なんて言うか、単純だよね。




とてもナイーブないきものです



「先輩、家に来る時は前もって連絡して下さい。特に朝駈け禁止」

寝起きのせいか怒っているのか、小都はいつもより少しだけ低い声で言った。

「夜討ちはいいの?」
「それも駄目です!!」
「ああ。夜這いがいいんだ」
「意味変わんないじゃないですか! 心臓に悪いこと全般禁止です!!」
「ふーん。・・・例えばこれとか?」

小都の腕をとって抱き寄せると、たちまち真っ赤になった。いつまでたっても慣れる様子はない。まあ、いいけど。

「だっ・・・だから・・・!」
「だって、どれが駄目なのか分からないし」

心臓に悪いって、小都にとったら全部そうなんじゃないだろうか。

「小都は俺の彼女でしょ? 彼女に触るな、と?」
「そういうわけじゃなくて・・・」

困ってる困ってる。

小都の言いたいことなんてわざわざ説明されなくても分かる。
顔に全部出てるしね。
俺の言うことやること全部に反応する小都がおもしろくて。つい。

「小都はまじめだよね」

何を言っても適当に聞き流したりせず、全部真剣に受け取って悩んでる。
まあ、それが小都のいいところなんだけど。

「先輩が不真面目なだけです! ていうか、いい加減放してください」
「嫌。・・・てか、眠い」
「なら、休みの日くらい家で寝てたらいいじゃないですか」
「やだよ、そんなの」
「何でですか。休みは休むためにあるんですよ?!」
「だから休みに来てるんでしょ?」
「私でストレス解消するのやめてくださいよ!」
「そういう意味じゃないよ」

まあ、それもなくはないけど。

小都のきょとんとした顔を見る限り、何も分かってなさそうだ。
わざわざ教えてあげる気は、ないけどね。


「それはそうと、小都」
「はい?」
「先輩って呼んだからペナルティね」
「何ですかそれ! そんなの聞いてないですよ!」
「今決めたからね」
「横暴だ! 先輩のバ・・・っ!」

しまった、というようにに手で口を押さえる。
まあ、そんなことしても言葉は戻らないけどね。

「小都ちゃん?」
「・・・・・・はい。」
「お仕置き決定」
「うぇっ・・・」
「宣言した後だったしね」
「・・・っ!」


その後も、懲りないというか。
わざとかと思うくらい、小都はいつも同じ轍を踏む。


まあ、そうじゃなくちゃおもしろくないけどね。




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