一汁一菜の映画鑑賞記 (その 7 2005.1〜 ) 

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インデックス

  2005.1月   タイムリミット  全ては愛のために  ハウルの動く城  ふたりの人魚  踊る大走査線2  猫の恩返し  シュレック
         金融腐蝕列島「呪縛」  スパイダーマン2  北の零年

    
 2月  シービスケット  シャイン  スクールオブロック  火火  ふたりのトスカーナ ペーパームーン

     3月  世界の中心で、愛をさけぶ  解夏   モナリザスマイル   ボーン・スプレマシー   LOVERS(ラバーズ)   アーサー王
         アイ・スパイ(I/SPY)   コラテラル   なごり雪  たそがれ清兵衛  となりのヒットマンズ全弾発射

     4月
  砂と霧の家  僕はラジオ  誰も知らない  幕末太陽伝  ベッカムに恋して
  
     5月  スイング・ガールズ  シークレット・ウインドウ  ターミナル  追跡者  天国の青い蝶  インストール  父、帰る  血と骨
         スカイ・キャプテン  ソフィの世界


     6月     ホーンテッドマンション  血と骨  スカイ・キャプテン  クジラの島の少女  レイ  ミリオンダラー・ベイビー  ロビン・フッド
         素晴らしき日曜日  第一目撃者

     7月
    宇宙戦争  ロングウエイ・ホーム  ベリー・バッド・ウエディング  ふたりにクギづけ  ステップフォワード・ワイフ
         フォーガットン  スターウオーズ・エピソード3/シスの復讐  ユニバーサル・トレジャーEP2/黄金の伝説  リクルート

     8月
         オーシャンズ12  サイドウエイ  アレキサンダー  コントロール  男はつらいよ第3作フーテンの寅  新・男はつらいよ(第4作)

       ブリジッド・ジョーンズの日記・きれそうな私の12か月 ネバーランド  男はつらいよ 奮闘編   バッチギ!
         ロングエンゲージメント  ニュースの天才  ヒトラーー最後の12日間ー  男はつらいよ寅次郎恋歌

    
9月  さよなら、クロ  コンスタンティン

   
10月   ドッジボール  ナショナルトレジャー  君に読む物語  28日後(28デイズレイター)  キングダムオブヘブン  モンスター
         ヴェロニカ・ゲリン

  
 11月  スイミングプール 天国まで100マイル  キング・アーサー  誘拐犯  パテョニョールおじさん  スカーフェイス  
        名もなきアフリカの地で  サハラ  モーターサイクル・ダイアリーズ

   
12月  ガタカ  ハリーポッターと炎のゴブレット  ガラスのウサギ  カレンダー・ガールズ  バートン・フィンク  桜の花の咲くころに
        マザーテレサ アイランド 笑の大学 24(Twenty four)W  スター・ウオーズ  奥様は魔女  皇帝ペンギン 
        バッドマン・ビギンズ ALWEYS三丁目の夕日 セルラー

 

 

 

   
鑑賞記
 

 


 

108 セルラー  鑑賞  レンタルDVDにて 

2004年 アメリカ映画 95分
監督 ディヴィッド・R・エリス
出演 キムベイシンガー、クリス・エバンス、ジェイソン・ステイサス、ウイリアム・H・メイシー他


 高校の生物教師ジェシカは、突然自宅を襲われて誘拐される。訳が分からぬまま、小屋に閉じ込められる。唯一あった電話機が破壊されるが、知識を生かして配線し直す。繋がった先はライアン。女友達と遊びに夢中だが、必死の電話の主の声に次第に容易ならざる事態だと感じるようになる。次にジェシカの子どもが狙われ、父親も狙われる。彼らは一体何者で、何を狙っているのか。


 セルラーとは携帯電話のこと。唯一の連絡手段・携帯電話が軸になってジェシカとライアンとが繋がり、ジェシカは閉じ込められたままで、ライアンは駆け巡る。息をつかせぬ展開に引き込まれます。途中で誘拐の目的が分かってきますが、危機は迫っています。
 主演のキム・ベイシンガーは随分とスリムになって教師を熱演しています。また、老刑事役のウイリアム・H・メイシーが渋い役どころです。
 サスペンスですので、ネタバレなしで、紹介しました。面白い映画でした。


推薦度★★★☆☆


107 ALWAYS 三丁目の夕日  鑑賞 高槻松竹セントラルにて 

2005年 邦画 130分
監督 山崎貴
原作 西岸良平(ビックコミックオリジナル「三丁目の夕日」)

出演 吉岡秀隆、小雪、堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真希他

 昭和33年の東京下町、夕日町三丁目。丁度東京タワーが建設されていた。鈴木則文が社長兼従業員である町の自動車修理工場に青森から集団就職で六子がやってきた。会社紹介のウソと履歴書の読み間違いから起こる騒動。道の向かいには駄菓子屋があり叔母の後を継いで茶川龍之介が営んでいる。芥川賞の最終選考に残ったこともあるが、今は少年雑誌に投稿している。近くに一杯飲み屋ができた。女将のヒロミが美人で人気の店。そこへ親に捨てられたと淳之介が連れられてくる。女将に頼まれて淳之介の面倒を見ることになる龍之介。実は、龍之介は大の少年冒険小説ファンで、自らも小説を書いていた。鈴木オートに待望のテレビが来た。折りしも力道山のプロレスが中継されていた。盛り上がる三丁目。


 昭和33年。翌年に皇太子結婚があってテレビ普及に一役買った頃。テレビのプロレス中継、中学卒業生の集団就職、駄菓子屋、氷屋、子供向け月刊雑誌、医者とスクーター、タバコ新生、など当時を彷彿とさせる背景が映画の中で上手に再現されて、目の前に展開してくれます。このときに育った団塊の世代としては堪らない風景です。ストーリーはいくつかの下町人情話が挿入されていて、幾度かホロリとさせられます。私が注目したのは親子関係。親は子供を叱りつける。怒られて当たり前でも子供は自分の言い分をしっかり言う。周りにはガキ友達が必ずいる。少年雑誌は注目の的だった。暗くなるまでが遊び時間で走り回る。これが当時の子供の姿で、エネルギーに溢れた子供たちがいた。六子は6人兄弟で自分は「口減らし」だと思っているが母親の本当の気持ちが分かって正月に帰る決意をするエピソードにはホロッとしました。
 もう一点は監督の年齢。山崎貴さんは1964年生まれです。生まれていない時代の状況をこれまで忠実に再現できたことに脱帽です。VFX技術の成果ということですが、オープンセットとの融合は見事だと思います。
 久しぶりにいい映画に出会いました。

推薦度★★★★☆

追伸
 高槻松竹セントラルの場合は、意気な計らいがあって、昭和22年〜24年の団塊の世代は証明すれば1,000年で入場できます!

『三丁目の夕日』についてコラムを書きました(2005/12/28)。


仕事納めの日です。さて今評判の映画『三丁目の夕日』を観られましたか▼舞台は昭和三三年の東京下町夕日町三丁目。東京タワーが建設中だ。町の自動車修理工場鈴木オートに青森から集団就職で六子がやってきた。向かいに住む龍之介は東大出の作家で駄菓子屋を営みながら少年雑誌に投稿している。近くに一杯飲み屋が開業して女将は評判の美人である。そこへ親に捨てられたと淳之介が連れられて来る。女将に頼まれて淳之介の面倒を見ることになる竜之介。鈴木オートに待望のテレビが来た。ちょうど力道山が中継されていた‥‥▼昭和三三年の下町と人情が再現されています。少年冒険小説が大好きで自らも習作を書く淳之介、面倒を見る竜之介、淳之介が親に会いたいと言うと手助けするガキ仲間の一平、自分は口減らしだ思っているが母親の本当の想いを知る六子などのエピソードはホロリとさせます。仕事する大人が溢れ、遊ぶ子供が溢れて、下町に活気があります▼監督の山崎貴さんは一九六四年生まれというのも驚き。知らない時代を再現しています。高槻松竹では団塊の世代料金があって千円で鑑賞できます。今年の日本アカデミーの本命と思う作品。未見の人は是非どうぞ▼よいお年をお迎えください(M)


106 バッドマン・ビギンズ 鑑賞 

2005年 アメリカ映画 140分
監督 クリストファー・ノーラン
出演 クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、渡辺謙他


 ブルース・ウエインは、子どもの時洞穴に落ちて圧倒的なコウモリの大群に襲われた経験を持つ。そして目の前で両親が射殺される。父の遺産の会社を継ぐことになるが、両親を殺した罪人を許せない。自ら罪人となって心理を知ろうとする。そんな時、謎の人物と会い、体を鍛える修行を行う。彼は街に戻るが、そのゴッサム・シティは悪がはびこり、善は衰退していた。会社経営の顔の一方で、黒装束に身を包んだ男の顔=バットマンに変身して、ハイテクを駆使しながら、巨悪に立ち向かうのだった。


 バッドマンシリーズの第5作。タイトルのとおりバットマン誕生の物語です。物語が非常に分かりやすく出来ています。大富豪でありながら、巨悪に立ち向かうバッドマン成り立ちの物語。豪華キャストを迎えているのも特徴。主役級が脇役で演技しています。「サンダーハウスルール」のマイケル・ケイン、「シンドラーのリスト」のリーアム・ニーソン、「ミリオンダラー・ベイビイ」のモーガン・フリーマン、「ラスト・サムライ」の渡辺謙など。
 アメリカのコミック誌から生まれたヒーロー。日本で言えば七色仮面か(ちょっと古い!)。


推薦度★★★☆☆


105 皇帝ペンギン 鑑賞 レンタルDVDにて

2005年 フランス映画
監督 リュック・ジャケ


 南極大陸に暮らす最も大きい種類である皇帝ペンギン。カメラは彼らの集団行動を黙って追う。3月末、南への大移動を始める。安全な氷山の地で、ツガイを確認し卵を産み育てるために。100kmに及ぶ距離をひたすら歩くペンギンたち。そうしてたどり着いた約束の地ではダンスを踊る。オスが少ないための争いもある。卵を産んだが、外は極寒。足元の毛の中で温める。卵は今度は雄に預けて、メスは食料調達の旅に出る。また、100kmを歩きとおす道だ。その間、オスは食料なしで過ごす。卵が孵り、鄙がが生まれる。懸命に守るオス。母親が帰って来るまで持つかどうかが勝負。やがて、母親が帰り、次はオスが自分の食料到達の旅に出る。母親の元で、大きくなる雛。やがて、一人立ちの日を迎える。海に入る雛たち。これから4年、海で泳ぎ続けるために。


 ストーリーで書くとこんな感じです。とにかく、監督と撮影スタッフのフランス人に乾杯。よくぞ映像化したものだと思う。極寒の地・南極で、これだけのことをフィルムを収めるには、この50〜100倍は撮影したということ。大変な努力です。
 大自然とともに、自分たちの法則を守って生きるペンギンたちの姿が本当に生き生きと描かれています。


推薦度★★★☆☆


104 奥様は魔女 鑑賞  レンタルDVDにて 

2005年 アメリカ映画
監督 ノーラ・エフロン
出演 ニコール・キッドマン、ウィル・フェレル、シャーリー・マクレーン、マイケル・ケイン他


 落ち目の映画男優ジャックは、テレビに出演して再起を賭ける。選んだのはかっての人気TVシリーズ「奥様は魔女」。一方、魔女の世界から「普通の生活」を夢見て人間界に舞い降りたイザベルは、町の本屋さんでジャックから声をかけられる。「君が必要だ」。無名の女性を抜擢することで自分を目立たたそうという魂胆だった。魔女が魔女に化けて、物語の展開は‥‥。


 サマンサとダーリンで名をはせたTV番組を映画化するのに、一捻りした脚本で臨んだ映画。番組のリメイク自体を劇中劇にしてしまおう、という作戦です。しかし、結果としては、余り成功していない気がします。
 喜劇で有名かもしれませんが、ウイル・フェレルのオーバー演技にはちょっとついていけません。もっと、上品でウィットのある作品にして欲しかった。
 名優ニコール・キッドマンを出演させても、彼女の演技ではなく、美しさだけが印象に残っています。
 ちょっと、失敗作でした。


推薦度★☆☆☆☆


103 スターウオーズ・エピソード3 シスの復讐 鑑賞 レンタルDVDにて 

2005年アメリカ映画
監督 ジョージルーカス
出演 ユアン・マクレガー(オビ=ワン ケノービ) ナタリー・ポートマン(パドメ) ヘイデン・クリステンセン(アナキン・スカイウォーカー) クリストファー・リー(ドゥーク伯爵) サミュエル・L.ジャクソン(メイス・ウィンドゥ) フランク・オズ(ヨーダ)他


 封切時に映画館で鑑賞しましたが、レンタルが出ていましたので、借りてきてもう一度家族で見ました。

 1978年に日本で初めて「スターウオーズ」が公開されてから27年。その最初に戻るためのストーリー展開が「シスの復讐」です。アナキンが暗黒=ダークの世界に魅せられて、ジェダイからシスに変貌していく様を描きます。1978年に登場した鉄仮面のダース=ヴェイダー卿誕生の物語です。

 全部で6本の映画が作られましたが、製作順(数字がストーリー順)に並べると、4「新たなる希望」5「帝国の逆襲」6「ジェダイの帰還」1「見えざる脅威」2「クローンの攻撃」3「シスの復讐」となり、前回作の「クローンの攻撃」から最初に製作された「新たなる希望」に繋がっていくという作り方がされています。

 物語が時系列でないのは、何とも不思議な気がしますが、どうなるのかがある程度予測されても、余りある展開となっているのがこの「スターウオーズ」シリーズです。

 圧倒的なSFXをCGと実写とを織り交ぜて楽しませてくれます。「ロード・オブ・ザリング」や「ハリーポッター」とは異なった、本家としての格調がある気がします。


推薦度★★★★☆


102 24(TwentyFour)シーズンW 遂に鑑賞 

2005年 米連続テレビ映画
出演 ジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)、ジェームス(ウイリアム・ディヴェイン)、オードリー(キム・レイヴァー)、エリン(アルバータ・ワトソン)、クロエ(マリー=リン・ラジスカブ)、ミシェル(レイコ・エイルスワース)、トニー(カルロス・バーナード)、デェイビッド(デニス・ヘルスバード)、マルワン(アーノルド・ヴォスルー)他

 遂に最後まで見ました! シリーズ4です。最後まで見るのに一時間(実際は50分位)×24=24時間、見たことになります! レンタルで2時間づつ12枚借りました。これはボリュームです。

 今度も展開は速く、内容に引っ張られて、次はどうなると、連続して見たくなる内容です。
 ネタバレ禁止で、余りストーリーに触れることはできませんが、中東系のテロ組織がアメリカが中東で行っている事を知るがよい、という大義のために、首謀者マルワンが中心になって、アメリカを震撼・破滅させる計画をすすめていく。一方のCTUはそれを阻止すべく懸命の対処を行う、というストーリーです。

 「最善を尽くすとは、人間関係には制限されない」として無慈悲とも思える決断を次々下すバウアー。支局長も同様。人間感情を取り戻すためにはCTUを辞めるしかない。非情な職場=任務だという設定です。大統領とのホッとラインという設定が任務に重さを持たせています。

推薦度★★★☆☆
 


101 笑の大学 鑑賞 レンタルDVDにて

監督 星護
出演 役所広司 稲垣吾郎他


 時は昭和15年、演芸が華やかな浅草だったが、戦争とともに検閲制度が強化され、台本はことごとく事前検閲を受けた。警視庁・取調官向坂睦男と、「笑の大学」という演芸場の台本作家椿一が、取調室を舞台に、検閲強化とそれを抜けようとする作家との壮絶な7日間の闘いの物語です。とはいえ、三谷幸喜が脚本を書けば、当然喜劇であるわけで、検閲制度が逆に面白い台本を作り上げていくというギャグが展開されていって、さて物語の行方はどうなっていくでしょう。


 舞台劇の様相を呈しています。取調べ室の7日間が全体の8割を占める映画です。この物語には実在の人物がベースになっているとのこと。喜劇王エノケンの座付作家・菊谷栄という人物です。実際に彼は台本作家で活躍しましたが、半ばで軍に召集され、戦死したとのこと。享年37歳。この映画の中でも召集されます。
 ロミオとジュリエットが寛一とお宮になり、接吻を邪魔する警官が出てきて、その登場の必然性を巡って二人が議論し出す頃になると、すっかり佳境に入っています。
 愉快な映画です。


推薦度★★★☆☆


100 アイランド 鑑賞 レンタルDVDにて 

2005年 アメリカ映画 136分
監督 マイケル・ベイ
出演 ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャアイモン・フンスー、スティーブ・ブシェミ他


 リンカーンは外の汚染された世界から隔離されて完璧に管理された安全社会に暮らしている。睡眠・食事・運動全てが管理され、ジョウダンと話すことが楽しいが、異性には触れられない。唯一、汚染されていない楽園アイランドへ行くことが愉しみとなっている。しかし、抽選はなかなか当らない。ある日、ジョウダンが抽選に当った。皆に祝福されるジョウダン。その日、リンカーンは見てはならないものを見てしまった。逃げるしかない。彼はジョウダンの手を引いて、ひたすら逃げる。セキュリティー部隊の執拗な追跡をかわすことはできるのか。そして、アイランドの正体は。


 封切された時に、興味があったのですが、未見のまま、今回DVDで見ることができました。近未来アクションといったらいいでしょうか。アイランドの正体を明かすことは避けますが、後半まで、しっかり引っ張っていってくれるストーリーです。アクションも派手です。敵であるはずの相手側の中から、死の商人への反発として味方が現れてくれるのは救われます。
 アクションと「解放」への闘いを楽しむ映画です。


推薦度★★★☆☆


99  マザーテレサ 鑑賞 2005年12月14日(水)

2003年イタリア=イギリス映画
監督 ファブリッツィオ・コスタ
出演 オリビア・ハッセー、セバスティアーノ・ソマ、ラウラ・モランテ、ミハエル・メンドル他


 この映画についてコラムを書きました。

生涯学習センターで開催されている月一映画会、12月は『マザーテレサ』でした。2003年のイタリア=イギリス作品です▼1946年インドのカルカッタ。修道女テレサは女学校で教鞭を取っているが、派遣伝道師として修道院外で働くことを決意する。先ずスラム街で青空教室を始め、子どものために食料の托鉢に回る。やがて12人のシスターとともに「神と愛の宣教者会」を設立して独立する。先ず始めたのは「死を待つ人々の家」の開設。瀕死の人々の最期をみとめるための施設である。次に建てたのは孤児のための施設「聖なる子どもの家」。またハンセン病患者のためのコロニー「平和の村」建設に東奔する。1979年ノーベル平和賞受賞。「世界で最も貧しい人々に代わって受賞する」と演説する‥▼最も貧しい人々に一生を捧げたマザーテレサの半生を描いた映画でした。聡明で頑固で小気味よい人柄と決して真似できない「献身」の精神がよく描かれていました▼ところで、現役のマザーテレサを記録した映画は世界で3本しかないそうです。うち一本が日本人監督によるドキュメンタリー映画『マザーテレサとその世界』。ノーベル平和賞を受賞した年に完成しています。千葉茂樹監督の着眼がすごいと思う▼是非とも見たい映画です。 20051213掲載

推薦度★★★☆☆


98 桜の花の咲く頃に 鑑賞 

 フジテレビ系の2時間ドキュメンタリー番組(9日pm9:00〜11:00)。
 第一回日本放送文化大賞グランプリを受賞
 日本民間放送連盟賞(テレビ教養番組)最優秀賞受賞


 舞台は北海道・別海高等学校。ここには町の産業である酪農の跡継ぎを育てるための「酪農科」があります。
 高校3年生の進路を追います。お父さんが亡くなって地元に就職することを決めた子、お父さんの跡を継いで猟師をめざす子、母が敢えて家から出ることを進めた一人っ子、北海道大学を受験する子、お金のかからない看護学校を受験する子、東京に出てきて英語を生かしたいと思う子、など一人一人の思いが、北海道の厳しい自然と、そこに生きる動物と人間とを描きながら、話が進んでいきます。酪農科の先生、3年生受け持ちの先生、臨時教員の先生を追うことも忘れていません。

 そして、卒業式と次の生活へ。カメラはそのあとも追います。大学の寮で仕送りなしで頑張る子、札幌で予備校に通う子、父と猟場に出る子、看護学校の子、歯科衛生の訓練、など。


 非常によくできたドキュメンタリーでした。北海道の自然がふんだんに挿入されて、自然とともに生きる人間の姿、進路は決して一人だけで決められないものであること、家業があってこその自分だし、これからの自分もそうだというスタンスが、どの高校生の言葉からも出てきます。そして、家族の一員として、高校学校生活以外では、家業である酪農や漁業などで家族と共に働くことが当然だ、という姿勢も新鮮です(サラリーマン家庭の高校生はアルバイト以外の労働を行っていないのでは)。早朝の新聞配達を続ける高校生もいました。

 最後に流れる、「臨時教員のよし子先生は見事に北海道教員採用試験に合格!」(8回目の挑戦)のテロップは、本当に救われた思いのする構成でした。

 民間放送の賞を受賞しての再放送。前回に続いてもう一度しっかり鑑賞しました。 


推薦度★★★★☆


97 バートン・フィンク(BARTON FINK)鑑賞 レンタルDVDにて 

1992年 アメリカ映画 116分
監督 ジョエル・コーエン 制作 イーサン・コーエン(コーエン兄弟)
出演 ジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマン、ジュディ・ディーヴィス、マイケル・ラーナー他

映画賞 1991年カンヌ国際映画祭パルムドール(監督・主演男優) 1991年アカデミー賞(助演男優賞)

 
1941年のアメリカ・ニューヨーク。劇作家のバートンフィンクは、声がかかって映画作家としてハリウッドにやってくる。ロスのホテルは薄暗くて壁紙がはがれてきたり、蚊が飛んできたりする不思議な部屋だった。映画製作会社の社長に会って脚本を頼まれる。レスリングのB級映画。だが、出だしが決まらない。ホテルの隣に住んでいる保険外交員と話すようになる。唯一の話し相手だった。有名な作家の秘書と知り合ったことで事件に巻き込まれる。

 何とも不思議な映画です。主人公の劇作家バートンに映画製作会社の社長はどんな脚本を期待していたのでしょうか。バートンが悩み書き上げた彼の傑作は、B級映画として、受け入れられない現状。真剣さがある分だけB級映画とは相容れないということか。社長が求める娯楽の脚本をなぜバートンに求めるのか。結局、この映画で言いたかったのはどういうことか、反芻するのですが、うまく理解できてきません。
 衝撃的なラストシーンも、分からないでは、ちょっと鑑賞能力の欠如かな、と反省しています。


推薦度★★☆☆☆


96 カレンダーガールズ 鑑賞 レンタルDVDにて 

2003年 イギリス映画 108分
監督 ナイジェル・コール
出演 ヘレン・ミレン、ジュリー・ウオルターズ


 イギリス北部にあるヨークシャーのある町。クリスとアニーは婦人会の親友。クリスの夫は白血病で亡くなっている。アニーはクリスの夫を偲ぶために、白血病対策の基金を集めようと提案する。しかも、自分たちのカレンダーの収益金によって。ヌードカレンダーの提案に戸惑う女性たちも、ついに撮影を決意する。完成したカレンダーは話題を呼び、マスコミが殺到する。遂には、ハリウッドまで。しかし、クリスは何か違和感を感じていた。


 痛快な映画といったらいいでしょう。イギリスにあった実話がもとになっている映画とあります。カレンダーによる自己主張が見事に実を結んで、生活に張りを持ち、そして自分の家族を考え直すきっかけになった、という映画です。物語の展開が外へ外へと向っていく映画ですが、内へも向くことも忘れてはいません。

 楽しく見ました。

推薦度★★★☆☆


95 ガラスのウサギ 鑑賞  大津市生涯学習センターにて

監督 四分一節子
出演 (声)竹下景子、最上莉奈、原康義他
原作 高木敏子著『ガラスのウサギ』(金の星社)


 東京に住む江井敏子は12歳。父竹雄はガラス工場を経営している。母・ヒデと長男恒夫、次兄行雄、妹信子、妹光子の5人兄弟で家族7人で暮らしている。1939年、太平洋戦争が始まり、長男と次男が志願兵として出兵する、学徒出陣で近くの音楽と本が好きな大学生が出征していく、学童疎開が始まり、家族がバラバラになる、父親は満州へ、空襲が始まり、防空壕へ逃げる住民、3月10日の東京大空襲は家族を襲い父親が助かるが、二宮駅で機銃掃射に会う、一人ぽっちとなった敏子、やがて8月15日を迎える、東京で次兄と再会、秋保の田舎暮らしは過酷な毎日、長男が帰って来るが秋保へ帰っていく‥‥。


 1939年の太平洋戦争突入から1947年の新憲法制定までを描く長編アニメ。原作はロングセラーとなっている同名の児童文学です。戦後60年の節目の年に、太平洋戦争と憲法について考えるきっかけに、と製作されたようです。
 アニメはいろいろな事件を描きながら淡々と流れているようですが、お父さんを荼毘にするために薪を集めるシーンはジーンときました。

 主催者の挨拶の中で、私は満州東北部でソ連軍と戦闘を行った(ノモンハン事件?)。兵隊2千人のうち数十名の帰還兵がいるのみの激しい戦闘だった。私は奇跡的に生き延び、終戦を迎えたが非常に酷い状況だった。兵隊はすでにとっくに引き上げ、民間人それも弱い婦女子のみが満州に残された。その引き上げは悲惨だった。という体験談がありました。想像以上の惨状だったと強調されていました。印象に残るあいさつでした。

推薦度★★★☆☆


94 ハリーポッター 炎のゴブレット(Hairypotter and the gobblet of Fire)鑑賞 大津セブンシネマにて 

2005年イギリス映画
監督 マイク・ニューウエル
出演 ダニエル・ラドクリフ、ルバート・グリント、エマ・ワトソン他

 
ハリーポッターが悪夢にうなされるところから始まる。クィディッチ・ワールドカップ観戦にハリー・ロン・ハーマニオニーは大喜びするが、華やかな会場に、死喰い人が現れて状況は一変する。ハリーの両親が殺された13年前以来の出来事だった。
 ホグワーツ校では、三大魔法学校対抗戦が、3校の代表者によって闘われることになった。17歳未満は参加が禁止されているのだが、何故だか、炎のゴブレットは、4人目の選手として、ハリーを指定する。規則どおり、4人で争うことになる対抗戦は、未知の敵と魔法で闘う孤独で危険な競技だった。

 第4作となるハリーポッターシリーズを見てきました。金曜日の夜ということもあり、空いていました。
 原作が分厚くなると、ハシ折ったストーリー展開となるため、見せ場は多くて華やかですが、深みがないのは仕方がないことかも知れません。競技会での戦闘がメインとなっています。寮生活や友人との対話などは、ちょっと走りすぎかな。
 ハリーの成長に合わせて俳優が大きくなっているのか、その反対なのか、主人公の顔・形が変化してきています。ハーマニオニーが舞踏会で見せた表情など娘らしくなってきています。
 夫婦50で入場は二人2000円なり。楽しみました。


推薦度★★★☆☆


93 ガタカ  鑑賞  WOWOWにて 

1997年アメリカ映画
監督 アンドリュー・ニコル
出演 イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、ゴア・ヴィダル他


 近未来社会では、両親のDNAを組み合わせることで優秀な子どもが作られていた。自然に出来た子どもには劣勢遺伝があるとして「不適正者」の烙印を押される。自然児ビンセントは、宇宙飛行士になる夢があったが、不適正者に未来はない。そこで、事故で下半身が不自由となったユージンと取引して彼の身体情報をもらうことで、ジェロームとして適正人間になりすます。宇宙をめざして「ガタカ」社に見事入社。内部検査も潜り抜けていく。そんな時、殺人事件が起きて社内に不適正者がいることが判明する。

 DNA鑑定によって全てを決めてしまう社会は何とも怖い社会です。生まれながらにして、全てが決まってしまう階級社会と全く同じ。科学の名前が語られるだけで、時代は明らかに逆流しています。自然児であることがなぜ「不適正者」なのか。劣勢遺伝が種の多様性の表現でもあると思うのですが。
 映画のタイトルとなっている『ガタカ』とは、主人公が入社する会社名ですが、それは、DNAを決定付ける4つの要素の頭文字から取った社名であるとのこと。内容を象徴するタイトルです。
 全てが人間の話であるだけに、何とも怖い話でした。

推薦度 ★★☆☆☆


92 モーターサイクル・ダイアリーズ(THE MOTORCYCLE DIARIES) 鑑賞 レンタルDVDにて
 

2004年 アメリカ映画(?)
制作総指揮 ロバート・レッド・フォード
監督ウオーター・サレス
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、ロドルゴ・デ・ラ・セルナ他
2004年カンヌ国際映画祭正式参加作品


 1952年のアルゼンチン・ブエノス・アイレスに住む22歳の医学生エルネストは、親友アルベルトと共に、中古バイクで南米大陸を横断10,000km走破の計画を立てる。それは、アンデス山脈−チリの海岸−アタカマ砂漠−ペルーのアマゾン河への旅。
 旅で出合う人々との触れ合いを通じて何かを感じ取っていく医学生。アマゾン河で専攻のハンセン病の患者と出会って彼は決意を固めた。


 南アメリカの英雄、チエ・ゲバラの青春を描いた作品とあります。映画を通じて革命家を彷彿とさせる言動は殆どありません。多感な若き医学生が旅で出合う人々との触れ合いを通じて何かを獲得していく物語です。唯一、パーティーの席で誕生日を祝ってもらって行うスピーチが、人々の心を捉えて離さない名演説の片鱗を見せているといえそうですが。
 良くは知らない南米各国を旅するロードムービーとして、非常に目新しくて、刺激的な映画です。


推薦度 ★★★☆☆
 


91 サハラ 死の砂漠を脱出せよ 鑑賞 レンタルDVDにて 

2005年アメリカ映画(アドベンチャー)
監督 ブレック・アイズナー
出演 マシュー・マコノヒー、ベネロベ・クルス、スティーブ・ザーン、ウイリアム・H・メイシー

 
冒険家ダーク・ピッドは、南北戦争時代につくられた金貨に興味をもつ。金貨を搭載した甲鉄艦が行方不明になっている。一方、世界保健機構に勤める医師のエヴァは、ナイジェリアとマリとの国境付近で病気が流行している理由を突き止めようとする。何者かに襲われる医療チームと彼らを救うダーク・ピッド。それは、国境付近で何かがあることの証明であった。彼らの冒険が始まる。

 わけなしのアドベンチャームービー。深刻に考えないで、大いに活劇を楽しみましょう。昔、サハラ砂漠には川が流れていたという設定はなかなか面白い。活劇すぎて、ありえない、なんて考えたら楽しめなくなります。

推薦度 ★★☆☆☆


 90 名もなきアフリカの地で 鑑賞 レンタルDVDにて 

 2001年 ドイツ映画
 監督 カロリーヌ・リンク、原作 シュテファニー・ツヴァイク
 出演 ユリアネ・ケーラー、メライブ・ミニッゼ、レア・クルカ、カロリーネ・エケルツ、マティアス・ハービッヒ他

2001年ドイツ主要5部門映画賞受賞 2002年アカデミー最優秀外国語映画賞受賞


 1938年4月のドイツ。レギーナのお爺さんはホテルを経営し父ヴァルターは弁護士で母イエッテルは美しかった。雪が降っていた。ナチスの台頭とももに、先にケニアに逃れていた父ヴァルターの手配で、母親イエッテルと娘レギーナは海を渡りケニアの地を訪れる。ロンガイの農場で働いているヴァルター。砂漠化して荒廃した大地に住むのは困難を伴った。そこに料理人がいて、レギーナのことを「小さなメンサブ」と呼んで親しくなった。次第にケニアの大地とそこに住む人々に慣れていくレギーナ。最初は「帰りたい」と諍いが絶えなかったイエッテルとヴァルターだったが、オルクの農場に移ってからは、次第に大地の生活に慣れてくるイエッテルであった。


 壮大なアフリカ・ケニアの地で、ナチスの迫害に会う親・親戚の心配をしながらも、自ら、最初は嫌った大地の生活に挑戦していく母親イエッテルと娘レギーナの母子の、順応する強さ・たくましさ、現地に学ぼうとする姿勢の確かさが印象的な映画です。先に生活しながら溶け込めない父親との対比もあって、印象的でした。料理人が雇用人の立場で控えめながら実際には生活の先導役として本当にいい役回りをしています。
 鑑賞したあと、アカデミー賞を受賞していることが分かっ他のですが、納得しました。撮影が大変だっただろうな、と思いをはせながら鑑賞しました。


 推薦度★★★☆☆


89 スカーフェイス(Scarface)鑑賞 レンタルDVDにて

 1983年 アメリカ映画
 監督 ブライアン・バルマ
 出演 アル・パチーノ、スティヴン・バウア、ミシェル・ファイファ、MEサストラントニオ他


 1980年5月、キューバは反カストロ勢力の追放を行った。その中にトニーとマニーがいた。彼らはアメリカのマイアミで皿洗いをしていた。そこへ政治犯レベンタ暗殺の仕事が持ち込まれ、暴動の日、成し遂げる。次はコカインの取引の立会い。打ち合いとなり一瞬のスキをついて皆殺しにする。そうして、麻薬界に入り込んでいく二人は、ボス・フランクに会う。


 1932年に映画化された「暗黒街の顔役」リメイク版とのこと。キューバ移民のトニーが暗黒街のボスにまでのし上がり、やがて凋落するまでを描いている。若いアル・パチーノの存在感が圧倒的な映画である。情婦役のミシェル・ファイファがメリハリが利いていていい。
 息子がレンタルしてきたものを鑑賞。ちょっと前の映画でしたが、麻薬とお金と暴力が全ての暗黒街の話は、何とも暖かみがありません。


 推薦度 ★★☆☆☆


 88 バティニョールおじさん(MONSIEUR BATIGNOLE) 鑑賞 レンタルDVDにて   

 2002年 フランス映画 103 分
 監督 ジェラール・ジュニョー
 出演 ジェラール・ジュニョ、エドモン・バティニョール、ジュール・シトリュク他


 1942年ナチス占領下のパリ。肉屋を営むバティニョールは妻と娘の3人暮らし。娘には作家希望のフィアンセがいて、占領下の時流であるナチスに取り入って一旗上げようと、バティニョールの隣に住むバーンスタイン一家をユダヤ人だと密告する。逃げる寸前で捕まったバースタイン一家はお父さんが医者で、音楽を愛する一家だった。そのアパートは当局の管理下となり、家具は大佐のものとなる。フィアンセはなたナチスに取り入ってバーンスタイン一家が住んでいた200uの部屋を「借りる」ことに成功する。大きな部屋になって、バーティを開く。そこに訪問者。バーンスタイン一家のシモンという名の子どもだった。あわてて3階に匿うバティニョール。そして、このシモンをスイスに逃がすために、あれこれ手を考え、実行に移そうとするバティニョールだった。


 監督兼主演の映画です。2002年の映画ですが、ナチス占領下のパリのごく一般の市民が日常生活の中で、ナチスに協力・取り入るという時流とそれを快く思わない尊厳を取り戻したい市民とが静かな生活の中で火花を散らしている、というのがよく描かれている映画です。母親は時流に疑問を持たず娘と父親はいやであるようです。
 平凡な肉屋ですが、ユダヤ人の子どもをスイスに逃がしてやりたいという使命を自覚する中で、尊厳を取り戻し、シモンとの交流も暖かいものになっていきます。暗い映画ではありません。どちらかといえば喜劇風に描いています。この種の映画は好きです。


 推薦度 ★★★☆☆


 87 誘拐犯(THE WAY OF THE GUN) 鑑賞 レンタルDVDにて

 2001年 アメリカ映画 119分
 監督 クリストファー・クッカリー
 出演 ベニチオ・デル・トロ、ライアン・フィリップ、ジュリエット・ルイス、テイ・ディグズ、ニッキー・カット他


 その日暮らしのアウトローのロング・ボーとパーカーは、精液を売りに行った病院で聞きつけた大富豪の代理妻の話から、誘拐を思いつく。代理妻を誘拐して身代金をせしめようという魂胆だ。彼女には護衛がついていたが、何とか誘拐に成功。彼女のために医師を呼び出すが、それが大富豪の息子で、彼から実は石油王は表の顔で、組合潰しや資金の浄化をする組織の人間だと分かる。1500万ドルの身代金を要求する。大富豪の元には、失態を犯した護衛2人とともに掃除屋が雇われていた。誘拐犯と大富豪と護衛2人と掃除屋の4組が代理妻と身代金を巡って、血なまぐさい撃ちあい・殺し合いが繰り広げられる。


 ベニチオ・デル・トロがニヒルな役で存在感抜群です。撃ちあいと殺人が多いクライムアクション。血なまぐさいのはアウトローの物語だから仕方がないかもしれません。代理妻・妊婦役のジュリエット・ルイスが熱演しています。最後は娼家で帝王切開までするのですから。
 ただし、私の趣味としては、この種の映画は血なまぐさくていけません。荒っぽい映画は余り好きではありません。個人の趣味の問題ですが。

 推薦度 ★★☆☆☆


 86 キング・アーサー 鑑賞 WOWOWにて 

 2004年 アメリカ映画 126分
 監督 アントワン・フークワ
 出演 クライヴ・オーウエン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィズ、ステラン・スカルガルド他


 西暦415年、ブリテン島。ここではローマ帝国のローマ軍とローマからの独立を求めるブリテン島のウオード、それに異民族のサクソン族の三者が闘いを繰り広げていた。ローマ軍の司令官アーサーは円卓の騎士とともにパドリアヌスの城壁を守っていた。15年の兵役が切れて、故郷へ帰る日が来た。ローマ法皇からの使いは、しかし最後の使命を与える。敵軍に囲まれた中からローマ人一家を救出せよ、と。死を意味する使命に敢然と挑むアーサーと騎士たち。そこで、囚われの身となっていたウオードのグウイネビアと出会う。一行を連れた逃避行が始まる。すぐにサクソン民族が迫っていた。氷の湖を渡る一行。そこで戦闘となる。


 この映画は3回目の鑑賞です。封切時・レンタル開始時・WOWOWと3回。ブリテンに住むウオードが自由に住む土地を確保するための闘争の話です。筋立てが分かっていると、細かい所に目がいくようになります。封切時には騎士といえば中世だから、ローマ帝国と合わずに、時代背景がいつかなのか迷いながらの鑑賞でした。サクソン族の襲撃もフン族の大移動の話かな、と思ったりして。アーサーは父がローマ人で母がウオードだと後から知りました。時代スペクタクルという設定ですが、ウオードに視点をおいて映画を見ると、ローマ人も含めて侵略者が誰か見えてきます。

推薦度 ★★★☆☆


 85 天国まで100マイル 鑑賞 レンタルDVDにて

 
2000年 日活映画 104分
 監督 早川喜貴
 出演 時任三郎、大竹しのぶ、羽田美智子、八千草薫他


 安男は、自らの会社を倒産させて妻子とは別れ、今は知り合いの会社で働かせてもらっている。給与は養育費に右から左へ。バーで働く人と一緒に生活して何とかできている。そんな折、母きぬ江が倒れたとの知らせ。子ども4人を女手一人で育て上げた母。末っ子の安男は病院に駆けつける。心臓の難病で手術は難しい。兄弟はこのままで、と。安男は納得できず、鴨川にあるサンマルク病院に心臓手術の権威がいると聞き、借金して退院させて、ワゴン車で病院まで 160q(100マイル)の輸送に踏み切る。


 母親に心臓病のための手術を受けさせたい一心で行動する安男の物語。彼の周りの人物がいい。母は女手一つで4人の子どもを育て上げた。しかしそのことを子どもに押し付けない。バーの女は安男が好きでたまらないが、愛するがゆえに別れようとする。妻は子どもを守りながら節度を保って生活している。 3人の兄姉は自分の生活と母の看病とは別次元の話になる。金貸しは怒りながらも人情は消えていない。弁護士も言葉はきついが心情は理解している。外科医の権威は飾りがない。
 この辺の人物設定をストーリーに絡ませてできあがっている映画です。舞台とかでも上演されているとのこと。原作がいいのでしょう。


推薦度 ★★★☆☆


 84 スイミング・プール  鑑賞  レンタルDVDにて 

 2003年 フランス映画
 監督 フランソワ・オゾン
 出演 シャロット・ランブリング、リュディヴィーヌ・サニエ、チャールズ・タンス他


 
ロンドンに住むミステリー作家サラは、出版社の社長の計らいで、社長が持っている南フランスの別荘に滞在することになる。プール付きの別荘は田舎にあって、サラは不思議と執筆が進む。そこへ社長の娘ジュリーが現れて、奇妙な同居生活が始まる。若く奔放なジュリーは男友達が切れない。反発するサラだったが、ジュリーの生活を覗きたい気持ちも。サラがたまに食事するレストランの男を連れてきたジュリー。3人でダンスを楽しむ。が、プールで謎の殺人事件が起こってしまう。

 この映画は、最後に謎解きの石が投げられて、「え!」と思ったまま見終わる映画です。私自身、未だに謎解きできていません。目を離さずに、よく見ないと駄目です。どれが現実か幻想か。
 それにしても、新旧の女優の美しいこと。サラを演じるランブリングは58歳だとか。裸体にびっくりしますよ。一方のジュリー役のサニエは、若き日のブリジッドバルドーみたいに妖艶に演じています。
 何がどうなっているんだろうと、頭の中で場面を反芻しながら、ストーリーを再現する必要があります。


推薦度 ★★★☆☆
 


 83  ヴェロニカ・ゲリン(VERONICA・GUERIN) 鑑賞 レンタルDVDにて

 
2004年 アメリカ映画 98分
 監督 ジョエル・シューマカー
 出演 ケイト・ブランシェット、ジェラルド・マクソーリー、シアラン・ハインズ他

 
1996年6月26日、アイルランドの都市ダブリンで乗用車に乗り信号待ちしていた女性が、近づいてきた二人乗りバイクの男に6発の銃弾を浴びる。女性の名はヴェロニカ・ゲリン。アイルランド最大の新聞・サンデー・インデペンデント紙に記事を寄せるフリーのジャーナリストだった。
 1994年、4歳の子供を持つヴェロニカ・ゲインは、子どもにまで麻薬が蔓延していることに心を痛め、麻薬を追う記事を書き始める。彼女の記事の書き方は、直接現地に乗り込んでインタビューして事実を確かめるもの。評判は高くなったが、非常に危険な取材の方法だった。麻薬犯罪組織から狙われるようになり、自宅で足を撃たれる事件が起きる。しかし、それでも取材をやめない。彼女の記事と行動はアイルランドの「勇気の象徴」として記録されることになるのだが、彼女やその周辺に次々と暴力が襲うさまは、綺麗ごとではない恐怖。


 なかなか、骨のある映画でした。ケイト・ブランシェットは、いろいろな役作りに挑戦する意欲的な女優ですが、今回の女性フリージャーナリストは案外はまり役だったかもしれません。アイルランドの実話に基づく物語とのこと。最初に見せる衝撃的な映像から、何故、とことを解きほぐしていく手法で、アイルランドの麻薬犯罪組織とそれを追うジャーナリスト記者との闘いをサスペンスとして描いていきます。
 麻薬は不法と金と暴力の温床。そこにペンで単身殴りこみをかけていった女性記者の勇気の物語です。見ごたえのある映画でした。

推薦度 ★★★★☆


 82 モンスター(MONSTER)鑑賞   レンタルDVDにて

 
2003アメリカ・ドイツ映画
 監督 パティ・ジェンキンス
 出演 シャーリーズ・セロン、クリスティーナ・リッチ、ブルース・ダーン他

 
2003年アカデミー賞主演女優賞・全米批評家協会賞主演女優賞・ベルリン映画祭銀熊賞(女優賞)

 1986年のこと、アイリーンは路上の売春婦だ。バーでセルビーと言う名の少女と出会う。2人で生活しようと、路上で稼ぐアイリーンに付いた客から暴行を受けた彼女は逆に客を殺してしまう。車が手に入る。そのパターンが繰り返されて連続殺人を犯していくアイリーン。

 売春婦を演じたシャーリーズセロンに脱帽の物語です。彼女の演技なくしてこの物語はないということ。賞を受賞しているのも頷けます。役作りのために体重を13kgも増やし、入れ歯を入れて歯が常に見えるようにして、がさつで荒っぽい風貌を演出しています。とにかくたばこを欠かさないのもその雰囲気を出しています。
 客の男を銃で撃ち殺していくどうしようもない物語ですが、彼女が何故、と言う視点もあって感情移入ができます。


推薦度 ★★★★☆


 81 キングダム・オブ・ヘブン 鑑賞 レンタルDVDにて 

 
2005年アメリカ映画
 監督 リドリー・スコット
 出演 オーランド・ブルーム、エヴァ・グリーン、ジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、ハッサン・マスード他

 
12Cのイタリア。バリアンは鍛冶屋をしている。妻と子を亡くしてしまった。そこへ、父を名乗る男が現れる。聖地エルサレム王国の騎士だという。誘いに乗って聖地に向かうことに。そこは、十字軍の遠征によってイスラムが占領し「王国」を築いて100年。王が病気にかかり、サラセンの王サラディンが奪回を狙っていた、混乱の前触れの土地だった。バリアンは騎士イベリンの子として迎えられた。国内は、戦闘派がサラセンの商隊を襲い、一発即発の危機になっていく。バリアンは人望を集め、除々に力を付けていく。聖地エルサレムを巡るサラセンとの戦争は不可避なのか。

 時代を12世紀のエルサレムに置き、イスラム教とキリスト教の宗教対立を背景に、聖地占領をめぐる領土争いの戦争スペクタクルに仕上がった映画です。オーランド・ブルームがエルサレム王国を守る騎士として主演しています。CGを使った戦争シーンが迫力があります。
 サラセン帝国の王サラディンが敵王として重要な役割を果たしています。騎士道はキリスト教だけではないと。
 聖地の役割や宗教対立のことは全く分かりませんが、娯楽・時代スペクタクルとして画面を楽しみました。

推薦度 ★★★☆☆


 80 28日後(28デイズレイター) 鑑賞  レンタルDVDにて

 
2003年イギリス映画 114分
 監督 ダニ-・ボイル
 出演 キリアン・マフィー、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストン、ミーガン・バーンズ他

 ある病院。交通事故で昏睡状態であった患者が目覚めると、病院には人が誰もいない。外へ出ても同様。理由がわからない。街を彷徨っていると人に襲われるが、覆面した人に助けられる。話を聞くと、ウイルスが蔓延している。血を通じて感染する。噛まれたり目に入ったりすると数秒で凶暴性が現われる。その数秒の間に殺害するしかないとのこと。何という世界。人々は移住して、イギリスは滅んでしまったのか。未来はあるのか。

 何とも出口のないゾンビ映画です。ウイルスの蔓延が社会問題ではなく社会そのものを破壊してしまっています。そこで生き残った人は何か希望はあるのだろうか。ラジオ放送があってそちらへ向うと軍人がいて、彼らは凶暴になった人間を撃ち殺すことに快感を持っている。彼らは、逃げ込んだ女性2人に性的な興味を持ちます。極限状態での何とも皮相な展開。
 この種の映画は、私の好きな部類ではありません。


推薦度 ★☆☆☆☆


 79  君に読む物語 鑑賞 レンタルDVDにて 

 2004年 米映画 123分
 監督 ニック・カサヴェテス
 出演 ライアン・ゴズリング、レイチェル・マクアダムス、ジーナ・ローランズ他


 
ある特別擁護老人ホーム。認知症にかかった老婦人のために、その老人はある物語を読んで聞かしている。老婦人は「次はどうなるの」「彼女はどうしたの」と問いを発するようになる。ストーリーの展開に興味を持ってきたようだ。
 その物語とは、1940年代のノースカロライナ州。ひと夏だけ家族で訪れた資産家の娘アリーは、地元の青年ノアと出会う。貧富の差は越えがたく、青年は地元で、材木切り出しの仕事に就く以外に無い。一方のアリーはニューヨークの大学に進学を予定している。この二人が出会い・愛するようになるが、それは一時のものなのか、という物語。老人は、何故一所懸命に語って聴かそうとするのか。それは‥‥。


 語って聴かす物語は、身分の違い=貧富の差が結婚を左右した1940年代の男女のいわゆる純愛物語。語っているようにして、画面が展開していきます。その中で、老人の子供と孫が老人ホームに訪れるシーンがあります。その時、老婦人の間の採り方が、絶妙で、挨拶しながらも、この人たちは誰?といった表情をします。子供たちは悲しみの顔でお父さんに「もう帰ろう」と言います。このとき、全ての事情が飲み込めました。
 二人の青年たちの純愛物語は、渡り鳥の白鳥が湖に沢山飛来していたがやがてはまた飛び立っていくように、アリーが渡り鳥になることによって、待つ湖のノアと、白鳥のアリーの物語となっています。
 構成に気づいたあとも最後の結末までしっかり物語を引っ張って行ってくれる映画です。


推薦度★★★☆☆


 78  ナショナルトレジャー 鑑賞 レンタルDVDにて 

 2004年 米映画 131分 ディズニー
 監督 ジョン・タートルトーブ
 出演 ニコラス・ケイジ、ハーヴェル・カイテル、ジョン・ヴォイト、ダイアン・クルーガー他


 
ベン・ゲイツはゲイツ家代々から伝わる「宝物探し」の話をお爺さんから聞いて、大人になっても忘れられない。「秘密はシャーロットが握っている」と言う言葉はどういう意味なのか。氷の中に眠る沈没船を見つけ、手がかりを得るが、対抗する冒険家に爆破されてしまう。
 アメリカ独立宣言に最後に署名した人がその宣言書の裏に秘密の地図を隠していることを突き止めるが、本物は「記念館」に厳重に保管されている。地図を見るには「本物」に触れるしかない。盗み出すのか。


 アメリカ独立戦争時の有名な人の名前が沢山出てきて、謎解きと冒険活劇を繰り広げますが、逆に活劇として、それに徹した映画としてみた方がいい。どんな困難も破られるためにある、というような設定。だから何も恐れることはないし、うまく行く。
 この種の映画はそんな展開に不満が残る。なんでそんなにうまく行くの。ディズニーだからなの。対抗しても殺し合いはないから敵も怖くないし。FBIも人情味があるし。
 場面を楽しめばそれでいいよという映画?

推薦度★★☆☆☆


 77 ドッジボール 鑑賞  レンタルDVDにて 

 2004年 アメリカ映画
 監督 ローソン・マーシャル・サーバー
 出演 ベン・ステイラー、ヴィンス・ヴォーン、クリスティーン・テイラー他


 
ピーターはスポーツジムを経営している。赤字経営。支払いが滞ってジムが抵当に入り、1週間以内に50万ドルを用意しないとかたに取られてしまう。その土地を狙っているのが隣でよく流行るジムを経営しているホワイト。ピーターは何とか50万ドルの工面をしようと、利用者と相談する。彼らはここがオアシスで失いたくないと言う。雑誌で見つけた「ラスベガスのドッジボール大会」の優勝賞金が50万ドル。にわか造りの素人集団が大会に挑戦することになる。隣のホワイトもチームを組んで大会に出る。両者が激突するのは映画の常道。さて、どんな結末が待っているのでしょう。

 コメディーで描くスポーツものです。マイナーと思われているドッジボール大会をこの映画がしっかり捉えて、きっと市民権を得ることに一助となったように思います。これは、ホワイト役のベン・ステイラーの悪役ぶりを楽しむ映画です。悪態をついて、お金にものを言わせて、何でも買収して、最後のオチは秘密ですが。
 ハハハと楽しんだ映画です。


推薦度★★☆☆☆


 76 コンスタンティン 鑑賞  レンタルDVDにて 

 2005年 アメリカ映画 121分
 監督 フランシス・ローレンス
 出演 キアヌ・リーヴス、レイチェル・ワイズ他


 コンスタンティンは超能力者。地獄の使者も天国の使者も見えてしまう。少女に乗り移った悪魔を追い出す祈祷をしている。彼自身、かって自殺したことがある。自殺した者は天国に行けないのが掟。タバコが好きで肺は真っ黒、余命1年と言われる。彼は、自ら天国へ行くために、少女を助けたりして、善行している。しかし、天国の使者からは「助けているのは自分のため」と、指摘される。彼は、天国へ行くことができるだろうか。

 何とも変った感覚の映画です。未来には違いないが、天国も地獄も見える超能力者で、自殺の経験があり、余命一年(肺がん?)で天国に行きたいがために人を助ける人物が主人公。超能力者ゆえに彼が見ることのできる世界として、現実以外の場面が沢山流れます。ストーリーを追うよりも、映像を楽しんだほうがいいのかも。2005年公開とありましたが、話題になったのかどうか。私は知りませんでした。

推薦度★★☆☆☆


 75 さよなら、クロ 鑑賞  DVDにて 

 2003年 日本映画 109分
 監督 松岡錠司 撮影 笠松則通
 出演 妻夫木聡 伊藤歩 金子勇太 田辺誠一 渡辺美佐子 江本明 井川比佐志 他


 1960年代の長野県のある高校。登校途上で犬を見つける亮太。弁当の一部をやって、学校へ行くと、後から犬もついて来た。たまたま学園祭で西郷隆盛像の仮装をしていて犬が壊れて、飛び入りする。クロと名づけられて、用務員の部屋においてもらって学校に住みつく。以来、12年間、卒業したおよそ4800人の生徒がクロと共に過ごした高校時代を過ごしました。
最初の亮太の時代と、10年後の時代と、両者の高校生を紹介しながら、話は進みます。10年後、クロに病気が発見されます。


 舞台は長野県の松本深志高校。著名な進学校。自由な校風でも知られています。最初の文化祭の様子や、授業を抜けた亮太を「クラス全体の連帯責任」として授業が進むあたりに、様子が出ています。
 時代は丁度、1960年代の真ん中頃、ほぼ、団塊世代の高校生とダブって見えました。白のダスターコートが懐かしい。修学旅行に必須のアイテムでした。
 高校に住み着いたクロと生徒・教師との交流は本当に温かい。クロが死んだ時の学校蔡は本当にあった話とのこと。校長の送る言葉も、お経も本物ですよ。
 余りほえることもなく、じっと見ているクロが非常にいい役しています。
 大変、切なくて、しっとりする映画として楽しみました。


推薦度 ★★★★☆


 74 男はつらいよ寅次郎恋歌(第8作) 鑑賞 BS2にて 

 1971年 松竹映画 114分
 監督 山田洋次
 出演(常連)+池内淳子、志村喬、吉田義夫他


 久しぶりに帰ってきた寅だったが、些細なことでおいちゃんと喧嘩となり、出て行く。博の母親危篤の知らせに、岡山・高梁へ博はさくらと一緒に帰る。葬儀の日、寅が現れる。チェックの服は不似合いとさくらが世話して喪服を借りる。写真のシャッターを頼まれるがうまくいかない。博の父親は元大学教授。独り暮らしとなるが、高梁に残るという。ある時、さくらが電話すると寅が電話口に。一緒に居るという。教授が語る本当の家庭の生活とは、の話が気に入って、柴又へ帰っていく。一方柴又では、喫茶店が新しく開店。小学生を子に持つ婦人が切り盛りしている。一目見た寅はいつものように‥‥。


 シリーズ第8作目。博の父親・志村喬が1作目に続く出演。いい味を出しています。吉田義夫は旅芸人一座の座長役。色付けとして十分。池内淳子がマドンナ役で、今回は何故分かれることになったのか、がよく見ないと分からない。喫茶店開店の借金の返済に困ったり、家賃も滞りがちなのが分かっても、寅の資力では何の相談にも乗れないことがつらいということか。寅に金銭の相談はない話なのは確か。そちらの才覚はフーテンには無理というものです。教授の話す「りんどうの花と夕暮れに明かりが漏れてご飯ですよの声」が何回も繰り返されます。114分と寅さんとしては長い映画でした。

推薦度 ★★★☆☆


 73 ヒトラー最後の12日間  鑑賞  京都シネマにて 

 2004年 ドイツ映画 155分
 監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
 出演 ブルーノ・ガンツ、アレキサンドラ・マリア・ララ、コリンナ・ハルフォーフ他

 2005年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート

 1945年4月20日、ベルリン。総統官邸の地下にある要塞で秘書の採用試験が行われている。口述するヒトラー。タイプするユンケ。その場で採用が通知される。こうして、ユンケの秘書生活が始まった。連合軍の包囲網の中で、あくまでも強気なアドルフ・ヒトラー。取り巻きに意見を述べる者はいない。ベルリン市街戦が始まり、多くの市民が巻き添えになっても、劣勢を認めようとしない。そんな中、ユンケはヒトラーから遺書の口述筆記を頼まれるのだった。


 20年間ドイツを圧倒的なナチズムの下に置いた指導者アドルフ・ヒトラーの最後12日間を、戦後60年にして、初めてドイツ人自身の手で描いた作品です。その意味するところは大きいと思います。正面から、ヒトラーの人間性を捉えて描いた力作といえます。
 原作は、歴史家ヨアヒム・フェストの『ダウン・ホール』とトラウドウル・ユンゲの回想録『最後の時間まで』であるといいます。
 画面の中で、登場人物に人間らしい悲哀や会話があったとしても、それでナチズムが行った世紀の蛮行が少しでも薄まる訳ではない、ということを常に頭の中で反すうしながら、映画を鑑賞しました。
 155分という、長い映画でした。京都シネマでの鑑賞でしたが、案外と60歳以上のシニア組が目立ちました。


推薦度 ★★★☆☆


 72 ニュースの天才 鑑賞 レンタルDVDにて 

 2004年日本公開 アメリカ映画
 監督 ビリー・レイ
 出演 ヘンデン・クリステャンセン、ピ−タ−・サースガード、クロエ・セヴィニー、スティーブン・ザーン他


 「the new republic」という雑誌の編集室。アメリカでは権威のあるニュース雑誌だ(大統領専用機に置いてあることが自慢)。記者スティーブン・グラスは24歳。上司、同僚、チームに気配りをしながら和を保って記事を書くタイプ。出身高校で「体験」を語る形で、記事を書き、取材する自分を重ねていく。彼が取上げるテーマは政治というより身近なゴシップなど。編集会議でのテーマの説明が上手で、彼の話を皆が期待するようになる。スクープをものにしてスター記者となっていく。そんな時、彼が書いた「ハッカー天国」の記事に他社から調査に入る。新編集長はそんなグラスと彼の記事にどう処していくのか。悩みは深い。


 アメリカで実際に起こった話に基づく映画とのこと。記事の捏造という記者にとって致命的なフライングを41本中27本において行ったという事実。若い記者だからでは許されない犯罪。捏造が白か黒かは映画の途中では分からりません。しかし、疑われてからのグラスの話は全て弁解に聞こえてしまうから不思議です。記事を全て事実と見なしてはいけない、疑ってかかることをアピールしているように思えますが。
 おまけで付いていた、グラス本人へのインタビューが印象的でした。周りの期待にこたえることで捏造が麻痺となっていったと。今は、弁護士をめざしていると言っていました。彼に再生の機会は与えられるでしょうか。興味があります。
 製作がトムクルーズというのも発見でした。彼はテレビや雑誌というマスコミのテーマに関心があるのでしょう。


推薦度 ★★☆☆


 71 ロング・エンゲージメント 鑑賞 レンタル DVDにて 

 2004年フランス映画
 監督 ジャン=ピエール・ジュネ(「アメリ」の監督)
 原作 セバスチャン・ジャプリン(「長い日曜日」創元推理文庫)
 出演 オドレイ・トトウ(「アメリ」)、ギャスパー・ウリエル他

 アカデミー賞2部門ノミネート、セザール賞5部門受賞


 1917年、フランス・ブルターニュ地方。第一次世界大戦でドイツと戦うフランス。ビンゴと呼ばれる塹壕の中、5人の兵士が送られてくる。軍法会議で死罪を言い渡されている。あとは大統領の恩赦が焦点。5人の中にマネクがいた。故郷には許婚のマチルドがいる。5人はフランスとドイツの中間地点に出される。それは餓死を意味している。5人はどうなるか。故郷で暮らすマチルドはマネクの無事を信じて疑わない。それは、彼女流の直感(彼女のルールで決める)がそうであるから。死亡の知らせにも動じることなく、ビンゴで何が起こったのか、マネクは無事なのか、壮大にして困難な人探しの旅が始まるのだった。


 「アメリ」の監督・主演が再びクルーを組んだ作品。最初、登場人物の振り分けに苦労しました。顔も名前も上手に区別がつかないのと、各々のエピソードがどんどんと挿入され、散りばめられているから。ストーリーの進行とともに、何とか全体像が分かってきますが。
 アメリ役のオドレイ・トトウが全編で確固で辛抱づよいマチルドを好演しています。監督の狙いは破格の制作費をかけて再現しようとした第一次大戦下の塹壕の再現と20世紀初頭のフランスの再現。アンティックな田舎の雰囲気と戦場の悲惨・非情さと。
 車椅子のマチルド、飛行船の爆破、マチルドの家族関係など、印象深いシーンもあります。ジョディ・フォスターが出演しています。すぐに分かりました。
 配給はワーナーブラザーズですが、久しぶりにフランス映画に触れた感じがしました。
 
 推薦度★★★★☆


 70 男はつらいよ−奮闘編− 鑑賞 BS2にて

 1971年公開 松竹映画 第7作 91分
 監督 山田洋次
 脚本 山田洋次・朝間義隆
 出演 レギュラー陣+榊原るみ、田中邦衛、ミヤコ蝶々、犬塚弘、柳家小さん他


 トラヤに寅次郎の母お菊がタクシーで乗りつける。寅から手紙が来て所帯を持ったというので見に来たと。間違いと分かってがっかり。帝国ホテルに泊まっているという。そこへ寅が帰って来た。会いに行こうとしない寅に皆が怒る。さくらと共に帝国ホテルへ。せっかくあった親子も口喧嘩となる。皆に攻められて寅は旅へ。沼津のラーメン屋で花子と出会う。青森に帰るという。しっかり道順と切符を渡したが、うまく帰れるのか。どうもうまく行かなかったようで、トラヤを訪ねてくる。寅の気になって帰省。また、トラヤでのひと騒動が始まるのだった。

 この頃の寅さんは活動的でおいちゃんも喧嘩っ早くて、皆が若い、という感じがします。榊原るみは、今までとは少し違った設定です。寅さんが面倒を見るタイプ。スキとか嫌いとかのジャンルではない。面倒見のいいお兄さん役。
 第7作目で、お菊さんに説明する形で、今までのマドンナの紹介があって、いよいよシリーズ化されるのか、という予感を感じさせます。


 推薦度★★★☆☆


 69 バッチギ! 鑑賞 2005年8月14日 レンタルDVDにて 

 2004年 日本映画 119分
 監督 井筒和幸
 出演 塩谷瞬、高岡蒼祐、沢尻エリカ、オダギリ・ジョー他

 1968年の京都。府立東高校と朝鮮高校とは何かと対立している。東高2年の松山は先生に言われて親睦サッカーの申し込みに朝鮮高校を訪れる。そこで見かけたのがフルートを吹くキョンジャ。実は朝鮮高校の番長アンソンの妹だった。意を決して電話する松山。彼女がコンサートに誘う。円山公園に出かけるとそこでは帰国船でふるさとへ帰る決意をしたアンソンを祝う集会が開かれていた。ギターで「イムジン川」をキョンジャのフルートと合奏する松山。両校の対立は解けず、東高の空手部をボコボコにする番長アンソン。仕返しを企てる東高。一人が死んで朝鮮式の葬式が開かれた時、思いは一挙に爆発する。


 井筒監督作品。彼の作品では今まで「二代目はクリスチャン」「のど自慢」を見たことがあります。軽快な展開ですが、やたらと殴り合い、それに不可欠な血が出てきます。彼の得意分野ということですが、そこまでケンカしなくても、ちょっと多い気がします。
 1968年の京都の高校。1967年3月高校卒業の私としては、全く同世代。フォークルセダーズの「イムジン川」はギター伴奏で大学でよく歌われていました。「悲しくてやりきれない」もありました。その辺の、一緒に呼吸していた・雰囲気がよく出ている、という近親感が非常に強い。京都大学の全共闘「ヘルメット」部隊も出てきます。
 朝鮮民族が日本に強制連行された事実、イムジン川近く、38度線で朝鮮は南北分断されているが、それが日本の鴨川だったら日本人はどうするか。激しく問題提起しながら物語が進んでいきます。
 暴力シーンを除けば、同感しながら見られる映画です。

 推薦度 ★★★☆☆


 68 ネバーランド 鑑賞 2005年8月14日 レンタルDVDにて

 
2004年アメリカ映画
 監督 マーク・フォスター
 出演 ジョニ−・デップ、ケイト・ウインスレット、ジュリー・クリスティー、ダスティン・ホフマン他

 1903年のロンドン。劇作家のジェームズ・バリは「リトル・メアリー」の初舞台を迎えていたが、評判は最悪。翌日、公園を散歩中にディヴィズ家と出会う。未亡人シルヴィアと4人の息子たち。彼は犬を熊に見立ててダンスを踊る。4人のうち3男のピーターは父の死から子どもとしての夢を拒否している。ディヴィズ家と付き合うことで自らの拠り所を求めるバリ。一方、妻とは心が疎遠となっていく。良からぬ噂やシルヴィアの母の登場、3男の心が開かない。バリは3男のために、夢を信じることの大切さを説くために、「リトル・メアリー」に替る劇を書いていた。「ピーター・パン」。その劇が初演される日、招待客を24席準備。ディヴィズ家は来るのか。


 劇作家バリが「ピーター・パン」を書き上げる背景には、彼自身が実生活において体験した悲しい物語が下敷きになっている、ということを描いた作品です。20世紀初頭のロンドンの社交界をよく再現しています。劇自体が社交界が舞台だから仕方がないのかも知れないが、登場人物は紳士と淑女ばかり。4 人の子どもたちや公園や田舎の風景がいい。
 ジョニー・デップはどこまでも心優しい役をこなしています。子どもと対等に会話することで子どもの心を掴もうと努力しています。彼の演技力の幅広さを証明。「ピーター・パン」誕生の物語です。

 推薦度 ★★★★☆


 67 ブリジッドジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月  鑑賞 レンタルビデオにて
  
 監督 ビーバン・ギドロン
 出演 レニー・ゼルウイガー、ヒュー・グラント、コリン・ファース、ジム・ブロードベント、ジェマ・ジョーンズ他


 ブリジッドに恋人が出来た。有能な大物弁護士。彼の法律仲間にレベッカが気になる。彼を狙っていそうだ。テレビレポーターは怖いシーンの連続だがめげない。恋人がいるから。スキーに誘われた。滑れるか。タイのレポートを頼まれる。出国時に麻薬で逮捕。大変だ。


 ブリジッド役のレニー・ゼルウイガーがこの役のために随分と太っている。主役を張るのはつらい。前作は2001年、4年ぶりの新作。「シカゴ」「コールドマウンテン」と存在感抜群の女優になっている。その第2作目。
 今回は恋人がいる。その恋人をゲットできるのか、が勝負。敵はいろいろいる。ヒューグラントはブリジッドを誘惑するプレーボーイ役。イギリスでは有名な俳優が脇を固めているとか。確かにきれそうな話の連続です。ブリジッドの行動が恋人に多大な迷惑がかかっていると思うのだが、彼はめげないのもきれそうできれないから?


 推薦度★★☆☆☆


 66 新・男はつらいよ(第4作) 鑑賞 BS2にて

 1970年 松竹映画 92分
 監督 小林俊一
 出演 (レギュラー陣)+栗原小巻、財津一郎他


 寅さんが名古屋の競馬場で大穴を当てたという。馬の名は「ワゴンタイガー」(車+寅)。100万円持参で凱旋する。おいちゃんとおばちゃんをハワイ旅行に招待する寅さん。しかし、旅行会社の社長が100万円を持ち逃げしてしまう。夢と消えたハワイ旅行。しかし、万歳三唱で出発した柴又の商店街にそのまま引き返すわけにいかない。闇夜に紛れての帰宅。電気も付けられない。そこに泥棒が入ってくる。捕まえたまではいいが警察に言えば家にいたことがばれてしまう。どうするか。


 第4作目です。1月に公開したばかりなのに2月に作られた作品。マドンナの栗原小巻が帝釈天が経営する幼稚園の先生という設定で、帝釈天中心の撮影にして、遠いロケ地はありません。
 今回の作品で印象に残った所では、寅さんとおいちゃんの喧嘩は、迫力があります。若い作品ならではだと思います。それと、夜分に泥棒に入った財津一郎の演技が楽しかった。
 また、競馬から帰る−ハワイ旅行失敗ー喧嘩となり家を出るー一ヵ月後帰って来るー二階の部屋が貸してあるーマドンナ登場ー幼稚園に出入りーマドンナの父が亡くなるー恋人登場 という流れで、旅先の寅さんがありません。その分、仕方がないから、柴又の近くで手相のテキヤ家業を紹介しています。
 それと、マドンナと寅さんとの交流が余りねちっこく描かれていません。幼稚園で遊ぶ寅さんのカットを入れる程度。マドンナのために寅さんが一肌脱いでやった、という所がないので、寅の一方的な片思いの感が強くなります。

 推薦度 ★★★☆☆


 65 男はつらいよ 第3作フーテンの寅 鑑賞 BS2にて

 1970年松竹映画89分
 監督 森崎東
 出演 (レギュラー陣)+新珠三千代、香山美子、花沢徳衛、春川ますみ他

 トラヤでは寅のために見合いの話が進んでいる。帰ってきた寅さんは見合いの席へ。相手は昔の知り合いだった。事情をきけば亭主と喧嘩別れでヤケクソ見合い。寅さんが仲を取り持って仲直りした。トラヤで祝いの席を設け、タクシーまで準備して熱海へ行かせる。その代金をトラやに付けたから大騒動となる。博と寅さんが取っ組み合いの喧嘩となる。寅は旅に出る。一ヵ月後、トラや夫婦が湯ノ山温泉に行くと、寅さんが旅館の番頭になっていてビックリ。旅館「もみじ荘」の女将が目的だった。


 第三作目です。監督が森崎東さんです。山田洋次氏は脚本に参加しています。森崎演出はよりリアリティを追求するということか。博と寅さんが取っ組み合いの喧嘩をしたり(寅さんの顔が砂にまみれている)、染奴の恋人と橋の上で喧嘩すると彼がナイフを出してきたり(仁義を切る途中で)、雨職人の仕事風景がでてきたり。
 何回目の鑑賞か分かりませんが、今回見た印象は、寅さんは血の気が多くて、飛んだり跳ねたり転んだりしているな、ということ。一作目が36歳の設定というから、3作目は何歳か。寅さんの若さを感じました。
 封切りが1970年1月。大阪万博の年です。この頃は映画館も沢山ありました。映画館で寅さんの一挙手ごとに声を出して反応する観客の喝采が聞こえてきそうです。

 推薦度★★★☆☆


 64 コントロール 鑑賞 レンタルDVDにて

 2004年アメリカ映画
 監督ティム・ハンター
 出演 レイ・リオッタ、ウィレム・デフォー、ミシェル・ロドリゲス、スティーヴン・レイ他


 リー・レイは麻薬強盗で多数の人を撃ち殺して、死刑の執行を受ける。しかし、目を覚ます。執行はなかったのか。神経薬理学者であるコープランドが博士は提案する。ある新薬開発試験の実験者になれば命を与えようと。アナグレスと名づけられた新薬は脳を変化させて怒り・狂気を抑え込む薬だという。実験開始。レイは本当に生まれ変わることができるのか。

 
 死刑囚を新薬開発の実験人として「生かし」て協力させる異色のサスペンスです。凶暴性が新薬によって「直る」のか。個性派の俳優が目立ちました。死刑囚役のレイ・リオッタは初めて見た顔です。ハンニバルに出演していたとのことですが、気づきませんでした。凶暴性が顔に出ています。実験をリードする学者役のウィレム・デフォーは久しぶりに見ました。痩せ顔に凄みがあります。
 新薬開発の場合効き目とともに副作用が心配されます。今回の薬はどうだったのか。映画を見ながら考えたところです。結論は最後に出ますが。


 推薦度 ★★☆☆☆


 63 アレキサンダー 鑑賞 レンタルDVDにて

 2004年アメリカ映画 173分 (松竹、日本ヘラルド映画配給)
 監督 オリバー・ストーン
 出演 コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、ロザリオ・ドーソン、ジャレッド・レト、アンソニー・
 ホプキンス他
 キャッチコピー 総製作費200億円、壮大なスケールで描く一大スペクタクルドラマ

 映画の主人公アレキサンダーは、B.C356年、マケドニア王国のフィリッポス王とその妻オリンピアスとの間で生まれた。母と王は仲が悪い。少年期のアレキサンダーは友人を持つ。彼が20歳の時、フィリッポス王が何者かに暗殺される。彼が王に即位する。この時からアレキサンダーの遠征の歴史が始まる。エジプトから始まって、強大なペルシャ軍との闘い。25万軍に4万軍で挑戦を挑む。巧みな戦術にダレイオス王が退散する。ペルシャ帝国の崩壊。アレキサンダーは都バビロンに凱旋入城する。これで終わらない。東へ、東へ。山岳民族を従え、ヒンズークシ山脈からインドへの旅。


 ほぼ3時間の壮大な映画。古代ギリシャの歴史を知っておくと背景が分かって映画が理解しやすくなる。
 例えば、幼少の頃の家庭教師は大哲学者アリストテレスだった。ギリシャ北方の平原地帯にあったマケドニア王国はフィリッポス王が即位して軍を強化して全ギリシャの盟主となった。ペルシャ帝国はダレイオス1世の頃は、東はインダス川から西はエーゲ海北岸に至る大帝国だった。アレキサンドリアはアレキサンダーが東方遠征の途上でB.C331年にエジプトに建設した都市であること。ゼウスは神の中で最も偉い神とされた、ヘラクレスはギリシャ神話の英雄、プロメテウスは神々の火を人間に与えたと される、アキレスは、トロイ戦争の英雄、など。 アレキサンダーの謎とは、何故あくことなく東方遠征を強行したか、父・フィリッポス王の暗殺は誰が黒幕か、子弟が好きだったか、等々。
 映画は一つの謎解き、回答の一つ。一回の鑑賞では、理解に限界があります。予備知識と登場人物・当時の地図を頭において、もう一度鑑賞しようと思います。

 推薦度 ★★★☆☆ 


 62 サイドウエイ 鑑賞 レンタルDVDにて  

 
2004年アメリカ映画
 監督 アレキサンダー・ペイン
 出演 ポール・ジアマッティ(マイルス)、トーマス・ヘイデン・チャーチ(ジャック)、ヴァージニア・マドセン(マヤ)、
 サンド ラ・オー(ステファニー)他

 ゴールデングローブ賞作品賞・脚本賞受賞、アカデミー賞5部門ノミネート

 場所はカリフォルニア州サンディエゴ。国語教師マイルスは2年前の離婚から立ち直っていない。小説家希望で作品は出来たが出版されるかどうかはこれから決まる。彼はワインの造詣が深く知識も愛情もあった。一方、大学時代の悪友ジャックの職業は俳優で、今はCM出演だがかつてはレギュラー出演していた。彼はプレイボーイで女を口説くのが好き。そんな彼が結婚することになった。その結婚式前の1週間、二人してツアーに出ることにした。気ままな男二人のワインとゴルフの旅。その旅の途中で、プレイボーイを発揮するジャックが子持ちのステファニーを口説く一方で、マイルスはワイン好きの女性マヤに出会う。さて、その行く末は。


 サイドウエイとはわき道のこと。主人公が自分の人生を見つめなおすために、友人とともに職業を離れて、1週間の人生の寄り道(旅)に出発する。その中年2人の気ままな旅をワインを糸にしてしみじみと展開している映画です。
 中年の国語教師マイルスがいい。妻と離婚した。その元妻が結婚したと聞いてショックを受ける。彼は小説を書いているが、作品が本になるかは不明。彼は「自分は何のとり得もない」とよくなげくが、ワインには滅法詳しく味わい方も心得ている。ただ、不器用で恋愛が下手であることは画面からも分かる。マヤとのやり取りはその不器用さが出ているが、誠実さがある。マヤも素敵な中年女性。学ぶ気持ちを失っていないのがいい。ジャックは道化役。マイルスを際立たせるために対比で彼の言動が描かれている感じがします。
 私は、ワインについては、全く不案内だが、カリフォルニア州のワイナリーを回るロードムービーとしては、ワイン通には堪らないロケーションではないか、と思う。


 推薦度★★★★☆


 61 オーシャンズ12 鑑賞 レンタルDVDにて

 2004年アメリカ映画
 監督 スティーブン・ソダーバーグ
 出演 ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、キャサリン・ゼタ
 =ジョーンズ他


 前作で大金を奪われたラスベガスのボスベネディクトが復讐に出た。奪った金に利子をつけて2週間以内に返さなければ、皆の命はないと。仲間を連れて大金を求め、アムステルダムへ行くが、フランスにいる大強盗ナイト・フォックスが邪魔をする。誰が一番の強盗か、の争いが絡んできたのだ。その一方、捜査官イザベルも捜査を開始して、彼らの動きをキャッチしていた。


 この映画は、登場人物が豪華であるため、ストーリーを読むのが大変です。何しろ11人が順番に画面に登場するだけでも11人の顔が出て、変る(当たり前の話)。前作を知らないと、殆ど読めないと思う(オマケとして、ブルース・ウイルスが登場しています)。
 今回は、11人と、ナイトフォックスと、捜査官との、騙しあいとなる。華麗なる強盗シーンはモノクロで説明用として解説しながら流す新手法で、三者の心理作戦を重視した映像となっています。11が12になるのは、見てのお楽しみでしょう。
 12は、ブラッド・ピットとキャサリン・ゼタ=ジョーンズが輝いていました。


 推薦度 ★★★☆☆


 60 リクルート 鑑賞 WOWOWにて

 2003年アメリカ映画115分
 監督ロジャー・ドナルドソン
 出演コリン・ファレル、アル・パチーノ、ブリジッド・モイナハン他

 ジェームズは優秀なSE知識を持っている。DELLが就職を誘う。しかし、彼は父の死に疑問を持っており、それを知るために、バークから就職のアプローチを受けたCIAにリクルート(就職)することにする。訓練が始まった。そこでレイルと出会う。訓練は人を信じるな、ということ。彼は、誘拐されて拷問を受け、教官の名を明かしたことで除隊となる。しかし、それは採用の一形態だった。そして、二重スパイ摘発の命を受ける。それは、レイルのことだった。


 公開時には余り知らないままに終わった作品。キャッチコピーは「信じるな、自分の5感さえも」。CIA(公務員です)のリクルート活動、内部の訓練の様子をじっくり描いています。ドンデン返し的な画面が続くことで「信じるな」を観客としても「教え込まれ」ます。
 そして、事件は核心へ。誰を信じ、誰にだまされてはいけないのか。途中で結末はある程度予測が出来つつありましたが、どんな終わりかは分かりませんでした。心理サスペンスです。コリン・ファレルがアル・パチーノと共演して一歩も引かない存在感があるのは、なかなかのものです。

 推薦度 ★★★☆☆

 


 59 ユニバーサル・トレジャーEP2 黄金の伝説 鑑賞 
 
 2001年米・伊・独映画 104分
 監督 ケヴィン・コナー
 出演 カリーナ・ロンバード、ジェフ・フェイヒー、ロイ・シャイダー他

 秘宝を追う冒険アドベンチャー映画。ニックたちはナイル川の上流に到着した。巨大な滝の下・滝壷に4,000年の時を超えた黄金の神殿があることを突き止める。別のハンターも宮殿を狙っていた。政府軍と独立軍との対立も激しい。果たして宮殿に如何に到達しようというのか。


 同じタイトルで、近未来を描いたジャンクロード・ヴァン・ダム主演の映画がある(というのは間違いでそちらのタイトルは正確には『ユニバーサル・ソルジャーでした』)。こちらは冒険アドベンチャーで、4,000年前、ファラオ王の妻とその恋人が子どもを残して宮殿に埋葬される。その宮殿を見つけ出すためにハンターがドタバタを繰り返す映画です。確かにB級かな、とは思う。
余りにも簡単に時空を超え過ぎるし、謎解きもすぐに解いてしまう。


 推薦度 ★☆☆☆☆


 58 スターウオーズ・エピソード3/シスの復讐  鑑賞  浜大津アーカスシネマにて

 2005年アメリカ映画
 監督 ジョージルーカス
 出演 ユアン・マクレガー(オビ=ワン ケノービ) ナタリー・ポートマン(パドメ) ヘイデン・クリステンセン(アナキン・
 スカイウォーカー) クリストファー・リー(ドゥークー伯爵) サミュエル・L.ジャクソン(メイス・ウィンドゥ) フランク・
 オズ(ヨーダ)他


 ジェダイの騎士団は、分離主義者との戦闘を行っていた。アナキン・スカイウオーカーは議長を助ける。しかし、シスは銀河系征服の陰謀を企てていて、アナキン・スカイウォーカーは次第にフォースのダーク・サイドに魅了されていく。そして、皇帝に服従を誓うダース・ベイダーとなって、ジェダイと闘うようになる。


 遂に見てきました。夜6時半の部にいきましたが、意外と空いていました。
 「エピソード2」で始めが、「スターウオーズ」(エピソード4)で最後が既に決まっている、その間をつなぐ物語。
 今回のは遊びの部分がない、という感じがしました。闘いばかり。そして、肝心のアナキン・スカイウオーカーが何故ダーク・サイドに引かれていくのか、という所がいかにも弱い。全編の核心部分なのに。
 楽しめたのは確かですが、その辺に不満が残りました。


 推薦度 ★★★☆☆

 この映画のことでコラムを書きました

「遠い昔、遥かなる銀河系で‥‥」の文字が流れる映画。見てきました。『スターウオーズ・エピソード3・シスの復讐』(以下AP3と略)です。以下は私的鑑賞記▼第一作「スターウオーズ」が日本公開されたのは一九七八年でした。私も参加した職員による映画研究会が活動していた時代。このハリウッドSF超大作は若者たちの熱狂に迎えられました。第二作『/帝国の逆襲』は一九八〇年、第三作『/ジェダイの帰還』(復讐はシスであってジェダイではないと当初の邦訳が変更されています)は一九八三年です。この旧三部作は、青年ルークが成長して自らの使命に目覚め、内面の試練と格闘しながら、銀河を救う選ばれし者として、皇帝と悪の象徴ダース・ベイダーと闘う物語です。内容的に分かりやすい「陽」の映画です▼それから一六年を経て製作された『AP1/ファントムメナス』と二〇〇二年の『AP2/クローンの攻撃』そして今回と新三部作は、アナキン・スカイウオーカーの成長物語ながら、ダークサイドに転落してダース・ベイダーが誕生する物語でもあります。そして銀河共和国崩壊の物語。「影」がつきまといます。▼アナキンは何故ダークサイドに魅力を感じたのかを考えながら見た映画でした(2005.7.20掲載)

 


 57 フォーガットン 鑑賞 阪急3番街シネマ2にて

 2004年米・UIP映画 92分
 監督 ジョセフ・ルーベン
 出演 ジュリアン・ムーア、ドミニク・ウェスト、ゲイリー・シニーズ、アンソニー・エドワーズ、ライナス・ローチ他 


 テリーは飛行機事故で息子を亡くしてしまう。悲しみにくれ、写真やグローブや帽子、ビデオを見て思い出している。ある日、その写真から子どもの姿が消え、ビデオも消えている。かかりつけの精神科医は「子どもが居た」という瞑想から開放されつつある、という。混乱するテリー。そんなことはない、と隣で同じように遊んでいて亡くなった子どもの父親を訪ねる。彼は子どもなど居なかったと、いう。これは、陰謀なのか。記憶違いに過ぎないのか。


 ジュリアン・ムーアが熱演するサスペンスです。子どもが突然の事故で目の前から姿を消し、実は子どもがいたこと自体が夢だ、いわれたらアナタはどうしますか。子どもが居たという証拠はことごとく消されてしまっている。唯一あるのは頭の中にある記憶だけ。その不安定性を突いて展開していきます。子どもが居たという「確信」は本当なのか、揺らがないのか。面白い視点の突っ込みで、非常に怖いサスペンスに仕上がっています。

(ナビオに寄って見ましたが、宇宙戦争と明日から始まるエピソード3の券の購入でごった返してしました。すごい人気です)


 推薦度★★★☆☆


 56 ステップフォード・ワイフ 鑑賞 DVDにて

 2004年アメリカ映画
 監督フランク・オズ
 出演ニコール・キッドマン、マシュー・ブロデリック、ベット・ミドラー、クリストファー・ウオーケン他

 ジョアンナはTV界のやり手プロデューーサー。自らの作品発表の場にTVで取り上げた男が乱入して責任を取らされる。妻の首を知って夫も会社を止め、二人は子ども2人とともに、静養のため、「ステップフォード」という町に引越しする。子どもたちはキャンプへ。夫婦は各々の近所付き合いを始める。ジョアンナは妻の集まりに参加するが、何か違和感を覚える。掃除・洗濯・家の飾りつけ・スタイルなどが常に話題となっている。まるで「良妻賢母」を地で行く世界。夫は夫ばかりの倶楽部に参加して「亭主」を謳歌している皆と会う。この「ステップフォード」の町は何かが違っていた。


 「近所の奥さん」が皆明るい服装で、同じような笑顔であることに違和感を覚えるのは当たり前だと思う。本当に気持ち悪い。ニコール・キッドマンの友人役でベット・ミドラーが好演しています。やはり彼女には存在感があります。鷺沢萌さんが一番に上げる女優です。こんな世界があったらどうだろう、という誰かの願望が実現した映画でしょう。私はゴメンですが。

 推薦度★★☆☆☆


 55 ふたりにクギづけ 鑑賞 DVDにて

 監督ボビー・ピーター・ファレリー
 出演マッド・デイモン、グレッグ・キニア、エヴァ・メンデス、セイモア・カッセル、シェール、ウエン・ヤン・シー、他

 ボブとウオルトは兄弟だが、腰の部分が生まれながらにくっついている結合双生児である。社交的なウオルトと引っ込み思案なボブ。ボブはハンバーグ店を営んでいるが、ウオルトは俳優志願で、マサチューセッツ州の劇場で出演しながら、いつか、ハリウッドに行くことを夢見ている。ウオルトは「3ヶ月間だけハリウッドへ」とボブを口説く。実はハリウッドにはボブのメール友達メイがいる。故郷を出てアパートに落ち着く。メイが会いに来たがボブは兄のことを言い出せないでいる。一方、ウオルトは偶然シェールに声をかけられて「テレビ出演」することになる。結合双生児の俳優はうまくいくのだろうか。


 明るく喜劇調でつくられている映画。結合双生児のイキがぴったり合っているのは当たり前か。テニス・アメリカンフットボール・ホッケー・ボクシングなど何のスポーツでも普通にこなしてしまう所がすごい。映画だからか。同じ兄弟でも、ここまで寝食を共にしているというのは今までなかったキャラクター。マッド・デイモンが引っ込み次男なボブを好演しています。
 シェールとメリルストリープという大女優がそろって出演しているという贅沢もあります。
 ゆかいに楽しむ映画です。

 推薦度★★★☆☆  


 54 ベリー・バッド・ウエディング 鑑賞 パソコンテレビGYAO にて 

 1998年アメリカ映画
 監督ピーター・バーグ
 出演キャメロン・ディアス、クリスチャン・スレーター、ジョン・ファヴロー、ダニエル・スターン他

 ローラは理想的な結婚式を挙げることが27年来の夢。彼女にはカイルという婚約者がいる。そのカイルには4人の男友達がいて、独身最後の「バカ騒ぎ」にそろってラスベガスへ出かける。そこで酒やコカインの勢いで、とんでもないことをしでかしてしまう。動揺する彼ら。しかし、考えた「解決法」は次の難題を生み、泥沼にはまっていく。カイルはローラが夢見ている完全な結婚式を挙げることができるのか。

 完全な結婚式を夢見る乙女と婚約者を題材に、ある事件をきっかけに、ブラックユーモア風に次から次へと、クライムしていく、とんでもない映画です。起こりそうか、起こりそうでないか。しかし、行く所まで行くもんです、映画では。
 GYAOテレビで鑑賞した映画です。動きはスムーズで、パソコンテレビで鑑賞しましたが、気になりませんでした。これからは、このパターンが増えるかも。


 推薦度★☆☆☆☆ 


 53 ロングウエイ・ホーム鑑賞 レンタルビデオにて

 1992年米映画
 監督ケン・オーリンン
 出演ジェームズ・B・シックング、ビビ・ベッシュ、デヴィッド・バイロン、ジェイン・ブルック、ジムキャリー他

 
 3人の子どもを育てた普通の家庭の夫婦。彼らは子どもに多大な期待を託す。長男にはそれが重荷で父と対立する、長女は父親の言うことを聞こうと努力する、次男は期待に沿った優等生となる。この次男が婚約者を家に連れてくる。両親と兄弟を紹介する次男。しかし、婚約者はどこかが両親に忠実てあろうとする何かが違うという違和感を感じる。そして、次男には秘密があった。


 1本100円の特別日だったので、ジムキャリーの名前でレンタルしたビデオです。内容はジムキャリーは、両親・次男とその婚約者・長女夫婦に続く4番目の長男役で、余り目立たないし、笑いを取ることは全くありません。それが返って新鮮(?)。「シリアスドラマ」仕立ての展開ですが、テーマは「ホモ・セクシャル」。両親がテーマにどう立ち向かうか。兄弟の反応は。友達は。意外と最後まで引っ張ってくれる映画でした。

推薦度★★☆☆☆ 


 52 宇宙戦争 鑑賞 大津セブンシネマにて

 2005年米映画 
 監督 スティーブン・スピルバーグ
 出演 トム・クルーズ、ジャスティン・チャット、ダコダ・ファニング、ティム・ロビンス他

 レイはアメリカ東部の町に住んでいる。息子ロビーと娘レイチェルがいる。妻とは別居中(?)なのか、レイは息子・娘を一日預かることになる。町に稲妻が走り暴風が吹く。同じ場所に何回も雷が落ちる不思議。息子ロビーを探していて、地中から湧き上がる異物に遭遇したレイは、とてつもないものが襲ってきていることを知る。テロか「何なのか」。得体が知れず、逃げ回る市民。停電となっている。スクープを狙う「中継車」から、アメリカの各都市だけでなく、世界の国が同時に攻撃を受けていることを知る。これは、異星人が地球に仕掛けた総攻撃の序章に過ぎなかった。


 6月29日に一斉に行われた先行ロードショーを見に行きました。7時からの上映で、夫婦2000の切符を先に買って「カツ屋」で夕食を食べました。
 これは、大画面で、音と映像を全身に浴びて、恐怖に後ずさりしながら、目だけはしっかり見開いて、宇宙人の攻撃の様を鑑賞する映画です。ひとたまりもない人間の無力さ。攻撃の凄まじさ。征服は時間の問題です。レイと娘が地下に潜って話は局地的になり、彼らがついに姿を見せます! そして終局。この地球には人間だけでなく、目立たない沢山の生物がいることを教えてくれます。
余分なことですが、レイ一家が「無傷」なのは映画だからとしか思えません。しかしこれは映画の展開上必要なこととして許しましょう。

 推薦度★★★☆☆


 51 第一目撃者 鑑賞 レンタルビデオにて 

 1995年アメリカ映画
 監督 ギル・デニス
 出演 スコット・ブランク、アンジェリーナ・ジョリー、アンナ・ガン他

 オレゴン州の刑務署長マイケルが何者かに殺害される。兄マイケルの死に疑問を抱く弟はテレビ4チャンネルのジャーナリストと組んで独自に捜査を始める。目撃者の書いた似顔絵が恋人に似ているというリズという女性が現れる。しかし、警察の動きに納得できない。今度は当夜に彼と一緒にいたという女性も現れる。しかし、警察は単独犯として処理しようという姿勢を崩さない。刑務所の行政に何があったのか。


 アンジェリーナ・ジョリー出演作ということでレンタルしたこの映画の特徴は、事件が解決しないことです。実話に基づく映画とありましたが、実際の事件においても解決されていないようです。映画の世界では、終わりがないと何となく不安になります。お尻がもぞもぞします。最後に一発決めてくれないと。
 

 推薦度★☆☆☆☆


 50 素晴らしき日曜日 鑑賞 レンタルビデオにて 

 1947東宝作品 108分
 監督 黒澤明
 出演 沼崎勲、中北千枝子、渡辺篤、菅井一郎他


 敗戦後間もない東京。若いカップルである雄造と昌子は日曜日にデートする。二人は早く結婚したいと思っているが、お金と住む場所がない。昌子は家で4人暮らし、雄造は友達と一緒に暮らしてうる。一日のデートだがお金がない。売り出しの家を見学するが高根の花。今の生活から抜け出したいと願う雄造だが、自分は駄目男だと、愚痴をこぼす。それを励ます昌子は未来志向で元気がいい。アパートの貸間をみたり、動物園に行ったりするうちに雨が降って来た。日曜コンサートを思いついたが、切符は寸前で売り切れてしまう。しょげる昌子。雄造のアパートに誘う雄造。昌子は一度はいやだと言うが着いて行く。


 未だ生まれていない時に制作された映画です。戦後間もない庶民のカップルは皆、希望は持っていても金がなくて住むところがなくて、このカップルのように、空き地で喫茶店経営の夢を語っていたりしただろうと、思います。映画の中には有名なクラシック音楽が流れています。クライマックスの音楽堂に鳴り響く「未完成交響曲」はよく知られている場面です。昌子が拍手してほしい、と直接語りかけています。観客に言っているのか、音楽堂の葉っぱに語っているのか。彼女が雄造を励ます一言ずつの表情の変化が非常にほほえましく感じました。黒澤だから、と力を入れずに、力を抜いて観る映画です。

 推薦度★★★☆☆


 49 ロビン・フッド 鑑賞 BS2にて 

 1991年 アメリカ映画 143分
 監督 ケヴィン・レイノルズ
 出演 ケヴィン・コスナー、モーガン・フリーマン、クリスチャン・スレーター他


 中世のイギリス。十字軍の遠征から帰ってきたロビンは父が役人に殺された家が滅んでいることを知る。代官の圧制に抵抗して、森には盗賊が住んでいた。彼らは元農民だった。武器の扱いを知らない。ロビンは森に住み込み、彼らに武術を教えて、立ち上がろうと先導する。そんな時、ケルト人を手を組んで代官が森を襲う。


 封切された時に見たことは間違いありませんが、もう一度BSで観ました。ロビン・フッドが時の権力の圧制と闘う痛快アクション物語。あまり理屈はありません。楽しむ映画です。イギリスでは物語として定着している話だと思う。モーガン・フリーマンが名脇役をしています。

 推薦度★★☆☆☆


 48 ミリオンダラー・ベイビー 鑑賞 梅田ピカデリーにて 

 2004年アメリカ映画
 監督 クイント・イーストウッド(アカデミー賞作品賞・監督賞)
 出演 クイント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク(主演女優賞)、モーガン・フリーマン(助演男優賞)


 ミズーリ州で生まれたマギーは、13歳からレストランのウエートレスの仕事をしている。唯一の楽しみはボクシング。一方フランキーは、ロサンゼルスのダウンタウンではボクシングジムを経営している。雑用係にはかってのボクシング選手ソダンがいる。二人は23年の付き合いで、気心が知れている。ある日、マギーがフランキーのジムを訪れ、トレーナーを頼む。「女は取らない」とニベもない。しかし、お金を払ってジムに通い、サンドバッグをたたくマギー。その熱心さにソダンがそっと教える。やがて32歳の誕生日を迎えた時、フランキーはトレーナーとなる。二人はボクシングに打ち込む。腕を上げるマギー。やがて試合に出られるようになる。連勝のマギー。この両者に境遇の似通ったところがあった。フランキーには娘がいるが何かの事情で話も手紙も交わせない中となっている。マギーには母親と妹がいるが心の交流はない。そうした二人が自分の娘・父親を相手に描いているかはわからない。そうして、世界ウエルター級タイトルマッチを百万ドルのファイトマネーでラスベガスで闘うまでになったとき、新たな試練が待ち構えていた。


 今年のアカデミー賞で話題をさらった作品です。この作品はボクシングというスポーツをテーマにしていますが、「人が生きる意味」を問う映画でもあります。ボクシングに燃える魂。その火が消えたとき人は生きているといえるのか。鋭く重いテーマです。私はスポーツ映画での感動はスポーツ場面自体にあると思っています。「人間ドラマ」を強調されると、何となくエっと思う。
 今回の映画は、よく感想にあるような、涙が浮かんでくることはありませんでした。そのギャップは何だろうとは考えますが、ちょっと、涙腺の種類が違うかも。
 最後にマギーが流した涙の意味を探ることは十分に値打ちのあることだと思います。私流の解釈では、タイトルにあるように、これはフランキーにとってマギーが「BABY」なのです。そのことを知るに至ったマギーの心境を表すとき、彼女には涙しか手段が残っていない、という過酷な現実もまた、この映画のクライマックスでもあるのです。


 推薦度 ★★★★☆


 47 lay レイ 鑑賞 DVDにて 

 2004年アメリカ映画 152分
 監督 テイラー・バックフォード
 出演 ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、クリフトン・パウエル他
 77回アカデミー賞主演男優賞・音響賞受賞

 アメリカ南部ジョージア州の貧しい家庭に生まれたレイ・チャールズ・ロビンソン。兄弟の兄だったが弟が溺死してしまう。彼自身も7歳の時、失明。母は特別扱いしないで育てようとする。しかし、養護学校へ入って母は死去。一人となる。そのレイが、17歳の時(1948年)、バスでシアトルへ向かう。ピアノの才能が評価されて、バンドに加わり演奏することに。以後、レイと音楽とのきっても切れない大きな旅立ちの始まりだった。


 アメリカソウル音楽の神様と言われたレイ・チャールズの生涯を描く映画。盲目でありながらピアノと歌で人々を魅了する天才ミュージシャンであったレイは、家族を持ちながら複数の愛人を持ち、麻薬に手が手放せない、負の生活も同時にしていた。2004年の6月に他界してこの映画の完成を見ることはなかったとのこと。その分、重みを感じます。主演のジェイミー・フォックスの熱演はすごいの一言。レイ・チャールズを知らない(私を含めて)人は、彼がレイチャールズ本人と思うに違いありません。アカデミーの主演男優賞を獲得したのも頷ける話です。
 152分と長い映画ですが、飽きずに最後までしっかり見ました。音楽に浸る映画です。

 推薦度 ★★★☆☆
 

 46 くじらの島の少女 鑑賞 WOWOWにて

 2002年ニュージーランド・ドイツ 
 監督 ニキ・カーロ
 原作 「ザ・ホエール・ライダー」 出演 ケイシャ・キャッスル=ヒューズ、ラウィリ・バラティーン他 
 2002年トロント国際映画祭観客賞受賞、2003年サンダンス映画祭観客賞受賞 2003年ロッテルダム映画祭観客賞受
 賞 76回アカデミー賞主演女優賞ノミネート


 ニュージーランドの海沿いの村。マリオ族の族長の長男に赤ちゃんが生まれるところから始まる。しかし母親と生まれたばかりの長男は死亡してしまう。残されたのは一緒に生まれた長女。族長は後継ぎを望んでいた。「女では駄目」。族長と合わない長男は生まれた赤ちゃんを「バイケア」と名づけてドイツへ去ってしまう。族長のもとで育てられるバイケア。バイケアとは勇者で、昔マリオ族が新天地を求めてクジラに乗ってやって来たという伝説がある。族長の自転車に乗って学校に通う。族長はマリオ族の族長として後継ぎが欲しいため、男の子を集めてマリオ族の歴史と伝統を継承しようとする。興味を示すバイケアを族長は冷たく拒否する。海に出た男の子は族長の印を海に落としてしまう。落胆する族長。ある日、長男がドイツから帰国する。そして、バイケアをつれて帰ろうとする。


 ニュージーランドのラグビーチーム・オールブラックスは踊りを踊ります。それがマリオ族の民族舞踊です。独特の顔をして、肩を怒らして相手を威嚇する踊り。ユニークで、楽しい。
 ニュージーランドに住むマリオ族の村にも「現代化」の波が押し寄せます。その中で必死になってマリオ族の歴史と伝統を継承しようとする族長。後継ぎが女では駄目なのかをテーマにしながら話は進みます。棒による格闘技、海中への素潜り、踊り、歌などはバイケアは得意です。
 学芸会でのバイケアのスピーチは圧巻です。自らの生い立ちとマリオ族とを絡めて族長に訴える姿は「主演女優賞」ものです。
 久しぶりに、民族の誇りを保とうとする映画に、高ぶる心を感じました。


 推薦度 ★★★★☆


 45 スカイ・キャプテン 鑑賞  DVDにて 

 2004年米映画 
 監督 ケリー・コンラン(初)
 出演 ジュードロー、グウイネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリー 他


 1939年のニューヨーク。万国博覧会が開かれている。そこへ、突然、巨大ロボット軍団が襲う事態に。街を破壊しながら前進するロボット。クロニカル紙の記者ポリ−はカメラに収めようと、街頭でロボットを追う。緊急事態に空軍が出動する。その中に辣腕のパイロット・スカイキャプテンがいる。巨大ロボットはどこから着たのか。誰が操っているのか。パイロットと新聞記者による、ロボットの謎を追うアドベンチャーが始まる。


 ファンタジー・アドベンチャーの映画と言ったらいいでしょうか。1939年の設定であるところから二人のクラシックな出で立ちや、街をその当時に再現する。車も一緒。この辺が見所。ストーリーは、アドベンチャーだから、何でもありです。テレビの前で寝転がって、ジュースでも飲みながら、気楽に鑑賞する映画のような気がしました。

 推薦度 ★★☆☆☆


 44 血と骨 鑑賞 DVDにて
 
 2004年松竹映画 144分
 監督 雀洋一
 出演 ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、中村優子他

 1923年済州島から大阪に船が入港する。金俊平が来日。大阪・生野の朝鮮人集落での生活が始まる。家族を持つが帰ってこない。強引で凶暴で言葉よりも手が先に動く俊平に家族も恐れる。ある日、俊平が帰ってくる。妻への暴力。長男正雄は「頭のおかしいオッサン」と呼ぶ。長女花子も恐れる。自宅でかまぼこ工場を始める。人を使うが恐喝的態度は変らない。水揚げで金貸しを始める。そこへ、俊平の子どもと名乗る武が乗り込んでくる。俊平を恐れない武。壮絶な言い争いが始まる。戦後の各々の時代を映しながら、金俊平の強欲・凶暴な生き様が展開していきます。


 原作は染石日の同名小説。ベストセラーになりました。今年の日本アカデミー賞では最優秀監督賞(雀洋一)と最優秀主演女優賞(鈴木京香)最優秀助演男優賞(オダギリジョー)の三賞を獲得した作品です。
 ビートたけしの演技は演技であって演技ではない迫力があります。武役も同様。生臭くて、強欲で、凶暴で、俊平の生き様には、好き嫌いが真っ二つに別れる評価でしょう。
 私は、共産党や北朝鮮への帰国、フラフープやオート三輪車など、戦後日本の時代風景があちらこちらに散りばめられていることに感心しました。俊平という在日一世の生き様には賛否両論があるでしょう。それも含めて映像化したことに拍手。最後まで目が話せない作品でした。


 推薦度 ★★★☆☆
 


43 ホーンテッドマンション 鑑賞  BS2にて

 2004年米映画 98分
 監督 ロブ・ミンコフ
 出演 エディ・マフィ、ゼニファー・テリー、テレンス・スタンプ、ナサンエル・バーカー他

 不動産屋に勤めるジムは「仕事人間」。家族旅行の計画の中でも仕事が入ると、自動車で回り道をしてしまう。そんな時、南北戦争以前に建てられた大富豪の家を売却してほしい、という仕事が入る。妻サラと子ども二人、この家を訪ねることになる。家の主人グレーシーと執事ラムズリーが一行を迎える。が、この家は何かおかしい。グレーシーの目的はどうもサラにあるらしい。


 ホラーコメディの分野でしょうか。ディズニーが制作するアトラクションシリーズ3部作の一つとのこと(個人的にはパイレーツオブカビリアンが好きです。)。幽霊の棲む家「ホーンテッドマンション」のアトラクションで楽しんだ記憶のある方は、場面設定や登場人物が重なって、「あったあった」と2倍楽しめるでしょう。この映画はそうして楽しむ映画だと思います。

 推薦度 ★★☆☆☆


 42 ソフィーの世界 鑑賞  BS2にて

 1999年ノルウエー映画 107分
 監督 エリック・グズタヴィソン
 出演 シルエ・ストルスティン他


 ノルエーで暮らす14歳の少女にある日、手紙が届く「あなたは誰?」。また手紙が届く「私は誰?」。彼女の「自分探し」の旅が始まる。古代ローマ・ソクラテスの弁明から近代まで時空を超えて旅します。

 大ベストセラー(未読ですが)の映画化ということで、一度は観たいと思っていました。最初の30分位は見ていましたが、夕食のアルコールが「効いて」きて、コックリ。途中略では批評の資格がないのかも知れません。
 最初の30分間の印象としては、これは先ず原作となる本をじっくり読んで、そこでしっかり「ソフィーの世界」を味わうことが大事だろうなと思いました。文字から得るイメージは先ず自分自身の頭の中で広げた方がいい部分もあるという意味で。映画は製作者のイメージなのだと。


 推薦度 ★★☆☆☆


 41 スカイ・キャプテン 鑑賞  DVDにて

 2004年米映画 
 監督 ケリー・コンラン(初)
 出演 ジュードロー、グウイネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリー 他

 1939年のニューヨーク。万国博覧会が開かれている。そこへ、突然、巨大ロボット軍団が襲う事態に。街を破壊しながら前進するロボット。クロニカル紙の記者ポリ−はカメラに収めようと、街頭でロボットを追う。緊急事態に空軍が出動する。その中に辣腕のパイロット・スカイキャプテンがいる。巨大ロボットはどこから着たのか。誰が操っているのか。パイロットと新聞記者による、ロボットの謎を追うアドベンチャーが始まる。


 ファンタジー・アドベンチャーの映画と言ったらいいでしょうか。1939年の設定であるところから二人のクラシックな出で立ちや、街をその当時に再現する。車も一緒。この辺が見所。ストーリーは、アドベンチャーだから、何でもありです。テレビの前で寝転がって、ジュースでも飲みながら、気楽に鑑賞する映画のような気がしました。


 推薦度 ★★☆☆☆


 40 『血と骨』 鑑賞 DVDにて

 2004年松竹映画 144分
 監督 雀洋一
 出演 ビートたけし、鈴木京香、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、中村優子他

 1923年済州島から大阪に船が入港する。金俊平が来日。大阪・生野の朝鮮人集落での生活が始まる。家族を持つが帰ってこない。強引で凶暴で言葉よりも手が先に動く俊平に家族も恐れる。ある日、俊平が帰ってくる。妻への暴力。長男正雄は「頭のおかしいオッサン」と呼ぶ。長女花子も恐れる。自宅でかまぼこ工場を始める。人を使うが恐喝的態度は変らない。水揚げで金貸しを始める。そこへ、俊平の子どもと名乗る武が乗り込んでくる。俊平を恐れない武。壮絶な言い争いが始まる。戦後の各々の時代を映しながら、金俊平の強欲・凶暴な生き様が展開していきます。


 原作は染石日の同名小説。ベストセラーになりました。今年の日本アカデミー賞では最優秀監督賞(雀洋一)と最優秀主演女優賞(鈴木京香)最優秀助演男優賞(オダギリジョー)の三賞を獲得した作品です。
 ビートたけしの演技は演技であって演技ではない迫力があります。武役も同様。生臭くて、強欲で、凶暴で、俊平の生き様には、好き嫌いが真っ二つに別れる評価でしょう。
 私は、共産党や北朝鮮への帰国、フラフープやオート三輪車など、戦後日本の時代風景があちらこちらに散りばめられていることに感心しました。俊平という在日一世の生き様には賛否両論があるでしょう。それも含めて映像化したことに拍手。最後まで目が話せない作品でした。


 推薦度 ★★★☆☆


 39 『父、帰る』鑑賞 DVDにて

 2003年ロシア映画
 監督 アンドレイ・スビャギンツエフ 出演 ウラジミール・ガーリン、イヴァン・ドブロヌラヴォフ、コンスタンチン・ラヴォロネンコ他

 アンドレイとイワンの兄弟は母・祖母の4人で暮らしている。そこへ突然父が帰ってきた。12年ぶりという。写真でしか見たことのない父に兄弟は戸惑いを隠せない。父が何処で何をしていたのか誰も語らない。翌日、兄弟を連れてキャンプに出るという。父を受け入れる兄アンドレイと悉く対立する弟イワン。テントで宿泊しながら、湖に浮かぶ無人島をめざす。父は子供との時間を取り戻そうとしているのか、自分の都合なのかは分からない。過去については黙して語らない父と知りたい子供たち。最後には相容れることができるのか。


 ワンシーンワンシーンが「決まって」いて、映像美が追求されている映画とみました。湖の青さや川の青さや雨のシーンが特徴。セットで撮影された(と思われる)シーンはわずかで、あとはほとんどロケ撮影だと思う。田舎のロシアがそのまま映像に反映されています。
 ストーリーには謎が多い。衝撃的な結末もその後の解決がないため、謎のままです。余韻を楽しむには??が多すぎる気がしました。
 ベネチア映画祭で金獅子賞受賞の映画です。ロシア映画が再興されていることに意義を見出した受賞ということでしょうか。

 推薦度 ★★★☆☆


38 『インストール』鑑賞 DVDにて

2004年日活 94分 2005年5月21日(土) 
監督 片岡K(初作品) 出演 上戸彩、神木隆之介、中村七之介、菊川玲、田中好子他


 17歳の高校生野沢朝子は、17歳という年齢が「目的のない人生」に不安を感じることになる年頃か、自分の部屋のもの全てを片付けて空っぽにしてしまう。そして、母が出勤したあと、自宅に戻って過ごすようになる。いわゆる登校拒否。彼女が廃棄したパソコンを拾った少年青木かずよしが話しかける。「チャットでアルバイトしませんか」。彼は転校生。押し入れにパソコンを隠していた。朝子が青木の家に通うようになる。チャットでは26歳の風俗嬢「雅」を名乗っている。朝子の心の不安は満たされることになるのか、朝子は何か変わることができるのか。


 原作は若くして芥川賞を受賞した綿矢りさ(蹴りたい背中)のデビュー作。未読ですが。朝子を上戸彩が演じています。揺れる心を心象映像で表現しようとする試みがあります。青木が小学生とは思えない「ませた」話をするきわどさを楽しむのもよいかも知れない。チャット内容も然り。ただ、シモネタはその場限りで終わってしまう空しさも同居する。チャットという架空の世界が小説が書かれた時には「めずらしい」ことだったことも確か。

推薦度 ★☆☆☆☆


37 『天国の青い蝶』鑑賞 DVDにて

2004年カナダ・英映画 2005年5月22日(日) 
監督 レア・プール 出演 マーク・トネイト、ウイリアム・ハート、パスカル・プシェール他


 10歳のピート少年は脳腫瘍で余命1ヶ月と診断を受けている。彼には夢があった。昆虫好きの彼は世界で最も美しいとされる青い蝶「ブルーモルフォー」を捕まえたいということ。モントリオールの昆虫博物館で講演している昆虫学者アラン・オズボーンに、夢をぶつける。最初は断る学者であったが、その熱意に動かされて、ブルーモルフォーが生息するという中南米の密林へ旅立つことになる。母も同行する。
 美しい熱帯雨林の自然。15年間も会っていない娘のことなど、少年と昆虫学者との心の交流。学者がいつも滞在する地元に暖かく迎えられた一行は、あと10日間しかないと言われる生息期間の間に、青い蝶とめぐり合うことができるでしょうか。


 タイトルに引かれてレンタルしました。説明文によるとこの映画は実話に基づいていて、10歳の少年に奇跡が起こって、彼は現在23歳とのこと。何が奇跡を起こしたのか。
 見終わっての感想としては、ストーリーとしての感動もありますが、とにかく、この映画に散りばめられている熱帯雨林の動物たちを一目見るだけでも十分に映画の値打ちがあります。カメラワークが非常にうまく動物たちを捕らえています。その美しいこと。彼らはそこで自分たちの摂理に従って自由に生活しているということが伝わってきます。
 調べるとロケは中米コスタリカとのこと。あの、軍隊を持たない国コスタリカの、国土の多くの部分を国立公園にしている国ならでは自然の有り様であることが納得できます。


推薦度 ★★★☆☆


36 『追跡者』鑑賞 WOWWOWにて

1998年アメリカ映画 
監督 ステュアート・ベア-ズ 出演 トミーリージョーンズ、ウエズリー・スナイプス、ロバートダウニー・ジュニア他


 連邦捜査官ジェラードが乗り合わせた囚人輸送機がオハイオ川に転落する。救出にあたる中で、一人の囚人シェリダンが逃亡する。CIA要員を2名殺害したという。ジェラードがチームを組んで追跡を始める。密林に追い詰めたが、チームの一人が撃たれて捜査は振り出しに。そこへロイヌという連邦捜査官が加わる。シェリダンの恋人を張って、盗聴。中国大使館との接点が出てくる。絞られる捜査網。実はシェリダンも特殊工作員でどうも無罪を主張して真犯人を追っているらしい。


 93年に制作された「逃亡者」でアカデミー助演男優賞を受賞したトミーリージョーンズが同じジェラードに扮して主役を張る、続編的な作品。飛行機の墜落現場など非常に大掛かりで、セットと思えない雰囲気。物語としては、途中から何となく筋が見えてきそうな展開。2名殺害の動機とその背景をもっと追求することで必然性が生まれてくるのですが。
 トミーリージョーンズに追跡者が似合うな、と確認する映画です。

推薦度 ★★☆☆☆


35 『ターミナル』鑑賞 DVDにて

2004年アメリカUIP映画 2005年5月17日 
監督 スティーブン・スピルバーグ 出演 トム・ハンクス、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 他

 東ヨーロッパのクライコウジア人であるビクターは飛行機でニューヨークに降り立った。しかし出られない。本国でクーデターが起こりパスポートが無効になったということを知らされ愕然となる。どうしてもラマダホテルに行かなければならないのだ。ある約束を果たすために。母国に帰らずに空港で「暮らすこと」を選択するビクター。食事をとるため働くことを見つけ、友人をつくり、恋の橋渡しをする。そうした生活を送る彼はいつか約束を果たすことはできるだろうか。


 前宣伝があった時に見たいなと思いながら見逃していた作品。空港をセットで制作して撮影したというから構えがすごいことは確か。しかし、映画の展開としては、何か物足りない感じ。ターミナルの雑踏の雰囲気はよく感じられたが、空港で「生活」してどうなるの、という感じは私の頭から離れない。缶の中身が気になるところでしたが、何かないと滞在理由にならないからともいえますし。英語が下手という設定は字幕では表現できない難しさがあります。
 全然別のことですが、鷺沢萌さんが書いている本「シネマボム」に載っている21人のハリウッドスターにトム・ハンクスが入っていません。好みの問題だろうとは思いますが、彼女の目に止まらないということでしょうか。

推薦度 ★★☆☆☆


34 『シークレット・ウインドウ』鑑賞 DVDにて

2004年アメリカ  2005年5月16日
監督 デビッド・コープ 原作 スティーブン・キング主演 ジョニーデップ マリア・ベロ 

 人気作家モートレイニーは妻と離婚協議中である。モートの心が離れたと思った妻エイミーが浮気したことが原因らしいが、今は別居中である。そこへ謎の男シューターが現れる。「あなたは私の小説を盗作している」と。争う2人。シューターは私をコケにすると怖いことになる、と脅す。シューターと関わった人物が謎の死を遂げてしまう。妻は離婚協議書にサインするように催促する。浮気相手の男も現れて、モートと争いになる。シューターの本当の狙いは何か。誰かの依頼なのか。物語は予測不可能な展開を見せるようになる。


 登場人物は少ないし、作家のモートがほとんど画面に登場しているし、どんな映画か予想がし難い滑り出しだったが、シューターが現れるに及んで俄然緊張が走る。味わいが深い映画であるかもしれないと思うようになります。俳優のジョニーデップは自分で出演する映画を選択しているのではないか、と思う。これは彼が出たいといったのでは。新しい役への挑戦として。分野としては心理サスペンス。なかなかの映画ですよ。

推薦度 ★★★☆☆
 


33 『スイング・ガールズ』鑑賞 DVDにて

2004年東宝作品 2005年5月15日
監督 矢口史靖 出演 上野樹里 あすか 中村知世 竹中直人他


 東北のとある高校、夏休みの補習授業が開かれている。甲子園を目指す野球部の応援は吹奏楽部。バスで出発したが弁当を忘れ、補習授業を受けている生徒が届けることに。電車で行くのだが、乗り越して食べた生徒は「食当たり」を起こしてしまう。補習授業の連中は吹奏楽部の生徒に代わって演奏するために練習することになる。やる気の無い連中だが、音を出すことの魅力がわかってくる。そこへ部員が復帰。「どうせ本気じゃないから」とやめては見たものの、魅力は忘れられない。ついにサックスを購入する決意をする主人公。5人くらいが集まって練習が始まるのだった。


 前から見たいと思っていて映画館で逃がしてやっとDVDで見ることが出来ました。十分に楽しめました。こういう映画に映画としてのストーリー的な面白さは余り要求しません。普通の女子高生が音を出す魅力に捕らえられて「ジャズ」をスイングする、という一点で結構なのです。喜劇調に軽いノリで撮影されているのも良い。演奏会の音は全て本人たちが出しているというから驚きです。見事な演奏を楽しんでください。

推薦度 ★★★★☆


32 『ベッカムに恋して』鑑賞  CS放送にて

2002年 イギリス映画  2005年4月28日 CS放送にて 
監督グリンダ・ナーダラ 出演 バーミンダ・ナーダラ キーラ・ナイトレイ ジョナサン・リース・マイヤーズ 他

インド系のイギリス人少女(ジェス)が主人公。サッカーが大好きで自分の部屋にはベッカムの大きな写真が貼ってある。自らもサッカーをプレーするがこれが上手。ドリブルで相手をかわすのが特にうまい。公園で少年に混じってサッカーで遊んでいる。ある時、地元の女子サッカーチームの選手(ジュールズ)に誘われる。そして、そのチームのメンバーとなる。だが、ジェスの両親はサッカーに大反対。仕方なく、内緒でサッカーを続けるジェス。熱心な監督ジョーの励まし。ジュールズはジョーに思いを寄せている。アメリカプロサッカーチームスカウトが現れる。ジェスの両親と姉とライバル・ジュールズと監督のジョーと。インド系イギリス人に独特な文化にも触れながら、コミカルに人の絡みを描く痛快作です。


非常に楽しんで鑑賞しました。インド系イギリス人独特の文化があって、それでもサッカーが好きで、夢を追う18歳の少女を楽しく描いています。カラッとしていて、それでいてちゃんとストーリーがあって、サッカーが好きなのは男だけじゃないことをしっかりアピールしていて、推薦できる映画です。

推薦度 ★★★★☆


31 『幕末太陽伝』 鑑賞 BS2にて

1957年制作 日活 110分モノクロ
監督 川島雄三 脚本今村昌平 出演 フランキー堺・左幸子・南田洋子・石原裕次郎・芦川いづみ・金子信雄他

 舞台は幕末の品川遊郭。町人佐平次(フランキー堺)は一晩大いに遊んだが実は無一文。金を運ぶ相棒の人質として居残ることになった。そこは要領のよい佐平次、働いて金を返済すべくテキパキした仕事ぶりを見せ、重宝がられるようになった。そのころ、長州藩士の高杉晋作(石原裕次郎)とその仲間が、品川のイギリス領事館の焼き打ちを計画して泊りこんでいた。佐平次はそこでも協力する。ぼつぼつ潮時と旅支度する佐平次だが。


 昭和30年代の映画を久しぶりに鑑賞しました。スクリーンが何とも活気があふれています。舞台は幕末。街道を行き交う人に中に品川宿に住んでいるだろう犬が欠伸しながら尻尾を振って「出演」しています。遊郭で働く若衆(岡田真澄)の懐には猫が眠っていました。街道の雰囲気・遊郭の雰囲気を沢山の人が出演して、再現しています。そのエネルギーがとにかくすごい。
 ストーリーとしては、高杉晋作が出てきて幕末を演じる程度でほとんどが遊郭の活気が中心となっていて、遊女がバイタリティよろしく明るく活動しています。行き交う遊郭の廊下の広いこと。人が4人すれ違えます。それも活気の一旦。
楽しみました。


推薦度 ★★★☆☆


30 『誰も知らない』 鑑賞 DVDにて
 
2004年 日本映画 141分
監督 是枝裕和 出演 柳楽優弥 、北浦愛 、木村飛影 、清水萌々子 、韓英恵 YOU 他

母子家庭のけい子(YOU)が借家に引っ越すが、子供は12歳の長男の明(柳楽優弥)だけだという。実際は4人。いずれも学校に通っていない。長男も長女も「学校に行きたい」と訴えるが「行ってもしょうがないでしょ」と取り合ってもらえない。朝出勤した母親が夜帰ってくることを待つ生活。長男が子どもたちの面倒を見ている。やがて、母親が帰ってこなくなり、子どもたち4人だけの生活が始まる。


カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した作品。映画館で見たかったのですが、見逃していて今回鑑賞しました。長い映画でしたが余り長さは感じませんでした。母子家庭の母親が蒸発して子どもたちだけの生活という悲惨な内容にしては淡々と描いているように見えました。実話を題材にした映画ということです。現代社会ではこういうことも十分にありうるのだ、という警鐘の映画。それにしても、近所との付き合いなしに生活するということが何と乾いた生活なのか。いろいろ考える映画です。

推薦度 ★★★★☆

 



29 『僕はラジオ』 鑑賞 DVDにて

 
2003年 アメリカ映画 109分
監督 マイク・トーリン 出演 キューバ・グッディング・Jr、エド・ハリス 、アルフレ・ウッダード 、デブラ・ウィンガー 、S・エパサ・マーカーソン他

 ハロルド・ジョーンズ(エド・ハリス)はハナ高校のアメリカンフットボールのコーチを務めていた。舞台は1976年のアメリカ。クラブの練習場の回りをいつもうろつく黒人青年(キューバ・グッディング・Jr)に興味を持った。彼には知的な障害があった。ある日、部員が彼を虐める事件が起こる。コーチは家で母に会いクラブの雑役係を提案する。全く会話ができなかった彼は、ほんの少しではあるがクラブに溶け込んで、高校生も彼を受け入れてこうとする。しかし、チームの成績と彼を結びつける意見が次第に広まって、風当たりが強くなってくるのだった。

 時代設定は1976年。実話に基づいていて、ロケ地のサウスカロライナの町の住民がエキストラで出演しているとのこと。きっとバーバーのサロンがそうではないかと思いました。
 知的障害を持っている黒人青年への偏見に対して、彼の母親は問います。「世の中に正しいことは沢山ある。彼の面倒を見ることを選んだのは何故だ」。コーチは答えます。「そうしたいから」。コーチは最後のサロンでも言います。「彼は我々にないやさしさを持っている。我々が彼に教わっている」と。
エドハリスの演技が光ります。確固とした信念が感じられます。骨太の教師であり、コーチです。家族に理解を求める姿勢もいい。こういう映画は見たあとで気持ちが晴ればれとします。


推薦度 ★★★☆☆

 


28 『砂と霧の家』 鑑賞 DVDにて
 
2003年 アメリカ映画
監督 バンデムカールマン 出演 ジェニファー・コネリー、ベン・キングスレイ、ロン・エルダード、ショーレ・アグダジュルー他

キャシー・ニコロ(ジェニファー・コネリー)は結婚に失敗して夫に去ら、仕事もなく一人で暮らしている。母には、「幸せにしている」と嘘を。数万円の税金未払いが原因で家を差し押さえられ、競売に。行政の手違いが判明したときにはすでに他人の手に。政変でイランから亡命してアメリカにいるベラーニ元大佐(ベン・キングスレー)の一家だった。今は肉体労働で稼ぐベラーニ。献身的な妻ナディ(ショーレ・アグダシュルー)と愛する息子のために新しい家で人生をやり直そうと誓うベラーニ。両者の思いが一軒の家を巡って、絡み合っていく。それはやがて悲劇へと。

 何とも救いのない映画でした。両方とも一生懸命なのにうまく話が絡み合っていかない。お互いの思いがちぐはぐとなってしまう。
 やはり、ベン・キングスレーの演技が光っています。大尉らしく姿勢がシャンとしています。最愛の子どもや家族への思いがみなぎっています。アカデミー賞の3部門を獲得したとありました。主演男優・助演女優・オリジナル音楽賞の3部門。納得できます


推薦度 ★★★☆☆
 


27 『隣のヒットマンズ 全弾発射』 鑑賞 DVDにて
 
2004年アメリカ映画
監督 ハワード・ドウイッチ 出演 ブルース・ウイルス、マシュー・ベリー、アマンダ・ピート、ケビン・ポラック、ナターシャ・ヘンストリッジ他

ヒットマン・ジミー(ブルース・ウィリス)は、自分の死を偽造し、引退してジル(アマンダ・ピート)とメキシコに住んでいる。ジルはヒットマンをめざしている。一方、オズ(マシュー・ペリー)とシンシア(ナターシャ・ヘンストリッジ)は夫婦。歯科医オズはデンタル・クリニックを開業している。
ジミーの密告により終身刑となったマフィアのボス・ラズロ(ケヴィン・ポラック)が出所する。彼は、かつてジミーが葬ったヤンニの父親でもあるのだ。ラズロー一味のジミー探しが始まる 。

「隣はヒットマン」の続編。コミック調の映画。前作から今度はヒットマンが狙われる話。全体としては、何ともドタバタ劇。最後の落ちも何かオカシイ。2番目はうまく行かなかった?

推薦度 ★☆☆☆☆
 


26 『たそがれ清兵衛』 鑑賞 DVDにて
 
2002年松竹映画
監督 山田洋次 原作 藤沢周平 出演 真田広之、宮沢りえ、
田中泯、丹波哲郎、岸惠子、小林稔侍他

 蛤御門の変があった江戸末期が舞台。庄内の小藩の平侍・井口清兵衛(真田広之)は、妻の死後、娘2人と老いた母親を養いながら暮らしている。仕事が終わるたそがれ時期に帰るため仲間に「たそがれ」と呼ばれた。ある夜、幼なじみの朋江(宮沢りえ)を家に送った際、朋江が離縁した男に果し合いをすることになる。木刀で勝ってしまい、噂が広がる。その頃、藩主が死亡して藩が揺れ始めます。

 3回目の鑑賞。一度は劇場で、2度目はビデオで、今回はDVDで。何度見ても、よくできた映画だと思っています。決闘シーンがクライマックスになりますが、そこに至る経過も丹念に描かれていると思う。下級武士の暮らしにリアリティがある気がします。子どもたちがけなげに生きている気がします。

推薦度 ★★★★☆
 


25 『なごり雪 鑑賞 DVDにて
 
2002年 邦画 111分
監督 大林宣彦 出演 三浦友和 、須藤温子 、細山田隆人 、反田孝幸 、長澤まさみ他

 梶村祐作(三浦友和)は、28年間連れ添った妻に逃げられ、遺書と書いたりした。その祐作へ電話が掛かってくる。友人、水田健一郎(細山田隆人)からだった。水田の妻・雪子(須藤温子)が危篤状態だという。祐作は古里の臼杵へ戻る。道すがら28年前を思い出す佑作。3人の青春。雪子は祐作に恋し、水田は雪子が好きだった。雪子に応えられない佑作。佑作が東京の大学へ進学したことで3人の青春に転機を訪れる。

 50歳を迎えた中年が28年前を思い出してその思いをたどる青春回帰映画。舞台は大分県臼杵市。石佛や灯篭祭りや坂道のある街並みや橋などが昭和40年代そのままに「再現」されています。雪子の思いが一途な分だけ祐作が優柔不断で、はっきりしなくて、歯がゆくて、とても主人公とは呼べない。18歳に「上京」した時に抱いた大志が50歳になって東京で実現しているのか、大半の中年に鋭く問いかけています。ふるさとに留まり雪子を受け止め家業を継いだ水田の生き方が太く見えます。ストーリーはぎこちないが、温まる、癒される映画です。

推薦度 ★★★★☆
 


24 『コラテラル(巻き添え)』 鑑賞 DVDにて

2004年アメリカ映画
監督 マイケル・マン 出演 トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット=スミス他

 ヴィンセント(トム・クルーズ)は殺し屋で仕事として殺人を請け負う。一方のマックス(ジェイミー・フォックス)はタクシーの運転手で、客と話しながら生活費を稼いでいる。マックスには病院に入院している母がいる。マックスのタクシーの客となったヴィンセントが一夜のうちに5人の家を訪ねるのに600ドル出すと持ちかけられる。いい話に乗るマックス。しかし、最初の訪問でヴィンセントが殺人を犯したことを知っていまうマックス。

 この映画の主人公は、殺人者ヴィンセントではなく、タクシー運転手マックスです。今年のアカデミー賞で最優秀主演男優賞を獲得したジェイミーフォックスが演じています。少し優柔不断でヴィンセントに脅されると、断れなくなります。トムクルーズは悪役に挑戦です。プロにしては殺人のしかたがスマートではありません。証拠を沢山残したり、ダンスホールの射撃戦では殺人後よく抜けられたものと思います。

推薦度 ★★★☆☆
 


23 『アイ・スパイ(I・SPY)』 鑑賞 WOWOWにて
 
2003年アメリカ映画 96分
監督 ベティ・トーマス 出演 エディ・マーフィ オーウエン・ウイルソン ファムケ・ヤンセン他

 めぐり合わせでコンビを組んだエージェントとボクサーが盗まれた最新鋭の戦闘機(補色で消えてしまう)を取り戻すために活躍する話。コメディ。

昔アメリカで人気があったらしいテレビシリーズを映画化したものとのこと。エディ・マーフィーが現役のボクサー役に挑戦しているところが見ものか。あとは、お決まりのアクションとお色気とコメディと。そんな映画です。

推薦度 ★☆☆☆☆ 
 


22 『アーサー王』  鑑賞 DVDにて

2004年 アメリカ映画 126分
監督 アントワーン・フークア 出演 クライブクライヴ・オーウェン、スティーヴン・ディレイン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィズ、ヒュジ・ダンシー他

 ローマ帝国時代、その支配下にあったブリテン島。独立を求めるウオードと残虐な侵略者サクソン人との戦乱の世。ブリテンの血を引くアーサー(クライヴ・オーウェン)は勇敢な騎士たちを従え、宝剣エクスカリバーを手にして、パドリアヌスの城壁を死守していた。そのアーサーにローマ教皇から北部の地からローマ人一家を救出する命が下る。アーサーは騎士とともに出かけ、囚われのブリテン女性グウィネヴィア(キーラ・ナイトレイ)を救出する。一行を連れた騎士団ににサクソンの足音が迫る。

 アーサー王の伝説は不案内だが、イギリス建国の王らしい。ローマ時代の再現に力が注がれている。衣装、城壁等。CGも駆使されている。歴史スペクタクル的展開。騎士団がやけに強いが戦いでは犠牲者も出ている。侵略者サクソン人と闘う先住民のウオードが印象的である。騎士は戦うためにある。戦いの映画。

推薦度 ★★★☆☆
 


21 『LOVERS(ラバーズ)』 鑑賞 DVDにて

2004年 中国映画 
監督 チャン・イーモウ 出演 金城武、アンディ・ラウ、チャン・ツィイー他

 各地に叛乱勢力が台頭した唐の時代、その最大勢力とされた「飛刀門」討伐の命を受けた劉は、盲目の踊り子・小妹を捕えるが口を割らない。劉は同僚の金と一緒に、策を練る。金が小妹を救い出し、飛刀門の拠点に潜入するということ。ふたりは逃避行を開始し、劉も2人の後を追う。だが3人を愛憎と思惑が包むのであった。

 色彩美を鑑賞する映画。遊郭での太鼓と踊り、決闘シーンでの山の紅葉、降雪、竹薮を走る追っ手の群れ、馬が駆け抜ける落ち葉、等々。
 日本の金城武が出演しています。チャン・ツイイーは相変わらず美しい。全てが儀式的で大仰です。こういう映画があってもいいとは思います。私としてはHOROの方が好きです。

推薦度★★☆☆☆
 


20 『ボーン・スプレマシー』 鑑賞 大津アーカスシネマにて

2004年 アメリカ映画 108分
監督 ポール・グリーングラス 出演 マット・デイモン 、フランカ・ポテンテ 、ジョーン・アレン 、ブライアン・コックス 、ジュリア・スタイルズ 他

 ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)は記憶を無くしている。ボーンとマリーは、インドのゴアで暮らしている。毎夜過去の悪夢にうなされるボーンと慰めるマリー。そのころCIAの女性諜報員パメラ・ランディ(ジョアン・アレン)はCIA内部の公金横領を追っていた。情報屋を何者かが襲撃する。残ったのは指紋だけ。パメラはCIA本部へと飛ぶ。

 やはり2作目はボーンの人物設定が分かってしまっている点があり、興味が半減してしまう。CIA内部犯は早いうちに割れてしまう。せっかくロシアロケを敢行したしたのに、めまぐるしいだけの映画という感じ。失敗作。

評価 ★☆☆☆☆
 


19 『モナリザスマイル』 鑑賞 レンタルビデオにて
 
2003年米映画 120分 監督マイク・ニューウェル 出演ジュリア・ロバーツ、キルスティン・ダンスト、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホール 他

 1953年。名門校ニューイングランドのウェルズリー大学に、美術史の先生として赴任したキャサリン・ワトソン(ジュリア・ロバーツ)。「米国一保守的」との評判がある大学。変化を期待しての着任だったが、評判は予想以上で、生徒たちはエリートのボーイフレンドからもらう婚約指輪が何よりの目標だという。ワトソンの美術の授業は彼女らに変化をもたらすことができるのか。

 ジュリアロバーツの学園ドラマ。有名大学の女子学生たちが、結婚がゴールで学問的な可能性を見ようとしない生き方に疑問を投げかける。小石の波紋も許さない大学の経営者たち。1953年設定だから、さもありなんと思う。良妻賢母教育の典型。
 まじめな映画で最後までしっかり鑑賞しましたが、学園ドラマに多い燃え上がるような感動というものは、なかった気がします。感情移入不足か。

推薦度 ★★☆☆☆
 


18 『解夏』 鑑賞 DVDにて

2003年東宝 監督磯村一路 原作さだまさし 出演大沢たかお 石田ゆり子 富司純子 田辺誠一 古田新太 鴻上尚史 石野真子 渡辺えり子 柄本明 林隆三 松村達雄他

 東京で小学校の教師をしている隆之(大沢たかお)は幼なじみの医者博信(古田新太)の診察を受ける。診断結果はベーチェット病。視力を徐々に失っていくケースだった。隆之は大学の恩師朝村(林隆三)に会う。恋人は朝村の娘陽子(石田ゆり子)だった。陽子は研究のためにモンゴルにいた。隆之は職を辞し母(富司純子)の住む故郷長崎に帰った。やがて陽子が尋ねてきた。隆之はこの先の人生を思い悩むのだった。

 タイトルの解夏が何とも難しいタイトルだった。仏教用語で、3ヶ月の座禅に入るのが結夏、それが終わって解き放たれるのが解夏とのこと。視力を失うことへの恐怖感・絶望感からの解放が暗示されています。
 原作はさだまさしさん。長崎の街が綺麗に映像化されています。坂道や海の青やお寺や。しっとりとした映画。「私の目になって下さい」という純愛映画でもあります。本人も恋人も母親も「視力を失う」という圧倒的事実の前にたじろぎ、身の処し方が分からない。じっくりと見た映画でした。


推薦度 ★★★☆☆
 


17 『世界の中心で、愛をさけぶ』 鑑賞 DVDにて
 

2004年東宝映画 138分 監督 行定勲 出演大沢たかお 柴咲コウ 長澤まさみ 森山未来 山崎努他

 朔太郎(大沢たかお)の婚約者・律子(柴咲コウ)が失跡する。行き先が四国だと知り、あとを追う朔太郎。そこは初恋の相手・亜紀(長澤まさみ)の思い出の場所だった。朔太郎は次第に過去の思い出の中に入り込んでしまう。現在と過去が交錯しながら、過去の思い出が解き明かされていきます。


 170万部のベストセラーとなった同名の小説(私は読んでいませんが)の映画化。片山恭一氏。小説を原作にしているが、映画はちょっと違っていて、未来の部分が埋まって、続編的な感じがある、と言われています。
 純愛映画といったらいいか。切ない映画。病によって初恋の終止符がもたらされる映画ではかって「愛と死をみつめて」がありましたが、彷彿とさせます。過去と現在の交錯が見事で、映画の進行とともに両者の溝が解き明かされていきます。


推薦度 ★★★★☆
 


16 『ペーパームーン』 鑑賞 WOWOWにて

1973年アメリカ映画 100分位
監督 ピーターボグダノビッチ 出演 ライアン・オニール、テイタム・オニール他

9歳のアディ(テイタム・オニール)は身寄りがない。おばは遠くミズーリ州。モーゼ(ライアン・オニール)は、アディを叔母の家に届けるように頼まれる。モーゼはアディの母親と深い関係にあったのは事実。母親と交通事故を起こした男の兄を訪ね示談金200ドルをせしめる。車を購入。そして、邪魔になったアディを汽車に乗せてポイしようとしたが、モーゼが200ドル取るのを聞いて、返せと主張。モーゼとアディの珍道中が始まる。


アカデミー賞特集で放送していた番組を何気なく見ていて、面白くなって最後まで見てしまった作品。1973年作というがモノクロで、禁酒法時代の雰囲気が出ていた。アディ役が何ともかわいい。芸達者といったところ。

推薦度 ★★★☆☆
 


15 『ふたりのトスカーナ』 鑑賞 DVDにて

2000年イタリア映画
監督 アンドレア・フラッツィ 出演 イサベラ・ロッセリーニ他

 1943年イタリア・フィレンツエ郊外の芸術家の家が舞台。両親が事故で亡くなった姉妹が伯母の家に引き取られてきた。上の子と同じ年頃の子と、姉が迎える。使用人が何人もいる大きな家。使用人の子供と遊ぶ毎日。段々と慣れていく姉妹。叔父・伯母は暖かく二人と接する。使用人たちも暖かい。第二次大戦の陰が段々と迫る。ムッソリーニ内閣が倒れる。イタリア軍が家に陣を張る。ドイツ軍がイタリアに入ってくる。そうした動きは子供の目を通して描かれる。そして、叔父が誇りあるユダヤ人であると公言していることでこの一家に、危機が迫る。


 イタリアの有名な物語の映画化だそうです。「アインシュタイン一家」。子供の目から描かれるイタリアの戦争末期の1943年から1945年にイギリス軍が上陸して戦争が終結するまでの、暗い苦しい時代を、断片的に時代背景を織り交ぜながら、子供の遊びを通して描いています。
 伯母役のイサベラ・ロッセリーニはイングリッドバーグマンによく似て丸顔と栗色の髪、凛とした役柄。実は本当の子供とのこと。納得しました。 悲劇的な結末は史実としての重みを感じました。


推薦度 ★★★☆☆
 


14 『火火』 鑑賞 大津アーカスシネマにて

2005年東宝映画
監督 高橋伴明 出演 田中裕子 窪塚俊介 岸部一徳 石田えり 池脇千鶴 黒沢あすか 遠山景織子他

 信楽町の陶芸家神山清子とその家族の物語。夫が去り、妻と2人の子どもが残る。極貧といえる生活。陶芸家としての夢は、古代穴窯で信楽自然釉を完成させること。それは上薬なしで発光する緑色の輝き。窯元組合から女だからとs名乗ることを拒否されてもめげない。数年が経ち、ある日、その色が焼き物に宿る。女性陶芸家の先駆的な存在となった神村清子は、個展を開く。
 子どもたちは、長女は短大に受かって信楽を出る。長男は陶芸学校に通い母の元で焼き物を焼くことを決意する。しかし、彼が白血病に倒れてしまう。母は骨髄移植という方法によって息子を救うことができることをしる。そして、日本では先駆となる骨髄移植のための骨髄バンクの運動をはじめるのだった。

 この映画では、神村清子(田中裕子)の生活と家族が太く描かれています。「昔のお母さん」はきっとこうであっただろうと思うくらいに肝っ玉です。そうでなくては生活さえできない。骨髄移植・バンクの運動を先駆的に始めたことが描かれています。滋賀医科大学や県庁前、信楽駅前での撮影であることがよく分かるシーンも何箇所がありました。身近に感じた映画。滋賀県の先行ロードショーということですが、アーカスには、半分くらいの客は入っていました。

推薦度 ★★★★☆

 


13 『スクールオブロック』 鑑賞 DVDにて

2003年アメリカ映画
監督 リチャード・リンクレイター
出演 ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック、マイク・ホワイト、サラ・シルバーマン他

 
ロックに陶酔する破天荒な主人公デューイは、自分が作ったバンドを首にされてしまう。アパートの家賃が払えない彼は、アパート主で友人のネッドの名前を借用して某有名小学校の代理教員になりすます。教える気のないデユーイは休憩ばかりだが、音楽の時間を覗いて生徒に楽器演奏才能を見抜いて、ロック演奏を提案する。学校に内緒で始めた練習。目標はロックバンドバトルに出場すること。

 楽しい映画です。とにかくデユーイのロックへの陶酔ぶりは半端じゃない。そして、小学生の才能を見抜き、おだてて乗せてしまう情熱。歌詞を作る、曲を作る、エレキギターを演奏する、コーラスや独唱する小学生。学校生活からロックの面だけを切り取って表現している映画です。音楽は心の底から思うことを歌詞にして楽譜にして楽器に託して叫ぶものなんだ、と教えています。何より主人公自体が映画の中で最も楽しんでいる張本人。こんな映画があってもいい。俳優のジャック・ブラックは本物のミュージシャンだそうで、この映画で2003年のゴールデングローブ賞にノミネートされました。

推薦度 ★★★☆☆


 


12 『シャイン(shine)』鑑賞 WOWOWにて

1995年オ-ストラリア映画
監督 スコット・ヒックス(初監督 その後「ヒマラヤ杉に降る雪」)
出演 ジェフリー・ラッシュ(アカデミー賞主演男優賞受賞)、ノア・テイラー、アレックス・ラファロウィッツ他

 オ-ストラリア出身の実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた伝記的な映画。ユダヤの家庭で育った主人公は父親の厳格な愛情の中で少年時代にピアニストの才能を開花させるが、青年期に、反対を押し切って絶交状態でイギリスに留学。コンクールにラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を選択する。師に付いて猛レッスン。喝采を浴びるが糸が切れて倒れる。長い精神病棟での暮らし。引受人が現れる。奇怪な言動を伴いながらも除除に市民生活に溶け込んでいく。再びピアノとの出会い。喝采と賞賛。

 伝記的な映画とはいえ、主人公を演じることはたやすいことではないと思う。クラシック音楽の真髄を自らのピアノ演奏で表現する難しさとともに自閉症的な発言と行動があります。見事に演じたジェフリー・ラッシュがアカデミー賞主演男優賞を受賞したのも頷ける話です。バックに流れるピアノ演奏の殆どをデヴィッド・ヘルフコット自身が自ら演奏しているというのもすごいこと。父と子の愛情・葛藤が前半は大きな比重を占めていますが、全体としては主人公の心の遍歴が中心の映画として見ました。

推薦度 ★★★★☆

 


11 『シービスケット』 鑑賞 DVDにて
 
2003年 アメリカ映画 配給UIP映画
監督 ゲイリー・ロス 出演 トビー・マグワイア ジェフ・ブリッジス クリス・クーパー エリザベス・バンクスほか


 
大富豪ハワードは最愛の息子を亡くす。トム・スミスはカーボーイが忘れられない。青年レッドは草競馬のジョッキーで生活の糧を得ている(スパイダーマン役のマグワイア)。そうした3人が運命のように一頭のサラブレッドに出会う。シービスケット。小柄な馬。アメリカの名馬シービスケット、その馬を育てた3人のホースマンの物語です。

 1929年のアメリカ大恐慌によって辛酸をなめるアメリカ国民。一匹のサラブレッドが庶民の心を捉え、その勝利がもたらす夢。3人の男たちが自分の人生と重ねながら馬に夢を託す。いい夢を見せてもらえる映画です。

推薦度 ☆☆☆★★

 


10 『北の零年』 鑑賞。 TOHOシネマズ高槻にて

 
2005年東映映画 3時間弱
 監督 定行 勲 出演 吉永小百合 渡辺 謙  豊川悦司   石原ひとみ 他 

 三時間弱の大作。明治初期に北海道に移住した徳島藩・淡路の稲田家家臣たちの物語です。未開の地に「自分たちの国をつくる」希望と過酷な自然との闘い。淡路の野菜が育たない。イナゴの大襲来。廃藩置県による武士階級の崩壊。侍が髷を捨てる。七か月に渡る北海道ロケ、ゼロから作ったオープンセットが映像に臨場感を生んでいます 。主人公志乃は吉永小百合です(百十一本目の映画出演)。武士の妻から大地に生きる女性に変身する志乃を熱演しています。夫英明は渡辺謙。札幌に農業技術を学びに旅立つが帰ってきません。影で志乃と娘多恵(石原ひとみ)を助ける謎の男アシリカ(豊川悦司)がいい役どころ。志乃に牧場経営を教えるアメリカ人エドウイン・ダンは北海道に牧畜と競馬を根付かせた実在の人物とか 。沢山入っていた観客は比較的高齢の方が多かった気がしました。今年推薦の邦画一作です。

推薦度 ★★★☆☆
 


9 『スパイダーマン2』 鑑賞 DVDにて

 
監督 サム・ライミ 原作 スタン・リ
 出演 トビー・マグワイア キルスティン・ダンスト アルフレッド・モリーナ


 
今回は人間ピーターが登場。大学へ通う傍らピザ屋でバイト。スパイダーマンへの変身は続けていた。一方、MJ(メリージェーン)は女優に。そしてピーターへの想いは断ち切って新しい恋人と婚約する。ピーターは悩んだ末に人間に戻ってスパイダーマンを辞めたいと思うようになる。そこに強敵ドック・オクが出現。どうするのか。

 アメリカの超人気漫画が原作なのだから、期待が大きい分作り手は大変だと思う。今回は「2」ですが、十分に楽しめた内容でした。人間ピーターが大分と表に出ていて、青春映画の側面を入れて、その分悩みも大きくて、内容が膨らんでいます。活劇の側面は途中まではいい調子でいっている感じがしました、幕切れはちょっと不満。「たこ足」はもっと強いはずです。

推薦度 ★★★☆☆


8 『金融腐蝕列島〔呪縛〕』 WOWOWにて鑑賞。

 
1999年 東映映画 116分
 監督 原田真人 出演 役所広司 仲代達矢 椎名桔平 風吹ジュン 若村真由美 原作 高村良  

 1997年、丸野証券が利益供与した疑いで総会屋小田島が逮捕される。朝日中央銀行はこの小田島に300億円もの融資を行っていた。揺れる銀行と対応におおわらわの幹部。しかし誰も責任を取ろうとしない。影の実力者が銀行を支配している実態。役員総辞職と中山常務の代表取締役を掲げてミドル4人組が銀行改革に立ち上がる。

 導入はドキュメンタリータッチの社会派ドラマ。銀行内部の自浄作用のなさを暴いていく。映画ではミドルの活躍で、朝日中央銀行は再生をめざすが、時の経過ということかも知れないが、これが2004年の今の事件だとすると、「銀行は潰れない」という神話はすでに消えて久しく、きっとこの銀行は消えてなくなっていたと思う。

推薦度 ★★★☆☆


7 『シュレック』鑑賞 DVDにて
 
 
2001年 アメリカ映画 94分
 監督 アンドリュー・アンダーソン 声の出演 マイク・マイヤーズ キャメロン・ディアス エディ・マーフィ他


 
森の中で静かに住んでいる怪物シュレック。その森にデュロック国のフローアード卿に追放された童話キャラクターたちが押し寄せる。静かな森を取り戻したいシュレックはおしゃべりなロバドンキーとともにフローアード卿に掛け合いに出かけていく。そこで囚われの身となっているプリンセスフィオナを救い出すことを条件に元の森が約束され、シュレックとドンキーは火を噴く龍が住むところへ冒険の旅に出る。

 アニメではなく、立体感のあるキャラクターが登場します。粘土で作ったように見えます。しぐさとか表情とか非常に丁寧に作られています。ストーリーはたいしたことはないとしても、声の出演者が楽しい。その掛け合いだけでも値打ちがあります。アメリカでは大ヒットしました。

推薦度 ★★★☆☆


6 『猫の恩返し』 観賞 DVDにて

 2002年東宝 制作 スタジオジブリ 企画 宮崎駿 原作 柊あおい 「バロンー猫の男爵」
 監督 森田宏幸 声の出演 池脇千鶴 袴田吉彦他

 高校生ハルは、帰宅する途中で、道路を横断していた猫が自動車に轢かれそうになった所を危うく助ける。その夜、猫の一行がお礼に現れる。そして、猫の世界に是非来てくれとも。
ハルはどうしようかと迷う。そんな時、バロン伯爵に出会う。その夜、ハルは再び現れた猫の一行に猫の世界へ連れて行かれる。


 「千と千尋の神隠し」の大ヒットを受けて翌年の2002年に公開された若手監督によるアニメ、とあります。少しコミカルなタッチで、自分に自信が持てない高校生が「今を生きることが大切」と気づいていくストーリーです。いいんじゃないの。

推薦度 ★★★☆☆


5 『踊る大捜査線2THEMOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ』 鑑賞 DVDにて

 2003年 東宝映画
 監督 本広克行 出演 織田裕二 柳葉敏郎 深津絵里 真矢みき 他

 2003年に日本映画で興行収入第一位だった作品。封切時に映画館で見た記憶があります。今回はDVDで鑑賞しました。不思議なことに今度の鑑賞では、ストーリーの上で穴ばかりが目立って、感動がありませんでした。2回目ってこんなもんでしょうか。ちょっとおかしい。 ドラキュラとスリと殺人事件とが進んでいてどれも中途半端。犯人は簡単に逃げてしまうし、人質をとって逃走中なのにちっとも捕まらないし。 「組織と個人」等のテーマを感じて考えるのはちょっと無理のような気がします。

推薦度 ★★☆☆☆ 
 


4 『ふたりの人魚』 を鑑賞。 ネット配信(関西ドットコム提供)にて

 
2000年中国映画 83分 35oフィルム
 監督 ロウ・イエ 出演 ジョウー・ミュン ジア・ホンミュン他
 2000年アムステルダム国際映画祭グランプリ ニューヨークタイムズ紙2000年ベストムービー6位

 舞台は上海の港。一人称の主人公と運び屋マーダーと水中の踊り子ムーダンとマーダーと知り合いになるメイメイと。4人が登場します。35oのハンディカメラでドキュメント風に撮影しているのが新鮮な気がします。上海の町並みがよく出ています。マーダーとメイメイと「ふたりの人魚」をめぐって、マーダーの哀しい物語が展開していきます。

 インターネット配信の映画鑑賞です。初めての経験。2Mバイトの配信です。ちょっと動きはぎこちない感じはしますが、十分に鑑賞できます。関西ドットコムの正月特別企画です。

 映画のほうも、短いものでしたが、なかなかの出来です。物語に引き込まれました。ドキュメンタリータッチで移動するときはカメラが揺れます。一人称の私から見たカメラなので、一度も本人は映りません。
 

 推薦度 ★★★☆☆
 


3 『ハウルの動く城』 を鑑賞。 ユナイティッドシネマ金沢にて。

 
2004年度東宝作品 原作「魔法使いハウルと火の悪魔」脚本 宮崎駿
 出演 ソフィー(声 賠償千恵子)ハウル(木村拓哉)荒地の魔女 カルシファー マルクル サリマン(加藤治子)カブ 

 ハッター帽子店の長女ソフィは18歳。街でハウルと会い空を歩く不思議な体験をする。追っ手の荒地の魔女に呪いをかけられたソフィーは90歳のおばあさんに。家に居れなくなって家を出るソフィー。途中でカブのカカシを拾う。ひょんなことからハウルの動く城に転がり込み、掃除婦として働き出す。世は戦乱の時代。出撃があり爆撃があり逃げ惑う市民がいる。貴公子ハウルのもうひとつの姿が現れる。

 宮崎アニメとして十分に楽しみました。蒸気機関車が力強く走る街の様子や、上空からみた街、変り種の動く城、カルシファーという火の悪魔の存在、物言わぬカブカカシの表現力。宮崎アニメは、全体を見渡して場面・場面をひとつづつ楽しんでいくというのが鑑賞のしかたとして楽しいと思う。丁寧に作られているから、ストーリーや筋の流れに夢中にならず、小波が打ち寄せる場面の小石の動きに感心したりしていました。

 「あなたにとって守るべき人は?」というメッセージがこめられた映画といわれています。荒地の悪魔の変身振りと受け入れて面倒をみるソフィーもテーマか。いろいろ見つけて楽しみながら議論したらいいと思います。

推薦度 ★★★★☆
 


2 『タイムリミット』 を鑑賞。レンタルDVDにて。

 
2003年 アメリカ映画
 監督カールフランクリン 
 出演 デンゼル・ワシントン サルマ・ハエック サナ・レイサン他 


 
フロリダ州のある町の警察署長のマットは、妻とは別居中で高校時代の友人アンと不倫関係にある。アンが末期がんだと診察され同情したマットは、病気の治療をうけるためだと言って捜査で押収した証拠品のお金を渡す。その夜、家が火事になりアンと夫の死体がでる。殺人の容疑はマットに向いていく。

 途中までは不倫映画、途中からサスペンス映画。マットが捜査を先回りするやり方がちょっと度を越している。そんなにうまくいくはずがない。デンゼル・ワシントンがうまく立ち回りすぎているということ。犯人を追っかける奥さんが署長を信頼しすぎているのも疑問。もっと疑いなさい。

 推薦度 ★★☆☆☆
 


1 『全ては愛のために BEYOND BORDERS(国境の向こう側)』 鑑賞 レンタルDVDにて

 
2003年 アメリカ映画 127分
 監督 マーティン・キャンベル(パーティカル・リミット)
 出演 アンジエリーナ・ジョリー クライブ・オーヴェン他

 
イギリスの裕福な社交界で暮らすサラ(アンジャリーナ・ジョリー)は義父の慈善活動に突然現れた青年医師ニック(クライブ・オーヴェン)の言葉「今もエチオピアでは日に40人以上が命を落としている」に衝撃を受ける。連れてきた飢餓の少年は翌日死亡したとニュースに流れる。サラは私財を売って援助活動に加わる。はるかエチオピアの地へ。極限的状況に圧倒されるサラ。ニックとの再開。サラの純粋な心に気づくニック。5年後、今はロンドンの国連難民高等弁務官事務所で働くサラのもとにエチオピアで出会ったエリオットから電話が入る。ニックはカンボジアへ入っていたのだった。

 チャリティ試写会でバイオリニストの高嶋さち子さんは「観て始まる映画」と評しています。
 映画は、エチオピア・カンボジア・チェチェン、青年医師ニックとともに次々内戦・難民を描いていきます。ロンドンをいれて4カ国でロケを行ったとのこと。サラが難民のためにできることが何かを考え行動するようになる成長=縦糸の動きと各々の国の風景と難民と。映画の中で政治的なメッセージをことさら強調するのではなく、「全ては愛のために」というタイトルにふさわしい内容でした。名訳です。

 アンジェリーナ・ジョリーが私生活において、国連難民高等弁務官事務所の親善大使として多くの難民キャンプを訪れ活動しているということもこの映画を重いものにしています。『アンジェリーナ・ジョリー 思いは国境を越えて』(産業編集センター出版部)という本も出版されています。一度読んで見たいと思っています。

推薦度 ★★★★☆


 

 

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