最近、小都が挙動不審だ。
ストレスをあたえてはいけません
正確に言えば、俺に対して様子がおかしい。
原因は割とすぐに分かった。小都にも考えがあるみたいあったから、黙ってたけど。
でも、そろそろ限界。
「これ、どうしたの」
「えーと・・・ちょっと不注意で」
「不注意って?」
「プリントで切っただけですよ」
小都はあくまでもとぼけようとする。
「いつから刃物を紙っていうようになったの?」
俺の言葉にぎくりと肩を震わせる。
「靴に画鋲。何年前の手だよ。ほんっと下らない」
指に巻いてある絆創膏。今はそれで済んでるかもしれないけど、放っといたらエスカレートしていきかねない。これ以上手を出させる気はないし、ただで済ませる気もないけど。
小都は小都で、何でバレてるのかと言いたげな表情。
小都は俺のこと何だと思ってるのさ。
「何でちゃんと言わないの」
「・・・相手するの嫌だって言ってたじゃないですか」
「彼女になったら説得する、って言わなかった?」
もともと牽制はしていたんだけど、大した効果はなかったらしい。
小都に手を出して自分たちが好かれるなんてこと、あると思ってるんだろうか。
誰に好かれてようとどうでも良かったし。今もどうでもいい。
誰が自分に気があるのかなんて、いちいち全部把握してるわけじゃない。
でも、小都が絡んでくると放っておくわけにもいかない。
折角捕まえたのに。
第三者に邪魔されるのなんて、冗談じゃない。
まあ、見かけによらず気が強いからこれが原因で離れるような子ではない。けど。
「これからはこういうの、ちゃんと報告すること」
嫌がらせなんて低次元なことしか出来ない奴は勿論のこと、俺が言い出すまで黙ってた小都も気に入らない。
自力で何とかするという気持ちは分からないでもないけど、だからって黙ってていいことにはならない。
「返事は?」
「・・・ふぁい」
小都を苛めるのは俺だけの特権なんだから。

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