4時に起床、朝食のカニ雑炊を作る。
ほとんどの小屋では自炊組は別の場所に追いやられひどい場合は外っていう事もあるのだが、剣沢小屋は食堂のテーブルを使わせて頂けた。
この冬に剣沢一帯を襲った雪崩で剣山荘は休業、剣沢小屋も打撃を受けながらもなんとか夏山シーズンに間に合わせたらしい。頭が下がる思いである。
朝陽に輝く剣を眺めながら、剣沢小屋から剣御前にむかって登ってゆく。
剣御前小屋に泊まっておけば、この登りは登れなくてよかった。
でも剣沢の空気は剣御前と全く違う。
20年前に一人で撮ったのとよく似たアングルでかあちゃんとの2ショット写真を撮る。
20年たった今は急いで歩かない。チングルマ、ハクサンイチゲの咲く坂道をゆっくりと歩いてゆく。
振り向けば、剣岳が神々しく聳えている。
振り向けば、かあちゃんが小さくなっている。
「オラオラ、早く来いよ!」
小屋出発から1時間!稜線に建つ剣御前小屋に着く。

稜線に建つ剣御前小屋からは素晴らしい展望が広がっている。
剣の向こうに白馬、不帰の険、唐松、五竜、鹿島槍
後立山の峰々が続いている。またも2ショット写真を撮る。
朝日に輝く山々そして青い空、今日もさわやか、今日も暑くなりそうだ。
剣御前小屋では飲料水をもらえない。
”北アルプス名水”2リットルを山小屋価格で購入。
さあ、奥大日まで剣展望第2幕のスタートだ。
雷鳥坂への下りから離れ尾根伝いに新室堂乗越へと下ってゆく。
チングルマやミヤマキンバイの咲く尾根を一気に下ってゆく。
雷鳥坂ほどではないのだろうが結構な急斜面である。
横切る雪渓は、クレバスがバックリと口を開けている。
ウサギギク、ミヤマキンバイ、ハクサンフーロー、チングルマ、ハクサンイチゲ
見事なお花畑が広がってゆく。
新室堂乗越で休憩、フランスパンにメロンパンクリームを塗って食べる。
たぶんトーストに塗るともっと美味いんだろうけど、それなりに美味い。

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剣沢小屋〜剣御前〜室堂乗越〜奥大日岳〜雷鳥沢
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新室堂乗越に荷物をデポし、奥大日岳へ向かう。
北に剣岳、南に立山を眺めるお花畑の贅沢な道である。
少々の登りが気にならない。
ミヤマトリカブト、ヨツバシオガマ、クルマユリ、まさに百花繚乱、お見事である。
チングルマの群落の彼方に奥大日岳が見える。
まさに雲上の楽園である。
忙しい毎日を過ごしながら、毎年1度だけ家族揃って登る3000m。
今年も至福のときを過ごしている。
午前10時30分奥大日岳頂上に到着!
お気に入りになったフランスパンとメロンクリームを食べたら
剣を正面に見ながら引き返す。
チングルマと剣岳
息を飲む絶景だ!
さぁ今年も歌ってみよう。

私は今日まで生きてみました
時には誰かの力を借りて
時には誰かにしがみついて
私は今日まで生きてみました
そして今、私は思っています
明日からもこうして生きてゆくだろうと

私には私の生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう

けれどそれにしたって
どこでどう変わってしまうか
そうですわからないまま生きてゆく
あしたからのそんな私です。
   「今日までそして明日から」
          BY 吉田拓郎

奥大日から新室堂乗越へお花畑の縦走路を引き返す。さらに、新室堂から雷鳥平へ下ってゆく。
立山カルデラのど真ん中を下ってゆく。雪渓を横断し、木道を歩き、気持ちのよい山歩きが続いている。
これから先そう何度も家族揃って気持ちよく登ることはないかもしれない。
でも、もう1回は必ず行く。あと1回ではなくもう1回なのである。
ONE LASTではなくONE MOREなのである。
雷鳥平、風を感じながら、一息入れる。
ここからは雷鳥荘までのんびりと歩いてゆく。

今夜のお宿は室堂の一角にある雷鳥荘。山の上の宿では極上のお宿だ。
温泉につかりながら夕日を眺め、テラスからは星空を見上げる。

♪みやげにもらった さいころふたつ
 手の中でふれば また振り出しに
 戻るたびに 陽が沈んでゆく
        「落陽」
          by 吉田拓郎
♪流れる星は今がきれいで ただそれだけに哀しくて
 流れる星はかすかに消える 思い出なんか残さないで
 あぁ君の欲しいものはなんですか
 Wooh僕の欲しかったものはなんですか
        「流星」 
           BY吉田拓郎

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雷鳥沢〜室堂〜称名の滝〜自宅
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天候に恵まれた2006年の夏山も今日でおしまい。
霧の中を室堂までのんびりのんびり歩く。
お世話になった「立山玉殿の水」をみんなの水筒につめて持って帰る。
剣御前小屋で買ったミネラルウォーターのペットボトルにもつめて持って帰る。
下山日の恒例行事山に向かって一礼する
「ありがとうございました」
ProjectY2006
セミファイナル あと1回はみんなで登るぞ!