ところが、労基法第37条第4項及び労基法施行規則第21条では、算定基礎賃金から除かれる賃金について「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「臨時に支払われた賃金」「賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」及び「住宅手当」(名称ではなく手当の性格で判断)と規定しています。つまり、上記以外の賃金は、すべて「算定基礎となる賃金」に算入しなければなりません(時間外賃金などは除く)。当社の場合は、宿泊手当、乗務員手当、日当及び職務手当を基礎賃金額に算入しなければならないと考えられます。
 去る8月18日、全港湾は会社に対し上記の是正を求めて「申入れ」をおこない、団体交渉の開催を要求した。玉城常務はこれらの申し入れに対して「あなた方の言っていることを否定はしない」「社内で検討する」と返答したが、いまだ団交は持たれていない。最近になると「海員組合と調整中」「検討しているが法律にも許容範囲がある」などという発言さえ出てきた。このまま全港湾の「申入れ」を無視し、何の是正もなされないのであれば、私たちは労基署に指導を求めるなどの対応もとる必要がある。
 この場合は、上記について過去の未払いの是正も求めざるを得ない。