一汁一菜の映画鑑賞記 (その 8 2006.1〜 ) 

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インデックス

  2006.1月   □コーラス  □電車男  ハウルの動く城  デンジャラス・ビューティー2  北の零年  エターナル・サンシャイン
        交渉人真下正義  1リットルの涙  □フォーチュン・クッキー  □マダガスカル  □僕はラジオ  □ザ有頂天ホテル
          □レイクサイド マーダーケース  □ロック、ストック&トゥ・スモーキング・バレルズ  □田舎の日曜日  □妻として女として
          □スタンドアップ  □ヘヴン  □
宇宙戦争  □氷壁

     
2月   □ラスト・ボーイースカウト  □赤い標的  □日本列島  □フラットライナーズ  □ラジオの時間  □ロボッツ
          □アラバマ物語  □
マネートレイン  □  □エルガー・ガントリー  □カーテンコール  □私が棄てた女
          □
君よ憤怒の河を渡れ  ネバー・セイーダイ  □ハイド・アンド・シーク

     3月   □いとこのビニー  □エリン・ブロコビッチ  □
トータル・フィアーズ  □殺しのベストセラー  □ツイステッド  □シリアナ
          □黙秘  □リチャードニクソン暗殺を企てた男  □ロボコン  □父と暮らせば  □レッド・サイレン  □ナチュラル  □秘密
          □シンデレラマン  □ブラザーズ・グリム


        
  4月  ロズウェル 星の恋人たち  □メジャーリーグ  □マップ・オブ・ザ・ワールド  □七剣(セブン・ソード)
          □ペイチェック消された記憶  □アイス・プリンセス  □ホテル・ルワンダ □
マクシマム・リスク  転校生  鬼が来た!
         
 □レディ・キラーズ  影のない男

     
5月   □青い山脈  □セントラル・ステーション  □武器なき闘い  □エデンより彼方に  □MR&MRS.スミス  □ザスーラ
          □イン・ハーシューズ  □蝉しぐれ  □イン・グッド・カンパニー  □ナナ  □親切なクムジャさん  □星になった少年

          
容疑者室井慎次

     
6月   メリンダとメリンダ  □ラベンダーの咲く庭で  □旅は気まぐれ風まかせ  □クラッシュ  □ダヴィンチ・コード
          □にあんちゃん  □ピアニスト  
誰がために  □シモーヌ  □みんな誰かの愛しい人  □逆境ナイン
          □ダニー・ザ・ドッグ  □インアメリカ・3つの小さな願いごと
    
 7月   □ルパン  □ベルンの奇跡  □判決前夜(ビフォア・アンド・アフター)  □インフェルノ・ビロウ □卒業の朝  
          □男はつらいよアジサイの花  □釣りバカ日誌16  □
ブレイブ・ストーリー  □ストレイト・ストーリー  □ヴェニスの商人
          □タクシードライバー  □君の帰る場所  □キッド  □大停電の夜に  □あずみ2  □フライト・プラン

    
 8月   □コーラス  □キング・コング  □ランド・オブ・プレンティ  □博士愛した数式  □ナルニア国物語  □シン・シティ
          □オリバー・ツイスト  □男はつらいよ寅次郎紙風船  □アップ・ダウン・ガールズ  □ガール・ネクストドア  □MUSA  
          □機関車先生
    
 9月
          □新・平家物語  □SAYURI  □プライドと偏見  □山椒太夫  □
花も嵐も寅次郎  □蝉しぐれ  □ホステージ
          □プラクティカルマジック  □パイレーツオブカビリアンデッドマン・テェイスト  □シムソンズ  □エミリーローズ
          □炎のメモリー  □ファイヤー・ウオール  □そして、ひと粒のひかり  □男はつらいよ旅と女と寅次郎
     10月
          □
エイリアン・ネイション  HINOKIO(ヒノキオ)  プルーフ・オブ・マイ・ライフ  イノセント・ボイス
          コールドケース・voL2  ミュンヘン  24 シーズン5  最後の恋のはじめ方

     11月
          冷たい月を抱く女
 

 

   
鑑賞記
 

 



 

141 男はつらいよ 柴又より愛をこめて(36作目) 鑑賞 BS2にて 2006.11.1 

1985年 松竹
監督 山田洋次
出演 栗原小巻 美保純 川谷拓三他


 印刷工場社長の娘・あけみは結婚したが満足できずにブラッと家出する。社長はテレビの「探し人」コーナーに出演して「帰ってくるように」訴えたが本人が泣いてしまう。下田に居ることが分かって寅さんの登場。連れに行く。気が休まるように一緒に旅することにして、船に乗って式根島へ渡る。そこには、美人の小学校の先生がいた。同窓会を開くという連中と船が一緒だった。寅さんが飛び入り参加して、一目ぼれ‥‥。

 ロケ地は伊豆・式根島。さわやかな一作です。大石先生ばりの真知子先生(栗原小巻)がいいし、川谷拓三扮する真知子先生の恋人も控えめで好感が持てます。
 タコ社長の娘・あけみ役の美保純が頑張っています。寅さんのような生き方に憧れる「おんな寅さん」役としては、美保純がぴったりです。
 美保純さんは最近映画で見ませんが、好きな俳優の一人です。

 余談ですが、山田洋次監督で1987年に「24の瞳」がリメイクされているとのことです。その時の大石先生は田中裕子さんです。是非、見てみたいと思いました。


推薦度★★★☆☆


140 冷たい月を抱く女 鑑賞 WOWOWにて 2006.11.1 

1993年 アメリカ映画 106分
監督 ハロルド・ベッカー(マーキューリー・ライジング)
出演 ニコール・キッドマン アレック・ボールドウィン ビル・ブルマン ピーター・ギャラガー他

 大学に勤めるアンディは保育園でボランティアで働くトレーシーと結婚生活を送っていた。そこに外科医師ジェドが近くに転勤してきた。アンディの高校の同級生であることが分かる。アンディの家の3階を貸すことになる。アンディの大学では生徒を狙うレイプ殺人事件が連続して起こっていた。担当の女性刑事はアンディの検査を要求する。そのことがきっかけとなって、予期せぬ事態が明らかとなる‥‥。

 ニコール・キッドマンが悪女に扮した作品です。サスペンスかスリラーものか。パルトローがチョイ役で出演しています。
 サスペンスとしては中くらいでしょうか。予期せぬという所が余りなくて、やっぱりといった所が多かった。


推薦度★★☆☆☆


139 最後の恋のはじめ方(原題Hitch)鑑賞 WOWOWにて 2006.10.30 

2005年 アメリカ映画
監督 アンディ・テナント(メラニーは行く)
出演 ウイル・スミス エヴァ・メンデス ケヴィン・ジェームス アンバー・ヴァレッタ他

 主人公ヒッチは変わった職業・恋のコンサルタントを業にしている。恋の指南役。但しナンパ目的はお断りであくまでも真剣であることが条件としている。ある会社に勤めるアルバートは社長の娘アレグラが好きだが、セレブの彼女に声は届かない。そこでヒッチの指導を受けることになる。役員会議で彼女の投資に賛成意見を述べて気を引く。社長に意見したことで会社を辞める覚悟だったがアレグラが部屋に尋ねてきた。きっかけが出来た。一方のヒッチは、ゴシップ記者サラが目に止まる。彼は時分の恋の指南役となることができるのか。

 ラブコメディです。ウイルスミスの「的確な恋の指南」=「場をわきまえた華麗な言葉」を楽しんだらいいと思います。日本語タイトルがちょっと分かりにくいかも。主人公の名前=ヒッチが原題です。

 ウイルスミスは元々ドライな役が似合う俳優だと思うから、「恋に悩む」というイメージは余り合いません。その意味では、自らの恋より、依頼された相手の恋の指南の方がぴったりきます。アルバート役のケヴィン・ジェームスはコメディ役者で映画初出演とのこと。ちょっと太っちょですが、ダンスが上手で身のこなしもなかなかです。

推薦度★★☆☆☆


138 24 シーズン5(Twenty Hour シーズン5) 鑑賞中 レンタルDVDにて 2006.10.29

 アメリカ・テレビシリーズの「24」(Twenty Hour)の「シーズン5」のレンタルが始まっています。

 好評シリーズものです。「ドラマの中の24時間」が「24時間のドラマ」となって放送されるという趣向です。シーズン5まできました。

 今回もいつもと同様に、アメリカ大統領と補佐官、ロシア大統領、大統領暗殺等のダイナミックな設定で、CTUの元調査官ジャック・バウアーが息をつかせぬ展開で活躍するアクションものです。観出したら止まらないのがこうした番組の特徴です。

 レンタル1枚で2時間分が入っています。合計12枚完結となります。今日までに鑑賞できたのは3枚分で6時間、全体の4分の1です。

 当分、ジャックバウアーが続きそうです。


137 ミュンヘン 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.10.26 

2006年 アメリカ映画 164分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
原作 『標的(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』(新潮文庫)
出演 エリック・バナ(「ハルク」・「トロイ」) ダニエル・クレイグ キアラン・ハインズ マシュー・カソヴィッツ他


 1972年のドイツ・ミュンヘンオリンピックの開催中に、パレスチナゲリラである7名の武装集団が選手村を襲撃、イスラエル選手とコーチ2人を射殺して9人を人質にする事件がありました。イスラエル国に234名のパレスチナ人の解放と彼らの移動を要求しましたが、イスラエルは交渉を拒否、銃撃戦となり、9名全員が射殺される(ゲリラは4名射殺・3名逮捕)という最悪の結果となりました。

 この映画は、冒頭に事件が起こり、その後イスラエル国がどうしたか、を描いています。イスラエルはパレスチナへの報復として11名のパレスチナ要人の暗殺を決定、諜報組織モサドに5名の精鋭部隊を編成して、イスラエル人暗殺を実行していきます。


 イスラエルの報復特殊部隊を描いた映画です。テロにテロで応える悪魔の循環。テロから何が生まれるのか。テロ部隊となった主人公の苦悩も描いています。最終場面で流れる空港での銃撃戦の模様は人質射殺の真実が描かれます。

 スピルバーグ監督は「シンドラーのリスト」とともにイスラエルに連なるユダヤ人問題を再度映画化しました。

 アクションともサスペンスともいえない何とも重いテーマでした。


推薦度★★★☆☆
 


136 コールドケース VOL2 見てます (2006.10.26)

 アメリカのテレビ番組の中では、「コールドケース」を楽しく見ています。今は、VOL2で、週一回のペースで放送されています(wowowにて)。

 我が家ではハードディスク録画が可能ですので、放送時間が合わない分は一旦録画して、鑑賞したのち、消去するという便利な鑑賞方法が可能です。

 昨夜は「バースデー」(9/30)と「保険金」(10/23)を鑑賞。

 「迷宮入り入り凶悪犯罪=コールドケース」を丹念に再調査することで、新たな事実をつかみ、真相を解明していきます。時間が45分くらいしかないこともあって展開が早いのと、同一人物の過去と現在をダブらしながら表現しているのが大変分かりやすい。

 最初に事件を紹介して、それが迷宮入りし、何かのきっかけがあって再調査になるパターンが貫かれています。


135 イノセント・ボイス(12歳の戦場)鑑賞 レンタルDVDにて 2006.10.12

2006年日本公開 メキシコ映画
監督 ルイス・マンドーキ(メッセージ・イン・ア・ボトル)
出演 カルロス・バディジャ レオノア・ヴァレア ホセ・マリア・ヤスピク 他


 1980年代、中米にあるエルサルバドルは政府軍と農民主体の反政府軍との間で内戦が続いていた。ある小さな町に住む11歳の少年チャバは、父が一人でアメリカへ発ち、母と弟妹4人暮らし、母から頼りにされていた。内戦の境界線に近いこの村に銃撃戦は日常茶飯事で、突然の銃声にベッドの下に隠れる毎日が続いていた。ある日、校長が校庭で生徒の名前を読み上げていた。それは、12歳になった子どもを政府軍が強制的に入隊させるために連行に来たのだ。チャバは12才になることを恐れていた。ベト叔父さんはゲリラになっているようだし学校の先輩は政府軍にいる。兵士にはなりたくない。チャバが12歳を迎えた時、彼はある決断をした‥‥。

 グングンと物語に入り込んで固唾をのんで推移を見守る衝撃的な映画です。14歳でエルサルバドルを脱出してアメリカに渡ったオスカー・トレルという人が自らの体験を元に脚本を書いたとあります。中米・エルサルバドルの実話に基づいた映画です。

 12歳に満たない子どもたちが主人公です。雨が激しく雨漏りのするトタン屋根の家で母が懸命に内職して子どもたちを育てている。その子どもたちもいつ市街戦の犠牲になるか分からない不安な日常を送っています。
 11歳の少年チャバが同級生に好意を持ったり、友達と遊んだりと、戦闘下とは思えない日常も描かれていますが、12歳になると徴兵されるという現実はとにかく重い。屋根に隠れて連行を逃れる子どもたちの抵抗。反政府と見なせば少年であっても問答無用で殺害する政府軍の行いが出てきます。

 母と子のきずなや異性との友情を描きながら、小さな彼らの力ではどうしようもできない圧倒的な力で、大人たちによる武力闘争が繰り返され、村が焼かれていく現実。ズシンとくる映画です。


推薦度 ★★★★☆
 


134 プルーフ・オブ・マイ・ライフ 鑑賞 レンタルDVDにて2006.10.11 

2006年 アメリカ映画 103分
監督 ジョン・マッデン(恋に落ちたシェークスピア)
出演 グウィネス・パルトロー アンソニー・ホプキンス ジェイク・ギレンホール ホープ・デヴィス 他


 キャサリンは27歳の誕生日を一人で祝っている。その席に父がたわ言を言いながら現われる。天才的数学者と呼ばれた父は一週間前に亡くなっていた。彼は10年以上、精神的な病気を煩っていた。キャサリンは、父の大学ではないシカゴ大学へ数学専攻で進学するが、途中で諦め、ずっと父の世話をしていた。今は落ち込んでいるキャサリン。アナリストの姉が帰ってきて葬式・家の処分を言い出す。父を省みなかったとぶつかるキャサリン。葬式の場でも爆発する。父が残した膨大なノートの中から「画期的な数式証明」が見つかる。キャサリンは「私が書いた」と主張するのだが‥‥。

 タイトルは「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」(私の人生の証明)。何とも意味深長なタイトルです。父の介護を続けたキャサリンの人生を証明するものは何か。その象徴として「画期的な数式証明」が出てきます。そのノートは父が書いたのか、キャサリンなのか。
 キャサリンは父の数学の血筋を引き継いでいるのは確かですが、父を超えるまでになっているのかとなると、世間は懐疑的なのが当然です。キャサリン自身も自分か書いたことを証明することはできないのです。あとは、キャサリンを信じるかどうか、です。
 見終わっても余韻の残る映画でした。


推薦度 ★★★☆☆
 


133 HINOKIO(ヒノキオ) 鑑賞 WOWOWにて 2006.10.5 

2005年 邦画
監督 秋山貴彦(ファイナル・ファンタジー)
出演 中村雅俊 本郷泰多 多部未華子 掘北真希他


 ある日小学校のあるクラスにロボットが登校する。「本田マサル」と名乗る。桧が使用されているから「ヒノキオ」と早速命名される。質問攻めに会う。H603というロボットで、サトルが遠隔操作をしている。クラスのガキ大将工藤ジュンら3人にいたずらされるロボット。仲間入りを希望して、仲間に。運動会の日、クラスの江里子が気になるサトルだった‥‥。

 ロボットを通して、小学生同士が交流していきます。面と向って話すことができない子どもの「交流の窓口」に「ロボット」を置くのが、メールでもなく、チャットでもなく、新しい試みで、楽しい。
 ガキ大将の工藤ジュンがいいな。
 ロボットを実写で映画に登場させるのは、大変だったのでは、と撮影の仕方が気になりました。うまく、動いているし、違和感もありません。ただ、ゲームの世界と現実の世界との交流の話はちょっとわからない。
 登校拒否の少年が心を開いていく物語としては、成功しています。


推薦度★★★☆☆

追伸
 多部未華子の演技がいいな、との印象は本物で、彼女はこの演技で2005年ブルーリボン賞新人賞を受賞していました(2006.10.12記)。


132 エイリアン・ネイション 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.10.4 

1988年 アメリカ映画
監督 グレアム・ベイカー(オーメン・最後の闘争)
出演 ジェームス・カーン マンディ・バティンキン テレンス・スタンプ他


 1991年カルフォルニア州の砂漠に異星人30万人が降り立つ。エイリアンは「ニューカマー」として地球人と共に生活するようになる。何年かのち、ロス市警のサイクスは相棒を殺される。サイクスは「ニューカマー」に偏見を持っていた。しかし新たな相棒は「ニューカマー」のサム・フランシスだった。事件の背景に「ニューカマー」特有の麻薬をめぐる黒幕の存在が浮かび上がってきた‥‥。

 舞台は近未来設定になっていて、異星人と一緒に暮らす地球人が異星人への偏見を取り除くことができるかというテーマを追っている気がします。当然のことながら異星人にも善と悪の人はいるということです。私の感想としては、何で異星人の話なの、というところが最後まで残りました。

 警察における「黒人」への偏見が問題になっていたことを考えると、「ニューカマー」=黒人と置き換えて考えたほうがしっくりきます。ストレートに表現できないところを監督は異星人の話として置き換えたのではないか、と感じました。

推薦度★★☆☆☆
 


131 男はつらいよ 旅と女と寅次郎(31作目) 鑑賞 BS2にて 2005.9.28

1983年 松竹映画
監督 山田洋次
出演 都はるみ 藤岡琢也 桜井センリ 北林谷栄 他


 久しぶりに柴又に帰った寅が甥の満男の運動会に出る出ないで一悶着。新潟に現われる。佐渡へ渡る船が出る港。一人の女性と出会う。佐渡へ渡るという。一緒に旅することになる。楽しい旅。その女性は実は有名な演歌歌手京はるみだった。そのことを知っても事情を聞こうとしない寅さん。周りが騒ぎ、プロダクションが駆けつけて、帰ることになる京はるみさんだった。‥‥。

 BSで放送されている寅さんシリーズの31作目。ゲストは都はるみさんです。有名な演歌歌手が役どころです(ジでいけるということ)。失恋で全てを忘れるために旅にでて寅さんと会い、また日常に帰っていくというパターンです。
 今回は、「佐渡おけさ」など挿入歌が場面を盛り上げる大切な役を果たしています。さながら「演歌映画」の様相です。それでも寅さんシリーズでありえるのは、柴又のトラヤの面々が健在だからです。ここでの人情なしには寅さん映画はありません。
 甥の満男が小学校の高学年になっています。映画の中で成長しています。

推薦度★★☆☆☆
 


130 そして、ひと粒のひかり 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.9.25 

2004年 アメリカ=コロンビア映画 101分
監督 ジョシュア・マーストン
出演 カタリーナ・サンディノ・モレノ イエニー・パオラ・ベガ ギリエド・ロペス
☆アカデミー賞主演女優賞ノミネート作品


 コロンビアの小さな町で暮らす17歳のマリアは生花を生産する工場に勤めていた。母と姉の3人暮らし、姉には乳児がいる。マリアの収入が家族を支えている。バーで友人と踊ったりして過ごしているが、軽く付き合っていた男友達の子どもを妊娠していることが分かる。工場主任と争いになってやめてしまうマリア。そんな時、踊りで知り合った男友達から声がかかる。「シュールにならないか」。それは、麻薬を詰めたゴム袋を丸ごと飲み込んで胃袋に保存しアメリカへ密輸入する運び屋のことだった。迷いながらも5,000ドルの報酬の魅力に引かれて、決行を決意するのだった‥‥。

 めずらしくコロンビア映画です。南米コロンビアで普通に働く女の子が「麻薬密輸入の運び屋」になる、というショッキングな現実がある、ことを伝える映画です。蚕の繭大の麻薬が詰まったゴム袋を62個も飲み込んで、アメリカへ運搬するのです。後を絶たないこうしたやり方に、空港ではこれはと思う客にはX線写真撮影を求めて、防止に努力しています。普通の女の子が引き込まれている現実が重いと思います。
 主演のカタリーナ・サンディノ・モレノは、この映画でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。監督も、いろいろな映画賞を受賞しています。
 タイトルにあるように「ひと粒」=お腹で順調に心音を発している胎児と共に生きようとするマリアの決意が未来への希望を表わしています。

推薦度★★★☆☆

 


129 ファイヤー・ウオール 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.9.24 

2006年 アメリカ映画 106分
監督 リチャード・ロンクレイン
出演 ハリソン・フォード ポール・ベタニー ヴァージニア・マドセン メアリ・リン・ライスカブ 他

 シアトルにある銀行のセキュリティシステムの責任者を務めるジャックは、合併問題に消極的だった。ボスに合併の話を持ちかけて近づいた男は、実は強盗グループだった。ボスに紹介された日車に乗り込んできたその男は「家族を預かった」という。妻と子どもの姉弟が家で監禁されていた。強盗の要求は、銀行のセキュリティを破ってお金を動かすことだった。妻子を人質にとられて絶体絶命の危機を乗り越えられるか‥‥。


 ハリソンフォードの最新作。家族が武装集団に家庭の中で人質になり、主人公はその家庭から職場に通わなければならない、という究極の「絶体絶命」を背負う主人公。抜け出る道は絶望的に見えます。先が読めないストーリー展開です。
 「ファイヤー・ウオール」とは、ネットワークに侵入されないように防御をする不正アクセス防止システムの意です。ジャックはその設計者ですが、強盗団に脅されて、自ら作成したファイヤー・ウオールを破って侵入し、操作することを強要されるという筋書きです。
 ハリソンフォードもちょっと高齢になったな、というのが印象です。幼い子ども二人の父親としてはちょっと高齢です。アクションもきつい。私なら「トムクルーズ」を推薦します。
 ジョンの秘書役で「メアリ・リン・ライスカブ」が出演しています。「24」でITに滅法強い女の子がいましたね。彼女です。私が見た映画の範囲では映画初お目見えです。観た瞬間にピンときて、後で調べてわかりました。こういう発見は楽しい。


推薦度★★★☆☆


128 炎のメモリー 鑑賞 CATVにて 2006.9.21 

2005年 アメリカ映画 116分
監督 ジョイ・ラッセル
出演 ホアキン・フェニックス ジョン・トラポルタ ロバート・パトリック ジャシンダ・バレット他


 ボルティモアの町。消防暑のハシゴ隊に属するジャックモリソンは、いち早く隊とともに火災現場に入り込んで被災者を救助する役目を持っていた。ビル火災に入り込んで残った被災者を救助する中で滑落し、一人取り残されてしまった。彼の脳裏に浮かんだのは入署した当時の楽しい思い出だった‥‥。

 消防署に勤める消防隊員の活躍を描いたドラマです。炎に囲まれるシーンはCGを使用せず可能な限り本物を追求して撮影したとあります。7回ぐらい消防車の出動シーンがありますが、皆本物ということです。出演者では、隊員のホアキン・フェニックスと署長のジョン・トラポルタの映画です。特にトラポルタがいい役どころをしています。署長として影・日向になって隊員の成長を助ける役。消防隊員の仕事は命がけであることが伝わってきます。

推薦度★★☆☆☆


127 エミリー・ローズ 鑑賞 2006.9.20 

2005年 アメリカ映画 120分
監督 スコット・デリクソン
出演 ローラ・リニー トム・ウイルキンソン キャンベル・スコット ジェニファー・カーペンター他


 19歳の女子大生エミリー・ローズは突然激しい幻覚とケイレンに襲われる。自宅で静養しても症状はひどくなるばかりだった。神父に相談して「悪魔払いの儀式」を行うが、失敗。神父は過失致死罪で裁判にかけられる‥‥。

 実際にアメリカで起こった実話に基づいた映画とのこと。最初「ホラー」では、と敬遠していたのですが、娘が「これはホラーではない」と勧めたので、鑑賞しました。神父の行った行為がエミリーローズを救う行為だったのか、が問われました。病気であれば「処方」に従う必要があるが、「悪魔が取りついている」のであるのなら、それは全く役立たない。宗教的な「お祓い」が必要となる。裁判としては、非常に扱いにくい「信仰と科学」のテーマに取り組んでいます。弁護人の活躍で、真相に近づいていくところがハイライトです。
 意味不明で怖い「ホラー」ではありませんでした。


推薦度★★★☆☆


126 シムソンズ 鑑賞 レンタルビデオにて 2006.9.20 

2006年 邦画 113分
監督 伊藤祐市
出演 加藤ローサ 藤井美菜 星井七瀬 高橋真唯 田中圭 大泉洋他


 北海道・登呂町の高校生伊藤和子は将来の自分が描けない。友人の林田史江と喫茶店でダベってストレス発散していた。登呂町には1998年長野オリンピックのカーリング競技に出場した英雄・加藤真人がいた。町に凱旋して試合がある。伊藤和子は「真人さま」で突っ走っていて、この試合を見に行く。彼から声をかけられた。「チームを作らないか」。史江を無理に引き込んで、あと一人クラスの小野菜摘に目をつける。直人が知る尾中美希を加えて4人。コーチにはこれも直人から大宮平太が紹介される。チーム名は「シムソンズ」と和子がつけた。準備はできたが何分全く知らない素人揃い。前途多難の毎日だった‥‥。

 2002年のソルトレイクシティ・オリンピックに出場した実話に基づいて、女子カーリング選手とチーム「シムソンズ」が誕生するまでを描く映画です。高校生チームをコミカルに描いています。「ホタテと遺跡とカーリングの町」登呂町。ここからは4年後のトリノオリンピック「青森チーム」メンバーのうち3人が出ています。文字通り、「カーリングの町」です。町営の「競技場」があって、町民みなが楽しんでいるとか。
 チーム名「SIMSONZ」がアニメの「SIMPSONZ」から「P」が抜けた逸話は笑えます。スポーツ根性ものになっていないのがいい。あくまでも楽しく笑顔で、コミック調に描いてあります。


推薦度★★★☆☆


125 パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト 鑑賞 大津セブンシネマにて 2006.9.18 

2006年 アメリカ映画
監督 ゴア・ヴァービンスキー
出演 ジョニーデップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ビル・ナイ他


 スワン提督の一人娘エリザベスとその許婚者ウイル・ターナーが突然逮捕される。そして、エリザベス釈放の条件として、ブラックパール号の船長ジャック・スパロウが持っている「羅針盤」を手に入れることを約束するウイル・ターナー。早速、スパロウに近づくウイル。しかし、スパロウには、恐ろしい約束があった。7年前、皆が恐れるディヴィ・ジョーンズと「魂」と引き換えに船を手に入れたのだ。7年が経過して、ジョーンズから督促が始まったのだ。逃げようとするスパロウ。そのために「宝の箱」のカギを探そうとしていた‥‥。 

 やっと観てきました。大津セブンシネマ・夫婦2000にて。3年前の「呪われた海賊」を映画館で観て、面白かったことから、「2」も観たいなと思っていました。
 今回のは、前ほどでもないけど、結構楽しめた映画ということでしょうか。「3」を予感させる終り方でした。次も、やっぱり映画館で観たいな、と思います。
 映像・音響など画面を楽しむ映画といったらいいでしょうか、次々展開する活劇の行方をハラハラしながら観る映画です。

 ジョニーデップが、身勝手で自分の都合で動きながら何か憎めないスパロウ役を楽しんで演じています。そのあと「チャーリーとチョコレート工場」に出演、ウイル役のオーランド・ブルームは「キングダム・ヘブン」の主役、エリザベス役のキーラ・ナイトレイは「プライドと偏見」の主役と、各々脚光を浴びています。

推薦度★★★☆☆


124 プラクティカル・マジック 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.9.16 

1998年 アメリカ映画 104分
監督 グリフィン・ダン
出演 サンドラ・ブロック ニコール・キッドマン ストッカード・チャニング ダイアン・ウイースト ゴウン・ヴィスニック他


 オーエンズ家の姉妹サリーとジリアンは両親を亡くしているが大の仲良し。叔母のジェットとフランシスと4人で暮らしている。姉妹の性格は対照的。姉は慎重派で、妹は行動派。実はオーエンズ家は魔法が使える魔女の家系で二人も少し使える。そのせいか代々、恋に落ちた男性は皆早死にしていた。姉・サリーは理想の男性を描いて恋を封印する。一方の妹ジリアンはジミーにくびったけで家を出て行く。ある時ジリアンからSOSの電話が‥‥。

 魔法が使える姉妹の恋の行方を追うラブ・ロマンス映画。サンドラブロックとニコールキッドマンが共演しています。魔法を使える魔女だけに、霊に取り付かれるとやっかいで、いろいろ呪いが出てきます。お愛嬌です。「スピード」の後のサンドラブロックと、「ムーランルージュ」の前のニコールキッドマンなので、主演は姉でサンドラ・ブロックということになっています。可もなく不可もなく、楽しめばいい映画です。


推薦度★★☆☆☆


123 ホステージ 鑑賞 WOWOWにて 2006.9.14 

2005年 アメリカ映画 113分
監督 フローレン・エミリオ・シリ
出演 ブルース・ウィルス ケヴィン・ボラック ジョナサン・タッカー ベン・フォスター他


 ジェフ・タリーはロサンゼルス市警の辣腕交渉人だったが、一度失敗をして犯人が妻と子どもを殺して自殺したことで深い傷を負った。今は田舎町カミーノで警察署長をしている。普段は事件の無い町だったが、デニスとケビンの兄弟とマースが加わった3人組が外れにある大邸宅に押し入ったことから事件となる。ウオルター・スミスの大邸宅は別の顔=暗黒犯罪組織を持っていた。完全なセキュリティシステムの家。14歳の娘ジェニファーと10歳の息子トミーは人質になる。訪れた警官をマースは射殺する。一斉に駆けつける警官隊は要塞と対峙する。その時、署長タリーの妻娘が何者かに誘拐される‥‥。

 先の読めないサスペンス映画です。「不屈の男」ブルースウィルスが全く別の2組が人質に取られるという二方面からの困難な敵と闘います。両者が一緒には成立しないという絶体絶命の危機をどう乗り切るか。ハラハラしながら観ることができたら、この映画は成功です。ブルース・ウィルスがイメージそのまま「不死身の警官」を演じています。

推薦度★★★☆☆
 


122 蝉しぐれ 鑑賞 WOWOWにて 2006.9.12 

2005年 東宝 131分
監督 黒土三男
原作 藤沢周平
出演 市川染五郎 木村佳乃 緒方拳 原田美枝子 今田耕司他


 東北の小藩海坂藩の下級武士助左衛門を父に持つ牧文四郎は、大雨の日、堤防の決壊場所の変更を願い出た父の勇気に接して父のようになりたいと、武道に励んでいた。ある日、藩の後継ぎ騒動に巻き込まれ、助左衛門は切腹させられてしまう。反逆者の汚名を着る文四郎。そんな中で幼馴染みのおふくと逸平だけが変わらず接してくれた。淡い恋心を残したまま、おふくは江戸へ立つ‥‥。

 2回目の鑑賞です。桜・雪・稲穂・田圃・川のせせらぎなどの田舎の風景によって、東北の四季の移ろいが画面画面に挿入されていて、非常に綺麗なゆったりとしたところが好きです。
 ストーリーは、藤沢周平の原作を追った”一人の人を何十年も思い続ける”時代劇ロマンです。木村佳乃さんの凛とした美しさが印象的です。
 ロケ地に滋賀県も選ばれています。彦根城南門の橋のところと近江八幡の八幡掘りを船で渡るシーンと。あと、偕楽園で撮影された場面もあったかと思います。
 
一回目は今年の5月でした。その時もいろいろ感想を書いています。そっちも参照してください。

推薦度★★★☆☆(2回目につき)
 


121 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(31作目) 鑑賞 BS2(録画)にて 2006.9.10

1982年12月公開 松竹映画
監督 山田洋次
出演 田中裕子、沢田研二、朝丘雪路、馬渕晴子他


 九州・別府のある宿に泊まった寅さんは三郎という青年と出会う。母のお骨を納めに来たと。この旅館で女中として働いていたという。旅館の主人は青年に感心して女中の知り合いだったものを集めて供養を行う。たまたま、その旅館に滞在した東京のデパートに勤める蛍子とゆかりも参加する。三郎は帰る途中で蛍子に声をかけるがゆかりも寅も一緒だった。4人のドライブ。船に乗る間際に「付き合ってくれ」と話す三郎に蛍子は答えに窮するのだった‥‥。

 大分の温泉と東京柴又、それに三郎青年が勤める動物園と遊園地、蛍子の勤める百貨店が舞台となっています。沢田研二と田中裕子が真面目に付き合って結婚の約束をするまでに寅さんが絡んで展開していく物語です。ロケは大分の温泉地で行われたようで、大分・湯平温泉、別府・鉄輪温泉、湯布院の名称が出ていました。湯平温泉のお湯は飲めるということでトラヤに送られてきていました。寅さんが二人の真中に立って、三郎の気持ちを蛍子に、蛍子の気持ちを三郎に伝える役をしています。惚れた話は得意でも、唯一、「結婚」の具体像を話できないのが寅さんの弱点です。経験がないから。その辺も上手に描かれています。

 田中裕子の演技は出色です。表情が豊かで、悲しい顔や楽しい顔、思い悩む顔などが画面にあふれます。

推薦度 ★★★★☆


120 山椒太夫 鑑賞 BS2(録画)にて 2006.9.6 

1954年 大映 124分
監督 溝口健二(1954年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)
撮影 宮川一夫
原作 森鴎外
出演 田中絹代 香川京子 花柳喜章 進藤英太郎 他


 平安朝末期。安寿と厨子王の父は国司を失脚して地方に流される。母と乳母と安寿と厨子王の4人が父を追って旅に出るが、途中由良川(?)付近で人買いに騙されて、母子が離別してしまう。兄妹は荘園を任されている山椒太夫の下に農奴として売られる。過酷な労働。母は遊女として佐渡へ売られる。母が歌う「安寿恋しやほうやれほ、厨子王恋しやようやれほ」‥‥。

 森鴎外の「山椒太夫」を映画化した溝口健二監督の代表作の一つです。ヴェネチア国際映画祭では、黒澤監督の「7人の侍」と金獅子賞を争っています。そうした国際的評価が高い作品。NHKの特集番組で放送したものを録画しておいて、今回鑑賞しました。

 時代背景の忠実な再現、ロングショットと空中からのカメラワーク、に特徴のある映画だと思いました。モノクロの迫力というのも感じました。原作は姉弟ですが、映画では兄弟でした。どっちがストーリーに相応しいか。姉が弟を思う心により共感しますが。荘園の農奴の扱いぶりや生活が再現されていて、そんなものかと関心しました。殆どがロングショットであるため、出演者の力量がそのまま反映されます。田中絹代の親が最後で厨子王と再会するシーンは圧巻でした。

 没後50年ですが、50周年を記念して弟子の新藤兼人監督が再映画化するとなったら、どんな映像になるか、考えるだけでも楽しくなります。ただ、今同じレベルの映画を作ることのできる映画環境があるか、となるとちょっと疑問です。

 日本映画全盛期の作品として輝いています。


推薦度★★★★☆


119 プライドと偏見 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.9.4

2005年 イギリス映画 127分
監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ(「パイレーツ・オブ・カビリアン」) マシュー・マクファディン ドナルド・サザーランド ブレッダ・ブレッシン ジュディ・デンチ 他


 18世紀末のイギリス。ベネット家には5人の姉妹がいた。彼女たちにとって「結婚」が最大の関心事だった。なぜなら、女性に財産相続の権利がない当時のイギリスにあって、ベネット家の姉妹に父親の財産権はなく、遠い親戚にいってしまうのです。そんな折、隣りに財産家のビンクリーが引っ越してきて、色めき立つ。社交界(舞踏会)で踊る長女のジェーンはビンクリーの心を捉える。次女のエリザベスは一緒にいたダーシーの高慢な態度に反発を覚える。ベネット家の5人姉妹の行方は‥‥。

 イギリスの女流作家ジェーン・オースティンの作品『高慢とプライド』を映画化した作品とのことです。イギリスで三回目の映画化(1940年・1995年)。文芸・ラブロマンスの映画です。

 タイトルの「プライドと偏見」が独特です。エリザベスとダーシーの恋の行方が、頑固で似た者同士ゆえに、プライドと偏見が邪魔をしてちっともうまく行かないというストーリー。18世紀末のイギリスの農村風景と大きな屋敷の中の装飾品を楽しむだけでも、値打ちがあります。キーラ・ナイトレイは、聡明でキリッとしていて、輝いています。

推薦度★★★☆☆


118 SAYURI(さゆり)鑑賞 レンタルDVDにて 2006.9.3 

2005年アメリカ映画
監督 ロブ・マーシャル(「シカゴ」)
出演 チャン・ツイイー ミシェル・ヨー コン・リー 渡辺謙 役所広司 桃井かおり 工藤夕貴 大後寿々花 他

 1930年代の日本、貧しい農家に生まれた千代は姉と共に置屋に売られる。姉は女郎に、妹は下働きをすることに。置き屋は初桃という芸者が全盛で、彼女一人でもっていた。厳しい働きに涙する千代は橋の上で「会長」に声をかけられる。もらったハンカチを大事に締って、彼女の支えとなる。もう一度会長に会いたい‥‥。やがて、美貌から芸者の道を歩み「さゆり」を名乗ることになるのだった。

 ハリウッドで話題となった映画をDVDで鑑賞しました。主な芸者役を中国の女優が演じているのが「国際的」です。制作には、スチーブン・スピルバーグが関わり、監督は「シカゴ」のロブ・マーシャルが起用されています。日本の俳優では「ラストサムライ」の渡辺謙、「シャルウイーダンス」の役所広司、桃井かおり、「北の零年」の子ども役の大後寿々花が出演しています。桃井かおりがドライで計算高い置き屋のおかあさんを熱演しています。さゆりの子ども時代・千代役を演じている大後寿々花は「北の零年」の子ども役からの抜擢とのこと。好印象です。

 日本の花柳界を描いた作品。日本の最も日本的と見られている芸者の世界を外国人が描いたところに新しさがあります。主な芸者3人は中国の女優さんです。CGを使用して日本の背景を上手に処理しながら、芸者の世界に「愛のために」という縦線を準備することで、普遍性を持たせています。

 個人的には、余り感動的ではありませんでした。

推薦度★★☆☆☆
 


117 新・平家物語(ニュープリント版) 鑑賞 BS2にて 2006.8.31 

1955年 大映映画 108分
監督 溝口健二
原作 吉川英治
撮影 宮川一夫
出演 市川雷蔵 久我美子 林成年 木暮実千代 大矢市次郎 他


 平安時代末期、藤原一族による宮廷支配の中で、武士の平田忠盛は西海の海賊を討伐して京の凱旋したが、宮廷からの恩賞はなかった。進言した藤原時信が謹慎させられたことを知った忠盛は息子清盛を使いに送る。そこで美しい娘・時子を見初める。比叡山延暦寺の僧兵との諍いを仲介した労で上廷を許される忠盛だったが、暗殺隊が待ち受けていた‥‥。

 吉川英治原作の『新・平家物語』の初めの部分、宮廷勢力から武士勢力へと時代が移り変わる変革の時代を描いた作品。1955年の作。日本映画の最盛期です。長いカットが多く、空中からの撮影も多い。今出川の忠盛邸などは、幾度か長いカットと空中撮影で撮られて、館全体の様子がよく分かるように撮影されています。また、出演者がすごい。CGは一切ない中で、二千人の僧兵が山を下るシーンなどは壮観です。都大路での僧兵と平一族との諍いのシーンは、群集何百人かが全て平安時代の服装で出演しています。上空からの撮影だから妥協はありません。こういうこだわりがすごいと思う。

 溝口健二監督没後50周年記念で、代表作品をBS2で連続放映していて、そのうちの一作です。見ごたえのある映画でした。

推薦度★★★☆☆


116 機関車先生 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.30 

2004年 邦画(同制作委員会)
監督 廣木 隆一
原作 伊集院 静
出演 吉岡誠吾 堺正章 倍賞美津子 伊武雅刀 他


 瀬戸内海に浮かぶ島・葉名島。第二次大戦中に島を脱出した夫婦の子どもが代用教員となって島を訪れる。吉岡誠吾は剣道の達人だが試合中「突き」によって声を奪われ、話すことができない。島の子どもたちは「口をきかん先生」ということで「機関車先生」と名づける。8人の子どもたちを相手にして授業が始まった‥‥。

 伊集院静の原作を映画化したものとのことです。「口をきけない」先生と子どもたちとの交流、機関車先生の親夫婦が島に残した足跡、漁業で生計を立てる島人の暮らし振り、子どもの世界などが静かに描かれていきます。8人の子どもたちが走り回る姿や飾らない言葉が印象的です。教師にとって、言葉を使わないで授業を行うことがいかに大変か、これは想像するだけで分かります。
 昭和30年代の時代設定。初期のテレビジョン画面から「月光仮面」の歌が流れてきていましたから、丁度、今の団塊の世代が8人の子どもたちに相当する頃ではないか、と思います。
 美しい島の景色と楠の巨木、こじんまりした小学校の風景、狭く続く石の階段、そうした背景画面を楽しむ映画でもあります。

推薦度★★★☆☆

 


115 MUSA−武士− 鑑賞 レンタルDVDにて  2006.8.30 

2001年 韓国・中国映画 133分
監督 キム・ソンス
出演 チャン・ツィイー チョン・ウソン チュ・ジンモ アン・ソンギ 他


 14世紀中国大陸での話。広く世界を支配した元から明の国が生まれようとしている時期。朝鮮半島には高麗王朝があり、明に使節団を送って親愛の情を示そうとするが逆にスパイ容疑をかけられ、砂漠へ流刑される。その途中元の部隊が襲ってきて明軍は全滅。高麗軍は残される。その元軍に明の王女ブヨン姫が捕まっていた。高麗軍のチェ・ジュン将軍は王女を明に届ければ親善が出来ると計算する。高麗へ帰るという意見を無視して姫を奪還する。元の部隊との死闘が始まる。

 韓国・中国の映画です。元の騎馬部隊と高麗部隊と、明の王女姫をめぐる死闘の話。決闘場面を見せ場にしています。剣の達人、槍の名人、弓の名人が出てきます。歴史背景は明・元・高麗で、力関係は余り分かりません。物語の行方もありますが、各々の闘いを楽しんだらいいと思います。知っている俳優ではチャン・ツィイー(LOVERS HERO 等)が出演しています。


推薦度★★★☆☆


114 ガール・ネクストドア(隣りのお嬢さん) 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.29 

2004年 アメリカ映画 110分 日本未公開
監督 ルーク・グリーンフィールド
出演 エリシア・カスバート エミール・ハーシュ(卒業の朝) ティモシー・オリファント他


 高校生マシューは優等生(生徒会長)で有名大学をめざしている。友人3人で三脚と呼んではいるが、勉強以外では、想像は働くが冴えないと思っている。そんな折、彼の家の隣りにダニエルと名乗る可愛い女性が引越ししてきた。一目ぼれしたマシュー。友だちがけしかけてデートを申し込んだりする。そのうち、彼女がAV女優であることが分かりショックを受けるマシュー。そんなダニエルの前に怪しげな男ケリーが現われる‥‥。

 青春ラブコメディです。日本未公開とのこと。邦題は『隣家のダニエル』でどうですか。隣りに引っ越してきた女の子に振り回されながら、彼女を好きになったことで、見えない周りが見えてきて、最後の学園生活をエンジョイしていく物語です。友だち3人組も楽しい。特に映画監督をめざす友人が楽しい。怪しげな男ケリーが大人の世界を垣間見せて、厚みを増しています。気楽に楽しめた映画でした。


推薦度★★☆☆☆
 

113 アップタウン・ガールズ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.28

2004年 アメリカ映画 93分
監督 ボアズ・イエーキン(タイタンズを忘れない)
出演 ブリタニー・マーフィー(8miles) ダコダ・ファニング(アイアムサム) マーリーシェルトン他


 22歳のモリーは、ロック歌手だった父の遺産で贅沢なアパート暮らしをしている。一方レコード会社のプロデューサーの8歳の娘レイは潔癖症。そのモリーが財産管理していた会計士に全財産を取られて一文無しとなりアパートを追放される。仕事をしたことがないモリーは友人の紹介でレイのベビーシッターをすることに。大人子どもと子ども大人という妙な組み合わせで、二人の対立が始まるのだった‥‥。

 アップタウンといえば日本では「山の手」のことか。そういうところで暮らしている(いずれも親の財力で)、性格が全く異なる二人の女性(22歳の子どものような女性と8歳の大人のような少女)が相対するとき、どうなるか。お嬢さん映画です。コメディタッチで描いた青春ものといえます。生活力がない、消費力ばかり、普通の遊びを知らない、理屈は一人前、親の放任、いろいろ発見があります。

 この手の映画は楽しんで見たらいいと思います。

推薦度★★☆☆☆


112 男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作目) 鑑賞 BS2にて 2006.8.26 

1981年12月公開
監督 山田洋次
出演 音無美紀子 小沢昭一 岸本加世子 前田武彦 東八郎他


 寅屋に同窓会のハガキが届く。寅が帰ってきて臨時参加する。同窓会の幹事は寅を歓迎しないが、かまわない。最後まで付き合ってくれたクリーニング屋に悪態をついて、総スカンを食う寅。次の日は旅へ。九州・柳川で漁師の娘愛子とめぐり合う。帰れと説得するが付いてきてテキヤ家業を手伝う。久留米・水天宮でテキヤ仲間常三郎の妻光江から声をかけられる。病気を知った寅は秋月の家に常三郎を見舞う。光枝は喜ぶが余命幾ばくも無いと告げる。「あとは頼む。光枝を妻に」と常三郎。請合う寅は、柴又に帰って、カタギを宣言するのだが‥‥。

 連続放映の28作目です。この頃の寅さんは油が乗り切っていて勢いがあります。「ネクタイ(堅気の象徴?)の寅さん」が初めて登場します。自らの恋となると不器用この上ない寅さん。常三郎との約束を光枝に問われて、正直に答えることができない寅さんです。副テーマ的に愛子(岸本加世子)が出ていますが、これが物語を明るくしてくれて非常にいい。生きのいい兄(地井武男)も出てきます。ロケ地は九州の柳川・久留米・秋月と静岡の焼津。特に秋月の風景が気に入りました。眼鏡橋の辺が非常に情緒があります。

推薦度★★★★☆


111 オリバー・ツイスト 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.22 

2005年 イギリス映画 129分
監督 ロマン・ポランスキー(戦場のピアニスト)
原作 ディケンズ
出演 バーニー・クラーク サー・ベン・キングスレー ハリー・イーデン他

 19世紀のイギリス。救貧院で10歳になったオリバー・ツイストはお粥のお代わりを主張して追放されてしまう。葬儀屋に引き取られるが、母を悪く言われて喧嘩となり飛び出す。7日間歩いてロンドンに着いた。スリの少年ドジャーと親しくなり身を寄せると少年たちを束ねるフェイギンを紹介され、スリの生活が始まる。気が優しいオリバーは初仕事の日に失敗してしまう。判事の前に出て「無実」を言うが聞き入れられない。目撃者が現われ救われるが、オリバーは被害者宅に行くことになる‥‥。

 文豪ディケンズの名作を映画化したとのこと。過去、ミュージカルや映画「オリバー!」(1968年)にもなっている。監督がロマン・ポランスキーであるのがミソ。彼が描いた19世紀のロンドンと無垢の少年の物語です。

 人物では少年たちを束ねるフェイギンの存在が際立っています。ベン・キングスレーが熱演しています。原作は全く知りませんので、映画として観ました。よく出来た映画だと思います。オリバーツイストという少年が19世紀のロンドンの下町で生きたということ。エピソードを入れながら、彼の周りの大人・子どもを描くことで時代を知ろうということかも。物語の盛り上がりとしては、淡々と進む感じです。

 推薦度★★★☆☆


110 シン・シティ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.21 

2005年 アメリカ映画
監督 ロバート・ロドリゲス
出演 ブルース・ウィルス ミッキー・ローク クライヴ・オーエン ベルチオ・デル・トロ他

 シン・シティ(罪の街)。ぶ男のマーヴは、優しくしてくれた女性の仇を討つために立ち上がる。自警者ドワイトは女の町を守ろうとする。刑事ハーディガンは幼女連続殺人の犯人を追っている。いずれもシンシティでの話。裏切りは日常。

 何とも表現しようのない映画。劇画を映像化したものというのか、モノトーン基調のまま、ストーリーの関連性も分からないまま、進んでいきます。バイオレンスが支配する街であることは確かです。独特の画像が最後まで続きます。

 こういう種類の映画はどうも苦手です。アメリカの劇画が原作ではないでしょうか。

推薦度★☆☆☆☆


109 ナルニア国物語 鑑賞 2006.8.20 

2006年 アメリカ映画
監督 アンドリュー・アダムソン
原作 ルイス「ナルニア国物語」第1作「ライオンと魔女」(1950年)
出演 ジョージー・ヘンリー スキャンダー・ケインズ ウイリアム・モーズリー アナ・ポップルウエル ティルダ・スウィントン他

 第二次大戦下のイギリス・ロンドン。ドイツ軍の空爆が激しくなり、ペベンシー一家の子ども4人は田舎に疎開することになった。カーク教授の家は古く広い。4人兄弟姉妹がかくれんぼ遊びをして、末娘のルーシーは衣装箪笥の中に隠れた。そこは真っ白い森の中だった。戻ってその話をしても誰も信じない。ある時、4人が揃って箪笥に入り、白い森を体験することになる。そこは、ナルニア国だった‥‥。


 冒険・ファンタジー映画。ディズニーらしい話です。原作があって、ルイスという作家がイギリスで1950年から7作にわたって発表したその第1作「ライオンと魔女」とのこと。

 ファンタジー映画ですからそのまま楽しんだらいいと思います。対戦シーンなどはCGも駆使されています。
 可もなく不可もない映画でした。


推薦度★★☆☆☆

 


108  博士の愛した数式 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.12

2006年 邦画
監督 小泉堯史(雨上がる 阿弥陀堂だより)
原作 小川洋子(同名の小説ー第一回本屋大賞受賞)
出演 寺尾聰 深津絵里 斉藤隆成 吉岡秀隆 浅丘ルり子他


 海辺のある高校のクラス。数学を担当することになった先生が自己紹介している。「ルート先生」。最初の授業なのでノートは取らなくて良い、といいながら、名前の言われから話を始める。彼は母子家庭で育ち、彼のお母さんは、家政婦をして彼を育てていた。その協会から紹介されたのは、11時から7時まで身の回りを世話して欲しいという「数学博士」の家。有望な大学教授だったが交通事故で記憶が途切れ、今の記憶は「80分」しか持たない、という。母屋には義理姉がひっそりと生活しているが、離れのことは離れで解決して欲しい、と念を押される。初対面の時、「君の靴のサイズはいくつかね」と聞く。「24です」と答えると、「24か、いいね、実にいいね、潔い数字だ。まあ、上がりたまえ」から会話が始まるのだった。

 映画館で観たかった映画をやっとDVDで鑑賞することができました。期待したとおりの大変いい映画でした。脚本は10歳の子どもが成長して数学の先生になり、一回目の授業の中で「博士」の思い出を語る、という形を採用しています。そのことで、「友愛数」「ルート」「虚数」「e」「素数」などの言葉が非常に印象的に語られていきます。全体が50分なりの授業、という絞まった構成にもなっています。 数学の授業で、こんな授業が最初の日になされたら、どんなに素晴らしいだろうと思いました。

 秋津さんの家政婦が明るくてエプロン姿が大変よく似合う俳優です。台所で食事を作っている時も、博士と桜の咲く古城の道を散歩する時も、エプロンがいい。

 博士や義理の姉の悩み、なども丁寧に描かれています。野球好きの10歳の少年もしっかり考え、行動しています。

 さわやかな印象が残るいい映画でした。

推薦度★★★★☆


107 ランド・オブ・プレンティ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.7 

2004年 アメリカ映画
監督 ヴィム・ベンダース(パリ・テキサス ベルリン天使の詩)
出演 ミシェル・ウイリアムズ ジョーン・ディール リチャード・エドソン ウエンテル・ヒアーズ バート・ヤング他


 伝導師の父とともにアフリカとイスラエルで過ごしていた20歳の少女ラナが10年ぶりにアメリカに帰ってきた。亡き母の手紙を叔父さんに会って渡すために。ロサンゼルスに到着したラナはホームレスの支援活動をしている伝道所に寝泊りしてボランティアを始める。一方、叔父のポールは、一人で「誇り高き自由の国・アメリカ」を守ろうと、追跡車に乗って「怪しい人物」の監視活動を続けている。9.11以降はアラブ人に焦点を当てていた。その両者が交錯する事件が起きる‥‥。

 表題は「豊富な国・豊かな国」。アメリカを象徴するタイトルとしながらその内実として、ロスのホームレスの人たち、ベトナム戦争のトラウマに悩む元兵士、外国で9.11を迎え、周りの人の反応にショックを受けて、改めて祖国を見つめなおす少女ラナなど、静かに展開する映画の中で、アメリカの実際を見つめていル映画です。伝導所でボランティアしながら叔父を探す少女の願いが叶う時、叔父との会話が始まり、叔父の隠された真実が浮かび上がってきます。

 大変地味ともいえる映画ですが、アメリカ内部で9.11を見つめた映画として非常に良い印象を受けました。

推薦度★★★☆☆
 


106 キング・コング 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.8.6 

2005年 アメリカ映画 134分
監督 ピーター・ジャクソン
出演 ナオミ・ワッツ ジャック・ブラック エイドリアン・ブロディ他


 1933年のニューヨークの話。映画監督カールは、脚本家ジャックと新人女優アンを巻き込んで、映画で一発逆転を狙う撮影航海に出発する。舟が着いたのはスカル・アイランド。うっそうと茂る樹木と30メートルの壁。島に生息するのは‥‥。

 アメリカ映画で第6作目となる伝統の映画です。今回は監督がロードオブザリングのピータージャクソンであるのが、ミソの映画です。ナオミ・ワッツが一人熱演しています。キングコングは実写とCGの組み合わせだと思いますが、表情などよく出来ています。

 スカルアイランドに生息する生物と侵入者の人間との闘いが一つの見物となっています。

 見世物映画といったら言い過ぎでしょうか。ストーリーを変更することはできない中での奮闘は拍手します。

推薦度★★☆☆☆


105 コーラス 鑑賞 BS2にて  2006.8.1 

2005年 フランス映画 96分
監督 クリストフ・バラティエ
出演 ジェラール・ジュニョ フランソワ・ベルレマン ジャン・バティスト・モニエ マリー・ビュネル


 世界的指揮者となっているピエールは母の葬儀に帰ってきた。そこへ古い友人ベビンが訪ねてきた。一冊の日記を携えて。音楽教師だったマチューのもの。ピエールはその日記の頁を開く。
 1949年のフランス。「池の底」という寄宿舎に音楽教師マチューがやってきた。校長は管理教育を徹底している。「やられたらやりかえせ」。マチューは疑問を感じる。マチューは生徒に歌を歌わせようとする。ついてこない生徒を何とか歌に向かわせようと努力するマチュー。学校の問題児ピエールは、実は素晴らしい歌声を持っていることを発見する‥‥。

 コーラスは2度目の鑑賞ですが、「天使の歌声」と呼ばれるボーイソプラノのピエールの歌声がとにかく素晴らしい。役柄は問題児でどこか憂愁の顔をしていますが、リヨンのサンマルク少年少女合唱団の現役団員が選ばれて出演しているとのこと。

 教師役マチュー役のジェラール・ジュニョは、少し道化気味に演技していますが、教師としての暖かさが感じられます。適役です。

 この映画はサウンドトラック盤を購入する値打ちがあると思います。


推薦度★★★☆☆(4つ星映画ながら2度目なので)
 


105 フライト・プラン 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.30 
2005年アメリカ映画
監督 ロベルト・シュヴェンケ
出演 ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン ピーター・サースガード エリカ・クリステンセン他


 カイルは失意の中で6歳の娘のジュリアとともに、ベルリンからニューヨークに帰る支度をしている。夫が突然、屋上から転落して亡くなったのだ。彼女は航空機の設計が仕事。乗り込んだE474は彼女も設計にかかわっていた。娘と乗り込んだ飛行機で居眠るカイル。目覚めた時、娘が居ない。探し回るが、見つからない。機長を呼ぶ。乗務員が子どものジュリアの搭乗記録がない、と言い出す。消えてしまった娘‥‥。


 封切り時に評判でしたが未見のまま、今回DVDで鑑賞しました。娘が消えたのは彼女の幻覚でもともと娘など乗っていないし、父親とともに亡くなっている、という画面の展開にはドキっとしました。その説得力もあります。結果は見ての楽しみですが、この映画はジョディ・フォスターのためにある映画ということがよく分かりました。

 彼女の執念が功を奏するか、どうかを追う映画ですが、事件の背後にある動機の解明の伏線が少し細いかな。

推薦度★★☆☆☆ 
 

104 あずみ2 鑑賞 WOWOWにて 2006.7.28

2005年 邦画
監督 金子修介
出演 上戸彩 石垣佑磨 栗山千明 小栗 旬他

 あずみは「ながら」と共に「使命」を全うしようとする旅の途中で夜盗集団に会う。その統領・銀角は「なち」にウリ二つだった。真田昌幸を追う二人に「こずえ」が加わる。真田を守る上野甲賀衆との死闘の幕が開く。‥‥。

 「あずみ」を見ましたので、その続きということで、「あずみ2」を鑑賞しました。上戸彩の映画です。コミックが原作の映画です。特別、感想はありません。唯一、上野甲賀衆のうち巨漢の男がやたらと強かった。これが面白かったくらいか。


推薦度★☆☆☆☆


103 大停電の夜に 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.26 

2005年 邦画 132分
監督 源孝志
出演 豊川悦司 田口モトロヲ 原田知世 吉川晃司 寺島しのぶ 井川遥 淡島千景 宇津井健

 12月24日の夜の東京。クリスマス・イヴの夜。華やかに光る電気が一斉に消えて大停電になります。特別な夜の特別な暗闇だから、今まで秘められていた心が各々開いて行きます。バーのマスターと蝋燭屋の女店主、不倫関係の男とその妻、元やくざの男と分かれて子どもがいる元愛人、OLと中国から来ているホテル研修生、天体マニアの少年と人気モデル嬢、クルマ一筋の熟年亭主とその妻、これら6組12名の男女が実は「秘めた秘密」を持っていて、クリスマスの特別な夜だから、停電の夜だから、秘密に忠実になろうと心を開いていく‥‥。

 12名の男女が各々「秘密」を持っていて、それが特別な夜だから心を開いて、行動を起こしていく物語です。最初は12名がどんな境遇にあるかを理解する時間が必要ですが、それらが絡まりあって、物語が展開しだすと、画面に引き付けられていきます。特別な夜に、いいことやかなしいことや切ないことやが起こります。

 たった一夜の物語。面白い着想の映画でした。

 美人モデル嬢と行動をともにして胸をときめかせる天体マニアの少年が可愛い。また、バーのマスターの元恋人・今は人妻の原田知世は、セリフなく表情だけで言葉を語ります。

 李冬冬の名前でホテルのポーターに扮しているのが若手俳優・安部力さんです。彼の中国での名前が李冬冬です。
かれのこの映画での写真集を読んで感想を載せています。

推薦度★★★☆☆


102 キッド 鑑賞 BS2にて 2006.7.26 (102本目/150本/年)

1920年アメリカ映画54分
監督 チャーリーズ・チャプリン
出演 チャーリーズ・チャプリン他

 キャプリンは一人暮らし。街を歩いていて「赤ちゃん」を拾う。「この子をよろしくお願いします」の手紙。見放そうとするが警官に見つかったりしてうまく行かない。結局自ら育てることにする。5年後、子どもは成長して今や家族の一員。ガラスを割って父親がガラスを販売するコンビ。母親は今やスターとなっているが昔捨てた子どもが気になって仕方がない。ある時、チャリティーで子どもと遭遇するがそんな事情は互いに分からない。‥‥。

 チャプリンの無声映画です。1920年の作。実に86年前の映画です。それだけでも貴重な映画です。帽子とステッキと靴、燕尾服という独特の出で立ちで既に登場しています。目を黒く塗っているのも同じ。チャプリンが拾った子どもを育てる親子愛のストーリーで、喜劇性よりもドラマ性に重きをおいているように見えました。時々、大きな文字でセリフが入るのは、これが無声映画と、新鮮です。
 このあと、円熟味を増していく初期の作品として、興味を持って見ました。


推薦度★★☆☆☆


101 君の帰る場所 アントワン・フィッシャー 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.20 

2002年 アメリカ映画
監督 デンゼル・ワシントン
出演 デレク・ルーク ジョイ・ブライアント デンゼル・ワシントン サリー・リチャードソン アール・ビリングス

 アメリカ海軍の水兵アントワンは喧嘩っ早くて、いつも同僚とトラブルを起こし、降格などの処分を受けている。今回の処分は精神科医に通うというものだった。担当医ダヴェンポートが聞く問いに「家族はいない。岩の下で生まれた」と心を開かない。彼には気になる女の子がいた。同じ軍隊にいるが、声をかけるタイミングを計っている。担当医に生い立ちを語るように促されたアントワンは、次第に担当医の問いに答えるようになる。その生い立ちは、何と過酷な内容であることか‥‥。


 監督がデンゼル・ワシントンです。出演兼監督です。アントワンが語る生い立ちの記がすごい。過去の全てを断ち切っているアントワンが「心を開いて帰ることのできる場所」を見つけることができるのか、をテーマに描いています。アントワンが自らのルーツを掘り当てた時、そこに待っていたものは何か。

 担当医自身も奥さんとの関係で問題を抱えているようですが、それは余り浮き上がってきません。監督業に忙しいデンゼルワシントンでした。


推薦度★★★☆☆
 


100 タクシー・ドライバー 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.20 

1976年 アメリカ映画
監督 マーティン・スコシージ
出演 ロバート・デニーロ シビル・シェパード ピーター・ボイル ジョディ・フォスター アルバート・ブルックス他

 ベトナム戦争時代のニューヨーク。タクシー運転手トラビス・ビックスは、一人住まい。夜のニューヨーク、ネオンと雑踏の中商売のタクシーを流しながら孤独な日々を送っている。大統領候補パランタイン選挙事務所で働くベッツイを見初め、デートに誘い行った先がポルノ映画館だったことから、絶交されてしまう。世の中を浄化することを決意してピストルを入手し、身体を鍛錬する日々が始まる‥‥。


 ロバート・デニーロの出世作。ニューヨークで働くニヒルで思い込みが激しい青年。世の中の浄化に燃えるという役柄。孤独な青年を圧倒的な存在感で好演しています。若い頃の(13歳の設定)ジョディ・フォスターが娼婦役で出演しています。若いですが目の付近が今の彼女につながっています。
 印象に残る映画です。

推薦度★★★☆☆


 この映画が記念すべき100本目の鑑賞となりました。レンタルDVD中心ですが、今年は順調に鑑賞できています。
 目標が達成されましたので、新たに設定ということで、
 『年間150本の鑑賞』
を新たな目標にしたいと思います。


99 ヴェニスの商人 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.19 

2004年 アメリカ・イタリア映画
監督 マイケル・ラドフォード
出演 アル・パチーノ ジェレミー・アイアンズ ジョセフ・ファインズ リン・コリンズ他

 16世紀のヴェニス。ユダヤ教を信じる者はゲットーに隔離され、色の違う帽子を被ることを強制されていた。金貸しを生業にするユダヤ人が利子を取ることを「品がない」と避難する始末だった。キリスト教徒のバッサーニオは、ポーシャに気に入れられるために友人アントーニオにお金を都合してくれるように頼む。アントーニオの全財産は船とともにあった。ユダヤ人金貸しのシャイロックにお金を借りようとするアントーニオだったが、ユダヤ教を敵視するため、シャイロックからは嫌われていた。そこでシャイロックが出した条件が「期限までに返還しなければ肉1ポンドを支払う」という証文だった‥‥。

 シェークスピアの劇「ヴェニスの商人」を映画化したものです。ストーリーはよく知られているとおりですが、演ずる俳優の顔ぶれ、衣装、セリフの重厚さを楽しむ映画です。よく出来ていると思います。シャイロックを演じたアル・パチーノがやはり中心です。独特のダミ声でまくし立てるセリフが周りの者を巻き込んでいよいよ裁判の場へと向かっていきます。

推薦度★★★☆☆ 
 


98 ストレイト・ストーリー 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.18 

1999年 アメリカ映画
監督 ディヴィッド・リンチ
出演 リチャード・ファーズワース シシー・スペイセク ハリー・ディーン・スタントン他


 アメリカアイオワ州のローレンスという街にアルビン・ストレイトは娘リリーと一緒に暮らしている。73歳。ある日倒れて歩くには両手に杖が必要となった。そんな時、喧嘩が元で10年以上行き来がなかった兄が倒れたことを知る。隣りのウエスコンシン州マウント・ザイオンの街、距離にして350マイルも離れている。アルビンは、兄を訪ねることを決意する。しかし、目が悪いため運転免許がなく、腰が痛くてバスに乗ることもできない。そこで彼はトラクターに乗って移動することにしたのだった‥‥。

 350マイルをトラクターで移動する「ロードムービー」です。73歳の老人アルビンがいい。旅の途中で会う人々との会話、落ち着いた語り口、頑固といって止まない性格。トラクターによる移動に驚き、話しかけてくる人たち。最後兄も、トラクターで来たことを知って感謝の表情を見せます。
 途中で、昔見たことを思い出しました。2回目の鑑賞でしたが、暖かい雰囲気に包まれる映画です。

推薦度★★★☆
 


97 ブレイブ・ストーリー 鑑賞 大津セブンシネマにて 2006.7.17 

2006年 日本アニメ
監督 千明孝一
原作 宮部みゆき(「ブレイブ・ストーリー」文庫で上/中/下)
声の出演 松たか子 大泉洋 常盤貴子 ウエンツ瑛士 今井美樹他

 小学5年生の三谷亘(ワタル)は、幽霊ビルで不思議な橋を渡る少年を見る。翌日、学校に転校生してきた芦川美鶴(ミツル)に非常によく似ていた。ガキ大将が幽霊ビルで遊ぶなとミツルを殴るのを見つけて止めに入るワタル。実はミツルはすごい力を持っていた。「橋を渡ってビジョンの世界へ行き運命を変える」。折りしもワタルの父親は愛人の元に去り、母親は心労で倒れてしまう。「大切な家族を取り戻したい」。ワタルは自らの運命を変えるために「幻界(ビジョン)」へ旅立つことを決意するのだった‥‥。


 原作を読了している妻の勧めで一緒に鑑賞しました。私は読んでいません。解説によると、宮部みゆきの原作は長編で、登場人物・エピソードが盛り沢山なため、二時間アニメにするにあたっていかにストーリーを立てていくかが最大の課題だったとのこと。そのため、苦闘一年半、シナリオは17稿に及んだと言います。そうした努力の上に出来上がったアニメです。

 全く原作を知らなくても十分に楽しめる内容でした。逆に知っていると、あの場面はもっとこういう意味もあったとか、不満が残るのかも知れません。

 「運命との闘い」で最も大切なものは先ず自らの心のあり方であること。そして、冒険の旅の途中で得た友達が何にも替えがたい宝であること。鑑賞した子どもの心に、メッセージがきっと届いたと思います。

推薦度★★★☆☆ 


96 釣りバカ日誌16−浜崎は今日もダメだった− 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.16 

2005年 松竹
監督 朝原雄三
出演 西田敏行 三国連太郎 浅田美代子 ボビー・オロゴン他

 鈴木建設が手掛けた佐世保市の第二西海橋が完成、連結式が行われることになった。ハマちゃんは営業で腕を振るったと式の参加が認められた。さっそく、九十九島で釣りを計画する。段取りと頼んだ設計担当の久保田には、恋人がいた。佐世保でアメリカの釣りバカ青年ボブと一緒に釣りに出たハマちゃん。そのハマちゃんが行方不明になってしまう。


 人気シリーズの第16弾。舞台(ロケ地)は長崎と佐世保です。今回は、ハマちゃんは完全に道化役を買って出ています。設計の久保田と恋人美鈴が見事ゴールインできるか、という縦線が最後まで物語の主役です。ボビーも映画で奮闘しています。アメリカ海軍が絡むことで話は国際的に見えますが、何のことはない、ハマちゃんの失敗から出た話。

 主役であるはずのハマちゃんが周りとなる話、こんなストーリーもいいでしょう。
 蛇足ですが、副タイトルは『長崎は今日も雨だった』から来ています。きっと。

推薦度★★★☆☆


95 男はつらいよ 寅次郎あじさいの花 観賞 レンタルDVDにて 2006.7.14 

男はつらいよシリーズ第29作目 
出演 いしだあゆみ 片岡仁左衛門 柄本明他
ロケ地 京都・丹後半島 信濃大町 鎌倉 他

 過日訪れた丹後半島・伊根町がロケ地になっている寅さん映画を探し出して、さっそくレンタルしてきて再鑑賞しました。

 この作が唯一マドンナに惚れられてオロオロする寅さんがいます。いしだあゆみは元歌手ですが、立派な俳優です。(朝ドラ「君の名は」にも出演しています。)。暗い表情と明るい表情が非常にはっきりしていて、伊根町が「あかり」の故郷として、丹後ちりめんとともに船屋が登場していました。

 宮津から遊覧船ではなく、半島回りのバスで着いた寅さんは、船屋が並ぶ細い道をあかりの家を探して歩きます。船屋から見た寅さんのカットもあります。あかりの家を見つけると、中では、母親が丹後ちりめんの機を織っています。一晩の宿をお世話になる寅さんですが、翌朝、玄関横の水道の蛇口のところに、タオルと歯ブラシが用意されていて、あかりの子どもは学校へ行く途中。これらの場面はみな保存しておきたい風景です。

 エンディングには、旅に出た寅さんが口上を並べているのが彦根城の正門入り口あたり、通りかかった片岡仁左衛門から声がかかって、画面はそのままずーと引かれて、彦根駅方面が一望されるカットとなって、「完」の文字がでました。

 伊根町と彦根城と、なかなか縁のあるところがロケ地に選ばれている作品で、再鑑賞の価値がありました。

推薦度★★★☆☆
 


94 卒業の朝 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.12 

2004年 アメリカ映画 109分
監督 マイケル・ホフマン
出演 ケヴィン・クライン エミール・ハーシュ エンベス・ディヴィッツ ロブ・モロー

 アメリカのエリート校聖ベネティクト男子校で歴史学の教鞭をとるハンダート先生。古代地中海の文化をテーマに、生徒を授業に引き付けて生徒からも信頼されている。そこへ一人の転校生ベルが現われる。彼は上院議員の息子。教師に反抗的で、校則破りを繰り返し、徐々に周りの生徒を巻き込んでいく。この高校には名物の催し物「ジュリアス・シーザーコンテスト」がある。ローマ帝国に関する問題に解答するゲーム大会。最後の3人が壇上で勝負する名誉を得る。その一人にベルが選ばれるのだが‥‥。

 教師と生徒の交流を描く映画ですが、一味異なっています。それは、「生徒の人格を形成するのは教師ではない、親だ」という上院議員の言葉に現われた問題。ベルは、ハンダート先生の努力に拘わらず、その言葉そのままに「親」のように育っていくのです。そしてベルが上院議員との関係で感じた冷たさ・無関心さは、今度はベルの子どもとベルとの間にも生まれたことを予感させる構成になっています。

 一人の生徒によって教育の信念が揺らいだ先生ですが、彼以外の残りの生徒は皆、教師の期待どおり信念どおり成長しています。考えてみれば、全てがうまく行かないのは、むしろ当然です。この映画は、そのうまく行かないところに焦点を当てていますので、先生の挫折感が大きく見えます。

推薦度★★☆☆☆


93 インフェルノ・ビロウ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.7.11 

2003年 イタリア映画
監督 アンドレア・フラッツイ
出演 クラウディオ・アメンドーラ マリア・グラツイア・クチノッタ アントニオ・マンジーニ モニカ・ベルッチ他

 イタリアをはじめ各国からベルギーの炭鉱に出稼ぎに来ている人たちがいました。ヨーロッパ有数の炭鉱・マンシネル炭鉱。1956年、この炭鉱で地下火災による大災害がおこります。

 パニック映画です。炭鉱夫となってマンシネル炭鉱に集まってきている人々の各々の事情を描きながら、全ての話は一点へ、炭鉱災害へと収斂していきます。地下900mに閉じ込められた270名の炭鉱夫。大惨事となった炭鉱事故を再現しています。猛威を振るう炎の恐ろしさ。

 地下900mでは逃げようもありません。鎮火は地上から大量の水を流し込むこと。生き残ることは殆ど不可能に近い状況です。

 珍しくイタリア映画でした。

推薦度★★☆☆☆

 


92 判決前夜(ビフォア・アンド・アフター) 鑑賞 WOWOWにて 2006.7.6 

1996年 アメリカ映画 108分
監督 バーペット・シュローダー
出演 メリル・ストリープ リーアム・ニーソン エドワード・ファーロング ジュリア・ウェルドン他

 ニューハンプシャー州のある町の小児科医キャロラインは検死を依頼された死体を見て驚く。息子ジェイコブのクラスメートマーサだった。夫は彫刻家、妹ジュデスの4人家族。警察署長が訪ねてきて息子に嫌疑がかかっていると告げる。ジェイコブは家から消えていた。夫は署長を追い返して息子の自動車を調べると血の付いたジャッキが見つかり、動揺してしまう。


 息子が犯罪に巻き込まれた時の家族の動揺と対応を描くサスペンス映画。被害者側は余り出てこなくて、息子と家族側から描いているのが特徴。「真実」と「家族を守る」間で揺れ動く夫婦の気持ちを丁寧に描いています。

 俳優はメリル・ストリープとリーアム・ニーソンのベテランが夫婦役です。母親は真実を語ることが家族を守ることだと主張し、父親は子どもを犯人から守ることが家族を守ることだ、と主張します。難しい課題の提起です。両者の言い分のどちらかによって決着し、家族は「アフター」を迎えるのです。


推薦度★★★☆☆


91 ベルンの奇跡 鑑賞 BSにて 2006.7.6

2003年 ドイツ映画 117分
監督 ゼーンケ・ヴォルトマン
出演 ルーイ・クラムロート べーたー・ローマイヤー他

 1954年サッカーワールドカップ・スイス大会で「奇跡の優勝」と語り継がれている西ドイツチームの優勝を追った映画です。半分を過ぎた決勝戦のところから鑑賞しました。

 常勝ブルガリア(Aマッチでは4年間28連勝)と闘った決勝戦。1945年の敗戦以降、復興の途上にあった西ドイツがワールドカップに復帰を許され、参加した大会で決勝戦まで勝ち進んだのです。

 その決勝戦も白熱した試合で、ブルガリアが2点先行して絶対的優位だったのですが、ドイツが3点を入れて逆転しました。まさに「奇跡の逆転優勝」です。復興当時の西ドイツ国民の熱狂が聞こえてきそうな映画です。

 記録映画ではありませんが、映画的構成とかエピソードの挿入とかは無関係に、優勝という事実を再現しているだけで十分と考えたらよい映画です。公開当時、ドイツでは360万人が鑑賞し3週連続一位だったと紹介にありました。

 今開催されているワールドカップ・ドイツ大会では、ドイツが準決勝でイタリアと対戦して、延長戦の末、残り1分で得点を許して敗戦し、決勝へ進出することはできませんでした。

推薦度★★☆☆☆


90 ルパン 鑑賞 レンタルDVDにて  2006.7.4 

2004年 フランス映画
監督 ジャン=ポール・サロメ
出演 ロマン・デュリス クリスティン・トーマス・スコット エヴァ・グリーン パスカル・グレゴリー他

 アルセーヌ少年は父の命令で「マリーアントワネットの首飾り」を盗むが、翌日、父は殺されていた。15年後、アルセーヌは王家の財宝の話を耳にする。十字架に秘密があると。カリオストロ夫人が処刑されようとしている所を助けたアルセーヌは、彼女と恋に落ちるが、彼女には実は別の顔があった。

 フランスで1905年に生まれた『怪盗ルパン』の話(全58編)は今でも愛されています。日本の「ルパン三世」との関連は不案内です。

 この映画は、「カリオストロ夫人」「813」「奇厳城」から物語を取って脚本されているとあります。宝捜しに恋物語を絡ませた冒険活劇ですから、可もなく不可もなく、そのまま楽しんだらいいと思います。

 特に、宝石の提供が「カルティエ」だそうですから宝石を鑑賞する値打ちがあります。とはいえ「マリーアントワネットの首飾り」は、イミテーションです。当たり前か。

推薦度★★☆☆☆ 
 


89 イン・アメリカ 3つの小さな願いごと 鑑賞  レンタルDVDにて  2006.6.27

2004年 アメリカ映画
監督 ジム・シェリダン
出演 パティ・コンシダイン サマンサ・モートン サラ・ボルジャー エマ・ボルジャー 他

 アイルランドからカナダ経由でアメリカへ来た四人家族。ジョニーは俳優志望、妻サラは元教師。長女クリスティはビデオ撮影が趣味、妹アリエルの 4人家族だ。行き着いた先はハーレムにあるボロボロアパート。サラは教師の仕事がなくパン屋で働き始める。ジョニーはオーディションを受けるがうまく行かず、タクシーの運転手をしている。実はこの家族には息子フランキーが居たが、怪我がもとで脳に腫瘍ができて亡くなっていた。両親ともフランキーの死を引きずっていた。サラが妊娠したことが分かったとき、フランキーの思い出と交錯して、取り乱す家族‥‥。

 独特のアングルで撮っている作品です。長女クリステーが趣味としているビデオの目からの撮影が時々出てきます。解説もクリスティからなされています。そのことが、全体を柔らかい・暖かいものにしています。

 アイルランド移民・ハーレム・麻薬・エイズ等、社会の底にたまった問題が一挙に噴き出すような舞台設定でありながら、何となく暖かく感じられるのは長女・クリスティのお陰です。彼女が主役の映画です。大人びている役をしっかりこなしています。瞳もしぐさも非常に可愛い。

推薦度★★★☆☆


88 ダニー・ザ・ドッグ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.6.26 

2005年 アメリカ映画
監督 ルイ・レテリエ
出演 ジェット・リー モーガンフリーマン ボブ・ホスキンス ケリー・コンドン 他

 高利貸しバートの所で「育てられた」ダニーは、闘犬として、取り立ての用心棒の役を果たしていた。首輪があると大人しく、首輪が外れるとやたらに強いダニー。彼は自分の過去が思い出せないでいる。ある時、盲目のピアノ調律士サムに出会う。彼のピアノの旋律に何故か安らぎを覚えるダニー。高利貸しの乗った車が襲われ、ダニーはサムの仕事場へたどり着く。彼の家には娘のビクトリアがピアノを習っていた。過去を知りたいダニーだが、バートに居所を知られてしまう。

 アクションスター・ジェットリーの最新作。人間が闘犬として育てられるというのはちょっと有り得ない話ですが、やたらと強い格闘場面が見せ場のひとつです。それと、モーツアルトのピアノ曲(K331ではないか?)との組み合わせが妙です。
 モーガン・フリーマンがサングラスの奥の冷静な目から、事態の成り行きを語るところはさすがです。

 単純なストーリーで、深みを感じることはできませんでしたが、アクションを楽しむ映画として観てはいかがでしょう。

推薦度★★☆☆☆


87 逆境ナイン 鑑賞 2006.6.25 CATVにて 

2005年 邦画
監督 羽住英一郎
出演 玉山鉄二 堀北真希 田中直樹 藤岡弘他

 全力学園の野球部は弱小につき、廃部を言い渡される。キャプテン不屈闘志は、校長の前で「甲子園出場」を宣言する。9名の部員で可能かどうか、ではなく、決めたら出るのが不屈の生き方です。特訓くらいで野球が上手になるかは、問わずに、マネージャーの月田に恋心を抱いたり、ハチャメチャだが、最後には男・不屈が、決まるから不思議だ‥‥。

 スポーツ根性モノの漫画(原作は島本和彦)を「海猿」の羽住監督が映画化したものです。コメディには違いないが、実写で撮る映画で表現するにはちょっと無理があったんじゃないかな、と思いました。ハチャメチャを実写で映像化するのは、非常に難しいのです。

 この種の映画は笑いを取れないと、観るほうがしらけてしまいます。30分で止めようかと思いながら、とにかく最後まで観ましたから、関心です。

 「タッチ」は未見ですが、比較してみようと思います。


推薦度★☆☆☆☆


86 みんな誰かの愛しい人 鑑賞 WOWOWにて 2006.6.21 

2004年 フランス映画 112分
監督 アンエス・ジャウイ
出演 マリルー・ベリ ジャン=ピエール・バクリ アニエス・ジャウイ カイン・ボーヒーザ ロラン・グ他
カンヌ国際映画祭で脚本賞受賞

 フランスの有名な作家を父に持つ20歳の娘ロリータは、太り気味の容姿が冴えないことで自分に自信が持てない。父には、ロリータと年齢が余り変わらない若い妻と一人の子どもがいる。ロリータは唯一の長所と思っている「歌唱」で父に認めてもらおうとするが、父は全く興味を示さない。父の名前を告げることで相手の態度が変わることも気になって仕方がない。父に近づこうとして私に接しているのだ、と。彼女は「歌唱」を習うのだか‥‥。

 作家とその取り巻きの会話、娘と作家の会話、娘に近づいてくる者との会話、そうした日常を描いている作品。私には、何をどうしたいのか、よくわからなかった。劣等感を持った20歳の娘の不安定な心を描いた映画とでも表現すればいいでしょうか。有名作家の娘であることがどれほどのことなのか、よく分かりません。

 この種の映画はちょっと苦手です。会話はきつい言葉が行き交っている。これが日常会話ではやりきれない。

 (午後8時からの放送でたまたま鑑賞した映画でした)


推薦度★☆☆☆☆
 


85 シモーヌ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.6.20 

2003年 アメリカ映画
監督 アンドリュー・ニコル
出演 アル・パチーノ レイチェル・ロバーツ ウイノナ・ライダー キャサリン・キーナー他

 映画監督ヴィクター・タランスキーは、かってはアカデミー賞にノミネートされたこともあるが、最近は失敗作続き。新鋭女優ニコラには主演女優を断られてしまう。映画プロデューサーの元妻からクビを言い渡される始末。そんな時、タランスキー監督に心酔するハンクが現われ、CGで女優を創るPCソフトを渡される。彼は死亡するが、そのPCソフトは完璧だった。タランスキーは、「シモーヌ」という女優を創造する。そして主演女優に。映画は当り、シモーヌは一大女優に。もう創造上の人物とは明かせなくなってしまった‥‥。

 アル・パチーノが主演する喜劇。楽しく観ることができました。映画1作で天国にも地獄にもなる監督と俳優の世界に、CG女優を登場させたらどうなるか。しかも映画が当って一大女優となった時、謎が神秘性となって、より人気を高める方向に作用して、タランスキー監督が彼女をおとしめる作品を作っても、もはや人気は落ちない。彼の手に負えなくなったCG女優。

 ハリウッドの世界をある意味では非常に皮肉っています。当った女優は天国となり、当らなかった監督は地獄となる。群集心理の代表・マスコミが必死になってシモーヌを追いかける様はこっけいです。

推薦度★★★☆☆ 
 


84 誰がために 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.6.19

2005年 邦画
監督 日向寺太郎
出演 浅野忠信 エリカ 池脇千鶴 小池徹平 宮下順子 烏丸せつ子他

 東京・下町のある写真館。親が急死して写真館の後を継いでいるのは民郎。かってはパレスチナ等を渡り歩く写真家だった。民郎の幼馴染みのマリが大学卒業記念の写真を撮りに写真館を訪れた時友達を連れてきた。亜弥子。彼女は写真に興味があった。いつか、付き合うようになる。妊娠して、結婚を決意した時、事件が起こってしまう‥‥。

 主人公民郎の受難の物語です。最愛の許婚者が目の前から突然消え、犯罪者が「軽い罰しか受けない」と知ったとき、「あなたは、罪を許せますか」がキャッチフレーズの映画です。

 少年法の話が出てきます。被害者が「なぜ?」を知りたいと思っても、家庭裁判所の審判は非公開で議事録を閲覧することしか許されないこと。少年の更生が目的であるので、思いのほか早く少年院から出所して社会生活に戻ってきたとき、民郎の「罪は自分の命で償え」という「許せない気持ち」をどこにぶつけたらいいのか。幼馴染みのマリが民郎を好いていることも加わって、静かなうちにも狂気をかもし出していく浅野の顔の表情が上手です。

 浅野忠信さんはこの演技で2005年毎日映画コンクール男優主演賞を受賞しています。

 亜弥子を演じたエリカは、非常に瞳がはっきりしていてきれいな女優です。気に入りました。


推薦度★★★☆☆

 


83 ピアニスト 鑑賞 レンタルDVDにて  2006.6.15 

2002年 フランス映画 132分
監督 ミヒャエル・ハネケ
出演 イザベル・ユベール ブノワ・マジメル アニー・ジラルド アンナ・シガレヴィッチ他


 音楽の都ウイーン。エリカは母と一緒に暮らしている。40歳を過ぎて中年女性になっている。ウイーン国立音楽院のピアノ教授をしている。彼女の私的な演奏会で好青年ワルターのピアノ演奏に才能を見出したが、彼女からは何もしなかった。しかし、ワルターはエリカに好意を示して、遂には音楽院の生徒になって彼女に近づいてくる。トイレでキッスしようとすると、彼女が意外なことを告げるのだった‥‥。

 2001年カンヌ映画祭でグランプリ・主演女優・主演男優の3冠を獲得した作品と言う前宣伝でレンタルした作品。

 観終わって、エリカの普通でない性癖というのはどうも理解できません。病める女性ということか、芸術家は概して変わっているということなのか、私の趣味の範囲を越えた話は付いて行けないのが実際の感想です。カンヌ映画祭というのはこういう問題作を好むのでしょうか。


推薦度★★☆☆☆


82 にあんちゃん 鑑賞 CATVにて 2006.6.13 

監督 今村昌平
原作 安本末子
出演 長門裕之 吉行和子 二谷英明 松尾嘉代 中村武 前田暁子 北林谷栄 小沢昭一他

 昭和28年佐賀県唐津市の大鶴炭鉱。事故が起こって一家の大黒柱の鉱夫が亡くなる。残されたのは20歳の長男安本喜一、長女の良子、次男の高一、末っ子の末子の4人。喜一は臨時鉱夫だった。炭住に住むが生活は苦しい。学校へもっていく弁当がない。高一は昼休み水を飲んで鉄棒で遊んでいる。不況の煽りを受けて臨時鉱夫が先ずクビに。安本家はバラバラになる。高一と末子は阿藤さんの知り合いの炭鉱夫に引き取られるが、そこも苦しい。やがて、炭鉱は閉山となり、ヤマやら去っていく日が来る‥‥。

 故・今村昌平監督追悼映画第一弾(チャンネルNECO)です。1958年に発売されてベストセラーになった小学生安本末子さんの日記『にあんちゃん』の映画化です。発売当時、小学校で担任の先生が取り上げてクラスで読んでもらった覚えがあります。

 時代設定は昭和28年とありますが、当時は皆貧しかったこと、それでも皆逞しく生きていたことを実感させてくれる映画です。著者と同世代の人は同じような体験をしていますし、少し若い団塊世代もほぼ同様です。だから、こんな時代があったのか、ということを若い世代にも知ってほしいと思います。

 「3丁目の夕日」が昭和33年の街の希望を描いていたとすれば、そのわずか4年前、田舎ではこんなにも貧しい中を小学生の主人公を含めて皆が逞しく生きていたんだ、という対比をして、観てほしいと思いました。歴史的な証言者としての価値をもっている映画です。


推薦度★★★★☆ 


81 ダヴィンチ・コード 鑑賞 大津セブンシネマにて 2006.6.12 

2006年 アメリカ映画 152分
監督 ロン・ハワード
出演 トム・ハンクス オドレイ・トトウ ジャン・レノ イアン・マッケラン ポール・ベタニー他

 ルーブル美術館の館長が夜中に何者かによって殺される事件が起きる。奇怪なダイ・メッセイージを残して。会う約束をしていたロバートラングドン教授(宗教象徴学)が現場に呼ばれる。そこには、館長の孫娘ソフィー・ヌヴォーも来ていた。刑事はラングドン教授を疑っている。孫娘と協力してダイメッセージを解読しようとするのだが‥‥。

 ウワサの映画を鑑賞。夫婦2000で。世界中でベストセラーとなった歴史ミステリー小説(購入してあります。私は最初の10ページのみで未読、あとの二人は読了)の映画化です。

 正直いって分かりにくい映画でした。それはキリスト教に対する無理解が原因だと思います。歴史的事実や宗教上の単語などが分かっていないとよく理解できないところがあります。

 エンターテイメントとして楽しみなさい、というのが映画ですが、会話中心に謎解きを進めていく画面を眺めるには、予備知識が相当に必要な気がします。


推薦度★★☆☆☆


80 クラッシュ 鑑賞 高槻市生涯学習センターにて 2006.6.8

2005年 アメリカ映画 112分
監督 ポール・ハギス(ミリオンダラーベイビーの脚本家)
出演 サンドラ・ブロック ドン・チードル マット・ディロン他

 冬のロス・アンジェルス。黒人刑事のグラハムは恋人マリアと交通事故に遭遇する。ペルシャ人の雑貨店経営者ファハドは娘とともに拳銃を購入するため銃店に入る。白人を敵視する黒人青年アンソニーと友人ピーターは白人乗用車の乗っ取りを計る。地方検事のリックと妻ジーンは母を訪れる。黒人を差別する白人警官ライアンと同僚ハンセンは高級乗用車を止める。裕福な黒人夫婦キャメロンとクリスティンは車を止められ、尋問を受ける。カギ屋は銃に怯えている子どもにマントの話をする。等々の人々が行動を起こす時、何かが始まる。

 2005年のアカデミー賞作品賞・脚本賞受賞作品です。月一シネマで鑑賞しました。

 7組から8組の、人種も仕事も収入も生きがいも違う人たちが織り成す人間模様。本音なのか会話の装飾なのか、人種差別の言葉が派手に飛び交い、ロスは人種のルツボであることを描いていきます。それらの人々が偶然交差する時、その人の人生は思っても見ない方向へ転んでいってしまうのです。

 群像劇をみているようで、登場人物をストーリーに位置付けるのが大変です。彼らが交差する時、あの時のあの人、となっていきます。「衝突する」両者を知っている構成。

 黒人を蔑視してやまない差別警官が事故を起こした自動車から黒人女性を身体を張って助ける。逆に、そんな彼を非難していた青年警官がふとしたことで黒人青年を殺害してしまう。気持ちとは別の思わぬ方向へ進んでいくのが人間であり人生なのだと、人の多面性を描く映画です。

 雑踏のような世界を描いていて、これがロスと言う都市か、とちょっと怖くなりました。


推薦度★★★☆☆

 


79 旅は道ずれ風まかせ 鑑賞 HDD録画(CATV)より 2006.6.5 

1958年 大映 79分 モノクロ
監督 田坂勝彦
出演 市川雷蔵 浦路洋子 根上淳 三田登喜子 千葉敏郎 若松和子他

 風来坊源太は、旅の途中で三次という旅人を無理やり兄貴分に仕立てて一緒に行動する。二人は追分の宿で仁兵衛親分一家に草鞋を脱ぐ。落ち目の一家は娘お絹が取り仕切っているが、生活は苦しい。豆腐がご馳走だ。三次に言われて賭場に出かけイカサマを自認して稼いだ源太はお絹に渡そうとする。賭場を仕切っていた親分はこの際一気に仁兵衛一家を潰そうと企む‥‥。

 時代喜劇。市川雷蔵はこうした軽い役がよく似合います。
 この映画を観たかった理由は、ロケ地。1958年作ですが、ロケ地は大津市上田上堂町とありました(「銀幕の湖国」)。今住んでいるところの近くです。どの場面がどこで撮影されたかを、一所懸命推理しながら鑑賞した次第です。

 といっても、私がこの地に引越ししてきたのは、22年前ですから撮影当時は知りません(妻はこの地の生まれですから分かるはずです)。
 そうした上で推理したのは、仁兵衛一家が居を構えている所が丸ごとセットで建てられたか家を利用したか、ではないか、ということ。屋根の高さくらいの道からトントンと降りてくると、井戸があって、玄関があって、中にたたきと台所がある。きっと、堂町の中を流れる川の堤防が道で、下にあった家がセットに利用されたのではないかと思いました。

 いつか、地元の人に聞くとかの方法で確かめてみたいと思います。

推薦度★★☆☆☆


78 ラベンダーの咲く庭で 鑑賞 レンタルDVDにて 2006.6.3 

2004年 イギリス映画 105分
監督 チャールズ・ダンス
出演 マギースミス ジュディ・リンチ ダニエル・ブリューエル ナターシャ・マケルオーン他


 1936年のイギリスのコーンウオール地方の話。海に面した崖の上に一軒家があり、ジャネットとアーシュラーの老姉妹が住んでいる。お手伝いさんが通っている。庭が美しい家だ。ある日、海岸に青年が流れ着く。足を骨折していて、すぐには歩けない。看病する二人。ポーランド人を名乗り、英語が分からない。英語を覚えるようレッスンをするアーシュラーは楽しそうだ。崖の一軒家がにぎやかになる。彼には音楽を聞く耳が鋭く、バイオリンの名手であることが分かる。美人画家が現われ、彼のバイオリン才能を伸ばすためにロンドン行きを勧める。家に波が立ち始める‥‥。


 流れ着いた青年と老夫婦との心の交流の話です。映画会で見そびれていて、今回レンタルしました。静かな流れの中にも心の起伏が丁寧に描かれています。青年のバイオリンがいい。いつの時代の話か、映画では直接は分かりませんが、解説では、1936年設定とのこと。青年の国へナチスが侵攻する前夜の舞台設定です。彼のバイオリンで踊りだす村人。青年を迎える村人の暖かさが伝わってきます。


推薦度★★★☆☆

 


77 メリンダとメリンダ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/29 

2005年 アメリカ 100分
監督 ウディ・アレン
出演 シャロム・ハーロウ ジョシュ・ブローリン ラダ・ミシェル クロエ・セヴィニー他

 雨の日、レストランで4人が議論している。喜劇が得意な脚本家と悲劇が得意な脚本家、男性と女性の4人。男性が「友達を呼んで食事をしている時、突然メリンダを名乗る女性が訪問する」と舞台設定する。そうすると、二人の脚本家が各々、自らの発想で物語を展開していく。その物語が画面に現われて。両者の設定が交互に、そして交錯しながら、新しい人間関係を求める物語が進行していきます ‥。

 紹介したとおり、対照的な二人の脚本家が創作したストーリーを交互に、展開していく物語です。二つの物語が進行しますので、今はどっちかな、喜劇かな悲劇かなと考えながら観る必要があります。その点はちょっと、斬新な設定でした。実験的な映画かなとも思いますが。
 物は考え様などといっては味気ないですが、ポジティブに考えるか、ネガティブに考えるかで人生随分と変わってきますよ、というメッセージは伝わってきました。
 ウディ・アレン監督作品です。有名な監督ですが、余り観ていないので、系統的な評価はちょっとできません。

推薦度★★☆☆☆


76 容疑者 室井慎次 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/28 

2005年 東宝映画
監督 君塚良一
出演 柳葉敏郎 田中麗奈 哀川翔 佐野史郎 筧利夫 真矢みき 柄本明他

 新宿で起きた殺人事件は、容疑者の警察官が逃走中に車に跳ねられて死亡する。それで落着に見えたが、指揮を取っていた室井は捜査継続を指令する。その室井を、死んだ警官の母親が違法取り調べと告訴する。逮捕される室井。弁護に付いたのは新米の小原久美子だった。一方、告訴した側の弁護団は法を振り回す集団で難敵である。背後には、警察内部での権力闘争がうごめいていた。

 ヒットした「踊る大捜査線」から「交渉人・真下正義」が作られ、今回の「容疑者 室井慎次」が第二作目となります。両方とも観客動員は多かったように記憶しています。物語は、途中までは、先が全く読めない展開で、緊張感がありますが、事件の真相はちょっとあっけ過ぎる気がします。オイオイそれが真相かよ、という感じ。それに、舞台の新宿暑の玄関や中の警察官がちょっと異様でした。のぼりが立ち、制服警官が見当たりません。
 田中麗奈も頑張ってはいましたが、弁護士ではちょっと荷が重い感じがしました。
 湾岸暑を離れたシリーズもこれで終りになるのでは。次回があるとすれば、原点に戻って。

推薦度★★☆☆☆


75 星になった少年 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/27 

2005年
監督 河毛俊作
出演 柳楽優弥 常盤貴子 高橋克実 蒼井優 賠償美津子外

 小川哲夢は中学生。学校で「動物園で臭い」といじめにあっている。姉がいる。何かと弟が心配だ。両親は動物プロダクションを経営している。ある時、子ゾウが連れてこられる。ランディである。哲夢は、ランディの泣き声が分かった気がした。哲夢は母親に打ち明ける。「ゾウ使いになるためにタイに留学したい」と」。‥‥。

 この映画は先に「フォトストーリー」を読んで、ストーリーを大まかには理解した上で、鑑賞したことになりました。ゾウを伴った撮影は大変だったろうな、と気になりました。
 柳楽くんが健闘しています。


推薦度 ★★☆☆☆


74 親切なクムジャさん 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/26 

2005年 韓国映画
監督 パク・チャヌク
出演 イ・ヨンエ、チェ・ミンシク、キム・シク、イ・スイシン他

 残虐な幼児誘拐殺人事件の犯人は美しい女性クムジャだった。世間はそのギャップに驚き、マスコミが沸騰する。実演してみせるクムジャ。13年の刑を受け服役する。微笑みを絶やさず誰にでも分け隔てなく接する彼女は囚人仲間から「親切なクムジャさん」と呼ばれるようになった。彼女には心に秘めた企てがあった。全てはその復讐のために‥‥。

 パク・チャヌク監督の復讐三部作の完結編とのこと。話題の作品だと噂を聞いて鑑賞。主人公がかのチャングムのイ・ヨンエであることが興味をそそりました。
 鑑賞の感想としては、もうひとつかな。俳優はいいのですが、構成・編集が難しい。編集が時系列でなく、過去と現在が込み入っているので、クムジャの決意と友人関係を跡付けるのに苦労した気がします。凡人かもしれませんが、もっと単純に、ストレートに、復讐に向って押していく映画であっていいと思いました。


推薦度★★☆☆☆


73 ナナ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/23 

2005年 東宝映画
監督 大谷健太郎
原作 矢沢あい
出演 中島美嘉 宮崎あおい 松田龍平 他

 小松奈々と大崎ナナ。同名の二人が新幹線の席が偶然隣同士となる。そして、引越し先を探していて再び遭遇。それがもとで一緒に暮らすことになる。大崎はバンドを再結成する。小松は自分の彼を追っかけているが、人気バンド「トラネス」が好きだ。コンサートのチケットを入手して大崎を誘うが、実はトラネスの一人は昔のバンド仲間だった‥‥。

 人気漫画の映画化だそうです。確かに劇画調の映画でした。ナナ同士の友情というのがテーマかな。二人が何をして生活費を稼いでいるのかがちょっと分からなかった。東京で暮らすというのはそんなに簡単ではない気がします。独特の服装も含めてバンドは若者の憧れでしょうから、バンドにまつわる話は身近に感じられるでしょう。途中でスイッチを切ることなく、しっかりと最後まで、観たことだけは報告できます。


推薦度★☆☆☆☆


72 イン・グッド・カンパニー 鑑賞 CATVにて 2006/5/21 

2004年 アメリカ映画 109分 日本未公開
監督 ポール・ワイツ
出演 デニス・クエイド、ドファー・グレイス、スカーレット・ヨハンソン他

 スポーツ雑誌のマーケティングを受け持つダンは、夫婦と一人娘の3人暮らし。妻が妊娠していることがわかる。そんな時、彼の会社がIT産業によって買収される。親会社から乗り込んできたのはカーター26歳。カーターは仕事人間で離婚の憂き目に遭っている。親子ほどの年の差に戸惑うダン。娘アレックスがニューヨークの私学大学に行きたいという。ダンは許すが学費はそっとローンを組むことに。そのアレックスがひょんなことから、カーターと付き合うことになる。若造と思っているカーターをダンは許すのか‥‥。

 日本未公開作品とのこと。分類としてはコメディかな。印象に残ったのはスカーレット・ヨハンソンの娘役。IT産業の買収劇で親会社から経営者や重役が送り込まれて、被買収会社の従業員が憂き目をみるという最近ありそうな話が題材になっています。企業買収と高齢出産と娘の進学・恋愛と。そんなテーマでの展開です。仕事人間から仕事を取ったらどうなるかも主人公で実験しています。立場が逆転して、また逆転して。それでも、盛り上がりとしてはもうひとつかな。

推薦度★★☆☆☆


71 蝉しぐれ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/20 

2005年 東宝映画
監督 黒土三男
原作 藤沢周平「蝉しぐれ」
出演 市川染五郎 木村佳乃 緒方拳 原田美枝子 今田耕司外

 江戸時代、東北のある藩。下級武士の子、牧文四郎は友人2人と道場に通う。隣りには同じく下級武士の子でふくが住んでいる。朝、川で顔を合わす。ある時、蛇にかまれた手から血を吸い取って助けたことがあった。友人の一人は剣道が上手でなく、虐められるが文四郎が助ける。やがてその友は江戸へ立つ。親しかったふくも江戸へ立ってしまう。
 ある日、突然父が囚われの身となったことを知る。その後、一度の面会は許されるが、次回は死体の引き取りだった。反逆者の家となった文四郎は母親とともに長屋へ引っ越す。冷たい世間。ことの真相が次第にわかってくる。藩の世継ぎを巡る騒動に巻き込まれたのだった。‥‥。

 見たかった『蝉しぐれ』をやっと鑑賞しました。原作は有名な同名小説。江戸時代独特の家と身分と藩の中での男女の押えた大恋愛映画です。画面画面に挿入される四季の美しい風景が心を和ませてくれます。大事な食料である稲の四季も入っています。文四郎とふくは染五郎と木村佳乃が好演。成人したふくの綺麗さは際立っていました。

 道場から帰る時に通るお城のお堀の場面が、彦根城の南門に架かる橋と石垣では、と、映画を観たとき感じました。そうしたら、ロケのテロップで「滋賀ロケーションオフィス」の名がありました。それできっと、彦根城では、と核心を深めた次第です。ハズレていたら、ゴメン。(近江八幡の水郷を舟でいく場面も有力だからです。)

推薦度★★★★☆
 


70 イン・ハー・シューズ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/16 

2005年 アメリカ映画 131分
監督 カーティス・ヘンソン
出演 キャメロン・ディアス、トニ・コレット、シャーリー・マクレーン、マーク・フォイアスタイン他

 フィラディルフィアの有名な弁護士事務所に勤める弁護士のローズは、仕事は強いが容貌に自信がない。一方、妹のマギーは容姿を武器に定職にもつかずにその日暮らしをしている。対照的な姉妹。ローズが好きな男と自宅で一夜を過ごしているその時に妹から電話がかかる。泥酔していて継母の居る家から追い出されたのだった。好きな男が自宅にいる間に、あろうことかマギーと男が出来てしまう。ショックで妹を追い出すローズ。ローズは行き先の当てはなかったが、自宅で見つけた手紙を頼りに、死んだと聞いていた祖母を訪ねてカリフォルニアへ旅立つ。ローズも法律事務所を辞めて自分を探している。妹もことも心配だ‥‥。

 姉妹と祖母の3人が織り成す人間模様と各々の自分探しの旅を描いた映画です。佳作。妹は容姿を武器にその日暮らし、彼女は文字を読むことが苦手という学習障害を持っていて、コンプレックスとなっています。ある時、元プロフェッサーに会い、詩をゆっくり朗読することで、自信を取り戻していく様子はさわやかです。一方の姉ローズは「仕事が人生」だが、実は「仕事がないと自分が崩れてしまう」と思っている。仕事をやめた時、違う自分を発見して自信を取り戻していく。犬の散歩のバイトがこれだけ楽しいとはローズならでは、です。祖母のエマは、娘が学習障害を持っていたことで過保護となり薬を飲まして安定させていたことと彼女の自殺との関係で悩み、克服できていない。孫姉妹に出会うことで、自分の心を解放していきます。

 三人三様の心模様があって、どう展開していくのか予想が難しい映画です。予想できない展開がいい。各々の人生にぴったりとフィットする靴を見つける物語です。三女優が各々好演しています。推薦映画、特に女性がどう観るか、興味があります。


推薦度★★★★☆


69 ザスーラ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/15
 
2005年 アメリカ映画 110分
監督 ジョン・ファブロー
出演 ジョシュ・ハチャーソン、ジョナ・ボボ、ティム・ロビンス、クリスティン・スチュワート他

 兄ウォルターと弟ダニーと姉リサ。三兄弟の両親は離婚して、父の家と母の家とで交互に暮らしている。今日は父と遊んでいるが、仕事が優先でなかなかかまってくれない。ダニーは兄と遊ぼうと持ちかけるが嫌がられて、地下室に下りていく。そこで見つけたボードゲーム「ザスーラ」。居間に持ち込んでスタートボタンを押す。カードの文字が現実となって‥‥。

 「ジュマンジ」の宇宙版。原作者が同じとのこと。ねじを回して数字が出て駒が進んでメッセージカードが出てきて、そのに書いてあることが現実化する、というパターンは一緒です。舞台が宇宙だから、流星があって、宇宙飛行士がでてきて、宇宙のギャングみたいなエイリアンが出てきます。活躍するのは兄弟で姉はほとんど凍ったままです。ティム・ロビンスのお父さんは現実の世界だけで、ロビン・ウイリアムのお父さんのようにゲームの世界での活躍はありません。

 いろいろな画面展開を楽しむ映画です。


推薦度 ★★☆☆☆


68 Mr.&Mrs.スミス 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/14 

2005年 アメリカ映画
監督 ダグ・リーマン
出演 ブラッド・ビット アンジェリーナ・ジョリー ヴィンス・ヴォーン他

 ジョンとジェーンは南米のホテルでばったり会って恋に落ちる。結婚に発展してアメリカに住んで5〜6年(あいまいだが映画でそういっていた)、この夫婦には秘密があった。ジョンは、請負って暗殺をするプロの殺し屋だったし、ジェーンもまた暗殺者組織のリーダーだっだのだ。しかも両組織はライバル関係。ある「容疑者」の暗殺指令を両組織が同時に出して、両人が現地に向かう。互いに互いを邪魔して失敗することで、正体を知ってしまう。組織では自らの正体がバレたら相手を48時間以内に抹殺することが掟だった‥‥。

 ということで、この映画は、身分を隠してライバルの暗殺者組織に属する夫婦の話です。それが互いにバレた時どうするか。やはり抹殺に向うしかないのです。完遂することができるのかが見所です。スター俳優のアクション映画ですから、アクションとして楽しんだらよろしい。派手な立ち回りに汗して鑑賞して楽しむ映画です。

推薦度★★☆☆☆


67 エデンより彼方に 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/5/11

2002年 アメリカ映画 107分
監督 トッド・ヘインズ
出演 ジュリアン・ムーア 、デニス・クエイド 、デニス・ヘイスバート 、パトリシア・クラークソン 他

 1957年のアメリカの街ハートフォード。この町に住むキャシーは夫フランクと子供2人、メイドもいる。夫は会社重役で妻は子育てとパーティ。この当時の典型的なブルジョア家庭として、雑誌に登場するほど羨望の目があった。ある時フランクは映画館で同性愛を感じる自分に気づく。妻に告白して、病気として治療を受ける。一方キャシーは、庭師のレイモンドと話す機会があった。偏見を持たないキャシーは町の中で彼と会話しているたが、そのことが町のゴシップとなる。家庭は危機を迎える。「皆とは違った一人」が許されない社会なのだった‥‥。

 アカデミー賞ノミネートなど色々な映画賞を受賞している作品として妻がレンタルしました。
 ジュリアンムーアの挑戦の映画です。キャスティングは彼女しかない。50年代のブルジョア家庭を見事に再現しながら、黒人問題とジェンダーフリー問題という、当時としてはとてつもなく重いテーマに挑戦して、2つの離別を経験しながら涙を見せないことで、心の解放を求める女性を好演しています。各々のシーンが絵画のようです。キャシーを含む女性たちの服装はさながらファッションショーの趣きです。制作にソダ−バーグとジョージクルーニーがかかわっていることを知りました。全てにハッピーエンドを求めてはいけません。


推薦度★★★☆☆


66 武器なき闘い 鑑賞 CATVにて 2006/5/10

1960年 独立プロ作品 140分
監督 山本薩夫
出演 下元勉 渡辺美佐子 東野栄治郎 小沢昭一 宇野重吉他

 京都・宇治。料亭・花屋敷の息子山本宣治は動物学者だが、頼まれて、初めて実施された「普通選挙」に無産政党・労農党から立候補することになる。立会い演説会は官憲が見張る中で行われ「弁士中止」が連呼される。そんな弾圧を受けながら京都選挙区で初当選して代議士となった山本宣治。そんな折、 1925年に制定された悪法・治安維持法が改悪されて「最高・死刑」が加わる勅令が出された。議会にかかる。反対することは天皇への反逆と脅されるが、屈しない。一人反対を貫く山本宣治。右翼の凶刃が迫る‥‥。

 1960年に独立プロで制作された政治色が非常に強い作品です。昭和4年当時の政治状況、庶民の暮らし、考え方などを知るのに非常に参考となると思います。そして、何より山本宣治代議士一人が治安維持法改悪に反対したという、代議士の人間性に迫る伝記映画作品となっています。

 その山本宣治役は下元勉がヒョウヒョウとした感じで演じています。それがいい。そして、治安維持法の改悪が太平洋戦争、中国侵略、敗戦へと進んでいった日本の戦争準備の総仕上げであったことも資料映像を使って解説しています。

 政治的プロパガンダとして制作されたという印象があるとしても、事実の重みというのは消えないな、と感じました。

 戦前の日本の真実を知りたい方、見て損はないと思います。


推薦度★★★☆☆


65 セントラル・ステーション 鑑賞 BS2にて 2006/5/8 

1998年 ブラジル映画 111分
監督 ヴァルテル・サレス
出演 フェルナンダ・モンテネグロ、マリリア・ペーラ、ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ他


・第48回ベルリン国際映画祭の金熊賞と銀熊(主演女優)賞と審査員特別賞受賞 ・第56回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞受賞。

 ブラジルのリオディジャネイロの中央駅には沢山の人が乗り降りする。そこで手紙の代書屋をしているのがドーラ。中年の独身女優である。ある日、母親が子供を連れてくる。夫に子供が会いたいと言っていると頼む。自分が会いたいのだと訂正に来た帰りにバスに跳ねられて死んでしまう。一人残されたジョズエ。ドーラはジョズエを家に連れて帰る。そして里子の紹介をしてお金を手に入れるが、反省して、ジョズエを取り戻す。彼のお父さんを探す旅が始まった。

 2度目の鑑賞。ブラジル映画と珍しいですが、受賞が実力を示しているように、確かにいい映画です。番組紹介があって、もう一度見たくなり、鑑賞しました。

 中年の女性が、母を亡くして慕う父を探す子供に付き添って旅する話です。彼女の心の動きが行動にストレートに出ていて分かりやすい。しっかりした少年だと自分を奮い立たせているような少年の対話が楽しい。父を慕う気持ちに偽りはありません。成就できるかどうかは、語るわけにはいきませんが、少年と女性との心の交流は物語の進行とともに深まっていき、次どうなるか、と興味は尽きません。最後までしっかり見られる映画です。

推薦度★★★☆☆(ほんとは四つ星映画ながら2度目につき)

 


64 青い山脈 鑑賞 BS2にて 2006/5/4 

1963年 日活映画
監督 西河克己
原作 石坂洋次郎
出演 吉永小百合、浜田光男、芦川いずみ、二谷英明、高橋英樹他


 お城の町に転校してきた寺沢新子は、前の学校を退学になったといううわさ。新任の英語教師島崎雪子は、そんな新子から手紙を見せられる。ラブレターだが、だれかのいたずらだと。校医の沼田に相談するが余り事を荒立てないほうが、という意見を無視して、クラスに持ち出す雪子。同じクラスの子が書いたことは判明するが、反発は強かった。ことは、PTAを巻き込んで、段々と大きな問題になっていく。

 青い山脈は今まで5回映画化されています。1回目が1949年で原節子、池部良。2回目が1957年で雪村いずみ、久保明。3回目が今回鑑賞した1963年の吉永小百合、浜田光男。4回目が1975年で片平なぎさ、三浦友和。5回目が1988年で工藤夕貴、館ひろし。出演者を見ただけでもそれぞれの時代を映して大変興味深い。

 今回の吉永小百合さん主演の映画ですが、この「お城のある町」の設定が彦根市です。従って、画面のあちこちにロケーションとなった彦根の当時の街並みが映し出されて、大変懐かしく思いました。それだけでも、十分に楽しめました。

 学生時代を彦根で過ごしたのは1968年から4年間ですから、ロケーションの5年後ですが、その当時の面影がしっかり残っています。
 ロケーション場所の予想は以下のとおり。

○滋賀大学正門前と学舎横。○大学から南へ下がるお堀端。○学内にあった偲聖寮の廊下と部屋の中。○ラグビー部のグラウンドと軟式テニスコート。 ○芹町一丁目の階段と芹橋付近。○芹川の堤防と芹川に架かる長曽根町の橋。松原湖水浴場の松並木。○彦根城の上の広場と内堀の散歩道。○彦根東中学校のグラウンドと校舎と教室。○彦根城正面入り口付近のお堀。
思い出したのはこのくらいです。トンネルのある道はどこか分かりませんでした。

 これだけの風景を残すことのできる映画というのは本当にすごいと思います


 今度は2回目の「青い山脈」を鑑賞してロケーション場所を探したいと思います(この時ロケに選ばれたのは、岐阜県立恵那高校。何と私の母校です。よくよく「青い山脈」とは縁が深いのです。但し、ロケが行われた木造2階建ての校舎は昭和20年代に火事にあって、消失。私はコンクリートの校舎でした。私が所属していた軟式テニス部のテニスコートはそのままありました。)。


推薦度★★★☆☆

 


63 影のない男 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/4/29

2004年 ドイツ映画
監督 ネナン・ヤポ
出演 ヨアヒム・クロール、ナディヤ・ウール、クリスチャン・ベルケル、ルドルフ・マーティン他

 ヴィクトールは7歳の時に両親を殺され、その年に復讐を遂げている。秘密警察のある人物が殺されるが、内偵中だったのに警察は犯人さえつかめなかった。一緒にいた女性が疑われるが、ラング刑事はプロの仕業だと決め付ける。ヴィクトールに次の仕事が来る。ギャングの親玉を消すこと。ヴィクトールと殺さなかった女性とラング刑事と次の犯罪と。絡み合って進展していくが、落ち着く先は‥‥。

 珍しいドイツ映画のサスペンス・アクション映画でした。プロの殺し屋と刑事と女性と、組み合わせは新しくありません。殺しの手口が計算されて繊細というところが新しいか。プロの殺し屋なのにそれらしくないところもいいのかも。

推薦度★★☆☆☆


62 レディ・キラーズ 鑑賞 2006/4/23 レンタルDVDにて 

2004年 アメリカ映画
監督 コーエン兄弟(ジョエル/イーサン)
出演 トム・ハンクス、イルマ・P・バーネット、マーロン・ウエイアンズ、J・k・シモンズ他

 大河・ミシシッピ-川にはカジノ船が浮かんでいる。その川の辺に一軒家があってマンソン婦人が暮らしている。彼女は敬虔なクリスチャンだった。そこへ自称「教授」の男が部屋を貸してほしいと申し出る。音楽を研究しているという。地下での音楽の演奏は仮の姿で、実はカジノの金庫を狙う泥棒軍団だった。‥‥。

 トム・ハンクスが喜劇に挑んだ作品です。昔あったイギリス映画「マダムと泥棒」からのプロットの借用とか、トム・ハンクスが元々喜劇出身だったとか、解説に載っていました。老婦人との軽快なやり取りを楽しむ映画です。ちょっとアルコールが入っていて、途中寝入ったところもあるかもしれない鑑賞でした。

推薦度★★☆☆☆


61 鬼が来た!(鬼子来了) 鑑賞 2006/4/19 

2000年 中国映画 140分
監督 チャン・ウエン
出演 チャン・ウエン、香川照之、チャン・ホンボー、ウエン・チン、ツォン・チーチュン他

 1945年中国華北のある寒村での話。村に住むマー・ターサンとユイアルが会っていると「私」と名乗る人が現われ、銃を突きつけて2つの麻袋を預かるように言いつける。マー・ターサンは村人に相談する。袋の中には日本軍兵士と通訳が入っていた。殺せという意見や言いつけ通り尋問して調書を取れという意見。兵士は「殺せ」と叫んでいるが通訳は別に訳して村人に知らせる。自分では手を下せないマー・ターサンは結局世話をすることになる。「私」も現われない。半年後、日本兵士は、日本軍から食料を調達する約束を交わす。そして、日本軍に出向いていくが‥‥。

 モノクロ映画です。モノクロの迫力がすごい。1945年の日本占領下の中国という設定です。中国の村人たちと侵略者・日本軍との、人間の生命に関する考え・扱いの違いを際立たせることによって、戦争の狂気に迫っています。

 捕虜一人殺せない村人たちと、不信感を募らせて疑いだけで村を焼き払ってしまう日本軍。村人たちのやり取りは真剣で、通訳が別の意味に訳することでことを平和に収めようとする努力もあって、ある意味喜劇的ですらあります。そうした、寒村の日常に、日本軍という狂気が乱入することで、言葉がうまく理解されないことも手伝って、悲劇が生まれてくる。

 監督自ら主演しています。日本人俳優では香川照之さんが力演しています。カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した作品です。うなづける力作です。


推薦度★★★★☆


60 転校生 鑑賞 CATVにて 2006/4/18

1982年 松竹映画
監督 大林宣彦
出演 尾美としのり、小林聡美、佐藤允、樹木希林、宍戸錠他

舞台は広島県尾道市。中学3年生の斎藤一夫は8ミリ好きの普通の中学生。その学校に斎藤一美という女の子が転校してきた。二人は幼稚園が一緒だった。一美は再会を喜んでいた。帰り道、神社の階段で、コーラの缶を蹴った一夫と一美が一緒に階段を転げ落ちた。その拍子に二人の体と心が入れ替わってしまったのだった。とりあえず、外見優先で行動することになるのだが。‥‥。

 大林監督の尾道シリーズの第一弾。昔から何回も見ている映画です。中学生の体と心が男と女で入れ替わってしまう、というショッキングなテーマに、コミック的に迫っています。俳優は大変でしょうが、見ている方は楽しい。

 同じテーマで、娘と母親が入れ替わるアメリカ映画を見ました。確か、『フォーチュン・クッキー』という映画だったと思います。東野圭吾さんの『秘密』も母が娘の身体を借りる話で、同様です。それぞれ、楽しく鑑賞しました。


推薦度★★★☆☆(2度目ですので)


追伸 
○尾道三部作 『転校生』(1982年)『時をかける少女』(1983年)『さびしんぼう』(1985年)
○新尾道三部作 『ふたり』(1991年)『あした』(1995年)『あの、夏の日』(1999年)


59 マクシマム・リスク 鑑賞 CATVにて 2006/4/16 

1996年 アメリカ映画
監督 リンゴ・ラム
出演 ジャン・クロード・バンダム、ナターシャ・ヘンスツリッジ、ジャン・ユーグ・アングラード、ザック・グレーナー他

 フランスの港町で事件が起きた。死亡者はミカエル。彼は地元の刑事アランと瓜二つだった。アランは生後まもなく養子に行った弟だと知る。同僚のセバスチャンと弁護士を訪ねるが一足違いで殺されていた。彼は、ニューヨークに飛ぶ。そしてアレックスを探し当てるが、彼女はミカエルだと思い込んでいる。ミカエルアランは、ロシアマフィアに襲われる。FBIも接触してきた。ミカエルは生前、どんな仕事を持ち、何を兄に知らせたかったのか‥‥。

 ハード・アクション映画です。主役のジャン・クロード・バンダムが筋肉ムキムキ(弟の恋人アレックスもグラマー美人)なら対抗するロシアマフィアの殺し屋も負けてはいない。二人の対決が見もの。

 ストーリーとしては、ロシアマフィアとFBIの両方から消されようとするミカイルは、生前どんな仕事をしていたのか、という弟の死の真実を追う兄貴の物語ですが、アクション場面が中心になった、全てが派手な映画です。

推薦度 ★★☆☆☆
 



58 ホテル・ルワンダ 鑑賞 滋賀会館シネマハウスにて 
2006/4/14 

2004年 カナダ・イギリス・イタリア・南アフリカ
監督 テリー・ジョージ
出演 ドン・ジョージ、ソフィー・オコナドー、ニック・ノルティ、ホアキン・フェニックス他

 時は1994年、アフリカ・ルワンダ国の首都・キガリ。4つ星の高級ホテル、ミル・コリンの支配人を勤めるポールは仕事に生きがいを持って、妻・子ども3人と暮らしていた。しかし、そのルワンダ政情不安な日が続いていた。フツ族とツチ族の内戦が終息して協定が結ばれようとしていた矢先、フツ族のハビヤリマナ大統領が暗殺される。それをきっかけにフツ族の民兵によるツチ族の虐殺が始まってしまった。フツ族による政府軍は見て見ぬ振りをしている。ポールはフツ族、妻はツチ族、ツチ族ばかりでなく匿ったことでフツ族さえ身が危なくなる。国連軍は300しかいない。しかも、ホテルに滞在していたジャーナリスト・国連軍等の外国人が避難する日が来た。自らの身は自ら守る以外に道はなくなってしまう‥‥。

 1994年(たった10年前の実話です!)の「ルワンダ大虐殺」を題材にした実話に基づく映画です。観てみたかった話題の映画。
 今日鑑賞した滋賀会館シネマホールのHPには、「公開のめどが立っていなかった日本では「この作品を観たい!」と20代の若者たちがインターネットで署名運動を展開。4000通を越える署名をわずか3ヶ月で集め、その熱意でついに緊急公開が実現!」と紹介されていました。

 つい10年前に3ヶ月で100万人の人が虐殺されるという最悪の事件が起こったのに、当時の世界世論は、黙殺に近い状態だったのでは、と本映画は告発しています。
 国際赤十字の白人女性が子どもたちの救出に懸命な一方で、国連軍の責任者が言っていました。西側の人間は自分のことのように考えない。君たちはニグロでさえないのだから、と。

 日本にとってアフリカは遠い国になっています。映画を機にアフリカの動向に目をしっかり向けたいと思いました。

推薦度★★★★☆


57 アイス・プリンセス 鑑賞 レンタルDVDにて  2006/4/13

2005年 アメリカ・ディズニー映画(日本劇場未公開)98分
監督 ティム・ファイウェル
出演 ミシェル・トラクテンバーグ、ジョーン・ギューザック、キム・キャトラル、ヘイデン・バネッテイア他

 女子高校生ケイシーは、物理に滅法強い物理オタク。数学オタクの友人がいる。ケイシーは名門ハーバード大学への進学を考えていた。それは母の夢でもあった。ハーバードへの道には物理の独自研究があれば有利という先生の助言を受けて、フィギアスケートの回転を力学的に研究することにする。リンクで撮影・分析するうちに、自らも滑ってみたくなり、初級クラスに入る。天性の滑りで腕を上げるケイシー。競技会に出ることになる。ハーバード大学への道と両立できるのか。ケイシーの本当の夢はハーバード大学で実現するのか‥‥。

 日本未公開作品ですが、拾い物をしたような得した気分で楽しめる佳作です。ジュニア・フィギニアスケート界の内幕的な話も出てきますが、スポーツ映画とはいえ、根性ものでも、内幕ものでもありません。

 折りしも、トリノオリンピックで日本唯一のメダル競技となった「女子フィギアスケート」に今、注目が集まっていて、競技人口が増えているのではないか、と思います。

 とにかく、ケイシーの本当の夢は何か、何をしている時が最も楽しいか、を内面に問い合わせながら追求した、乙女の夢を実現する映画です。

 だから、主人公がそうであるように、スケートすることを純粋に楽しんで母と娘がお互いを理解していくことに拍手を送って、よかったと、ホッと暖かい気持ちにさせてくれます。

 見終わって良い気分にひたることのできる映画というのは、貴重です。


推薦度 ★★★☆☆


56 ペイチェック 消された記憶 CATVにて 2006/4/11 

2003年 アメリカ映画
監督 ジョン・ウー
出演 ベン・アフレック、ユマ・サーマン、アーロン・エッカート他

 フリーのコンピューターエンジニアマイケルは、ハイテク企業の開発部門を渡り歩いている。自ら開発した内容は漏れないように報酬と引き換えに、頭脳内の記憶を消してしまうという手続きを行っていた。今回は、オールコム社の仕事。報酬は1900万ドル、期間は3年だった。しかし、彼が受け取った報酬は紙の袋に入ったガラクタばかりだった。何故、こういうことに。消された記憶をたどる以外に謎は解けないが、それが可能だろうか。

 ジョン・ウー監督作品です。近未来のサスペンスとアクションが織り交ざった映画です。2回目の鑑賞のような気がします。ベン・アフレックが主人公。これはコケテいないと思います。
 脳に細工して内容を消すということが近未来に可能になるとすると、これは大変怖い話です。今回は簡単な感想でした。


推薦度★★☆☆☆

 


55 七剣(セブン・ソード)鑑賞 2006/4/10 レンタルDVDにて 

2005年 香港映画 153分
監督 ツイ・ハーク
出演 ドニー・イエン、ラヴ・カーリョン、キム・ソヨン、レオン・ライ他

 1600年代の半ば。中国は明朝(漢族)が倒されて清朝(満州族)の時代に入っていた。朝廷への反逆を押さえつけるために清朝は「禁武令」を出す。あらゆる武術を禁止するお触れだ。実際は無差別殺戮だった。かって、明朝では刑を執行していた剣の達人・傳が、残虐行為に立ち上がる。そして、天山から、異なる威力を持つという7つの剣のもとに6人の剣士が派遣され傳と合流する。

 1970年代のベストセラー小説『七剣下天山』が原作になっているとのこと。黒澤明監督の「7人の侍」ならぬ「7人の剣士」の物語です。二時間半の大作です。
 見終わっての感想としては、対決軸がはっきりしないのが残念です。7人の侍は村を盗賊の強奪から守るという1点で結束した物語に対して、7人の剣士は、清朝の横暴から守るものは何だったのか、がはっきりしない。将来がある「子どもたちの命」というのも漠然としています。従って、武術の戦いでの見せ場は作っても背景となる「軸」が希薄だと、何のために、と思ってしまいます。

 純粋に武術映画として、アクションを楽しむこともできますが、それだと、2時間半はちょっと長すぎます。

推薦度 ★☆☆☆☆


54 マップ・オブ・ザ・ワールド 鑑賞 2006/4/8 レンタルDVDにて

1999年 アメリカ映画
監督 スコット・エリオット
出演 シガニー・ウィーヴァー、ジュリアン・ムーア、コロエ・セヴィーニー、ルイーズ・フレッシャー他

 アリスは農場を営む夫のもとで2人の娘を育てながら小学校の教師をして家事と仕事の忙しい日々を送っている。親友テレサの娘を預かっていたが、ちょっと眼を離した隙に、家の近くの川で溺れてしまう。良心の呵責に悩むアリス。テレサは旅に出る。そんな時、アリスは児童虐待の容疑で逮捕されてしまう。夫と子どもに対する世間は冷たい。アリスは留置場の中でも「子ども虐待」と嫌がらせを受ける‥‥。

 主人公アリスがふっとした時の事件が元で家族に大変な困難をもたらす物語です。アメリカで、何だか実際にありそうな設定です。学校の先生が「児童虐待」、しかも親友の愛娘を死なせていた。世間の格好の標的にされそうな事件です。

 シガニーウィーヴァーが好演しています。親友役のジュリアンムーアもいい。地味なテーマですが、日々の生活の中で実際に起こりそうで、実に怖い映画です。
 タイトルとなっている「私の世界地図」とは、アリスが描いた私の世界地図の中には、やっぱり家族四人で暮らす自分たちがいた、というメッセージか。

推薦度 ★★★☆☆
 


53 メジャーリーグ 鑑賞 2006/4/5 BS1にて

1989年 アメリカ映画
監督 ディヴィド・ウォード
出演 トム・ベンジャー、チャーリー・シーン、コービン・バーセン マ-ガレット・ウイットン 他

 アメリカ大リーグのアメリカン東地区のチームインディアンズは34年間優勝できていない。夫の急死でオーナーとなったレイチェルは、本拠地をマイアミに移したいため、観客動員数を少なくするための手を打つ。それは、選手に一癖も二癖もある者を選ぶこと。メキシカンリーグのキャッチャー、刑務所仮出所のピッチャーなど。試合は負けてばかりだったが、ある事件を契機に一致団結して‥‥。

 何回も鑑賞したことがある映画です。
 今放送があるのは、大リーグが丁度今日から開幕となったということも関係しているでしょうか。
 スポーツ映画ながら、コメディとして鑑賞すると、なかなか面白い構成になっています。選手の個性が非常にはっきりしていて、楽しい。キャッチャー選手がチームを懸命にまとめようと努力する姿に好感がもてます。野球監督は自分のチームをどこまでも信じている、というのもいいですね。

 楽しく見られる映画です。


推薦度★★★☆☆

 


52 ロズウェル 星の恋人たちT・U 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/4/4 

アメリカの連続テレビドラマ


 アメリカの町、ロズウェルはUFO墜落事件が起きた町である。高校生リズはアルバイト先で発砲事件に巻き込まれ、腹に銃弾を受けてしまう。その時、居合わせた高校生・マックスは、腹の傷を自らの手をかざすことで治すことに成功する。リズのいのちの恩人となったマックス。それを秘密裏に行って事なきを得たが、リズは、マックスより異星人であることを告白される。仲間がいることも。絶対の秘密となるが、リズは信頼できる友達一人には話す。互いに波紋が広がっていく。‥‥。

 アメリカにはロズウェルという町はUFO墜落事件で有名な町だそうです。そんな町を舞台に、普通の高校生リズと異星人高校生マックスとの友情・恋愛を描く青春ドラマです。
 高校とアルバイト先が主な舞台で、劇的な展開があるわけではありませんが、異星人の恋愛という、新鮮な装いのテーマに真新しさがあります。誠実な地球人の高校生が描かれています。

 連続ものとのことですが、TとUまでレンタルして、残りは未見のまま、完了としました。


推薦度★★☆☆☆
 


51 ブラザーズ・グリム 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/28 

2005年 アメリカ映画
監督 テリー・ギリアム
出演 マット・デイモン ヒュース・レジャー モニカ・ベルッチ レナ・ヘディ ジョナサン・プライス ピーター・ストーメア 他

 ウイルとジェイコブは兄弟。魔物退治で賞金稼ぎをしていたが、実はいかさま。そのいかさまがバレて逮捕される。そして、森で10人もの娘が姿を消した事件の調査をすることを命じられる。村には漁師の娘アンジェリカがいた。彼女を案内役に森に入り込む兄弟。森には、女王の伝説が生きていた。

 グリム兄弟が自ら創作したいろいろな御伽噺が織り込まれて、展開するファンタジー物語。ヘンデルとグレーテルの物語、赤頭巾ちゃんの物語、などのキャラクターが登場します。

 こういう映画は、キャラクターと画面展開を楽しむ映画である気がします。マット・デイモンが兄役をこなし、女王はモニカ・ベルッチが扮しています。彼らが、どんな活躍をするのか、理屈抜きで、楽しんだらいいと思いました。

推薦度★★★☆☆


50 シンデレラマン 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/26 

2005年 アメリカ映画
監督 ロン・ハワード
出演 ラッセル・クロウ レネー・ゼルウイガー ポール・ジアマッティ 他


 1930年代のアメリカ。29年の大恐慌で街には失業者が溢れ、皆が明日のパン・ミルクを心配する生活を余儀なくされていた。そんな中、主人公・ジミ−は妻と3人の子どものために、ボクシングでファイトマネーを稼いで生活に当てる日々を送っていた。将来のチャンピオンを嘱望されていたが、右手の甲を骨折してしまう。協会からはライセンスを剥奪されて、日雇い労働に出るようになる。しかし、職はままならず、電気が止められ、子どもを他所に預けざるを得ないように追い詰められる。そんな時、チャンピオンの挑戦者と一回だけ闘わないか、とかってのマネージャーから声がかかる‥‥。


 ボクシングを主題にした映画の中では、王道ともいえるハングリー精神=「ミルク」のために闘う男を描いています。子ども3人と妻とともに生活することが至上の歓びであるジミ-にとって、生活費を稼ぐことが出来ないことが最も辛い。日雇いに出て何とか労働にありつこうとするし、政府の緊急援助も受けたりしている。そんな彼に「ボクシング」で稼ぐことを再挑戦させてくれる元マネージャーがいて、彼の生活が変わっていく。
 ボクシング場面も多い。ラッセル・クロウは俳優なのに本物のボクサーのようです。見間違えるくらい上手です。巧みなカメラワークでそう見せているのでしょうが、なかなかの迫力です。
 妻役のレネー・ゼルウイガー(ブリジッドジョーンズの日記の彼女)が控えめながら、家族を守る一員として好演しています。

 ボクシングの原点を見た映画でした。


推薦度★★★★☆


49 秘密 鑑賞 レンタルビデオにて 2006/3/26 

1999年 東宝映画
監督 滝田洋二郎
原作 東野圭吾
出演 広末涼子 小林薫 岸本加世子 金子賢他

 母娘が乗っていたスキーバスが崖から転落した。沢山の死者が出た中に母がいた。娘は助かった。しかし、娘の身体には母直子が居た。平介は妻の体と娘の精神を失ったことになる。3人の奇妙な組み合わせによる生活が始まった。

 原作を読んで、映画化されたことが分かって借りてきた映画です。

 原作にわりと忠実に映画化されていました。変更があったのは、平介の職業がラーメン開発会社になっていたこと、藻奈美が小学生でなく高校生だったこと、運転手の子どもさんが直接登場してきたこと、くらいでした。

 広末涼子が直子役と藻奈美役を好演していました。両方演じるのは難しいことです。最後は、「そういうことだったのか」ということがわかるように作られています。

 この映画で1999年の日本アカデミー賞の主演男優賞に小林薫が、主演女優賞に末広涼子がそれぞれノミネートされた、とあります。映画としての感動という意味では、もう一つかも知れませんが、原作をたがえないで製作すればこういう映画になる、というのは分かります。


推薦度★★☆☆☆


48 ナチュラル 鑑賞 CATVにて 2006/3/24 

1984年 アメリカ映画 138分
監督 バリー・レヴィンソン
出演 ロバート・レッドフォード グレン・クローズ ロバート・ヂュヴァル キム・ベイシンガー 他

 1920年代のアメリカ。ロイ・ホッブズは左利きの剛投手として大リーグにデビューするはずだった。が、途上で凶弾に倒れてしまう。16年後、再び、打者として、大リーグチームに現れる。過去を封印して、鮮烈なデヴューを果たす。ナショナルリーグ優勝を目指すチームに、チーム経営者がそれを喜ばない複雑な事情が絡み合う‥‥。

 ロバート・レッドフォードがうってつけの役どころとして主演しています。ラスト場面でキャッチボールするロイが本当に魅力的です。野球の勝敗と賭け事と絡ます昔の球団経営者と、実際にプレイする選手との対決という構図は、そののち作られた「メジャーリーグ」でもありました。
 恋人役のグレン・クローズがこの年のアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされました。
 アメリカは野球映画が好きという雰囲気が出ている映画です。


推薦度★★★☆☆


47 ホーム・アローン 鑑賞 CATVにて 2006/3/23 

1990年アメリカ映画 102分
監督 クリス・コロンバス
出演 マコーレー・カルキン ジョー・ペシ ダニエル・スターン他

 ケビンは8歳。姉2人兄2人父母の7人暮らし。叔父がパリに転勤して家族そろってパリへ。のはずが、ケビンは家に置いてきぼりに。飛行機の中で気づいた時には既に時遅し。隣りには殺人鬼と噂のある老人が住み、車に乗った怪しい二人組が徘徊している。ケビンの家も留守を狙う二人組の空き巣に狙われているのだった。

 既に何回も鑑賞している映画ですが、今回は泥棒2人組(ジョー・ペシとダニエル・スターン)に注目して観ました。ジョー・ペシは「いとこのビニ−」で新人弁護士を熱演していて注目している俳優です。独特のハスキーな声の持ち主です。とんまで間抜けな泥棒2人組をダニエル・スターンと二人で見事に熱演しています。吹き替えなしの体当たり演技の雰囲気です。彼らがいてこその「ホーム・アローン」です。隣りの殺人鬼の老人も最後は優しいおじいさんだったことが分かって、落ち着くところに落ち着きました。ファミリー映画です。

推薦度★★★☆☆


46 レッド・サイレン(赤い妖精) 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/20 

2002年 フランス映画
監督 ウリヴィエ・メガトン
出演 ジャン=マルク・バール アーシア・アルジェント フランシス・バーバー アレキサンドラ・ネグラオ他

 舞台はパリ。12歳の少女アリスが警察を訪れる。アニータ警部に会いたいと。彼女はDVDを持参していた。内容は、彼女の母・エバがメイドを殺害するシーンが録画されていた。アリータの母親エバは、武器商人で政界に顔が効く。アリータはアリスを保護しようとするが、早速エバの手が及ぶ。警察を逃げ出したアリスは一台の自動車身を隠して逃れようとする。車の持ち主との逃避行が始まるのだった。

 追跡・逃避行の形をとったサスペンス・アクションものの映画でした。アリスの逃避行を助ける東欧の元狙撃兵がエバの手下と壮絶な撃ちあいを展開するのが見所か。アニータ警部もアリスを助けようとするが、相手は手ごわい武器商人の殺し屋。フランス映画ですが、情緒的な場面はありません。専ら、ハードボイルド風にドンパチやる映画でした。

推薦度★★☆☆☆


45 父と暮らせば 鑑賞 CATVにて 2006/3/17 

2004年 邦画 100分
監督 黒木和雄
原作 井上ひさし「父と暮らせば」(新潮社刊)
出演 宮沢りえ 原田芳雄 浅野忠信

 1948年夏の広島。美津江は図書館に勤めている。ひっそりと一人で暮らしている。ある時、原爆の資料を集めている木下青年が現われた。互いに好意をもち始めるが、友人や肉親を失いながら一人だけ生き残った美津江は自分は幸せになってはいけない、と心を閉ざそうとする。その時、父の竹造が現われる。彼は、何とかして、美津江が心を開いて、木下青年を受け入れるように、画策するのだが‥‥。


 井上ひさしさんの戯曲(読売演劇大賞・優秀作品賞受賞作)を黒木和雄さんが映画化したものです。「TOMRROW/明日」・「美しい島キリシマ」とともに、黒木和雄さんの戦争レクイエム三部作と呼ばれています。今まで,見る機会がありませんでしたが、今回、やっと鑑賞できました。

 宮沢りえと原田芳雄の演技は見事です。二人芝居の様相ですが、美津江が食事を作るシーンが何回も出てきます。食事を準備しながら、父と対話するのです。その父はまともに原爆を浴びて亡くなった亡霊です。その父が娘の心を開かそうと、忠告したり、励ましたり、起こったり、誉めたり、忙しい。その会話が見事です。会話を通じて、8月15日の様子が白日のものとされていきます。
 「自分は幸せになる資格がない」という言い方は非常に切ない言い方です。重傷の父を救えなかった思い、友人が亡くなって身代わりできなかったかという悔い、が詰まっているのです。
 父娘の会話をじっくりかみ締めて見たい映画です。

推薦度 ★★★☆☆


44 ロボコン 鑑賞 CATVにて 2006/3/15 

2003年 東宝映画 118分
監督・脚本 古 智之
出演 長澤まさみ 小栗旬 伊藤淳史 塚本高史 鈴木一真他

 里美は徳山工専に通っている。やる気が起こらず授業の課題の手を抜いて、居残り確実。担任の先生が出した条件は「ロボット部に入って、ロボコンに出場すること」。ロボコン部はわずか3人の部員。しかも一人は幽霊部員。大会規定の3人さえ満たさないありさま。しかし、居残り授業よりはまし、と里美は、仮入部して、地方大会を目指すことになるのだが‥‥。

 ゆっくりテンポの青春映画。ロボコンは毎年NHKで開催されていて、毎年盛り上がっていますから、観ている人も多いと思う。その大会に落ちこぼれチームが出場して奮闘する物語です。舞台となった徳山工専で実際にロケが行われたようで、吹奏楽部はエキストラ出演しています。こうした映画に出演したということは、工専生徒の思い出として、宝物になる気がします。
 主演の長澤まなみが好演しています。笑顔が美しい。物語の起伏は大きくないし、音楽もないし、盛り上がりということを余り意識しないで、淡々と描いている雰囲気がありますが、それで、生徒たちの青春がしっかりと描かれていれば、十分ではないか、とも思います。力が入っていない分、見るほうも力まずに鑑賞できる。そうした映画です。

推薦度★★★☆☆ 


43 リチャードニクソン暗殺を企てた男 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/14 

2003年 アメリカ映画
監督 ニルス・ミュラー
出演 ショーン・ペン ネオミ・ワッツ ドン・チードル他

 サムは妻とは別居中。3人の子どもがいる。サムは何とかよりを戻したくて、家を家を訪れたりするが、妻は冷たい。家具の販売員として再就職するが、不器用が災いして口先だけのセールスには乗っていくことができない。裁判所から婚姻解消通知が届く。新ビジネスを友人と共に始めるために融資の申込みをして結果を待っている。ローンが却下され、追い詰められたサムの前には、ウオーターゲート事件を起こしたニクソン大統領がいた。

 ショーン・ペンが不器用な販売員を好演しています。何をやってもうまくいかない。本人の努力が報われない。周りの評価も本人の思いとは反対になる。そうした、苛立ちが、事件を起こしてしまう導火線になっています。アメリカの実話に基づいた映画とあります。旅客機とホワイトハウスの組み合わせは 9.11を想起させます。ずっと以前の話ですが。
 途中不覚にも、居眠りしてしまった部分があることを附記しておきます。

推薦度★★★☆☆


42 黙秘 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/13 

1995年 アメリカ映画
監督 テイラー・ハックフォード
原作 スティーブン・キング(「ドロレス・クレイボーン」)
出演 キャシー・ベイツ ジェニファー・ジェイソン・リー クリストファー・プラマー他

 メイン州のある島。家政婦のドロレスに富豪の未亡人殺人容疑がかかった。新聞記事を見た今はニューヨークの新聞記者となっている娘のセリーナが島を訪れる。20年前の皆既日食の日、父親が亡くなっている。その時、ドロレルに殺人容疑がかかったが、事故死の扱いとなった。その時の担当が今回と同じマッケイ警部だった。20年前の事件と今回の事件が、ドロレスとセリーナの回想の形で一緒に進行していく。果たして真相は‥‥。

 母と娘の葛藤と労わりを描くサスペンス作品。スティーブン・キングのベストセラー小説の映画化とあります。
 この映画で、キャシーベイツの存在感は圧倒的です。彼女のための映画といってもいい。演技も抜群です。「ミザリー」から5年後の映画です。20 年前の夫の「事故死」の真相と今回の富豪未亡人「殺人」の真相が、同時並行的に進むにつれて明らかになっていくという手法は非常に新鮮です。母が娘を思う気持ちの普遍性がキャシーベイツの名演によって、鮮明に描かれています。


推薦度 ★★★★☆


41 シリアナ 鑑賞 大津セブンシネマにて 2006/3/12

2006年 アメリカ映画 128分
監督 スティーヴン・ギャガン(「トラフィック」)
出演 ジョージ・クルーニー マッド・デイモン アマンダ・ピート クリス・クーパー ジェフリー・ライト クリストファー・プラマー ウイリアム・ハート他 

 CIA工作員のボブは引退前の最後の仕事を請ける。弁護士ベネットは企業合併を調査する。エネルギーアナリストのブライアンはナシール王子の相談役になる。出稼ぎの青年ワシームは解雇される。中東のある国は国王が兄ナシール王子と弟メシャール王子のどちらかに王位を継承させようとしていた。これらの動きが軸となって、バラバラな事情が絡まりあい、企業合併を絡めて利権を巡る勢力の暗躍が始まるのだった。

 トラフィックの監督らしい物語の構成・脚本で、ドキュメント風にアメリカ・石油資本の暗部を暴いていきます。よく観ていないと、別々の事情が一挙に4通りくらい進行していくので、分からなくなります。最後にはしっかりと一本の糸に連なっていきます。その意味では、もう一度鑑賞すると場面設定がよく分かって、理解が増す気がします。

 ジョージ・クルーニーがアカデミー賞で助演男優賞を獲得した作品です。脚本もノミネートされていました。社会派の作品です。

 雨の日曜日の午後、大津セブンシネマで、夫婦2000円で鑑賞しましたが、お客さんの入りはもう一つでした。

推薦度 ★★★☆☆


40 ツイステッド 鑑賞 WOWOWにて 2006/3/10 

2004年 アメリカ映画
監督 フィリップ・カウフマン
出演 アシュレイ・ジャド サミュエル・L・ジャクソン アンディ・ガルシア 他

 サンフランシスコ市警の捜査官ジェシカは、パートナー・マイクと共に撲殺水死体の捜査を開始する。被害者はジェシカが一晩を共にした相手だった。偶然か。夜の酒が増えて気を失うまでになる。次の殺人もまたジェシカが関係を持った男だった。疑いはジェシカに向けられるようになる。本人も自分が信じられない不安に襲われるようになる。自分が知らないうちに無意識に殺人を犯しているのだろうか。

 最後まで、結末が分からずに緊張感が持続していました。深アルコールと自分を信じられない女捜査官をアシュレイ・ジャド(「ダブルジョバティー」が印象に残っています)が熱演しています。上司をサミュエル・L・ジャクソン、同僚をアンディ・ガルシアが固めていて、配役も申し分ありません。
 事件の追及がジェシカの内へ内へと入り込んで来る。そして自分でさえ自分が信じられない恐怖感。違った切り口のサスペンスです。2004年公開とありますから、最近の映画です。

推薦度★★★☆☆


39 殺しのベストセラー 鑑賞 CATVにて 2006/3/9 

1987年 アメリカ映画 日本未公開
監督 ジョン・フリン
出演 ジェームズ・ウッズ ブライアン・デネヒー ビクトリア・テナント他

 1972年、ロス警察の証拠物件保管所が襲われる。警官3名射殺。残り1名の警官デニスは2発の銃弾を浴びながら犯人をナイフで刺すなど格闘するが、大金は強奪され、瀕死の重傷となる。デニスはこの事件を本にしたところ、ベストセラーとなり一躍ベストセラー警官となった。
 15年度、デニスの前にクリーブと名乗る男が現れる。彼は、自分をモデルとする小説を書くなら、ある男の過去を暴露すると持ちかける。15年前の事件の首謀者というのだ。それは本当だろうか。

 ハードボイルド・アクション映画。冷酷無比の殺し屋とベストセラー警官という奇妙な取り合わせで、過去の事件の真相を小説に現わして暴くという特異な要求は本当に実現するだろうか。

 日本未公開とのこと。殺し屋は殺人が仕事だとはいえ、これだけバンバン殺られると、ちょっとウンザリ。ベストセラー警官は最後までしっかり意思を貫いていて、好感が持てます。物語性という点ではもうひとつかな。


推薦度★★☆☆☆
 


38 トータル・フィアーズ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/3/7 

2002年 アメリカ映画
監督 フィル・アルデン・ロビンソン
出演 ベン・アフレック モーガン・フリーマン ジェームズ・クロムウェル リーヴ・シュレイバー他

 ライアンはCIAに勤めている。ロシアの分析官だ。恋人はそのことを知らない。ロシアの大統領が急死して、ネメロフが新大統領となる。ライアンは呼ばれてCIA長官とともにロシアへ跳ぶ。ロシアがチェチェンに毒ガス攻撃を仕掛けたことを知るライアン。ネメロフの真意でないと主張するライアンだったが、テレビ演説で自分が決断したとネメロフ。アメリカに核が持ち込まれたのだった‥‥。

 政治サスペンス映画。アメリカの危機対処を追う映画です。ロシアとアメリカがお互いに核攻撃のスイッチに手を触れるという状況で、如何に情報を得て如何に対処していくか、というスリルに迫っています。

 こういう映画は緊張する場面が連続するのは確かですが、どこかで「何とかなる」という声がして、緊張感を持続するのが難しい。個人的に、この種の映画を余り好んでいないのかも知れません。


推薦度★★★☆☆


37 エリン・ブロコビッチ 鑑賞 2006/3/4 BS2にて 

2000年 アメリカ映画
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ジュリア・ロバーツ アルバート・フィニー アーロン・エーカット他

 カリフォルニア州のある町に住むエリンは、3人の子があるシングルマザー。離婚暦は2回。職探しに奔走するが断られてばかり。おまけに追突事故。補償金が取れるはずが、和解金が入らずに途方にくれる。そこで頼んだ弁護士エドの事務所に押しかけて、雇うように迫る。そうして得た仕事の中で、書類整理の仕事に不審なファイルを見つける。血液検査の結果が不動産関係ファイルに一緒にある。これは何を意味するのか。不思議に思ったエリンは調査を始めるのだった。

 弁護士アシスタントとなったエリンの活躍を描く痛快な映画です。足で現場を歩いて真相を究明しようとするエリンの姿勢はたいしたものです。それに毒舌。英語なので直接は分かりませんが、相当に際どい単語が連続しているようです。封切時にも観ました。楽しかった。
 エリン役のジュリア・ロバーツは、この映画でアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。ボインはどうみても偽者ですが、毒舌単語の機関銃は、賞獲得に匹敵するということでしょう。公害問題を扱ったテーマとしては重いのですが、楽しんで見られます。


推薦度★★★☆☆(四つ星映画ながら2回目ということで)


36 いとこのビニー 鑑賞 CATVにて 2006/3/2 )

1992年 アメリカ映画
監督 ジョナサン・リン
出演 ジョー・ベシ マリサ・トメイ ラルフ・マッチオ他

 アラバマ州を旅行中の大学生2人が、立ち寄ったコンビニエンス・ストアで店員が殺害される事件が起きる。2人はその容疑者にされる。そこで弁護士であるいとこのビニーに助けを求める。ニューヨークから婚約者とともに現れたビニー。しかし彼は弁護士なりたてで、法廷に立ったことがない。裁判の場で何度も法廷侮辱罪を言い渡される。おまけに騒音で睡眠不足の毎日である。アラバマ州の法律を学ぼうとするが、そんなことで間に合うのか‥‥。

 婚約者役のマリサ・トメイと弁護士役のジョー・ベシの軽快で早口の会話を楽しむ映画です。あとあと婚約者の助言が効いてきます。新米弁護士が実際の法廷の中で「ツボ」を心得ていく様子が非常に楽しく描かれています。殺人事件の冤罪を晴らすという目的がいかに達成されるか、うまく行きそうもないところからのスタートでハラハラさせます。

 婚約者役のマリサ・トメイはこの作品でアカデミー賞助演女優賞を獲得したと紹介にありました。確かに、ド派手な衣装を毎回とっかえひっかえ立ち現れる独特な役回りですが、存在感は抜群で、彼女がいたからこそベシは裁判に取りくむことが出来たのは明らかです。

 楽しい映画というのは観ていて気持ちが晴れ晴れします。


推薦度★★★★☆


35 ハイド・アンド・シーク(暗闇のかくれんぼ) 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/2/25 

2005年 アメリカ映画 102分
監督 ジョン・ポルソン
出演 ロバート・デ・ニーロ ダコタ・ファニング ファムケ・ヤンセン エリザベス・シュー他

 娘の名前はエミリー。母親が死んで心を閉ざしています。父親は娘を立ち直らせるために、ニューヨーク州の田舎にやってきました。隣家が仲良くしようとするがうまくいきません。エミリーに友達が出来ました。チャーリーという名前ですが、父親には見えません。奇怪な出来事が起こり始めます。エミリーはそれはチャーリーの仕業だと言い張るのですが‥‥。

 「かくれんぼ」のタイトル。娘が誰とかくれんぼしているのか。チャーリーとは一体何者なのか。本当に先の読めない恐怖があります。宣伝の時は「恐怖映画」だから観たくないと主張しましたが、妻がレンタル。結局鑑賞する羽目になったのですが、私が恐れた種類の恐怖映画ではなく、先が読めない、真相が分からない怖さがある映画でした。目を瞑ってしまうような画面はありません。映画のために、結末は内緒です。

 娘子役のダコタ・ファニングが好演しています。「宇宙戦争」の女の子です。ロバート・デ・ニーロと張り合っています。

推薦度 ★★★☆☆



34 ネバー・セイ・ダイ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/2/23 

2001年 米映画 91分
監督 ジョン・グレン
出演 クリストファー・ランバード ケリーフォックス ビンセント・リーガン他

 テロリスト・アマーの殺害を計画・実行した暗殺部隊8名だったが、本物は生きていた。そして、顔を変え復讐を企ててくる。一人また一人と消されていくかっての暗殺部隊。雇用先のイスラエルは取り合ってくれない。怪我をしながら生き延びたトニーは迫り来るアマーと、またアマーが狙う本当の標的を知ろうと必死になるのだが‥‥。

 イスラエルとパレスチナの政情不安を背景に両国が暗殺者を雇って殺人を繰り返す中で、今までは人を追う部隊だったがチームの一員を次々消されていく追われる恐怖を体験する物語。91分と短い映画でした。テロリストと暗殺部隊との闘いを描くアクションものという分類か。

 中東情勢については、地理的に疎いのが鑑賞者の難点。地名がいろいろ出てきますが、位置関係がはっきりしない。最後は両国の和平への動きのなかでそれを妨害しようとする勢力と護衛勢力との闘いとなります。スリルはありましが、物語としては可もなし不可もなし。


推薦度 ★★☆☆☆
 

33 君よ憤怒の河を渡れ 鑑賞 CATVにて 2006/2/19 

1976年 大映(永田プロダクション)
監督 佐藤純弥
原作 西村寿行
出演 高倉健 中野良子 原田芳雄 大滝秀治 岡田英次 池辺良他

 街を歩いていて突然「この人が私の指輪を取った犯人!」とゆび指されたのは現職検事である。交番で本庁の刑事を呼ぶが、次に「カメラを盗まれた」と被害者の面通しがあり「この人だ!」とまたも名指しされる。本庁に連行され、家の家宅捜索に同行すると、家からはカメラと指輪が発見される。無実を叫びながらも、その場から脱走する検事。ここから彼の困難極める逃避行と、無実を証明するための犯人探しの長い旅が始まったのだった‥‥。

 「君よ憤怒の河を渡れ」に主演した高倉健はこの映画で中国では最も知られた日本俳優となったと言われています。中国では1978年公開。日本映画第一号とのこと。中国の映画監督チャン・イーモウ氏が、その高倉健を主演にした映画「単騎、千里を走る」が公開されて、もう一度、この映画に関心が集まっています。そういうこともあって見た映画。封切り当時も観たと思いますが、忘れていました。

 無実の罪を晴らすために、真犯人探しをする日本版「逃亡者」の雰囲気。彼を手助けする北海道の事業家の娘・中野や、本庁刑事が徐々に真相に近づいて協力していくとか、周りの援助があって段々と核心に近づいて行きます。
 最後はハードボイルド小説独特の処理となっています。
 それと、挿入音楽が何とも独特です。場面の雰囲気に本当に合っているんでしょうか。それでも中国で音楽も人気になったということですし、あれでいいんでしょう。


推薦度★★★☆☆


32 私が棄てた女 鑑賞 CATVにて 2006/2/18 

1969年 日活
原作 遠藤周作
監督 浦山桐郎
出演 河原崎長一郎 浅丘ルリ子 加藤治子 小林トシ江 加藤武 岸輝子他

 吉岡は自動車の部品会社に勤めている。会社の専務の姪マリ子と結婚する手はずだ。かっては学生運動に燃え、60年安保を闘ったが、今は会社の出世をめざしている。ある時、クラブの女を抱いた時、ミツのうわさを聞く。ミツとは、学生時代に遊び相手だった女工だった。彼は、ミツを欲望のはけ口だけのために付き合っていた。海岸に置き去りにして、下宿を変えた吉岡。ミツは子どもを中絶したのだった‥‥。


 私が棄てた女、ミツは棄てられた女ですが、何時までも真剣に吉岡のことが好きで、どんな仕打ちをされようと愛しているという、純粋さに胸打たれる映画です。男の身勝手も際立ってます。1960年当時の大学は皆エリートだったし、皆貧しかった。田舎から出てきた吉岡にしてみれば、学生運動は純粋に燃えていたはずだ。その後の保守党の勝利で敗北感を深めて、会社では出世をめざす。専務の娘との結婚は出世のためではないだろうが、どこかに打算がある、と自分でも思っている吉岡。そうした複雑な心境を河原崎長一郎が、ちょっと乱暴な立ち振る舞いでよく表現しています。相手役の浅丘ルリ子がとにかく上品で美しい。素晴らしい相手役となっています。

 35年前の映画ですが、今鑑賞しても十分にテーマ性があって鑑賞に耐える映画でした。浦山桐郎さん独特の心象風景の映像がでてきます。


推薦度★★★★☆


31 カーテン・コール 鑑賞 高槻市生涯学習センターにて(四つ星シネマ例会) 2006/2/17  

2005年 邦画 111分
監督 佐々部清(半落ち・四日間の奇跡)
出演 伊藤歩 藤井隆 鶴田真由 奥貫薫 津田寛治 藤村志保 夏八木勲他

 下関出身の香織は東京で出版社に勤めている。ある時、福岡への転勤を命じられた。タウン誌の編集の仕事である。任されたのは「懐かしマイブーム」の投稿を記事にすること。はがきの中に「昭和30年代〜40年代、下関の映画館『みなと劇場』というころで、幕の合間に歌を歌う芸をしていた人がいた」という投書があった。香織は下関の劇場に向かった。切符切りをしている絹代から安川修平という名前を聞く。絹代の話は昭和40年の途中で途切れてしまう。そのあと、香織の育った町でもある下関で何があったのか。

 四つ星シネマの例会での鑑賞。入場はギリギリでしたが、8部の入りで、前の方で見られました。
 幕の合間に歌を歌って間を持たす芸人がいた、という所から話は始まって、見初めた良枝と修平が結婚して美里が生まれるが、映画の斜陽とともに修平は職業を失い、良枝は病に倒れる。大きくなった美里の口から父と良枝との結婚や、父との生活と別離、一人で育った美里は父を恨んでいる、と物語は親子のあり方に発展していきます。背景には民族問題が絡んでいて根を深くしています。

 まじめ映画で、楽しい幕間芸人の一代記を思いきや、在日の民族問題が背景となった、恋愛・結婚・職業・生活をめぐる葛藤というテーマがあって、主人公・香織のかっての恋人も在日だったという絡みも出てきて、親子のめぐり合い映画としては、深い内容のものだったと思います。いつも笑顔の若き修平を藤井隆が好演していました。

推薦度 ★★★★☆


30 エルガー・ガントリー(魅せられた男) 鑑賞 2006/2/15 BS2にて 

1961年 アメリカ映画 145分
監督 リチャード・ブルックス
出演 バ−ト・ランカスター ジーン・シモンズ ディーン・ジャガー アーサー・ケネディ シャーリー・ジョーンズ他

 電化製品を小売店に売る流れ者のエルガー・ガントリーは、その昔牧師の娘を誘惑した過去を持つ。旅の途上で、キリスト教の女性伝導師シャロンを見初めて、気に入れられようと、得意の口八丁で聴衆に「道」を説く。動機は彼女を獲得することだが、純粋なシャロンに近づくうちに、自らも伝導に一役買うようになる。シャロンは教会を建てることが夢だった。新聞記者は彼女の伝導を懐疑的に報道していた。ある街に来た時、かっての牧師の娘は売春婦としてそこにいた。このままでは彼の「女たらし」がばれてしまう‥‥。

 今NHKで放送されているアカデミー賞特集で放送された一作品です。1961年のアカデミー賞主演男優賞(バート・ランカスター)助演女優賞(シャーリー・ジョーンズ)脚本賞を受賞しています。
 有名な映画かも知れませんが、今回初めて観ました。バート・ランカスターの口八丁・手八丁の演説が効を奏して、聴衆が彼の話術に引き込まれていく様が面白い。彼の動機はシャロンを獲得することなのに伝導に一役買うことになる。第三者として中央に新聞と新聞記者を置くことで、奇跡とスキャンダルという宗教を取り巻く揺れの大きさを現しています。
 45年前の作品ですが、十分に楽しめました。牧師の娘が、エルガーを想うが故の行動が想わぬ(?)結果を招くストーリーを展開して、いい脇役を演じています。


推薦度★★★☆☆


29 穴(Holes)鑑賞 レンタルDVDにて 2006/2/14

2003年 アメリカ映画(日本未公開)
監督 アンドリュー・ディヴィス
原作 ルイス・サッカー 児童文学「穴」(講談社判)
出演 シガニー・ウィーバー ジョン・ヴォイト シア・ラブール他

 スタンリーは代々の発明家の家に育っている少年。イエルナッツ4世を名乗っている。父・祖父は靴の匂いを消す発明をめざしているがうまくいかない。それもその前の父が祈祷士の言葉を実行しなかったからのろいがかけられたと信じている。
 スタンリーは靴泥棒の罪を着せられて矯正院へ送られてしまう。そこは砂漠のど真ん中。逃げることはできない。その矯正院では「自己啓発のため」と称して少年に穴を掘らせている。毎日毎日。所長は強圧的に院を治めている。穴を掘る作業は実は別の大きなと企みがあったのだった。

 原作は児童文学でアメリカでヒットしたものとあります。ディズニーが制作しています。冒険ミステリーアドベンチャーといった内容です。少年が主人公で湖が健在だった時の話と現在とを織り交ぜて、過去の悲話や祈祷師の呪いも明らかにして、展開していきます。トカゲとかガラガラ蛇とか呪いとか宝物探しとか、少年少女をターゲットにした映画のように思えました。少年スタンリーの友達ゼロがいい助っ人役をしています。日本未公開とのこと。謎解きの最後まで楽しめました。

推薦度★★★☆☆


28 マネートレイン 鑑賞 CATVにて 2006/2/12 

1995年 アメリカ映画
監督 ジョセフ・ルーベン
出演 ウェズリー・スナイブス ウディ・ヘレルソン ジェニファー・ロペス ロバート・ブレーク他

 ジョンとチャーリーは鉄道公安官。地下鉄の囮捜査で活躍している。二人はいわば乳兄弟だが性格は正反対。すぐ熱くなるチャーリーと冷静なジョン。チャーリーはギャンブルで1万5千ドルの借金をつくりその筋の人から恫喝されている。交通局の料金所が放火強盗に襲われ、素行が悪いと二人に嫌疑がかかる‥‥。

 ウェズリー・スナイブス(ジョン)は冷静で真面目な公安官に扮しています。将来の「スナイパー」主演へと続きますが、すでに十分アクションスターです。ウディ・ヘレルソンとの絶妙のコンビを楽しむ映画です。地下鉄が疾走するクラッシュ映画でもあります。ジェニファー・ロペスは捜査官役。身体を鍛えていて、ジョンとのボクシング試合は面白い組み合わせです。

推薦度★★☆☆☆
 



27 アラバマ物語 鑑賞 BS2にて 2006/02/11 

1962年 アメリカ映画 129分
監督 ロバート・マリガン
出演 グレゴリー・ペック メアリー・バダム フィリップ・アルフォード ジョン・メグナ他

1932年のアメリカ南部のアラバマ州での出来事。弁護士フィンチには息子と娘がいる。ある時、町の娘の暴行事件が起きて、黒人トムが逮捕され、その弁護をしてもらえないか、と依頼が来た。引き受けたフィンチに、町の人たちの反応は冷たかった。公判の前日はトムを守るために保安官事務所に詰めなければならない有様。さて、裁判が始まった‥‥。

 公開当時アカデミー賞を受賞した(主演男優・脚本等)話題の映画です。アメリカ映画ベスト100などの特集モノでもよく顔を出しています。私は初めての鑑賞でした。

 鑑賞してこれは脚本がいいと思いました。フィンチが黒人の弁護をすることで悩む様や町の無理解が描写されますが、それを娘と息子の視点を中心に描くことで、より客観的で押えた演出になっています。隣りのブーとの交流が子どもらしくて非常に良い。最後では娘・息子と関わり合うことにもなります。
 視点の勝利です。

推薦度★★★★☆ 
 

26 ロボッツ 鑑賞 レンタルDVDにて  2006/2/8 

2005年 アメリカ・アニメ
監督 クリス・ウェッジ
声の出演 ユアン・マクレガー ハル・ベリー グレッグ・キニア他

 皿洗いロボットの息子ロドニーは発明好き。発明家になりたいと、ロボット・シティへやってくる。憧れのビッグウェルド博士は引退して、新しい経営者は、最新部品でアップグレートしない中古ロボットは全ては廃品にするという計画を進めていた。


 アニメの中でも、ロボットの世界というと、擬似社会はないのですから、背景となる全てがイメージの世界での想像創作となります。その点がこの映画で、大変だったろうな、と思うところです。宮崎駿流にセルで描くのではなく、CGを駆使して作成されているとは思いますが、過剰と思えるほどの動きが特徴のキャラクターばかりですから、子どもたちが楽しんで観ただろうな、と思いました。

推薦度 ★★☆☆☆


25 ラジオの時間 鑑賞 CATVにて  2006/2/7 

1997年 東宝
監督・脚本 三谷幸喜
出演 鈴木京香 唐沢寿明 西村雅彦 戸田恵子 細川俊之 井上順他


 ラジオ放送局のスタジオ。ラジオドラマ「運命の女」の生放送が始まるところ。初めて書いたシナリオが採用された主婦鈴木みやこは本番を待っていた。主演女優である千本のっこが、自分の役名が気に入らないからと変更を言い出す。メアリー・ジェーンがいいと。プロデュ−サーの牛島は丸く納めるために要求を呑んだ。相手役の浜村が腹を立てて、名前を外国名にせよという。元々の舞台は熱海のメロドラマのはずが、ニューヨークの設定に変更となる。台本の辻褄が合わなくなり、変更が必要だが主婦にそんな芸当はできない。物語はとんでもない方向へ走り始めるのだった。


 今や笑いの第一人者である三谷幸喜が初めて行った監督・脚本作品です。2回目の鑑賞ですが、いつ見ても可笑しい。舞台劇のイメージがあって、放送スタジオ以外は守衛室と廊下以外にカメラは出ていきません。そこで繰り広げられるドタバタ劇が楽しい。結局、脚本家が憂き目を見るのは本人の体験か、脚本とはそういうものだといっているのかは、不明。鈴木京香が可哀想。

 配役は、三谷ファミリーの観があって、ほとんどが「有頂天ホテル」にも出演しています。

推薦度★★★☆☆(四つ星ながら2度目の鑑賞ということで)


24 フラットライナーズ 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/2/7 

1990年 アメリカ映画(原題 Flatliners )
監督 ジョエル・シュマッシャー
出演 キーファー・サザーランド ジュリア・ロバーツ ケヴィン・ベーコン  オリバーブラット ウイリアム・ボールドウイン 他

 医学生のネルソンは、仲間の医学生のデビッド、ジョイ、レイチェルに、「死後の世界を確かめる」実験を提案する。1分間だけ仮死状態にしてその後、蘇生させるというのだ。自ら実験台となるネルソン。仲間の協力で成功する。次はデビッド、レイチェルと実験を繰り返す。しかも仮死時間を増やしながら。何とか成功するものの、その後おかしな幻聴に惑わされるようになる。この実験には、隠れた秘密があることをネルソンは言わなかった。

 医学生が自分の死後体験を実験する映画。非常に映像化が難しいテーマと言えます。今や人気者のキーファーザサーランドがネルソンに扮しています。ジュリアロバーツがレイチェル、ケヴィンベーコンがデヴィッドに。今は有名な俳優たちばかりですが、皆、若い顔をしています。

 豪華メンバーの映画ですが、テーマが「死後」ではちょっと特殊過ぎます。誰も知らない世界を見たいという願望か。子どもの頃に回帰するというのは何となく分かる気はしますが、映画としてはどうでしょうか。

推薦度 ★★☆☆☆


23 日本列島 鑑賞 チャンネルNECO にて 2006/2/4 

1995年 日活
監督・脚本 熊井啓
原作 吉村公一郎(「小説日本列島」)
出演 宇野重吉 二谷英明 鈴木瑞穂 芦川いづみ 木村時子他

 昭和34年、アメリカ軍キャンプにあるCID(犯罪捜査課)に着任したポラック中尉は、リミット曹長殺人事件の資料を取り寄せるように、通訳主任秋山に命じた。これは昨年起こった事件で水死体は米軍が警察から撤収して事故死と発表、幕を引いてしまったものだ。秋山は妻が米兵に暴行されて事故死扱いされた経験を持つ。警視庁の黒崎から、リミット曹長は偽ドル札を追っていたことを知る。精巧なドイツ製の印刷機と技師伊集院が一緒に消えたことも知る。娘和子は教師をしていた。父が連れ去られた時家族を脅したカラ沢という人物が浮かび上がった。かれこそ謀略機関で働く謎の男だった‥‥。

 1965年の熊井啓監督作品です。1945年の敗戦後日本を占領した米軍の影の部分と日本列島で起こった怪事件(下山事件・松川事件等)との繋がりを追う社会派サスペンスです。米軍の謀略機関が偽ドル印刷を手掛けタイ・ビルマの麻薬を香港ルートで運搬しているという想定を立てて、次々起こる怪事件に切り込んでいきます。しかし、謀略機関の暗躍によって真相は解明されず、不安を残しながら、余韻を伴った結末になりました。

 社会派サスペンスの名にふさわしい骨太の映画です。40年ほど前の映画ですが、古さは感じさせません。グングン引きこまれていきます。宇野重吉さんが好演しています。芦川いづみ、三谷英明などもいいと思います。

 ビデオにはなっていないので、なかなか鑑賞できないでいました。熊井啓監督の代表作と言えると思います。

推薦度 ★★★★☆


22 赤い標的 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/2/2 

1999年 アメリカ映画 100分
原題 The Breakup(別離・結婚解消)
監督 ポール・マーカス
出演 ブリジッド・フォンダ キーファー・サザーランド ハート・ボックナー スティーブン・ウエハー 他

 主婦のジミ-はコツコツ貯金していた。それには訳が。夫は嫉妬心が強く暴力が絶えない。迎えに行くが居なくて帰宅すると「どうしていた」と暴力が始まる。夫の浮気の証拠である電話番号を見せると逆行して二階から突き落とされる。目が醒めると病院の中。刑事が来て何故怪我したか聞くが本当のことを言わない。すると、夫が自動車もろとも事故にあって死亡したことを告げられる。参考人として拘束される。途中で逃げ出すジミ−。夫は本当に死んだのか?

 主演はブリジッド・フォンダ、ピーターフォンダの娘です。耳が聞こえなくて唇の動きを読むちょっと弱々しい主婦を演じています。しかし、いかに力がなくても刑事が助力してくれても、逃げて、逃げて、それで駄目なら、最後はことを自分で解決しなければならないのです。
 
 「24」で今人気のキーファー・サザーランドが普通の刑事役に扮しています。ジミ-を職務の範囲で助けます。こういう普通の役もできますよ、ということか。相棒の刑事はひどい。最後までことを起こさなかったのが不思議です。
 物語としては、サスペンスとして「どうなる?」という興味を最後まで引っ張ってくれて、及第です。

推薦度★★★☆☆


21 ラスト・ボーイスカウト 鑑賞 BS2にて 2006/2/1 

1991年 アメリカ映画 105分
監督 トニー・スコット
出演 ブルース・ウイルス デイモン・ウエイアンズ ハル・ベリー チェルシー・フィールド他

 ジョーは探偵やボディデーガードが仕事。かっては 大統領の命を救ったこともあるが、今は自暴自棄に近い生活で、妻も子どもも振り向いてくれない。ある時、ダンサーのガードを頼まれるが、射殺されてしまう。彼女の恋人は元アメリカンフットボールの名QB。成り行きで協力して犯人を追ううちに、フットボールを公式賭博にしようという勢力と議員が絡んでいるらしい、ことが分かるが、彼らに捕まってしまう‥‥。

 今から15年前の映画です。ブルース・ウイルスがその分、若い。映画の中では殴られ過ぎですが、一発で反撃するのは、強すぎ。

 アクション映画ですから、カーチェイスや銃撃戦や鉄塔からぶら下がるシーンや、が必要でしょうが、やたらとそんな場面ばかりあると、そうしたアクション自体を見せる映画だろうか、と思ってしまいます(多分そうでしょう)。やはり、映画は展開の楽しさがないと、暴力ばかりが目につきます。

推薦度★★☆☆☆


20 氷壁 鑑賞 CATVにて 2006/1/31

1958年 大映映画
監督 増村保造
脚色 新藤兼人
出演 菅原謙二 山本富士子 野添ひとみ 川崎敬三 山茶花究他

 魚津と小坂は山の仲間だ。二人は冬の前穂高岳の北壁を登っていた。吹雪の中、トップを交代して、突然小坂が転落する。二人を結んでいたザイルが切れたのだ。魚津は「ナイロンザイルが切れた」と主張した。「ナイロンザイルは安全か」と新聞ダネとなる。八代の手によって、実験が組まれることになる。その八代の妻美那子に、ある一夜以来、想いを寄せていたのが他ならぬ小坂だった。幾度か美那子に会う間に魚津もまた彼女に引かれ始めるのだった‥‥。

 1958年当時に朝日新聞に連載小説が掲載されて人気を博した井上靖の同名小説を映画化したものです。

 菅原謙二・山本富士子・川崎敬三など、懐かしい布陣です。冬の前穂高岳北壁への登山という、ハイレベルな登山家の話です。発売されたばかりのナイロンザイルが本当に切れたのか、「山は知っている」と魚津は言い、彼の人格を信じる者はいても、「衝撃実験」で切れなかったことが、世間を針のムシロに変えてしまう。やがて、小坂が発見され、ザイルも回収されるのですが、ザイルを検証してくれる学者は現れません。小坂は自殺したのかとのミステリーも絡ませて描いています。

 撮影当時の1958年の上高地付近が何回も出てきます。大正池や梓川。そして、穂高岳。その当時の景色を見るだけでも十分に堪能できる映画です。

 この井上靖の「氷壁」が、1月からの土曜ドラマになっています。


推薦度★★★☆☆


19 宇宙戦争 鑑賞 レンタルDVDにて  2006/1/31

2005年 アメリカ映画
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 トム・クルーズ ダコタ・ファニング ティム・ロビンス ミランダ・オットー ダニエル・フランゼーゼ他

 アメリカ東部の町に住むレイは別れた妻からロビーとレイチェルを預かる。天候異変か雷が鳴り、稲妻が走って地中から巨大な異物が現れる。テロではなく、宇宙からの侵略者だったのだ。鋭い光線で人間の抹殺を始める三本足のお化け。レイは子どもを乗せて自動車で逃げるが、アメリカだけでなく、世界に同時に起こったこの世の最期を告げる攻撃だったのだ‥‥。

 パニックものの典型映画。得体の知れない巨大物を登場させることでヒットを飛ばすスピルバーグならでは、の映画です。今回はテレビ観賞でしたので、画面での迫力はイマイチでした。後半、人間の吸血を始める辺からは、抹殺者とは違う側面がでていて、延命のために血を必要とする「宇宙人」という設定かな、と思いました。映画館で観る映画です。

推薦度★★☆☆☆(映画館用ということで)


18 ヘヴン(Heaven) 鑑賞 レンタルDVDにて  2006/1/30

2001年 米=独=英=佛
監督 トム・ティクヴァ
出演 ケント・ブランシェット ジョヴァンニ・リビジ レモ・ジローネ ステェファニア・ロッカ アレッサンドロ・スペルドーティ他

 イタリアの都市トリノでの話。29歳の女教師フィリッパは、麻薬売人のいるオフィスに爆薬を仕掛けるが、掃除婦が持ち出してエレベーターが爆発、罪なき4人を殺害してしまう。憲兵に逮捕される。取調べで真実を知ったフィリッパは嫌悪感から失神してしまう。彼女を見初めたのは21歳の通訳兼刑務官のフィリッポだった。彼は、彼女を逃がすべく策略を練る。彼女は売人を殺害したい一心で彼の計画に乗るのだが、情報は漏れていた‥‥。

 ケイト・ブランシェットは役になり切る俳優です。今回はスキンヘッドで体当たり演技を披露しています。爆弾テロを実行してそれが誤爆となってしまった高校教師役です。憲兵隊の幹部が絡む麻薬取引を摘発するのは非常に難しい。ならば、自ら麻薬の売人を射殺するまでは絶対捕まらないと決意するフィリッパ。ラブ・ストーリーということですが、爆弾が絡む話はきな臭くていけません。

推薦度 ★★☆☆☆


17 スタンド・アップ 鑑賞  TOHOシネマズ高槻にて 2006/1/27 

2005年アメリカ映画
監督 ニキ・カーロ(クジラの島の少女)
原作「集団訴訟」(Class Action)
出演 シャーリーズ・セロン フランシス・マグドーマンド ウディ・ハレルソン ジョーン・ビーン他

 原題は「North County」(北の街)でした。1989年の設定。夫の暴力から逃げて2人の子どもとともに両親が住むミネソタへ帰って来たジョージーは、ふたりの子どもを育てるために、収入が良い炭鉱で働くことを決意する。父親は反対する。男でもきつい職場、炭鉱。未だ未だ女性はホンの少数だった。草分け的存在で信頼も厚いグローリーが一人で組合役員になって頑張っていた。しかし、「男の職場」に現れた女性は男の職場を奪う存在としか見られなかった。嫌がらせが横行している。自分の稼ぎでローンで家を購入したジョージーだったが、「身持ちの悪い女」とうわさを立てられ、子どもともギクシャクしてしまう。私物を汚されたり、落書きされたり、レイプの危険さえある職場に、グローリーが声を上げる。「やめてください」。それは、孤独な闘いの第一歩だった‥‥。

 主役のシャーリーズ・セロンがゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされました。同様に、先輩で相談相手のグローリーは助演女優賞にノミネートされています。セロンは作業服で全身ドロだらけになって渾身の演技をしています。

 演出は押え目で、ことさら「セクハラ」ばかりを強調してはいません。北の街で女が職を持って子どもを育てることがいかに大変か、ということを回りの女性含めて描いています。
 「スタンドアップ」のタイトルからして、激しい闘いの映画を想像しがちですが、原題のように、北の街でシングルマザーの女性が普通に生きるということ、家があり、職場があり、子どもを育てながら、たまには週末はバーで飲むという普通の生活を送ること、そのこと自身を、炭鉱職場・会社経営者・街の回りの者などの中で、理解を獲得していく映画です。

 両親の理解なくしてジョージーの闘いはなかったと映画は強調しています。頑固だった父親が娘の味方になった時、転換が始まるのです。
 プレミアシートでゆったりと鑑賞した2時間でした。


推薦度 ★★★★☆

 


16 妻として女として 鑑賞 BS2にて 2006/1/26 

1961年 東宝映画
監督 成瀬巳喜男
脚本 井出俊郎 松山善三 
出演 森雅之 淡島千景 星由里子 高峰秀子 飯田蝶子 中北千枝子 仲代達矢 水野久美 十朱久雄 淡路恵子 他

 河野圭次郎は大学で建築学を教えている。妻・河野綾子と弘子、進の2人の子どもがいる。河野には前から愛人がいた。銀座で「カトリーヌ」というお店を切り盛りしている、三保という名前の女性である。店の名義は河野綾子で毎月10万円の家賃を入れる関係。「本妻と愛人が仲がよい」と世間では言われるが、当然そうではない。河野綾子は、「カトリーヌ」の中の若手をスパイにして内情を知ろうとしていた。一方、三保の友達は、店が三保の名義になっていないのはおかしいという。15年間も尽くしてきたのだから「もらって当然と」。しかし、本妻と愛人の間には、誰にも知られていない秘密の約束があったのだった‥‥。

 1961年の映画です。今年は成瀬巳喜男監督の生誕100周年の年にあたるということで特集を組んでいます。その中の一作品。タイトルのとおり、妻と愛人の物語です。両者の立場の違いから起こる対立は、簡単に解決できそうもない話。そこに、お店や慰謝料や子どもが絡んで、何とも大変となる。肝心の河野圭次郎が、「どうしようもないから、このままなるように」との態度のために、結局、妻と愛人が各々解決策を見つけることになっていく。

 成瀬監督は「女性映画」が得意分野という紹介をよく読みますが、この映画にしても、庶民の日常を描き、起伏はあるけれども、生活するように、物語がすすんでいくと言う感じです。

 1961年当時の世相の中では「三種の神器」が世間を賑わせている時代で、さっそく、物語の中で、車・クーラー・カラーテレビが出てきます。そうした世相を反映しながらつくられた映画だから、映画を観ながら、そういえばあの当時は、と当時を思い出すのにいい導火線になるのでは。


推薦度★★☆☆☆


15 田舎の日曜日 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/25 

1985年 フランス映画 91分
監督 ベルトラン・タヴェルニエ
出演 ルイ・デュクルー サ・ヴィーヌ・アゼマ ミシェル・オーモン 他

 パリ郊外に住む老画家の、とある日曜日。家政婦が家の中を仕切っている。パリに住む息子夫婦が3人の孫を連れて尋ねてくる日だ。朝から気がウキウキしている。駅へ向いに出るが、途中で会ってしまう。老画家の庭で伸びやかに遊ぶ孫たち。息子も何かと会話に気を使う。昼寝の間に、娘が帰ってきた。老画家は二人の子どもに囲まれてご機嫌だ。しかし、時間は過ぎ、夕方、帰っていく時間がやがてやって来た。

 1984年のカンヌ映画祭でパルムドール賞を受賞した作品との触込みにつられてレンタルした映画です。物語に起伏があるわけではなく、時間とともに淡々と流れていく映画です。

 一般的にいえば、一人暮らしのおじいさんが時間を決めて会いに来る子どもや孫たちを心待ちにして、その間は楽しく過ごすが、夕方、やがて来る別れを静かに迎えるという映画です。

 画面を絵画として鑑賞するということかも知れません。あるいは、老画家の心象風景を思いやりながら鑑賞する映画ということかも知れません。主人公が画家というのはフランスらしい設定。
 10年後にもう一度鑑賞して、今と気持ちの変化があるかどうか、確かめたい気になりました。


推薦度★★☆☆☆


14 ロック、ストック&トゥ・スモーキング・バレルズ 鑑賞 長男購入DVDにて 2006/1/24 

1998年 イギリス映画 108分
監督 ガイ・リッチー
出演 ニック・モラン ジェイソン・ステイサム ジェイソン・フレミング デス・スター フレッシャー・スティング他

 ロンドンの下町に住む若者四人組。エディはお金を借りて一攫千金のギャンブルに出るが、惨敗。50万ポンドの借金ができてしまう。返済期限は1 週間。ギャングのボスの追及はキツイ。父のバーが取られる危機になる。四人は、マリファナを扱う事務所を襲って大金を手に入れようと強盗の計画を実行するのだが‥‥。

 長男が購入してきたDVD。監督ガイ・リッチー(マドンナの夫)の第一回作品で、映画『スナッチ』の監督でもあるから、購入したと言っていました。

 四人組とマフィアとギャングとその手先、3者が絡まりあってテンポよく展開するクライム映画です。女性が登場しない「ギャンブル」と「マリファナ」と「強盗」の映画。四人組は普通の若者で、強盗はするが殺人に手を染めないのに、「行き違い」が事態を好転させるところや、「行き違い」からギャングとマフィアが対決するところなど脚本が面白い。ハリウッド映画でなく、イギリス映画というところも好印象。


推薦度 ★★★☆☆


13 レイクサイド マーダーケース 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/23 

2004年 東宝
監督 青山真治
原作 東野圭吾
出演 役所広司 薬師丸ひろ子 柄本明 鶴見辰吾 杉田かおる豊川悦司 他

 名門中学の受験を控えて、子どもの受験合宿に同伴することになった3組の夫婦が、湖畔の別荘風の合宿所の集まる。講師の模擬面接試験が繰り返される。子どもの体力テストの訓練も行っている。3組の夫婦のうち、並木は、娘舞華のためにやってきたが、妻美菜子とは別居中。よい夫婦を演じている。初めての夕食時にに、突然、並木の愛人・英里子が合宿所を訪れてくる。ホテルのバーで落ち合う約束をして、合宿所を抜け出した並木だったが、英里子は現れない。仕方なく帰ると、英里子は冷たくなって横たわっていた。「私が殺したの」。並木は妻の言葉がにわかには信じられない。

 今よく読まれている作家・東野圭吾氏の『リバーサイド』が原作の映画です。湖畔の別荘が舞台の殺人事件の謎解き物語、といえば、殆どミステリー王道です。密室とまではいきませんが、舞台劇に近い感じで進んでいきます。物語がクライマックスを迎えたとき、「え、そうだったの」と、いままでの行動が全く別の意味を持ってきます。ミステリーの醍醐味か。
 出演は、役所広司・薬師丸ひろ子・柄本明・豊川悦司と、しっかりした俳優を揃えて、ミステリーを盛り上げています。中でも、薬師丸ひろ子の光る目と柄本明の淡々とした判断は印象的です。
 東野圭吾は今、配偶者が一所懸命読んでいる作家の一人です。

推薦度★★★☆☆ 


12 ザ有頂天ホテル 鑑賞 TOHOシネマズ高槻にて 2006/1/21 

2006年 東宝 140分
監督・脚本 三谷幸喜
出演 役所広司 佐藤浩一 松たか子 香取慎吾 角野卓造 戸田恵子 伊藤四朗 オダギリ・ジョー 原田美枝子 YOU 西田敏行 ほか


 舞台は大晦日の有頂天ホテル。ホテル主催の「カウントダウンショー」の準備に大忙し。謹賀新年の垂れ幕の字が違う、ショーの芸人たちのガチョウが逃げた、などをテキパキと裁く副支配人。大晦日に「マン・オブザ・イヤー」の表彰式があり、人気絶頂の演歌歌手が宿泊し、記者に追われる汚職国会議員が隠れて記者が群がり、コールガールが出没し、、スイートには富豪の愛人が長期宿泊している、などなど話題満載の「人のルツボ」、それがホテル。カウントダウンまでの2時間に、さまざまな「事件」が一斉に、起こるべくして、捲き起こる。


 評判の映画ということで、劇場へ出かけました。昼からでしたが、日曜日ということもあり会場は9部の入り。人気が高いようです。楽しく鑑賞できました。飽きさせないサービス精神旺盛の映画です。
 140分ほどの長さのなかにエピソードの数々が散りばめられています。

 ホテル従業員では、@副支配人・新堂勝利(役所広司)−昔演劇の監督だった 元妻(原田美枝子) Aベルボーイ(香取慎吾)−歌手を目指している B客室係(松たか子)−政治家の愛人 宿泊客では Cマンオブザイヤー(角野卓造)−コールガールとツーショット D汚職政治家(佐藤浩一) E演歌歌手(西田敏行) 芸人たちでは、Fシンガー(YOU) それに、筆の達人(オダギリ・ジョー)、総支配人(伊東四朗)などが入り乱れて、エピソードを「出演」していきます。

 出演者が豪華なことでも話題の映画でしょうが、しっかりエピソードに組み込まれています。
 笑いの中に、その人の人生・歩んできた道・めざしていく道が浮き上がってくれば、という演出のように思えました。
 副支配人のことば。「お帰りなさい、私たちは家族です」


推薦度★★★★☆


11 僕はラジオ  鑑賞  WOWOWにて 2006/1/22 

2003年 アメリカ映画
監督 マイク・トーリン
出演 キューバ・グッディングJr エド・ハリス デブラ・ウインガー アルフレ・ウッダード他

 アメリカ南部の町・アンダーソン。ここに名門ハナ高校がある。アメリカンフットボールやバスケットが盛んな高校である。教師であるハロルドは、アメリカンフットボールが好きでたまらないコーチである。ある日、練習場から出たボールを返さなかった青年がいた。知的障害があって、いつもラジオを聴きながらゆりかご風の四輪車を押していた。生徒が痛みつけたので、ハロルドは厳しく生徒を叱る。そして、彼に練習に参加しないか、と誘う。ラジオと名づけ、アメフト部の臨時コーチとして手伝ってもらおうというのだ。余り言葉も出ない”ラジオ”がうまく行くのだろうか。

 アメリカであった実話を基にした映画とのこと。この青年は今でも名物コーチとして高校にいると、実写フィルムが最後に流れます。南部の町の中にハナ高校が溶け込んでいて、高校の活躍を見守る住民の目が温かいから、地域に話が広がっていって「美談」としてだけの描き方以上になっています。
 映画の中では、金曜日のアメフト部の対外試合のあと、必ずよる散髪屋があって、町の人たちが集まっていて、コーヒーを飲みながら、今日の試合について、あれこれ談義する光景が好きです。ハロルドも寄って、感想を述べている。南部の暖かい目があります。

 教師役がエド・ハリス。こういうシリアスな役もこなせるんですね。青年を演じているのが、「エージェント」で選手に扮したキューバ・グッティングJr、奥さん役をあのデブラ・ウインガーが演じています。校長はアルフレ・ウッダード。いい役者が沢山でています。


推薦度 ★★★☆☆ (本当は4つ星ですが2回目の鑑賞なので)


10 アニメ マダガスカル 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/19 

2005年 アメリカアニメ
監督 エリック・ダーネル トム・マクグラス
声の出演 あぎやはぎ アンタッチャブル


 ニューヨーク・セントラルパークの動物園の人気者で何不自由なく暮らしているライオン・シマウマ・キリン・カバの4匹だったが、ある日、ペンギンの話を聞いてシマウマが「野生」という所に行ってみたくなる。夜に動物園を抜け出すと、3匹が跡を追う。駅まで来た時、人間に捕まえられる。次、目が覚めた時は、アフリカ行きの船の中だった。


 ライオン・アレックスとシマウマのマーティー、それにキリンのメルマンとカバのグロリア、の4人(匹)組が織り成す冒険活劇物語、といったらいいでしょうか。ギャグとパロディが満載なのでポイントを見逃してはいけません。爆笑する場面が半減します。

 物語の展開というよりも、変化自在なアニメならではの動きや表現、毛並み、そして、ギャグとパロディを味わう映画です。個人的には、拍手喝さいの映画ではありませんが‥‥。
 長男が「観たい」ということでレンタルした映画でした。


推薦度 ★★☆☆

 


9 フォーチュン・クッキー(おみくじクッキー) 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/18 

2004年 アメリカ映画 97分
監督 マーク・S・ウオーターズ
出演 ジェイミー・リー・カイティス リンゼン・ローハン マーク・ハーモン ほか


 精神科医テスは夫と死別して今は娘と息子の3人暮らし。2日後に新しい夫ライアンとの婚姻を控えている。娘アンナは高校に通うがロック演奏に夢中で国語の成績はFだった。息子は姉弟ケンカばかりしている。テスは親戚が集まる明日のディナーに娘に出席を言うが、ちょうど、その日はロック演奏コンテストの日だった。食事に来ても揉めているふたり。そこに中国4000年の歴史の人ペイペイがあらわれ「フォーチュン・クッキー」を食べるように勧める。翌日大変なことになる。娘と母親の心と身体が入れ替わってしまった。どうしようか。

 身体と心が入れ替わる話は、いろいろなパターンで映画化されています。高校生の男と女が入れ替わる「転校生」をよく覚えています。この映画は母と娘の入れ替わりです。かって、ジョディ・フォスター主演で「フリーキー・フライデー」という映画があってそのリメイク版とありましたが、それは未見です。互いを理解しようとしなかった母と娘が、全く入れ替わってしまうことで、お互いの気持ちが分かるようになっていくというストーリーです。俳優の演技が大変です。入れ替わったことを表現するのは声の感じが一番ということで、英語ではなくこれは日本語吹き替えで見ました。

推薦度 ★★☆☆☆ 
 


8 1リットルの涙 鑑賞 高槻市生涯学習センターにて 2006/1/16 

2005年 邦画
監督 岡村 力
出演 大西麻恵 鳥居かほり 芦川よしみ 松金よね子 かとうかずこ 他


 主人公木藤亜也は高校受験を控えた15歳の夏に難病にかかったことが発見される。脊髄小脳変性症という名称で、小脳の機能低下により運動能力が奪われていく病気という。それでも高校受験により豊橋東高校に入学した。通いの医者から「日記」を付けることを勧められて、毎日つけるようになった。友だちの助けを借りての高校生活は辛いが楽しいことも一杯あった。学校近所のパン屋のおばさんも助けてくれた。しかし、病魔は進行し、高校を去る日が来た。送ってくれる仲間。障害児のための養護学校に入学し寄宿舎生活となった。自律せよと寮母に教えられた。発表会の感動もあった。そして、卒業。入院が待っていた。機能回復訓練を受けねばならない。頑張る姿があったが、進行を止めるに精一杯だった‥‥。

 テレビドラマが評判になった「1リットルの涙」はその前に映画化されていました。その映画の上映会があって、鑑賞してきました。
 音楽を余り使用しない全体的に抑えた演出で、木藤亜也が精一杯に生きたことを画面に表現していました。麻也役の大西麻恵さんは新人かも知れませんが、頑張っています。かとうかずこさんが複雑な母親役をしっかり演じていました。
 電話をかけるという日常生活の何気ない動作を奪われる哀しみ、ペンを持つ手がゆがんでしまう哀しみ、それでも「耐えておくれ私の涙腺」と書き記す日記の文字。印象的なシーンでした。
 一日限り6回上映の映画会(私はD17:40)でしたが、観客はよく入っていたように思いました。


推薦度★★★☆☆


7 交渉人 真下正義  鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/15

2005年 東宝
監督 末広克行
出演 ユースケ・サンタマリア 寺島進 高杉豊 国村準 金田竜之介他


 警視庁で初の交渉課準備室が設けられた。真下正義が警視庁交渉人(アゴシエーター)として認知された形だ。2004年12月24日のクリスマスイブの日。新鋭実験車両(通称クモ)が何者かに乗っ取られる。情報を得た警視庁は、真下チームをダイヤ指令センターに送る。責任は室井管理官が取ると。
 犯人が連絡してきた。真下を出せと。交渉人と犯人との「ゲーム」が始まる。東京地下鉄には公表されていない線路があることが明らかになる。爆弾が爆発する。一回目は小規模だったが、木島警視は3回あると「カン」を頼りに必死に追いかける。犯人の意図は何か、どこを爆破しようというのか。

 人気シリーズ「踊る大捜査線ムービー」のNO3ともいうべき映画。エゴシエーター・真下正義に焦点を当てて、犯人とのシーソーゲームを映画にした。地下鉄駅の目まぐるしいまでの移動カメラと、指令センターに陣取った真下の落ち着き払った態度。その態度で犯人とやり取りしてヒントを引き出し、狙いを絞っていく。過去の名映画のタイトルやシーンがヒントに使われています。どれもインターネットで即座にデータを入手して対話できるすばやさは楽しい。ただし、不満があります。
 それは、誰かが述べていましたが、結局誰が問題を解決したか、それが「勘」だとは何とも情けないではないか、ということ。
 それと、真犯人像が不明というのも納得できない。消化不良である気がします。事件と犯人像とは切っても切れないからこそ謎を追うのです。結末の展開を逃げている感じがします。
 そして、映画として必要な情緒・人間・感情が描かれていないと感じるのが、ちょっとね。


推薦度★★☆☆☆
 


6 エターナル・サンシャイン 鑑賞  2006/1/14  

2004年 アメリカ映画 107分
監督 ミシェル・ゴンドリー
脚本 チャーリー・カウフマン
出演 ジム・キャリー ケイト・ウンスレット キルスティン・ダンスト マーク・ラファロ ほか

 パーティが苦手なジョエルはあるパーティで一人でいると女の子クレメンタインと出会う。彼女との日々が続いたはずなのに、ある朝、「クレメンタインはジョエルとの出会いの全てを消す手術をしたから今後近づかないように」との手紙を受け取る。記憶除去手術を手掛ける医者からの手紙だ。ショックを受けた彼はその医者にかけつける。彼もクレメンタインとの記憶を消そうというのだ。さて、医者の面接が開始される。記憶をたどるジョエル。そこはクレメンタインとの甘く、起伏のある掛け合いの日々だった。手術が開始される。このままでは全てが消されてしまう。それでいいのか。

 何とも展開が複雑な映画でした。現在進行形があって、過去があって両者が混在しながら物語が展開していくので、今は何時、という時間軸ばかりが気になって、記憶なの、記憶を消そうとしている今なの、それは終わって次の展開なの、とよくよく、観察してみないとごっちゃになります。
 これは頭の回転の柔らかい若い人が見る映画かも。恋に落ちる何とも切ない、苦しい、消してしまいたいような記憶が必ずあるのですから、それを本当に消していいのですか、と問いかけているようです。
 ケイト・ウインスレットの演技が光っています。複雑な感情の起伏を幾通りも演じ分けています。

推薦度★★☆☆☆


5 北の零年 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/13 

2005年 東映映画
監督 行定勲
出演 吉永小百合 豊川悦司 柳葉敏郎 石原さとみ 石田ゆう子 石橋連司 香川照之 渡辺謙


 明治維新の淡路島・稲田藩。徳島藩との内紛で北海道・静内への移住を命じられる。500人余を乗せた船が北海道をめざす。小松原志乃は娘の多恵とともに、先発隊で渡っていた小松原英明と合流する。「殿が来るまで」「我らが国をつくろう」が合言葉だったが、北海道の自然は厳しい。淡路島の作物は育たない。稲田家の屋敷はできたが、第2船は難破してしまう。その殿から廃藩置県を知らされる。武士を捨てる覚悟をする。


 明治初期の北海道・静内を舞台に、武士階級が崩壊していく様を織り交ぜながら「我らが国」を作るという「夢」に向って、夢も追いつづければ現実となる、という志乃と、「夢は所詮たわ言」と言い放す小松原英明とを、対照的に描きながら、物語は進んでいきます。志乃の生き方への共感が、入植者全員の生活力を伴った時、未開の地北海道に生活が根付くのですが、それはそんなに簡単なことではないことを、映画は語っています。
 吉永小百合さんの11本目の映画だとのこと。迫力ある演技で大地に夢を追い求める姿を熱演していました。


推薦度★★★☆☆ (2度目の鑑賞ですので)


4 デンジャラス・ビューティー2 鑑賞 レンタルDVDにて 

2005年 アメリカ映画
監督 ジョン・バスキンス
出演 サンドラ・ブロック レジーナ・キング エリンケ・ムルミアノ ウイリアム・シャトナー他

 FBI捜査官グレーシー・ハートは「1」にミスアメリカコンテストに出たため、有名になり過ぎて、顔が知れ渡り捜査にも支障を来たすようになる。上司から、仕方がないからFBIのPR専門になれ、と命令される。PRの仕事でマイアミに出張するが、同タイプのサムが相棒に指名されてお互いに反発する。マイアミでは、かってのミス・コン仲間「ミス・アメリカ」誘拐事件が発生する。捜査官の顔がもたげて。

 初回作が人気があって制作された第2弾。私の目では余り成功していません。今回の「デンジャラス」度は数々の変装シーン(PR姿も一種の変装)ということか。相棒サムは同タイプ(腕っ節が強くて男に振られる)を設定して反目しあう。今回は、誘拐事件が起きるけれども、本業であるはずの捜査官ハートが、捜査の中心に入れず、側面捜査するところがミソです。
 面白くは観ましたが、ちょっと、物足りないかな、という印象が残りました。

推薦度 ★★☆☆☆


3 ハウルの動く城 鑑賞 レンタルDVDにて 2006/1/10 

2004年 東宝 スタジオジブリ作品
脚本 宮崎駿
声の出演 賠償千恵子 木村拓哉 美輪明宏 我集院達也 加藤治子 原田大二郎他


 ある王国の話。軍隊が華やかな時代。父の帽子店を継いでいるソフィは18歳。妹レティは活発だが、ソフィーはおとなしい性格で帽子店を本当に継ぎたいのか、考えている。ある日、町でハウルに出会う。空中散歩を経験して有頂天となる。しかし。ハウルを追う荒地の魔女が家に来て呪いをかけられ90歳の老女に変えられてしまう。家を出るソフィ。途中で案山子を助けると付いて来るようになる。動く城に出会い中に入り込んで掃除婦を宣言する。そうして、ハウルの動く城に入ったソフィだが、それはハウルの弟子のマルクルや火の悪魔カルシファーたち、そして城の主ハウルとの格闘の始まりだった。


 封切り時に映画館で鑑賞して今回2回目。2回目でも十分に楽しめるアニメです。火の悪魔カルシファーが重要なバイプレイヤーという感じがしました。ハウルの玄関は何処でもドアになっているのが面白い。物語を一度に飛躍させることができます。ハウルが戦争を憎んでいる気持ちがストレートに出てくる作品です。家族で楽しんで鑑賞しました。

推薦度★★★☆☆(本当は4つ星ですが2回目だから)


2 電車男 鑑賞  レンタルDVDにて 2006/1/8 

2005年 東宝
監督 村上正典 
原作 中野独人「電車男」(新潮社刊)
出演 山田孝之 中谷美紀 国仲涼子 瑛太 佐々木蔵ノ介 木村多恵 他

 パソコンや映画にはやたらと詳しいチャット掲示板オタクといえる22歳の青年が電車の中で、酔っ払いに絡まれている女性を助けたことがきっかけで、その女性から「カップセット」をプレゼントされる。それがエルメス製だったことから、電車男とエルメスを巡って、チャット仲間とのやりとりが展開していく。顔も知らないバンドル名だけの意見交流、実は男に振られた看護士、引き篭りの青年、仕事が忙しいサラリーマン、倦怠期の専業主婦、オタク3人組などであるのだが、それは電車男には分からない。チャットのアドバイスを勇気にして、22歳の電車男の、初食事、初デートなどの初恋物語が進行していく。


 シャットのやりとりを本にしてベストセラーとなった『電車男』を映画化したものです。多少、漫画的ですが、純愛・初恋物語として、楽しめます。映画館でもよくお客が入った映画ということです。
 初恋という当人だけの小さな出来事がコミカルに描かれていますが、その初恋体験が周りの人々を夢中にさせ勇気づけていく様子が描かれています。その広がりが面白い。
 実際にエルメスのような女性がいるかといわれると、疑問かもしれないが、夢があっていいじゃないか、ということだと思う。


推薦度★★★☆☆


1  コーラス  鑑賞  レンタルDVDにて    2006/1/8 

2004年 フランス映画
監督 クリストフ・バラテイエ
出演 ジェラール・ジュジョ、フランソワ・ベルレアン、マリー・ビュネル他


 1949年のフランス。戦後4年、ある寄宿舎の話。「池の底」とヤユされている寄宿舎。孤児らが暮らしている。そこへマチューという新任の音楽教師がやってくる。生徒たちのいたずらに迎えられるが、校長の管理教育「やられたらやり返せ」に疑問を持つ。音楽を封印していたマチューだったが、自らの作曲の歌を子供たちに歌わせようと、歌唱指導を始める。子供の中にビエールという子がいた。彼は不良ぶっていたが、歌が好きなのがわかる。彼の声は「天使の声」ともいえるボーイソプラノ。彼の音楽の才能を見抜いたマチューは、働く母親に好意を持ちながら、音楽学校入りを進めるのだった。


 フランスで絶賛をもって迎えられた秀作。1949年当時の寄宿舎で、一音楽教師が生徒の才能を見抜いて伸ばしてやろうとする、両者の交流がいい。映画のトップ画面で、今や世界的指揮者となったビエールと友人ベピノ(孤児でやがてピエール教師の養子となった)が音楽教師の日記を読むところから始まっています。彼らの50年前の話として展開する手法です。リヨンにあるサン・マルク少年少女合唱団がサントラで歌っているとのこと。少年ビエールを演じたジャン=バティスト・モニエはそこの団員だとのこと。実際に素晴らしい歌声です。
 私は、教師役を演じたジェラール・ジュジョの名演に拍手を送りたい。『バティニョール叔父さん』の主役の人です。どこか喜劇的で三枚目役で、画面を柔らかく包み込む力をもっています。


推薦度★★★★☆


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