こぶしの村

わら葺き屋根補修キャンプ

日程 2001年7月21〜22日 メンバー 尼崎山の会ほか 形式 一泊二食の自費ボランティア

先日、兵庫県勤労者山岳会主催のコブシの村・補修キャンプに行って来ました

兵庫県のほぼ中央部の千町ヶ峰(1141m)の登山口に位置するコブシの村キャンプ場は縁があって私たち尼崎山の会や兵庫県勤労者山岳連盟がおりにつけ利用させて貰っている処です

私設の無料キャンプ場なのですが、自称・村長さんとその奥さんやお仲間たちが千町の町はずれ、川向こうの谷間に一つまた一つと作り上げてきた手製のバンガロー群です
深い谷間の設備ということもあって豊富な水と引き替えに猛烈な湿気のせいで、各設備の痛みがひどくなったことから補修工事をする事になりました

コブシの村・メインロッジ

今回の修復目標は炭焼き釜の作業場兼バーベキュー小屋で、屋根は藁葺きです

とはいってもすでにズレだして隙間があいている状態、補充のわらが手配出来ていないそうですが、かなり分厚くわらが敷き詰められていますので薄くすればなんとか格好だけは修復出来るでしょう「軽い軽い、半日仕事やでぇ」

目的のみじめな小屋です

そういう判断で、前夜はせっかくだからこの建物での海鮮焼き肉大会です。
今回は各山岳会のベテラン会員ばかりだし、明日は山行が無いからとみんなの良く飲むこと
一人「飲まん兵衛」の秦はコップ一杯のビールをなめなめ、ほろ苦さを楽しんでいました

何気なく天井を眺めるとわらぶき屋根にしては縄も見えず、やけにスッキリした天井です。しろうとの工事だからわら束の上から長い釘で強引に押さえつけているのかなと理解しました

久しぶりの雨が降ってきたのでそうそうに解散、沢のせせらぎに包まれて眠りにつきました

さて夕べの雨で妙に涼しい朝、各自の得意技に合わせて配置を決め作業開始です。

「こんなわらぶき屋根には必ずヘビが住み着いてるから気ぃつけやぁ」と田舎育ちさんの声におっかなびっくり、遠巻きに屋根を覆ったビニールシートのひもを外しに掛かりました

するといきなりずるずるっと全部のわら束が滑り落ちてきたのでびっくり、全く縄も釘も効いていなかったようです。ヘビの話が無かったら腐りわらで生き埋めになるところでした。

案の定2m近い黒ヘビやらかわいいアオダイショウやらが続々出てきて大の男が大声をあげては飛んで逃げます、やっぱり建物から出てくるヘビは気持ち悪いですねぇ、毒も無いのにとたしなめあっていました。結局見かけただけで大小併せて4匹も出てきました、「また後で戻っといで」

今回は、左官屋さん・タイル屋さん・溶接屋さん・そして電気工事屋さんと建築には小うるさいメンバーがそろっているし、日常的に息のあったところが自慢の山男たちなのでにぎやかながらもてきぱきと作業が進みました。

建物の作りもいい加減でY型の柱に梁を載せただけだったり、せっかくの筋交いも柱の横ににくくりつけているだけと、あきれかえる普請でした。チェーンソーで切り込みを入れて突っ張り型の筋交いを追加し、柱にからめてあるだけの倒れ止めのワイヤーもクリップでしっかりと固定しました。

藁を落とし、選別します
骨組みの傾きを直す
筋交いを入れました

傍らでは、ぼろぼろのわら束を長さや束の大きさで分別し、あるいはほどきなおして同じ太さの束になおしていきます。はじっこをきちんと叩いてあるいは切りそろえて長さ別に積み上げていきます

ようやぐらつきの無くなった屋根に登り、屋根葺きの開始です乾燥しきっているのでぼろぼろで埃もすごい
暑くなってきたので汗にくっついてきて体もシャツも、もうどろどろです
あまりの汚れ方に、もう昼飯抜きでやってしまおうかと、赤シャツの頭領がハッパをかけます

初めての藁葺きだけど、5月ごろNHKで白川郷の吹き替え工事の様子を放映していたのを思い出しました。まさか自分が藁葺き仕事に加わるなんて思いもしなかったけど、真剣に見ていたので懸命に振り返っては手順を真似て作業します。

おっかなびっくり藁を乗せる

ほいほいほいとわらを積んでは縄で巻き絞める、2mづつに切ったビニール縄をその都度繋いでは巻き締めていきます。
絞めすぎて折れる束が有ったり、穂先がなくなって束が短くなってしまい、下地の都合もあってきちんとした場所に取り付けられなかったりと結構いろんな問題点もあって難しい作業です

てっぺんでは長めのわら束を使い、への字に折り曲げて押さえつけました。天井裏の下地が込み合っているところなので締め付けの方で苦労したようでした
軒先や重なり部分の仕舞いなど満足できない部分も有るのですが、どうにか格好が付いてきました

後半は、いいわらが無くなってきたので凹凸も激しいし雨漏りにも自信は無いですが上からビニールシートを掛けて雰囲気だけを残すことにして、ようやく作業終了

その後、山のわき水で顔を洗い火照った体を冷やしてすっきりしました、これも山の喜びですね

村長さんが大きなスイカを割ってくれましたメインの会場が朽ちてきたので心苦しかったのでしょう、大変喜んでくれました

2001年7月  秦 宗時

すっきり組み上がりました