あとがきのようなもの

 

こんなところまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

まあこんなところまで読むひとがいるとは思えませんが、もしそうならあなたは

自分の世界をしっかり持ってるが故に、少し世間からズレていて

変人あつかいされているか、今の世の中では満足はしていない

想像力に長けた方だと思います。

そういう人がこういうページを見つけたりするからです。

 

インドってどんな国?

そんなのわからないし、コレだ!なんて説明できないし、答えなんてないと思う。

ただぼくはちょっとだけ自分のことがわかった。それでじゅうぶんだし、それでいいと思ってる。

 

日本に帰った時、すごく無味乾燥な 人々の表情 におどろいた。

何よりも空港(関空)の職員はみな中国人だと思ってしまった。

今考えるとそんなわけないんだけど、そのときは本気でそう思った。

そして関空内を歩いている人々もみんな中国人だと。

自分でもなぜそんな風に思うんだろうとちょっとあせった。

それほどインドは濃い国だったんだろうか。

 

それから持ち物チェックの対応にひどくイヤラシサを感じた。

それは 

「もちろん麻薬なんてもってないですよね〜」と笑顔なんだけど

必至でリュックの中を探してて、何て言ったらいいのか、

「お前実は持ってるんだろ?」というタテマエと本音が見えたからだ。

 

旅してたあいだ(外国)は、チェックは本音しかなかったから。

はじめからそれを調べるのが目的なんだから

作り笑顔なんてあるわけがないし、それが自然だ。あきらかに日本のは不自然だった。

べつにそれがイケナイなんて言わないけど、すごく不自然に思えて違和感があった。

ひとことで言うとイヤラシかった。

 

だけど、はじめに日本で食った「杵や」のうどんは最高だった。

こんな純粋で繊細な味は、日本人しか絶対作れないだろうと。

汁のひとくちのなかにいろんな味が隠されていて、絶妙のハーモニーを奏でていた。

すこし涙がでた。

横でスーツ姿のサラリーマンが カッ食らっていた。

 

しばらくは日本の雰囲気になじめなかった。信号はみんなキチンと守るし(あたりまえだけど)

整然として歩いているし、車もクラクションなど使わないし(インドはクラクション鳴らしっぱなし)

他の生き物とも干渉せず共存もせず、人間同士までも。

 

いや、なんだか批判めいて聞こえるから言葉ってむつかしいけど、ぼくは批判していない。

思ったことをありのまま言ってるだけだ。批判に聞こえるのなら後ろめたいものがあるからだと思う。

ぼくは、貧しいが他の生命を尊重し、共生共存してるインドの国はすばらしいと思った。

どこへいっても人間と他の動物が共存してた。

いろんなところで「犬のためにだよ」 「鳥のためだよ」 というセリフを聞いたし、

動物にたいする人間のやさしさが知恵となって表現されていた。

町中にサルや牛がいて、あたりまえと思ってるようだった。

動物と人間が対等だった。

もちろん店のものを食ったりしてシバかれてる牛もいたけど。

 

ただインドのほうがすばらしいなんて微塵も思ってない。インドには大きな問題がたくさんある。

まずカースト制度。これがあるかぎり何も始まらない。これだけはインドの文化だから、などと

テキト―にははぐらかせない人間の尊厳に関わる非常に重要な問題だ。

ずっと目のあたりにしてきて本当に嫌になった。

イスラム圏内では女性は本当に奴隷のようだった。

ぼくが女性の仕事の手伝いをしてあげると「なぜそんなことするんだ?」と理解できないようだった。

だいたいそれをみて手伝ったくれた男性は身分が低いとされてる人だった。

それと宗教問題。これは言うまでもない。戦争はほとんど宗教問題だからだ。

宗教が役に立ってない理由は、「自分のところが一番だ。」と思ってるからだ。

自分のところが優れているのではなく、ひとつの方法にすぎない。と

そう思えなけりゃいつまでも戦争することになる。

 

それにインドでは、変に資本主義が浸透してて騙しあいゲームが当然のように行われていた。

 

みんなの役に立つ文化は尊重したい。

だけどみんなの役に立たない文化は、どこかで歪みが起きる。

「適者生存」は、役に立つのだろうか?

 

ぼくはインドを旅行してた頃はヘビースモーカーだった。ひっきりなしにタバコに火をつけてた。

旅行記には載せなかったが、もちろんマリファナもやった。

正直いって、なぜ非合法なのかわからなかった。たしかに少しきつい。すこしくらくらする。

それはしかし きついタバコなどいくらでもある。

なぜタバコは合法なのか?

おかしい。これはやっぱりおかしい。

企業がらみの政治がらみのマネーゲームが絡んでる。あたまの悪いぼくでもわかる。

マリファナを吸って、鬼の首をとったかのように社会的に抹殺されようとする人たちが

なぜ赤ん坊の目の前で堂々とタバコを吸う人たちと違いがあるのか?

タバコのほうが中毒要素もニコチンも多いし。

タバコは実は本当に体に悪いのだ。

タバコの実態をしって、いかにいろんな洗脳に左右されていたかを知った時、ぼくはタバコをやめる

決意をした。もう振り回されたくはないからだ。ヤツラのいいなりになって税金払ってるんだからと

都合のいい言い訳で騙されたくないからだ。そして10年以上吸いつづけたタバコをやめた。

タバコを吸うことがカッコイイなんてまで思ってた。

 

大麻からは紙も、じょうぶな布も作れると聞いた事がある。

それなら世界でおこってる樹木の伐採問題も木を切らなくて済むじゃないか。

ただ人間がそこまで成長してるかどうか。

世の中は上手く出来ていて、便利なものは二通りの使い道がある。

ひとつは自らにとって、みんなにとってすごく役立つ方法。

もうひとつは自らも、みんなも破滅させる方法。

原子力にしろ何にしろ、歴史が証明している。

 

英語はしゃべれたほうが絶対によい。

ぼくのように世界各国旅してやろうと思ってる人なら間違いなくしゃべれたほうがいい。

日常会話じゃ、深い人間同士の話なんて出来ないから。

ただインド人はyourを「ヨル」、neverを「ネヴェル」、winterを「ウィンテル」と

Rをそのまま発音するから慣れるまでに時間がかかった。

「ミネワタル ミネ ワタル!」とうるさいから何のことかと思ってたら、mineral waterのことだった。

まあそのうち言語変換機なんて出来るだろうし、、、。でも当分は無理かな?

 

 

バラナシにいた頃、前田さんとインターネット屋さんに入った。

ほとんどが欧米の人たちだった。10分もしないうちに前田さんが、

「日本にいる彼女から写真の画像が送られてくるんだ」

といったので、アメリカ人やみんなでワイワイいいながら楽しみに待っていた。

ダウンロードにずいぶん時間がかかり、これはデッカイ画像だぞ!とみんなで想像してた。

なかでもワイルドなアメリカ人は「どんな写真なんだろうな?この幸せ者めが!」とひやかしていた。

15分くらい経った頃に「もうすぐ届く!」というのでみんなが画面にくぎづけになった。

届いた写真は2X2cmくらいの証明写真のような小さな小さな画像だった。

かろうじてピースサインをしてた気がする。

「・・・・・・・・・・。」

その場の一同はア然とし、誰もひとこともしゃべれなかった。

ただワイルドなアメリカ人は前田さんの肩をたたき、

「よかったな兄弟。」 と言った。

 

実はこのとき携帯電話で写真が撮れるようになった!ということで送ってきてたらしい。

 

 

一人旅に出て本当によかった。

本当はすごく怖かった(インドに行く事が)。だけどいろいろな出来事がボクの背中を押してくれた。

もしこれを読んだひとが、ボクと同じ決意をするなら必ずその現象を体験するだろう。必ず。

不思議な偶然の一致のようなものが身のまわりでおこるから。

インドは「行く」のではなく「呼ばれる」のだそうだ。

ぼくはそうは思ってないが、あながち否定はできない。

もちろんボクはインドなんて興味なかったし、テキト―にインドに決めた。

だけど今思うと、何年も前から運命にジャブを打たれていたことに気付く。

そしてあなたも今ここでジャブを打たれていることに気付いたなら、すごい。

 

もともと3ページくらいで終わらせるつもりだったので

(こんなに長くなっちゃったけど)

はじめのほうは、全く要約に過ぎない程度のページ内容になってしまった。

だってはじめのデリーからカシミールなどはもっともっと濃い内容だったもん。

しょうじきカシミールなどは全く表現できていない。

一番印象深いし、実は一番写真も多い。

なんたってインドとパキスタンの緊張した国境で、イスラムの家族と一週間すごしたのだから。

それがどんなに濃い内容だったか!

長々となってしまったけど、

 

最後に

インドの旅行記なんかに興味を持たれた方にオススメの本を紹介します。

 

「インドでわしも考えた」 椎名誠

「河童がのぞいたインド」 妹尾河童

「深夜特急」 沢木耕太郎

「上海の西、デリーの東」 基樹文生

 「旅で眠りたい」 蔵前仁一

 

2002年 8月16日 五山送り火より  

 

 

 

もう少し