− 第31話 小雪 −
知り合いのライブを見に行ったある日、
出演者からこう聞かれた。
「あれ?ヨメダタロウ、来てないの?」
バンドのボーカル、シゲちゃんからも言われた。
「ヨメダタロウって、実物はどんなんなん?
いっぺん見てみたいな」
バンドの中で唯一実物を知るスーさんが
優しくフォローしてくれる。
「いや、実物はあんな感じと全然違うんやけどなぁ。」
私は答える。
「それは外面!ホンマは違うの!」
そんなこんなで、ヨメダに報告する。
「オマエ最近、あちこちで評判やぞ。」
ヨメダがスゴむ。
「何言うてんねん。それっちゅうのも
あることないこと
オッサンがホ−ムページに書くからやんけ!
あたしゃ終いに外歩けへんようわ。
そんなことになったら
どないしてくれんねん!」
「でもな、オマエがどんな顔してんのか
みんな見てみたいって言うわ。
いっそのことオマエの顔写真、
ホームページにアップしたろかな。」
「何言うてんねん。そんなことしたら
リコンするからな。」
ヨメダの怒りは沸騰する。
これはヤバイかも。
なだめる私。
「ウソウソ。せえへんがな、そんなこと。
しとうてもでけへんわ。恥ずかしいて。
そらワシも、オマエが小雪みたいな
すごいエエ女やったら
自慢タラタラで公開して、
みんなに見せびらかすけどな。」
最近、私は小雪命である。
「あ、その女やったらあたしとも大差ない。
よっしゃ、これがヨメダや!言うて、
小雪の写真をアップしとけ。」
って、そら同じように目と鼻と口はついてますけどね。
ついてるだけでは、大差ないとは言わんのんとちゃうの....