土つくりと肥料
(その3)

土壌改良


 雨が多い日本の土壌は、石灰や苦土も流亡しやすく酸性になりがちです。酸性土壌になると、成育に有害なアルミナが活性化し、リンサンが吸着固定されて吸収しにくくなります。それに土壌が酸性化になると有用な微生物も住みにくくなります。
 酸性土壌を矯正する目的は、カルシュウム(石灰)やマグネシウム(苦土)の補給とともに、根が肥料分を吸収しやすいように根の回りを安定した環境に保つことです。


1.石灰資材による土の矯正
 作物には酸性を好む、ないしは酸性でも充分育つ作物も多くあります。ジャガイモはpHが高くなると肌がザラザラになり、ダイコンやカブも肌が真っ白になりません。スイカやサツマイモ、トウモロコシなども酸性に比較的強いのでよほどpHが低くない限り石灰を施す必要はありません。



 石灰を上手に施すコツは、酸性を嫌う作物と酸性に強い作物を順繰りに作り、石灰は酸性に弱い作物を作る前に施すことです。


例1)
(春)ジャガイモ → (秋)ホウレンソウ → (春)ダイコン
  (石灰なし)     (石灰散布)      (石灰なし)

例2)
(春)ホウレンソウ → (秋)ダイコン → (春)キャベツ
  (石灰散布)      (石灰なし)    (石灰散布)


 石灰資材やヨウリンと、チッソ分の多い堆肥やアンモニアを含んだチッソ肥料を、一緒に施すとチッソ分がガスになって抜けてしまいます。必ず個々に施しましょう。

a.生石灰、消石灰
 生石灰は石灰岩を焼いて粉にしたもので、強いアルカリ資材です。散布したらすぐに土とよく混ぜて必ず2週間以上空けて作付けする。量も苦土石灰よりも3〜4割少なく施す。
b.炭カル、苦土石灰
 炭カルは石灰岩を砕いて粉にした炭酸カルシュウムです。炭カルの仲間でドロマイトから作られた苦土石灰(炭酸苦土石灰)はマグネシウムを3.5%以上含んでいます。空気や水にあたっても変化しませんし、じっくりと効いてくるので根に障害を起こす心配がありません。ただ、反応が遅いので早めに施す必要があります。
c.貝化石,カキガラ
 貝の化石やカキガラを砕いたものや粉末にしたもので、じっくりと効き安心して使えます。粒の大きな程ゆっくり効果がでます。



2.アルカリ土壌になったら
 石灰資材を過剰に施し続けると、アルカリ土壌になってしまいます。特に雨が当たらないハウス栽培では、流亡がなく水分が逆に上昇し、塩分を地上に押し上げるため砂漠の土壌のようになってしまいます。
アルカリ土壌になると、カルシウムやマグネシウムなどの塩類が過剰になり、さらに土壌の肥料保持力が限界となるため、ちょっとの施肥量で肥やけやガス障害が発生します。
アルカリ土壌を矯正するには、硫安、塩安、硫加などの生理的酸性肥料を使ったり、中性を好むホウレンソウやコマツナを続けて栽培し、石灰分を吸収させて矯正します。

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