グルメ13 グルマン・ウォーズ
さて、今回から最終話までの7話がなんと続き物です。
そうです。人気が落ちてきたので最後のあがき、「大会」が催されるのですよ! バンザーイ! もうすぐ終わりですよ!

今回、いままで割と謎につつまれ気味だった主人公食井カンロくんの私生活の様子を知ることができます。そんなもの全然知りたくなかったのでいままで全く気づきませんでしたが、そういえば謎につつまれていたんですね。オレも今この文章書きながら気づきました。

午前4時・・・・・・食井カンロの朝は早い――
カンロくんは、目覚まし時計と 「世界3大テノール フランシス・ボレーロ」氏の歌声と 日本の伝統美諏訪太鼓のみなさんの演奏と プロレスラーの練習の際の騒音(全部生演奏)でも目覚めません。
でも付き人の松肩さんのすかしっ屁でアッサリ起きます。ああ、おもしろいギャグだなあ。ははははは。次。

食井家の世継ぎは毎朝「グルマン鍛錬」をすることになっているらしいです。しかし全くやる気を出さないカンロに祖父・食井カン太の説教が始まります。もちろんめちゃくちゃ読者に対する説明的な説教ね。
食井家の歴史・自慢話等々を延々説明口調で話す祖父に対し、口答えするカンロ。
「でも順番からいったら次の家元はボクのパパじゃないの?」
そして・・・ついに、今まで謎のベールに包まれていたカンロの父の正体が明らかになるのだったーッ!
もちろん読者はそんなもの全然知りたくないので いままで全く気にもしなかったわけですが、明らかになるのです。
以下セリフまるうつしですがよろしくお願いします。太字のところはテストに出るのでよく覚えておきましょう。

「知ってのとおりワシとおばあちゃんの間には子供が1人しかおらん・・・
つまりおまえのママのキナコじゃ
しかし食井家の世継ぎは男子に限る
そこでキナコに婿をとらせて世継ぎにすることにした
それがおまえのパパのマズオじゃ
しかし 何という不幸か マズオは食通にはほど遠いインスタント食品大好きの偏食男・・・
それでもワシはマズオをグルマンに改造しようと連日猛特訓をやった
しかしヤツは逃げ出し 二度と帰ることはなかった」


世界中の人々に尊敬されている食通であり天才陶芸家の食井カン太大先生。
私のような下賎な凡人ごときが非常に申し上げにくいのですが、特訓のしかたが間違ってると思いますよ。
「何という不幸か」って、婿選び ほんの少しでもキチンとやりましたか?
あんた娘の人生をなんだと思っていやがりますか?
サイコロで決めたんじゃねえのか?
マズオっていうネーミング、人を馬鹿にしすぎていると思いませんか?

フランス出張だと思ってた父親が実は蒸発していた、という衝撃の事実を知り 泣き叫ぶカンロ。今まで事実を隠していたことを謝る母親。
・・・なんてすさんだ家庭でしょう。これ、小学生の登校前の朝の風景ですよ? 家庭訪問が必要です。気取先生ーッ・・・は、そういえば第5話以降全く出てきていません。もうダメですこの家庭。もっともあの湯気と煙の区別もつかないような知恵遅れが来たところでどうなるものでもありませんが。
それにしても、これじゃあいくら大金持ちでスバラシー家柄でも全くうらやましくないですね。

泣き叫ぶカンロに、おかまいなしに「朝のグルマン鍛錬」を強要するカン太。鬼です。
さっき実の父親に関する衝撃の事実を知ったばかりの小学生に・・・でも当の本人カンロくんは別にそんなことあまり気にした様子もなくただ鍛錬がイヤだからイヤがっているだけのようです。
まあいい。とにかく、あわれカンロくんは“第一鍛錬房の教育係”に連れ去られるのでした。
 
ゲー!! お前は4年前超人オリンピックイギリス予選を争ったわたしのライバル喧嘩男ケンカマン!!!


まちがいない!! おまえはやはり喧嘩男だーーーっ!!
食井家に飼われていたのですか。そりゃこんなトコで働いてたら頭髪もさびしくなります。

さて、気をとりなおして第一の鍛錬は、「釜型の下駄をはいてのランニング」です。釜型であることに意味はあるのか? まあソーセージ製の筋肉養成ギプスに比べたら何が出て来てもマシといえましょう。
立ちっぱなしの料理人にとって強靭な足腰は重要ですしね!
あと、この訓練は気を抜くと死にます。

カンロくんの背後で 深いガケが口を開けて待っています。・・・ブルブルァ!

次。
第二の鍛錬は、腰に小刀を装着して15kgの那智黒石を入れた中華鍋を振ります。

鍋の重みに負けると、腰の小刀がヒジに刺さる仕組みです

これも、気を抜くと料理人生命どころか 健康な肉体を永久に失いかねません。
さりげなく、素手だし。アワワワ・・・
しかしおそらく素手に関しては創造神ゆでたまごさまが気づいてないからべつに熱くないんでしょうね。

警告する。これは訓練である!繰り返す!これは訓練である!実戦ではない!

「キン肉マンU世」のヘラクレスファクトリーでの特訓然り、ゆでたまご先生のあらゆるマンガに出てくる「訓練」は、1ミスでとり返しのつかないことになる訓練ばかりです。危機に慣れる前に1ミスで命を失うわけです。
ゆでたまご先生に会社・学校等の避難訓練の計画・進行を任せたら、本当に油まいて火ィつけちゃうんじゃないかと心配になります。気をつけましょう。
そういえば「ゆうれい小僧がやってきた!」にて、「強力な西洋妖怪に対抗する7人の日本妖怪を選別する」大会でも本当に死にまくりの殺し合いまくりでした。っつーかなんで選別する必要がありますか? 全員で攻め込めば良いじゃねえか。よりによって戦いの前に身内で殺し合って消耗してどうすんだ! アホか! しかも主目的は「西洋妖怪に連れ去られた人間の赤ん坊の救出」だってのに、入賞商品は「人間の魂100個と生き血1年分」ってお前等は人間の敵なのか味方なのかハッキリしろ!!!!!

ハァ、ハァ・・・何の話でしたっけ?そう、
最後に第三の鍛錬です。
今度は包丁を砥ぐ訓練です。
バンジージャンプのごとく足首を縄で縛って天井からぶら下がったサカサマの状態で振り回されながら、100本の錆びた包丁を砥ぐそうです。
・・・・・・・・・そうですか。頑張ってくださいね。「生きた魚に触れない」弱点放置して何やってるんでしょうか。

そんな鍛錬に嫌気がさしたカンロは、ついに逃げ出すのでした。

右下で第三の鍛錬房の教育係が「ぼっ・・・坊っちゃまお気を確かにーっ!!」とか言ってますが、
その台詞 ノシつけて丁重にお返ししたいと思います。こんな鍛錬を考えた作者に。

みなさんお気づきのことかと思いますが、このページに書かれてる内容、ほぼ全て後付け設定です。
例えば「毎朝やってる」はずのグルマン鍛錬なのに、カンロくんはどれもこれもやるのも見るのも聞くのも全部 まるで初めてみたいな反応をするんですよ。作者がたった今思いついたのが見え見えです。ちょっとくらい隠せ。せめて隠そうとしてくれ。

続く