クラッチ交換
2004/10/03

 以前より、クラッチの繋がりに違和感を感じていました。どうも、クラッチを切って、次に繋ぐ時にワンテンポ遅れて繋がるような感じがしていました。それと、FZRを買った最初の頃は物凄くジャダーっていうか、半クラでガチャガチャ言う事があったので、それもず〜〜と気になっていました。
 、で、最近エアツールとかも揃ったし、いっちょばらして調べてみようって思っていたのですが、いっそ開けるなら、ガスケットとかも交換になるし、最初はスプリング交換とハウジングの段付きがあれば、それを修正しようと考えました。


 で、スプリングだけの交換なら部品代で2000円も有ればできるのですが、以前から気になっていた、クラッチ周りの軽量化も・・・って考え出し、とりあえずゼットで揃えられるので、クラッチプレートが軽いのを探してみました。すると、有るにはあるのですが・・・バーネットのクラッチプレートがアルミ製の物。まず値段でビックリ!定価39000円(☆o☆)しかもサーキット専用って設定になってます(^^;かなり悩みましたが、多少割引も有るし、サーキット用で多少耐久性が悪くても、2万キロ位は十分使えるようなので・・・買っちゃいました(^^;

○ 3GM−89のクラッチについて
 89−91年式位までの3GMでは、8枚のプレートのセンターにセンタースプリングが入っています。私が調べた限りでは93年式以降のにはコレは入っていません・。また、センタースプリングのあるタイプでは、フリクションプレートは計3種類ありますが、センタースプリングの無いのでは2種類になっています(こっちの方が、摩擦面の面積が広い)。更に4SVになると、2種類になっています。また、94年式以降はクラッチボスの型番が4BHで始まる番号に変っています。これは、オイルの通路(穴)が増えていて、恐らくクラッチの熱対策のような気がします(っていうか、海外のサイトで以前見た事があるような・・・)。
 ちなみに、現在このボスを注文すると、4BHのパーツ(更に改良2回品)が送られてくるようです。(次回は交換します!)

  89-92 93-95 YZF1000R
31A-16321-00 31A-16321-00 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  5Y1-16331-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
センタースプリング 5Y1-16383-00    
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
  4H7-16321-01 4H7-16321-01 4H7-16321-02
  31A-16325-00 31A-16325-00 31A-16325-00
手前 3GM-16321-00 3GM-16321-00 3GM-16321-00

各年式のクラッチ構成の違い。ボスとハウジングが共通なんで、どの組み合わせでもいけそうですが・・・

○不具合の原因を探る・・・
 まず、私が感じた不具合の原因を調べないといけませんが、ばらして調べたところ、一つはクラッチスプリング、サービスマニュアルによると使用限界値を8mmも下回っていました(^^; ホンマやろか(汗)


使用限界の以下になってしまったノーマルスプリングと強化スプリング。
使用限界54mmに対して、計測値は46mm・・・コリャダメや(-_-;
バーネットのスプリングは計測値で57mmです。

 クラッチボスとハウジングには走行距離相応の段付ができてましたが、ボスは、センタースプリングの爪の位置がエライ削れていました(交換したい位・・・)。それと、やはりクラッチキャリパーです。前回シール交換より2万キロ近く走っているので、そろそろかなぁ。とは思ってましたが、オイルダダ漏れ状態です。それ以外のフリクションプレートとクラッチプレートは、殆ど新品に近い状態でした。とりあえず、ハウジングとボスはリューターを使って段付きを丹念に修正し、動きが良いように研磨までしておきました。


左はスペアエンジンの元の状態。私のFZRのは、これほどではありませんでしたが、そこそこ段差はできてました。
ただ、この程度では問題になるレベルではないと思いますが・・・せっかくなので、リューターで削って、面を整えておきました。
さらに、研磨剤+バフがけもして鏡面になっていますが・・・ここまでやることは無いです(^^;
もちろんボス側の溝も同様に研磨しておきました。

 ○ バーネット軽量クラッチ+強化スプリングセット
 とにかく軽いです!ストックに比べて、クラッチプレートがアルミでできているので クラッチの回転体としての重量で、30〜40%もの軽量化が可能になります。これは相当な軽量化で、400g近い軽量化ができ、しかもその部分は、クランクの一次減速の直後なんで、最大7000回転近いスピードで回っている物の重量を40%も軽量化するわけで、これはホイルとかだとそれこそ10kgとかの軽量化になると思います。
  脱線しますが、物体を回す時、その慣性モーメント(質量)により、回しやすいか回しにくいかが決まります。回転運動で無い場合は、これを慣性重量と言うのですが、この慣性モーメント(質量)が大きくなれば、回しにくくなり同時に止まりにくく、小さければ、回しやすく止まりやすくなるのです。ですから、クラッチを回すエンジンからしてみると、回しやすくなる=パワーのロスが減る=実馬力が見かけ上大きくなるんです。また、軽くなった事で、止まりやすくなる=レスポンスアップも望め、何一つ悪い事は無いはずですま、とにかく高速回転する物体が軽くなればその恩恵は、単純な軽量化に比べて何倍も軽量化したのと同じ事になるので、実は以前よりずっとやってみたかったのです(^^;。

 バーネットのクラッチは、色々ネットで調べてみた所、なかなか良さそうなインプレが多いのですが・・・どうも、「ニュートラルが出にくい」、「クラッチ操作激重」、「プレートの仕上げが悪い」等とネガティブな意見も・・・おそらく、プレートのバリとニュートラルが出にくいってのは相関があるように思えるんで、とりあえず届いたプレートを見てみると・・・プレスした返しのバリがチョリチョリしてます(-_-;プレートを合わせて擦らせると、相当バリが出てるようです(-_-;
 ま、ここで慌ててもしゃ〜ないので、全て面取りをしてやる事にしました。写真でも分かるように、このギザギザの全てを軽くヤスリで当たって、バリを取ります。この写真のプレートが8枚です!むちゃ面倒ですが、これでかなり操作感が良くなるはず・・・と妄想モードで(^^;
 それにしても、ムチャクチャ軽いです!この軽さが欲しかった♪


これがバーネットのアルミのクラッチプレートです。若干バリが有るので、ヤスリで面取りしておきました。
バーネットのクラッチでニュートラルが入りにくいと言われますが、このバリが問題なのかも・・・。

 


左がノーマルで右がバーネット。
ノーマルは鉄製でバーネットはアルミの表面を強化処理した物らしい・・・ノーマルに比べて相当軽いです。
ちなみに、ノーマルの表面には張り付き防止のディンプルのような加工がしてありますが、バーネットにはありません。

 ○ 交換作業をする
 基本的にスプリングの交換やプレート類の交換では特殊な工具は要らないと思います。まず、バイクをサイドスタンドで立てます。私はこの前に、オイルを1L分だけ抜いておきました(多分抜いておかなくても大丈夫だと思います)。クラッチ側のケースカバーを外して、プレッシャープレートの6本のネジを外せば簡単に交換できます。気を付けないといけないのは、(基本ですが・・・)クランクケースカバーのネジも、プレッシャープレートの6本のネジも必ず対角に緩めると言う事とと、カバーにはクランクケース側からパイプが来ていますので、出来るだけまっすぐ手前に引き出す感じで外すこと位かな・・・。それと、ガスケットは完璧にはがさないとダメですが、間違ってもガスケットリムーバーはダメです!私は要領かまして、リムーバー使ったので塗装がボロボロになり、結局バフがけするはめになった・・・(-_-;新しいフリクションプレートは、作業に入る前にオイルに浸しておかないとあきません。私は先に抜いたオイルに浸しておきました。マニュアルには15分程度漬けておくとありますが、作業に入る前に漬けておけば軽く1時間近く漬けておく事になります(^^;



フリクションプレートは、オイルになじませておかないとあきません。

 センターのボルトの部分に付いている、パーツを引き抜いて、クラッチキャリパ側からロッドを押すとボールが出てきますので、無くさないように。このボスを外すのには、ジーザスホルダ(クラッチホルダ)が無いと作業できません。ま、コレさえあれば、後は力任せにセンターナットを外せば良いです。私はインパクトで外しましたが・・・(^^;
 おっと、その前にナットにはロックワッシャがかかっているので、マイナスドライバーとかでロックを解除しないとナットは外せません。


作業中の一コマ・・私の指の所に有るリングが古さの証(^^;
93年式以降の3GMには付いてません。今回バーネットのキットを93年式以降のにしたので、このリングは撤去しました。
多分問題無いと思うけど・・・どうなんやろ(^^;

 ナットを外せば、ボスはそのまま外せますが、ハウジングは、シャフトの周りのカラーを外さないとケースに当たって手前には引き出せないようになっていますので、そのカラーの穴に5mmのボルトをねじ込んで、引き抜きます。


サービスマニュアルの指示の通り5mmのボルトをねじ込んで、カラーを外します。このカラーとハウジングの間には
でかいベアリングが入っています。カラーさえ抜ければ、ハウジングは簡単に外せます。
(この写真は、修整した後のハウジングです!)

 組み付けは、バラシの反対をするだけですが、センターナットのロックワッシャーはかなり取り付けにくいのと、ちなみにセンターナットの締め付けトルクは70N/m(^^; こっちは思いっきりです(^^;プレート類は、一番奥と一番手前、それ以外のフリクションプレートって具合に物が違うので間違えないように。それと、必ず打ち抜きのバリの有る(有った)面を奥側に組むようにします。最後にプレッシャープレートを取り付けますが、プレッシャープレートのボルトの締め付けトルクは思った以上に軽い(プラスドライバーで思いっきり占めこむ程度)なんで、締め過ぎに注意。

 組み付けが終り、カバーを閉める前にバイクを押しながらニュートラルからクラッチを握って1速に入れ、そのまま動かしながらクラッチを離すと、押せなくなれば、一応動作はしているはずです。・・・で、ここで私はいつもとの違いに気付きました!
  普通ニュートラルからクラッチを握りながら、1速に入れるといくらクラッチを握っていても、かなり重くなるもんですが、はっきり言って、全くニュートラルと変りません・・・ムチャ軽いです(^^;もちろん、クラッチを離せばちゃんと繋がるのですが・・・なんで?そこで、リアスタンドをかけて、1速に入れて、クラッチを握った状態で、手(足)でリアホイールを回してみます・・・軽く回せる・・・これはありえん(-_-;仕方が無いので、一度プレッシャープレートを外して、再度プレートを組みなおして、試してみる事に・・・か、変らん(^^; もう考えていてわからんので、取り合えずカバーを閉めて、試走してみる事としました。カバーを取り付ける時は、ケース側から来ているパイプにOリングがちゃんと入っている事と、合わせ面にゴミや、前のガスケットの貸すが無い事を十分確認して取り付けます。私は少しオイルを抜いていたので、抜いた量と同じだけ新しいオイルを足して完成です!(実際は、カウルの取り付けや、クラッチリレーズの取り付けなんかもやるのですが・・・)

 ・・・で、さっき気になった、やたらギアを入れた状態で、クラッチを握った時の感じが気になるのですが、取り合えずエンジンをかけて、暖気をして走って確認をすることにしました。暖気も終り、バイクにまたがって、クラッチを握って1速に入れるといういつもの操作をすると・・・「コツッ」・・・・え゛〜っ何じゃコリャ!普通クラッチを握って、1速に入れると、「ガシャッ」って音と、それなりのショックが有るものですが、殆どショックがありません(ヲイ 内心「何か間違ったかなぁ・・・滑りそうやなぁ」と嫌な予感を感じつつ、ゆっくりクラッチを繋げると、ちゃんと走ります!まだ、プレートとかにアタリも付いていないのでムチャは出来ないのですが、リアブレーキを踏んで、エンジンの回転数を4000回転にして、ゆっくり繋いでいきます・・・当たり前ですがちゃんとエンストします(^^; 「もしかして、このクラッチってこんなもんなん?」てな感じで、近所を軽く試走てみました。

 まず感じる事は、バイクが少し軽くなったか、エンジンのパワーが少し大きくなったかのように回転が軽く上がります。信号待ちで、ブリッピングしてみると、レスポンスがよく、回転の落ちは確実に早くなっています♪この辺りを確認して、10分ほど軽く走って、いつもの峠道+直線に行って、少しペースを上げて走ってみると・・・コリャイイ(≧∇≦)b とにかくエンジンが軽く回っている感じで、明らかに加速が良くなっているようです!この感覚でバイクが軽くなったかのように感じます。ただ、これまで5速ギアで2000回転以下でもそれなりに加速できましたが、これは若干ですが、ギクシャクする感じです。この辺りは極低回転のトルクが細ったかのように感じる所です。恐らく軽くなった事で慣性モーメントが小さくなり低回転での粘りが減ったのだと思います。また、今回強化スプリングも入れていますが、確かに若干操作が重くなったように思いますが、殆ど気にならないレベルだと思います。・・・で、滑りですが全く問題無いようです♪その後、1速で思いっきり引っ張っても全く滑りは出なかったので、このクラッチはこんなもんなんだと思います。ま、どちらかと言えば好ましい方向なんで◎
 高いお金を出しただけの事は有る!って自信をもって言えるチューニングです

 どうも作業の最後の方になると写真を撮るのを忘れるんだなぁ・・・(^^;


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