おまけ


「落ち着く・・・」

さっきまでの肩の凝る空間を抜け出し、やっと馴染みのある空間に来た。
どこって? 
スーパー。ザ・庶民の味方。
皆でうちでご飯を食べることになったので、その買出し。
まあ、女子高生がスーパーに馴染みを感じてるのもどうかな、と思わないこともないけど。


「アスパラ買うんだっけ」

一番手近にあるやつを手に取ろうとする一哉にストップをかける。

「えっとね、穂先が締まっているやつがいいの。」
「・・・何か違うの?」
「違います。それ切り口乾いてるし。どうせ買うなら新鮮なやつの方がいいじゃない。」
「・・・じゃがいももそういうのあるの?」

一哉との会話を聞いていた悠都さんが買うものリストを見ながら訊ねてきた。

「ふっくらとして重みがあって、皮に張りのあるのがいいんです」
「・・・全部一緒じゃん」
「違うってば」
「胃に入れば一緒。どうせすぐ使うんだし」
「そうだよな」
「・・・じゃあ、材料だけ生で食べてれば。作り甲斐のない。」
「え、いや、そういう意味じゃなくて・・・」

しどろもどろになる2人を置いて、真剣に食材を選んでいた由貴ちゃんに声をかける。

「由貴ちゃん、ほしいもの全部あった?」
「うん」
「何作るの?」
「出来てのお楽しみ。」

「・・・由貴も何か作んの?」
「・・・何か文句あんの?」

あたし達の会話を聞いて克己さんが眉を顰めて嫌そうな顔をし、由貴ちゃんはそれに笑顔で応戦してる。

「当たり前や。俺ら明日も仕事やねんぞ? 真衣ちゃん達は学校やし。」
「だから何なんよ。」
「食中毒で入院なんて洒落にならへん・・・」
「やかましいわ!! 昔のことをいつまでもごちゃごちゃ言うな!!」

そう言った後あたしの方を振り向いて、ぶんぶんと腕を振りながら弁解した。

「やっ、今は大丈夫やねんで? ちゃんと練習したし、自炊もしてるし。」
「・・・昔は?」
「食中毒は起こしてへんよ? ・・・お腹壊したみたいやけど。」


目が泳いでるよ、由貴ちゃん。



買い物のあとも、ちょっと何とも言えない感じの料理が出来たり、由貴ちゃんが酔っ払ったり、いろいろあって。

そんな大騒ぎで夜は更けていった。







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