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当日までにしなければならないこと2

引き続き、週刊競馬ブックを例にとって解説します。

どんな競馬新聞でも、スポーツ新聞でも必ず載っている項目があります。それは、「調教」。が、真剣にチェックしている人は実際のところほとんどいません。競馬場に行って、捨てられている競馬新聞やスポーツ紙を拾って見ても、実際のところ馬柱にいろいろ、マーカーが施されていても、「調教欄」にポイントが書き込まれているようなものを見たことがありません。調教担当記者が、予想記者が「稽古が良いから」と書くと、それを鵜呑みにするしか方法がないというのがほとんどの競馬ファンだと思います。

これから説明する部分は素人でも簡単に各馬の調教と仕上がり、状態を把握できる方法です。これを前日までにやっておくと、決定的なアドバンテージを一般の競馬ファンに対して握ることになります。

「パドック見てもさっぱり解らん」。「調教見てもさっぱり解らん」。それぞれを個別に見るから解らないのだと思います。それでは、いってみましょう!

レース前の追い切りだけを見ても全く意味がない。そんなこと、今すぐやめましょう!

競馬ブックなら「最近の調教タイム」という欄があります。まず最初に前走の時の最終追い切りの時計が書いてあります。

■ 栗坂路 55.4 40.7 12.6

その次に、前走後、最初に時計を出した調教が書かれています。

3月20 栗坂路63.4 46.4 14.4

ここがもっとも大事なポイントです。前走から何日後に時計を出したかで、その馬の前走後の疲労の具合が読み取れます。同じ3月6日にレースを使って、一方の馬は3月16日から調教に使っている、一方の馬は3月24日から調教をスタートさせている。どっちがレース後のダメージが少ないか、一目瞭然です。早くから調教を再開できていれば、その分、次のレースまで密度の濃い、調教ができますし、今回のレースが目標のレースなのだ、というのが読み取れます。

もし、かなり間隔が空いている場合、レース後に放牧に出していたかも知れません。疲労がなかなか抜け切れなかったかもしれません。そのあたりの経緯を確認するために、関係者のコメントを確認するのです。まかり間違っても、最初に成績や調教を確認せずに関係者のコメントを読んではいけません。変な先入観が付いて、予想が狂ってしまいます

その次にレース前までの調教本数を確認します。馬なり、強め、一杯、すべて合わせて何本出しているかを確認します。そして、ボールペンを使って成績表の隣に、最初に時計を出した日付、すべての調教本数を記入します。最後に、強め、一杯で出した本数を記入します。これで、自分オリジナルの「調教馬柱」の完成です。自分流にわかり易く、ペンなどで色分けすれば良いでしょう。自分で書くのが苦手なら、調教欄を傾向ペンで塗り分けしていっても良いでしょう。何度も調教時計をチェックしていくと、調教内容の変化にも気付いてくるようになってきます。こうなるとしめたもので、今まで調教=意味不明の数字の羅列、という苦手意識はなくなります。
この作業に他の馬の調教時計や本数は全く関係ありません。よく、調教欄を見て「こっちの馬は50秒台だが、あっちの馬は52秒で、50秒台の馬の方が調子が良さそうだ」という意味不明な調教時計の読み方をする人がいますが、調教はあくまで「その馬自身」の時計、本数と比較しなければならないのであって、他の馬は関係ありません。

ここで大事なのは、調教の本数を確認している最中に「イレギュラー、アクシデント」に気が付くことです。競走馬は基本的に、定期的に馬場に入れてトレーニングをしています。今まで3日おきに時計を出し続けていた馬が、突然、1週間時計を出さなかった。普通に考えて「何かあった?」と考えるのが普通です。そのあたりの経緯を確認するためにも関係者のコメントを吟味するのです。ろくに時計を出していないのに、とても、密度の濃い調教をしていると思えないのに、「至極、順調」とコメントしている調教師がいますが、コメントが本物かうそかを確認するためにもこれらの作業は絶対必要です。調教師や騎手も勝負にかける人間です。自分の不利になるような発言をする訳がないですし、相手にいわば「はったり」をかますような場面も十分考えられます。

私が週刊競馬ブックや専門誌を予想に使え、と言っている最大の理由がここにあります。


普通のスポーツ新聞なら、レースの週の追い切りしか掲載されていません。私は関西在住ですが、関西版スポーツ紙の中で前走後の調教をすべて記入しているスポーツ紙はデイリースポーツしかありません。しかも、重賞レース1レースしか掲載されていませんので自分の狙いのレースで掲載されていなければ、全く意味がありません。

「それは解るとして、何故、そんなチェックが必要なのか?」。はい。それだけでは何の意味もありません。すべては締め切り1時間前に行う作業に必要だからです。

レースの予想をする前に「馬体重」の予想をしよう


レース1時間前には馬体重が発表されます。その前に自分でチェックした調教馬柱に自分なりに、予想を記入しておきます。それは、馬体重の予想です。

調教の質、量、前走までのローテーションは今までのチェックですでに把握できていると思います。レースとレースの間隔、調教の内容から馬体重を予想することは難しくありません。「プラス体重で出走するだろう」、「だいぶ絞ってきているだろう」、「状態を維持しているだろう」プラスなのか、マイナスなのか、増減無しなのか、大まかで結構です。それを実際に発表された馬体重と照らし合わせればいいのです。もちろん、長距離輸送のある無しなども考慮に入れていきます。

これをやれば、明確な根拠を持って、「この馬のプラス20キロは太くない」、「この馬のマイナス10キロは調教で絞り込んだマイナスだ。体調落ちからではない」、「あの軽い調教で増減無しはおかしい。デキは落ちている」、「前走の状態を維持しているので精一杯だ。上積みはない」など、正確な判断ができるようになります。その上で実際のパドック映像で馬の仕上がり具合を見ていけば良いのです。

前走からの臨戦過程、調教、輸送のある無し、馬の成長度、関係者のコメントをチェックしていけば、長期の休養明けの大幅な馬体重増や馬体減があっても、恐れることは何もありません。テレビのパドック解説者の言っていることがでたらめかどうか、自分なりに判断できるようになります。これらを総合して、あらかじめ、自分が馬柱チェックでリストアップしていた馬の中から、当日の馬場状態、展開、時計、そして、パドックでの勝負気配を考えて、本命馬を選び出し、状態落ちの馬の狙いを下げ、あるいは切り、状態のいい馬を厚めに買っていく、馬券を構築していきます。たまには判断ミスもあるでしょう。しかし、根拠に根ざした予想を何度も繰り返していくと、次第に予想自体の精度が上がっていきます。


私は基本的に競馬予想において「前日予想」を全く信用していません。パドックで、馬体重や馬の仕上がり具合を確認せずにどうして予想を提供することができるのでしょうか。まして、調教や前走後の状態を加味する予想すらせず、調教師ですら、大幅な馬体増や減を予測していなかったようなケースが多いというのに第3者が何故、何日も前に精度の高い予想を提供できるのでしょうか。私が予想を提供しません、と言ってるのは、根拠のない予想をぺらぺら発表するのは意味がないと思っているからです。

まして、調教もやっていない前週から「万馬券はいただき」、「極秘情報を入手」など、期待感を煽るような宣伝の競馬予想会社のレベルなんて知れています。自分のレベルをどんどん上げていく努力をしましょう。いい加減なレベルの予想に引っ掛かることはなくなります。

私が登録馬表で、実力のある馬をリストアップする重要性がご理解いただけたかと思います。ここでミスをすると、パドックで抜群によく見えた馬でも、基本的に能力がこのメンバーで足りなかった、ということにもなりますし、一発逆転がある馬を見逃してしまうことにもなります。正確に実力チェックができて初めて、状態の良し悪しを論ずることができるのです。

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