ある日、七梨家にひとつの小包が届くところから物語は始まる…
太助「なんだ、また親父からか。今度は何だ?」
おそるおそる太助が封を切ると、中から手紙と箱が出てきた。とりあえず手紙を読むことにする太助。
太助「えーっと、なになに…」
手紙の内容はこうだった。
ニーハオ、太助! 父さんはまだ中国の奥地を旅している。やはり中国は奥が深い。
そういえば、この前地元の少年と・・・(内容がくだらないので省略させていただきます)
…ところで箱は開けてみたか? 別に変な物は入ってないから安心しろ。中身は魔法のクッキーだ。
なんでも純粋な心を持つものが願いを唱えながら食べるとその願いがかなうらしい。
父さんも試してみたが無理だった。やっぱり父さんは汚れているようだ。
太助、お前なら願いをかなえることができるかもしれないぞ……
そこまで読んだ太助は手紙を放り出して箱を開けた。中にはおいしそうなクッキーが入っている。
太助(願いがかなう?もしかしたらシャオと…なんてことになるかも!?)
太助は早速クッキーを食べようとして、ふと手紙に目を落とした。慌てていて、続きを読んでいなかったのだ。
なお、このクッキーの……
太助は突然覚めた目になった。
太助「なんだ。これじゃ意味ないじゃん。バカらしい」
そう言って太助は手紙をゴミ箱に捨てた。クッキーの箱を閉めようとしていると、
シャオ「太助様、一緒にお買い物に行きませんか?」
太助「ああ、行く行く」
シャオが呼びに来たので、太助はクッキーの箱を開けたままそそくさと部屋を出た。
シャオ「じゃあ離珠、お留守番お願いね」
離珠『はいでし』
太助&シャオ「いってきまーす」
離珠『いってらっしゃいでし』
一人になった離珠はリビングに入った。そこには太助が開けたままにしておいたクッキーの箱があった。
離珠『わ〜っ、おいしそうなクッキーでし! 食べてもいいんでしかねえ…ひとつくらいならいいでしよね?』
そう言って離珠は自分の体ほどもあるクッキーをひとつ取り出した。一口かじってみる。
離珠『おいしいでし! これなら何口でも食べれるでしよ』
そう言って離珠はクッキーを食べ始めた。
離珠『ホントにおいしいでし。でもこの体じゃ食べにくいでし。もし離珠が太助しゃまやシャオしゃまぐらいの大きさだったらもっとシャオしゃまの役に立てるのに…』
主思いの離珠は、何とかして太助やシャオの役に立とうとしてきたのだが、その大きさゆえできないことも多く、自分は役に立たないのではないかとも思い始めていた。
時間をかけてクッキーを食べ終わった離珠は、何かおかしいことに気づいた。