Project Y 2006

剣岳を眺めに…

立山・剣沢・奥大日

2006.8.15 
室堂〜立山三山〜別山〜剣沢小屋
2006.8.16 
剣沢小屋〜剣御前〜室堂乗越〜奥大日〜雷鳥沢
2006.8.17
雷鳥沢〜室堂

岩と雪の殿堂剣岳
子供たちよ!
今は仰ぎ見るだけでいい。
いつの日かその足で登るがよい!

今年の夏はどこへ登ろうか、息をのむ大展望が見たい。
蝶・常念を狙っていたが、長野県を襲った集中豪雨でアプローチは寸断
結局、剣をド迫力で見たい!
ってことで立山から奥大日へ、憧れの剣を見ながらの縦走となった。

8/15
室堂〜立山三山〜別山〜剣沢

前夜夕方に北陸道を立山に向かって車を走らせる。
午前0時過ぎ、立山駅前に到着する。駅前の駐車場(無料)に駐車し、朝まで仮眠する。

午前5時、すでに観光客でごった返す立山駅へ
この時点で美女平行きの始発のケーブルは満席だった。
(美女平からのバスは2本目でも間に合うようなダイヤだった。)
美女平から室堂まで、高原バスで一気に標高差1400mを上ってしまう。
毎年オヤジが泣いて謝る初日の急登が今年はない。
それゆえに立山が山登りの対象としての決め手に欠けるのかもしれない。
車窓から弥陀ヶ原や薬師岳を眺めながら、室堂に8時過ぎに到着。
ザックを整え、立山玉殿の水をポリタンに入れて、いよいよ山登りの開始!
まずは一の越までの1時間の登りである。
室堂から一の越までは大半が石畳の道を歩いてゆく。
例年以上に多く残る雪渓を横切り、ゆっくりと歩いてゆく。
さすがに観光地室堂、さすがに日本三大霊山立山、
多数の観光客である。例年恒例の団体登山の比ではない。
テンポよく、ハイペースで我々を抜き去ってゆく。
「こんないい天気はゆっくり歩こう!ほれほれすごい景色だぞ!」
室堂から1時間20分、一の越に到着。
黒部から吹く風が気持ちいい。空が青い。
さらっとした風、どこまでも青い空。どれこれも山である。
遥か彼方に槍穂高が見える。
至福の時である。

一の越から雄山までは標高差400m。1時間の登りである。上り始めた室堂平が小さく見える。ここからは、観光客が泣いて謝るガレ場の急斜面である。一の越までの登りでリズムをつかんだこともあり軽快に登ってゆく。
かぁちゃんは立ち止まる観光客にいらつきながらガンガン登ってゆく。
HIROは携帯で写真を撮りながらそれでもガンガン登ってゆく。
男性軍は立ち止まって写真を撮りながら、ボチボチと登ってゆく。
それぞれのペースで自由に登ってゆく。
けれど、距離をあけない。
家族の成長を感じながら、登ってゆく。
観光客が泣いて謝るガレ場の急斜面。
今年のオヤジは笑って登ってゆく。
午前10時30分
雄山山頂到着。

雄山から先は、室堂・一の越・雄山の賑わいが消え、夏の北アルプス登山の領域となる。
ここから先が、ようやく夏の3000mなのだ。
岩屑の縦走路を大汝まで歩く。
大汝休憩所でようやく昼食にありつく。
何組かのパーティが昼食を取っている。
我が家はいつものようにラーメン。
眼下に黒部ダムがでっかい。
去年は鹿島槍の帰りに立ち寄った黒部ダムを今年は山のてっぺんから眺めている。
黒部ダム、そして山。
思わず歌が出る。
♪風の中のすーばる
♪水の中の銀河
みんなどこへ行った
見送られる事もなく
ツバメよ高い山から、教えてよ地上の星を
             (地上の星 BY中島みゆき)

大汝から富士の折立、さらに真砂岳へと緩やかなアップダウンを繰り返しながら立山連山を縦走して行く。
稜線を吹き抜ける風は涼しく、空はどこまでも青い。
北アルプス3000m、ものすごい景色だ。
吹き抜ける風、どこまでも澄みきった青い青い空。
今年も同じ景色を家族で見ている。家族みんなで歩いている。
同じ風を感じながら、

だから、山はいい。ほんとにいい。
10年後も20年後もみんなで登ることはおそらくないだろう。

忘れないで どんな時も きっとそばにいるから
そのために僕らは この場所で
同じ風に吹かれて 同じ時を生きてるんだ

君は空を見てるか 風の音を聞いてるか
もう2度とここへは戻れない
でもそれを哀しいとは 決して思わないで

いちばん大切なことは 特別なことではなく
ありふれた日々のなかで 君達を
今の気持ちのままで 見つめていること


        「たしかなこと」  by K.Oda
真砂岳を越えて、大走り分岐からは別山への登りが始まる。
母ちゃんが大幅に遅れだす。
「待ってー!」
「やだよ、ここで頑張らんといつ頑張るんじゃい!」
「待ってー!」
母ちゃんが泣いて謝る後半の登り開始である。
「待ってー!」
「やだよ、短パンだから止まると寒いんだよ!」
室堂平の大パノラマをバックに、ヨレヨレの母ちゃんが登ってゆく。
あえぐ母ちゃんと冷やかすオヤジ。毎年と立場が逆になっている。
ヒーコラ、ヒーコラと坂道を登りきって別山の稜線に出る。
正面にものすごい山が聳えている。
岩と雪の殿堂剣岳である。
剣沢越しの剣岳。北アルプス屈指の絶景だぁ。
涙止まらずである。

別山乗越から剣沢へ、剣岳に吸い込まれるように下ってゆく。
今回は剣岳には登らない。だからわざわざ剣沢小屋まで下る必要はない。
でもできるだけ近いところから剣を眺めたい。
だから、今回はあえて剣沢小屋に泊まることにした。
20年前に泊まった剣沢
剣はでっかく、またたく星は美しい。