2006年 ドイツ映画 138分
監督 フトリアン・ヘンケル・ミューエ
出演 ラル・リッヒ・ミューエ/セバスチャン・コッホ/マルティーナ・ゲデック/他
1984年の旧東ドイツ。当時の東ドイツは国家の中枢である国家保安省(シュタージ)が盗聴と密告制度による恐怖政治で国を治めていた。劇作家ドライマンと恋人で舞台女優のクリスタも、そんなシュタージの標的となった。「反体制的」である証拠を見つけよと盗聴を命じられるシュタージのヴィスラー大尉。早速、住処に盗聴器が仕掛けられ、それを知ったアパートの住人も脅され、告げることはできない。舞台女優も舞台に立ち続けるためにはシュタージ役人の個人的要求も断ることができない。全てが筒抜けとなる社会‥‥。
ベルリンの壁が崩壊するのはこの5年後です。この監視社会は旧東ドイツに深く根を下ろしていて特に密告制度は人々に深い心の傷を負わせているとありました。密告に関わった人もされた人もとてもまともには事実を見られません。この国家保安省が収集した個人情報は本人に限って公開されているといいます。その記録を読む劇作家ベルイマンが最後に出てきます。膨大な資料。「密告制度」はゲシュタボに匹敵する最悪の精神的拷問制度でしょう。このテーマを正面から捕らえるのに17年を要したと解説にありました。
主人公の大佐を演じたミューエ自身も、監視の対象とされ、俳優の友人と妻の密告を受け続けていたといいます。
強力な印象を残した映画でした。
推薦度★★★★☆
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