etcな技術

ここでは、一般論ではなく、私が今までにいろいろな雑誌や教本、及びコーチや上級者から聞いたアドバイス、自分で考えていることなんかを書いてみます。一般論じゃないので、納得できないこともあるかもしれないので参考まで(・・。タイトル横にある%は自信がどれくらいあるか、です。

 

 

● 準備は早めに(90%)

 テニススクールで初級者が中級クラスに上がったとき、最初に苦労するのは生徒さんどうしの球のスピードがかなり速くなることだと思います。球のスピードが速くても遅くても、ラケットの真ん中に当たればボールは飛んでいきますが、なぜか速いと真ん中に当たってくれません。その大部分の原因は、準備が遅いことにあります。準備が遅いと、目の前にボールが来たときに慌てて振る必要があるため、どうしても正確性がなくなります。ボールがネットを越す前にゆっくり振り始めて、目の前で微調整しながら当たる寸前で力を込めるようにすると、速い球でも余裕を持って打てるようになります。ラケットスピードを速くするより、5mmでもスイートスポットの近くに球を当てる方がよっぽど良い球を打つことができます。

なお、速い球に対しては、つい打ち負けないようにするため速くラケットを振ろうと考えてしまいますが、実はこれは大きな勘違いです。球が速ければ速いほど、面を作って真ん中に当てることに意識を集中させ、ゆっくりラケットを振りましょう。相手の球が速いほどラケットスピードは遅くても、真ん中にさえ当たれば勢い良く返ってくれます。

 

 

● 天に向かって打て(70%)

 プロのような高速スピンサーブを打ちたいと思っているプレイヤーは多いです。プロのスピンサーブは、ネット手前までフラットサーブのようなスピードで飛んで、サービスボックスで急激に落ちる動きをします。

スピンサーブを打つときのアドバイスとして、「こすりあげる」という表現でアドバイスをする人がいますが、習得しきれていないプレイヤーにとってこのアドバイスは、ボールをなでる動きにつながるため逆効果です。屋内のテニスコートであれば、「体を横向きで最後まで維持、コンチネンタルグリップのまま、天井にボールをぶつけるつもりで厚く当てる」、これを最初に実践すべきです。

次に、私が最終的に打てるようになったきっかけを書いておきます。それは、トスアップから打つ寸前まで体の重心を低くすることです。重心を低くするため、トスアップの前から左足の膝と足首を深めに曲げて、打つ瞬間まで曲げたままで打ちます(実際は打った瞬間は多少伸び上がっていると思います)。この手段がすべての人にとって良いとは思いませんが、個人的には打ち上げるラケット軌道とボールの下側を簡単にタッチすることにつながりました。

回転を掛けるつもりでスピンサーブを打つのではなく、天井に向かってフラットサーブを打つくらいのつもりで振り切ると上級スピンサーブが打てるようになります。

 

 

● 前で取るな(30%)

 テニスにはいろいろな表現でアドバイスをするコーチがいますが、全く逆のことを言っているようでもアドバイスしようとしていることは一緒のケースもあります。言葉はあくまでもイメージであって、本人にとってそれが良いイメージにつながるかどうかは受け取り方によると思います。

 さて、ボレーや片手バックハンドでよく「前で取れ」とアドバイスをしてくれるコーチがいると思います。実際に上手な人の打ち方を見ると確かに体の位置よりも前で取っているのですが、このアドバイスを受けて初級者の人は、顔の向きまで前を向いたままになってしまうケースがあります。顔の向きが前になると、打点に顔を残すことができなくなり、最悪フレームショートになったりスイートスポットにちゃんと当たらなかったりします。真横で打つのはダメですが、十分ひきつけて斜め前で打点をしっかり見て取るようにしましょう。

 

 

● オープンの罠(50%)

 近年のテニスはスピードがさらに増す傾向にあり、ストロークでもボレーでも準備完了までの時間が短いオープンスタンスが主流になりつつあります。しかし、初級者がオープンスタンスを真似るとおかしな癖がついてしまうので注意が必要です。オープンスタンスでは、下半身を開いた状態にするのは問題ありませんが、上半身まで開いた状態にしてしまうと腕だけでボールコントロールとパワーを与える、いわゆる「手打ち」となってしまいます。フォアハンドストロークは上半身のひねり戻しでパワーを出します。ボレーは肩を入れることでボールコントロールを行います。いずれも、上半身は少なくとも準備段階で一度閉じなければなりません。

 

 

● 練習× 学習○ (60%)

テニススクールやサークルに参加して練習をするとき、うまく打てたときには「自信が付く」ということ以外、実はあまり得るものはありません。それに対してミスをしたときにはいろいろ学べる材料があります。このときに、一歩立ち止まって頭で考えることが重要です。うまくいかなかったからと、ミスしたときと同じ体の使い方で繰り返し練習してもなかなか上手にはなりません。ミスをしたときは必ず何か原因があります。ボレーでボールが芯に当たらなかった→ラケットを固定して足で運ぼう、サーブで回転が掛からない→打ち切るまでボールを凝視しよう、など考えて練習してみましょう。

 

 

● ジャンプしますか?(30%)

プロのサーブを見ると、打つ瞬間ためを作った左足で地面を蹴り上げてジャンプしていることがほとんどで、地面に足をつけたまま打っていることはまずありません。ジャンプをして打つ理由は、「より高い位置でボールを捕らえること」「ラケット速度を上げること」などですが、サーブが安定しないうちからジャンプする打ち方とすると打点が不安定になることがあります。実際、あるコーチに話を聞いたところ、全身のバネを使ってサーブを打てているアマチュアプレイヤーはほんの一部らしいです。地に足をつけた安定した状態で打つと、ラケットの真ん中にボールを当てることやボールタッチする位置を正確にすることに対する集中力が上がります。一度試してみてはいかがでしょうか?

 

 

● サーブとピッチャーの投球(50%)

 サーブを初めて教わるときによく受けるアドバイスに「ピッチャーの投球と同じフォーム」というものがあります。このアドバイスは肩の使い方に関してはそのとおりといえますが、手首の動きと顔の向きについては全く当てはまらないので注意する必要があります。

 まず手首の動きです。ピッチャーがボールを投げるときに主に使う関節は肩と肘です。手首はボールを握っていますので、スナップを掛けてボールに下回転を掛ける動きは行いますが、直接ボールにスピードを乗せる役割としてはそれほど大きなものではありません。それに対して、ラケットでボールを打つ場合は、肩・肘・手首の3箇所の関節を使ってラケットを加速させます。手首の関節をうまく利用するためにコンチネンタルグリップにするわけですが、そのときの手首の動きはピッチャーのスナップの動きではなく、うちわを握って扇ぐ動きをします。

 次に顔の向きです。ピッチャーは自分の手でボールを持っていますので、投げる前から投げ終わるまでキャッチャーミット(目標)を見続けていればいいわけです。しかし、ラケットでボールを打つ場合はラケットの真ん中にボールを当てる必要があるので、目標ではなくボールを見続ける必要があります。これは言葉で言うよりも意外と難しいです。サーブを打つ場合、ボールの行方が気になりますので、ボールに当たる寸前に、つい反射的に目標に顔が向いてしまうものです。ここで意識をしてボールを見続けると、しっかりした打点でボールを捕らえることができるようになります。この一瞬の顔の向きが良いサーブとなるかどうかを決定することがあります打点に顔を残しましょう

 

 

● うまいダブルスとは?(70%)

 ダブルスはシングルスにない判断をしなければならないときがあります。シングルスの場合、自分のコートに飛んできたボールは他に拾ってくれる人はいませんので、すべて自分で取りに行かなければなりません。それに対してダブルスの場合、「自分で取るかペアに任せるか」の判断が必要になります。ダブルスの試合のセンターセオリーというのは、相手が判断に迷うことを狙ったものでもあります。

 さて、よく雑誌などにある技術指導には、「OKおじさんにならないようにしましょう」というものがあります。これは、ペアに任せず自分が届く範囲であれば全部自分で打ってしまう人に対する注意です。このパターンはペアが楽しくありませんので、試合の勝敗だけでなく人間関係を考えても一番問題となるケースだと思います。

 しかし、私が以前よく指摘されたのはこの全く逆のパターンで、「自分が取れる範囲でも危険だと思ったら手を引っ込めてしまう」という癖です。要は自信がないんですよね(-_-ゞ。どちらが取っても容易に決められるパターンではなく、どちらが取っても厳しい球は積極的に自分から取りに行きましょう。特にミックスダブルスの男性プレイヤーに対して必要なアドバイスです。「カッコいいところを見せよう」くらいの心構えでゲームに臨んでください。

 

 

● リターンの極意(30%)

 以前練習試合をしていたときに、初めて対戦した女性上級プレイヤーがベースラインよりもかなり前(11.5m)で構えたのに少し驚いたことがあります。私のサーブは一度も受けたことがないのに、ファーストサーブから前進して構えたため「なめられてるのかな?」と思ったのですが、対戦しているうちに「これはもしかしたらダブルスの必勝法かも…」と思うようになりました。

 ダブルスは言うまでもなくネットを取って先に平行陣になったほうが圧倒的に有利です。そのため、前進してかまえればそれだけ早くネットを取ることができます。他にも優位なことがあります。前に構えることでリターンが早く返ってくるため相手前衛が出にくくなること、及び軽くリターンしてもネットを越えること、などいいことずくめです。

でも、、、致命的なデメリットがありますよね。それは、サーブが速かったら反応できないことです。しかし、実際に速いサーブを前で構えて受けてみると、ベースラインよりも後ろで構えた場合に比べてそんなに違いがないことに気が付きます。さらに、前に構えれば守備範囲が狭くなります。特に大きく切れていくスライスは受けやすくなります。また、強烈なスピンを打ってきても、跳ね上がる前に取ることで脅威に感じなくなるかもしれません。

対戦相手にもよりますが、160km/hを超えるような強力なサーブやきわどいコースを狙えるサーブを持つ相手でなければ、かなり効果的な戦術だと思います。

 

 

● ボレーかショートバウンドか?(90%)

 並行陣になったときに、その相手は頭を越すロブを上げるか、ネットすれすれの低い球を打つかを考えます。ネットすれすれの緩い球が来たときは、通常は決めるのではなくつなぎをしなければなりません。このとき、ダイレクトにボレーをするかショートバウンドで返すかの選択ができる球がくることがあります。選択ができる倍、ラケットが届く範囲であればダイレクトにボレーで返すようにしましょう。ショートバウンドにすると返すまでの時間がコンマ数秒遅れることになります。

どのようなショットでも基本的に自分が一番打ちやすい方法で打つべきですが、ダイレクトボレーとショートバウンドでは中級程度の人ならどちらでも打ちやすさはそれほど変わらないと思います。その場合は、相手に準備するための余分な時間を与えないようにすることを考えるようにしましょう。

 

 

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