反応がおもしろいから、ついついからかいたくなるんだよね。
しげきぶつはあげてはいけません
「せ、先輩! 落ち着いて!! 気を確かに!!」
「小都こそ落ち着いたほうがいいよ」
慌てふためく小都に淡々とそう返した。
まあ、この状況じゃ無理だろうけど。
小テストの成績が悪く、課題をたっぷりと出された小都に勉強を教えていたわけだけど。
放課後。人気のない図書室。
それに、彼女とくればすることなんて一つしかない。
という訳で、自分の欲求に従って小都を腕の中に納めようとしたんだけど、やっぱりというか抵抗にあった。
「べ、勉強を教えてください! 勉強!!」
「うん、教えてあげるよ?」
「それ、良からぬ含みがあるように聞こえるんですが!!」
「良からぬって?」
小都はいつも「人のことからかって!」って怒るけど、それだって小都がいちいち反応するのが悪いんだよ。
それに、小都は自分で墓穴を掘ることが多い。
それを見るのがおもしろくて、可愛くて、やめられるわけがない。
真っ赤になった小都に、耳元で囁く。
「あんまり大きな声出すと、誰かに見られるかもよ?」
「!」
悪役の台詞だなぁ。
でも、小都の反応がおもしろくて、つい。
「先輩の馬鹿ーっ!!」
窮鼠猫を噛むというか、火事場の馬鹿力というか。
思いっきり強い力で、押し返して、というか突き飛ばしてきて。
そのまま、脱兎のごとく逃げていった。あーあ。
それからしばらく、小都は怒って口を聞いてくれなかった。

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