グルメ19(最終回) さらばカンロよ(3)
「それではただ今よりやせ夫くんに試食をしてもらう!」
いち自閉症児に託される、食井家の命運!

醤男は脂身を使ってないことと玉ねぎ食パンの匂いたっぷりなこと(笑)をアピール、
カンロは本物の玉ねぎと食パンを使っていることをアピールし、われ先に食べてもらおうと必死です。
結局、「カンロの料理にはキミの嫌いな脂身が入ってるからやめとけ」的な醤男の卑劣な誘導(醤男くんのセリフ・残り2)により、醤男特製牛赤身100%ハンブルグ・ステーキが先に食っていただけることになりました。
おそらく先に食わせた(=先に偏食をなおした)方が勝ちのルールだから、その行動は間違っていないんだけれど・・・・・・後出し絶対有利の法則・・・

そして、醤男くんの料理を一口食ったやせ夫くん(6)のコメント

「香りはいいんだけど(うんたらかんたら)まるでインスタント・ハンバーグみたいだ!」「もういらない」

ゲー!食通!
「まるでインスタント」って・・・本物もインスタントもお前には関係ないだろ!?っつーか食った経験ロクにないんだからそんなのお前にはわからんだろ!?
といった数々の不条理に対する納得いかない心情が全て醤男くんのセリフ「な・・・なにィ!?」に凝縮されています。(醤男くんのセリフ・残り1)

「(うんたらかんたら)渾然一体となっていないんだべ!」
即座に的確な解説をねじこむ田力氏。そんなに肉が食いたいかーっ!と言っていた彼とは完全に別人です。
まぁ、ようするに、醤男特製牛赤身100%ハンブルグ・ステーキは単純にマズかったんですね。
どうして、両方とも美味しい!どっちが勝つんだ?という展開にできないのでしょうか。最終話まで「敵の作ったのはマズイ」って・・・

「ボクはやっぱり牛肉は食べられないよ・・・」と悲痛な表情を浮かべるやせ夫。
そんなやせ夫くんに、カンロは自分のミート・ローフを切って見せます。

「ああ ボクの大好きなブタ肉マンだーーーっ!」

なんやらかんやら小細工(前ページ参照)の正体はこれでした。あいかわらずものすごい技術です。
「うわーーおいしそう!」ブタ面を見てわきあがる食欲!
みごとカンロは、自閉症児・やせ夫くんのどんな状況でも失わないブタ肉マンに対する異常な執着から切り込むことに成功しました。

そういえば「魚の匂いを嗅ぐだけで嘔吐するので魚系の給食は全返却&給食当番はおかず系の役割にならないよう配慮」が必要な自閉症児が、魚の匂い充満しまくりんぐのかまぼこ工場見学では「校外学習楽しいな」の気分により魚の匂いに気づかず全然問題なく過ごすことができて、なんだそりゃお前大丈夫じゃねえか、と思った経験があります。自閉症の描写だけがリアルすぎます。

そしてカンロ特製牛脂刻み入りびっくりミート・ローフ食通・加内やせ夫審判長(6)の大絶賛をいただきます。
解説の田力氏も、これでもかとばかりに的確な解説をねじこんできます。
「(うんたらかんたら)甘みが出てくるんだべ」
なんでお前が肉に詳しいんだべ。
肉の専門家・罵部九太さん(千切り失敗)呼んでこいだべ

今後このお方に御食事をしていただくたびに一人の料理人の利き手が炎上し、
「ブタ肉マンの顔を描く飾りパテ巻き」という異様に高い技術が求められます。
「(うんたらかんたら)これならどんどん食べられる!」
やせ夫くんは、みごと牛肉嫌いを克服しました。よかったね。

実は牛肉嫌いの克服でなく人肉食に目覚めたんでないことを祈るばかりです。(カニバリズムたいそうーっ!)
そんな疑問を抱いてからあらためて見ると、さっきまでなんでもなかったはずの上のやせ夫くんの目がキチガイの目に見えてきます。不思議ですね。

そして、司会の多田タケシによって、グルマン・キッズ・レース優勝者食井カンロの名前が高らかに宣言され、ついに第30代世継ぎはカンロに決まりました。
試食と判定を5ページちょいに詰め込みました。残り1ページ半でまとめな!はよせな!
さり気なくミリンちゃんの胸にカンロの手があって腹立たしいです
そんなわけで敗者の弁は「ま・・・負けたぜ・・・」の1コマだけにまとめられました。(醤男くん最後のセリフ)

●キャラ紹介の過去描写シーンの時点でグルマン・キッズ・レースのゼッケンをつけていたり(しかも1を)、
●卵試しの際には究極の卵料理を作ることもあるかと予想しガチョウの卵のカラをあらかじめ用意していたり、
●たくさんの食品フレーバーを用意していたり(これはキッチン大魔境にあったのかもしれんが)、
●懐に情報買収用の茶屋醤男ブロマイドを用意していたり、
と、宇宙の真理が歪むレベルでありえないほど入念に今回のレースの準備を進めていた、誰よりも「食井醤男」になりたかった男の無念がこの少ない文字数に凝縮されてると思うと感慨深いです。

最後のページはまさにやり逃げ
食井カン太からカンロへ黄金のシェフ帽が贈られるだけです。なんだその悪趣味な帽子。まさに金満食井家の象徴です。
ゆかいなツッコミ所もなんにもなく、もう、「最初ッからお前ら身内だけで勝手にやってろ」としか言いようがないどうでもいいやりとりで、
あれだけいたはずの観客の拍手もまばらです。よく暴動が起こらなかったものです。

最後は何か聞いたことのある(&よく聞く)、いいセリフっぽい格言で無理矢理締めます。読者は全てを諦めます。

・・・the end.

以上、これでグルマンくん全話紹介を終わります。


今(2013年11月現在)の神がかったゆでたまご先生になら、ぜひグルマンくんの続編を作っていただきたいですマジで
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