気になってることがあるんだよね。




てあらにあつかってはいけません



「せ、せせせ先輩っ?」
「せが多いね」

でもまぁ、抱きしめただけでおろおろしてるくらいだから・・・

「どいてください!!」
「嫌。」

押し倒したらこれくらい慌てててもおかしくないか。

警戒してる割に隙だらけだし。
いらない時に警戒してて肝心な時に無防備っていうか・・・。

「名前」
「え?」
「名前で呼ぶなら、離してもいい」

いつまで先輩と呼ぶ気なのか。放っといたらいつまででもそのままだろう。
クラスメイトとか、父親は名前で呼ぶくせに。
しかも、やっぱりというか抵抗してきた。

「・・・先輩は先輩じゃないですか」
「そんな不特定多数と同じ呼び方嫌だ」
「・・・・・・高宮先輩」
「それわざと?」

にっこりと笑ってみせると、小都の顔がわずかにひきつった。
勘だけは良い小都は、言動の含みにすぐに気付く。本人の行動には活かされてないみたいだけど。
こんな体勢じゃなかったら、後退さるか逃げるかしていただろう。

「知らないとか言わないよね?」
「し、知ってます! 知ってますけど・・・」

逃げたい、と全身で訴えているけどそうさせてあげる気はない。
それを察したのか、観念したように、けど小さな声で言った。

「奏・・・先輩」

まあ、マシにはなったけど。

「小都にとって、俺はただの先輩?」
「ちがっ・・・でも、だって・・・」
「何?」
「・・・いきなりは、無理・・・」

真っ赤な顔をして、そう言う。
煽ってるようにしか見えないんだけど。本人分かってないだろうけどね。

「じゃあ、慣れて。それまでは」

そこで言葉を切って、困ったように視線を逸らしていた小都をこっちに向かせる。


「これで、許しといてあげるよ」


そう言って、小都の額にキスを落とした。




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