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2003/04/04追加

伐出の方法と費用
このページは、樹木の伐出方法と費用についての説明とデータを記載します。間伐材の伐出費もここで説明しています。
伐出方法伐出方法別径級別直接作業費用丸太伐出に伴うバイオマス集積速度間伐伐出作業の直接作業費

ティンバージャックのバイオマス収穫機械
フィンランドのチンバージャックのWebに小径木生産やバイオマス生産に適した製品の紹介があります。商品の紹介なので多少忸怩たるものを感じますが、敢えて、和訳してここに掲載します。
森林エネルギー技術 Timberjack


再生エネルギー利用を経済的に実行するための解決法



持続的育林とバイオマス収穫のための機械化手段
森林エネルギー源
l 若令林の除間伐材
l 再造林の際の地拵え
l 送電線や道路沿いの伐開材
l エネルギー林
除間伐のような育林過程からバイオマスが得られるが、これらはエネルギー源として利用できる。
このような再生可能でクリーンなエネルギー用生材料が、道路端や送電線の伐開によっても得られる。近代的な技術が、この価値あるバイオマスを、効果的、経済的、かつ環境的に有利な形で、利用可能なものにすることができる。

若令林育林作業の機械化手段
チンバージャックは、若令で過密な森林を整備回復させるための新しい機械を開発した。この方法は、複数機能の複数木ハーベスタヘッド720を用いたもので、除伐された木を早く、効果的に集めることができる。個々の木はナイフで伐られる。このハーベスタヘッドは1度に1−10本の木を自動的に集める。この木の束は、適当な場所に積んでおく。
この理想的なベースマシーンはチンバージャック770ハーベスタか、または、他の間伐用小型ハーベスタである。

双目的機械
パルプ材収穫用ハーベスタヘッドを持つチンバージャック770ハーベスタをエネルギー木材収穫用ヘッドに取り替えて使うことも可能である。これが機械の有用性を拡大することになり、機械投資の収益性を改善する。

エネルギー林
将来には、従来の薪炭林、近代的にエネルギー用林と言われるものからのバイオマス生産が、大きく成長するであろうと考えられる。新しいバイオエネルギー収穫法は、これらの生産を経済的に競争可能なものにすると同時に、持続的生産を可能にする。チンバージャックは、エネルギー林の収穫と再造林用の技術開発,を行っている。

産業用木材の収穫地では、収穫用材量の35−45%に相当する実材積量のバイオマスが残されている。これらの伐採残材は、クリーンなエネルギー源であり、チンバージャックによって開発された新しい技術によって効果的かつ生産的に利用することができる。この残材収集によって、収穫後直ちに再植林することが可能になり、その森林をレクレーションに利用することもできる。

結束法−バイオマス利用の近代的方法
結束法では、ハーベスタ作業の後に残された枝葉や端材を集めて、結束機械に投入し、コンパクトな「枝葉丸太」に作り変える。普通、枝葉丸太は長さおよそ3m、直径約60−80cmである。これを燃焼させると約1MWhのエネルギーを発生させる。伐採地1haあたりに約100−150束の枝葉丸太ができる。
チンバージャックの結束機械
チンバージャックは、結束システム開発に積極的に関与している。その理由は、この方法が商業的にも、また、環境面においても優れており、森林の持続的育成を可能にする方法の一つであると信ずるからである。チンバージャックは他の森林機械と同様に十分な経験に基づいて、この結束機械を製作している。ベースマシーンは従来の標準タイプのフォーワーダを利用し、これに結束機械を取り付けるようにしている。この機械は、伐出業者の連続使用に耐えるように作られており、生産性も、収益性も極めて高い。

結束の輸送
結束した後、枝葉丸太は標準的なフォーワーダで道端まで搬出される。枝葉丸太はそこで一時的に貯蔵されるか、直接発電所へトラック輸送される。枝葉丸太は普通発電所または貯蔵場所で粉砕される。この方法は大変経済的であり、かつ効果的な粉砕またはチップ化の方法である。

結束の貯蔵
結束法は、その貯蔵をもクリーンで簡単なものにする。コンパクトな枝葉丸太はすぐに腐り出すというものではないので、電力利用のピーク時に備えて貯蔵しておくことも可能である。結束は、そのまま森林内に貯蔵してもよいし、発電所で貯蔵されていもよい。結束は積み重ねたまま、簡単に乾燥させることができる。その上、結束は利用時期を問わない。

Valmetの結束機械  WoodPac bundles
Valmetにもこのような結束機械があります。これも大体同じような機能を持っております。説明文の最初に
A university-managed research project,a seminar and the launch of a new machine,the Valmet WoodPac,signaled the start of a new product area for Valmet, forest fuel machines.
という文があります。かつて大学にいた人間としてうらやましいかぎりです。



伐出の方法
丸太伐出費用は伐出の方法によって大きく異なります。そこで、1999年10月以来、各地で調べた伐出方法について見ますと次の表のようなものがありました。この表の用語は短縮用語の説明にあるような意味でつかっております。

短縮用語 説明
林道 トラック走行できる道
作業路 トラック走行できないトラクタ道
路網林地 作業路網の敷設された林地
バンチ 固定型グラップルで林地走行しながら地引き集材用の全木の束を作る
木寄せバンチ 作業路からウインチ付き固定型グラップルのウインチを用いた全木引き寄せとバンチ
造材 プロセッサまたはハーベスタで造材
地引き集材 トラクタまたはスキッダでバンチされた全木束を土場まで運搬する
プロセッサ木寄せ造材 プロセッサまたはハーベスタによって木寄せと造材を行う
フォーワーダ 作業路か林地上をフォーワーダで丸太・バイオマス等を短距離運搬する
スイングヤーダ スイングヤーダによる軽架線集材

この表の短縮用語は記述を簡単にするために作ったものです。多少面倒ですが、両方を見比べて理解していただければ幸いです。このようなことにご関心のない方は、とりあえず、AからGまでの7つの型があったのだなと思ってください。

記号 伐出方法 林地条件
A 木寄せバンチ・地引き集材・造材 緩傾斜地で車両走行不可
B バンチ・地引き集材・造材 緩傾斜地で車両走行可
C 高密度平行路網・地引き集材・造材 急傾斜地で高密度平行路網
E プロセッサ木寄せ造材 林道・土場沿い林地
H スイングヤーダ・造材 急傾斜地と林道
J プロセッサ木寄せ造材・フォーワーダ 林道から離れた緩傾斜林地または路網林地
N 造材 林道沿い
伐倒はすべてチェーンソーによる人力作業

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伐出方法別径級別直接作業費用
この7つの型の伐出方法について、密度管理図によってスギ人工林の成長過程を仮定して、胸高直径6cmから30pまでの予想直接作業費用を計算して見ますと以下のようになります。

特定生育過程設定による7種の伐出方法の丸太伐出費 \/m3
径級(cm) 6 8 10 12 14 16 18 20 24 30
A \106,768 \55,243 \32,639 \21,863 \17,017 \12,639 \9,622 \7,417 \4,609 \1,783
B \96,850 \50,068 \29,557 \18,907 \12,733 \9,064 \6,711 \5,027 \2,786 \835
C \61,850 \31,985 \18,888 \12,595 \10,440 \7,763 \5,911 \4,554 \2,870 \1,012
E \56,339 \28,936 \16,976 \10,794 \7,227 \5,003 \4,386 \3,127 \1,561 \370
H \64,691 \33,509 \19,819 \14,503 \9,916 \7,090 \5,184 \3,832 \2,068 \832
J \88,621 \45,990 \27,250 \19,182 \12,961 \9,051 \6,446 \4,632 \3,539 \2,918
N \54,905 \28,384 \16,756 \10,719 \7,218 \5,138 \3,804 \2,850 \1,580 \473

このままでは、良くわからないので、各径級毎に順位をつけて図にしてみますと次図になります。

この図から直接造材がもっとも安いのはわかりますが、高密度路網を用いた地引きトラクタ集材が以外に良いという結果になりました。また、スイングヤーダ・造材が工程数が少ないせいでしょうか、以外に良い結果が出そうです。ただし、条件があります。その条件とは、一荷量を材の大小にかかわらず最大量に近い量にするように荷掛け作業を規制した場合ということです。フォーワーダを使った方法が良くありませんが、これはフォーワーダに小型の4トンものを使ったせいもあります。とりあえず工程数が多いと不利になるようです。

丸太伐出に伴う絶乾バイオマス集積速度
丸太伐出作業に伴ってバイオマスが集積されるわけですが、この集積速度は以下のようになります。熱量で表しました。

間伐伐出作業の直接作業費
この値は上の小径木の値になります。胸高直径が14cm以下になると急激に費用が増大する様子がわかるとおもいます。

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