活性酸素とは

 私たち人間は細胞内にあるミトコンドリアで糖類などを燃焼させエネルギーを取り出すとき酸素を必要とします。しかし最近の分子生物学や生化学などの研究から、吸い込まれた酸素のうち、少なくとも2〜3%が、非常に酸化力の強い『活性酸素』という厄介なものになることがわかってきました。この活性酸素というのは、酸素分子の中の電子のバランスが狂い、不安定な状態になっているため、もとの酸素とは比較にならないほど強い酸化力があります。この酸化力は一方では、侵入してきた細菌やウイルスを殺したり異物を溶かして、私たちの体を守る免疫の一端をになっていますが、どうしても余分にできてしまって、それが回りの正常な細胞や遺伝子を傷つけることになります。
 活性酸素は上記の@栄養がエネルギーに変わる時、A有害微生物やウイルスを排除しようとする時の他にB化学物質が体内に入ったときにも発生します。中でも怖いものとして気付かないうちにからだにはいってしまう食品添加物の大部分、農薬、抗生物質や合成保存料、水や空気に含まれる塩化化合物(ダイオキシンを含む)や窒素・硫黄酸化物などがあります。中でもタバコや医薬品とくに合成抗ガン剤などは活性酸素の重大な発生源になっています。
 また、C止まっていた血流が元に戻ったときにも発生します。血流が止まった虚血状態から、血液が再び流れ始めると、酸欠によって駄目になった細胞を取り除くために活性酸素が大量に発生します。この時正常な組織に障害を与えてしまいます。
その他にD紫外線・X線の照射を受けたときにも発生します。紫外線が皮膚に当たったり、X線が体を通り抜けるとき、そこにある水分を破壊して活性酸素を発生します。
高齢の方がジョギング中に「多すぎた酸素」によって亡くなられたりすることがあります。活性酸素の害を考えると、急激な、長時間の運動は、活性酸素を壊す酵素がある若い時はさておき、中年以降は避けた方が賢明といえます。それよりも普段からポリフェノールを多く含んだ飲食物を摂って、活性酸素耐性(抗酸化力)を付けておくことが大切でしょう。

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