発電機トーハツ2スト5PS

オルタネータ取付け

 オルタネータ(alternator)交流発電機の事で通常はレクチファイヤ(rectifyer)にて整流して直流にしてバッテリィへの充電を目的にします。セルスタータ装備のエンジンには標準装備されているがポータブルクラスでハンドスタータ仕様のエンジンには標準装備はされていません。
 しかしオプション設定はされているので取付は可能だ、電気装備品に供給する電力を自ら発電する事が出来たら便利です、釣り行き前にバッテリィを充電する作業から開放されるのです。
 しかしその便利とは反面にリスクも有ります、それはエンジンから取出した電力の処理を誤ると危険な事です。まずエンジンから取り出した電線をボートの組立分解の毎に外さなければなりません、電極接合部を電気の大敵である海水から守る必要性が発生する事です、これだけでもなかなか大変な事です。又、非力なエンジンなのに発電にまで負担が加わると更にパワーダウンになるかもしれません、ショートなどさせてしまうとエンストにつながるかも、また逆にバッテリィが外れたりすると高電圧になってしまい濡れた手でさわって感電したり、他の電子機器を破損させる事も考えられます。

電装部品

 標準装備の点火系電装品、点火プラグ以外の総ての部品の画像、上からイグニッションコイル、C.D.Iユニット、エキサイターコイル、キルスイッチ、左中央の小さいのがパルサーコイル(点火のタイミングを取る為の物)
 5馬力は単気筒だけに実にシンプルです、でも逆に言えば総て重要な部品ばかりなのだ、ケーブルの断線や短絡、コネクタの接触不良等、即トラブルに結びつく事になる、追加するオルタネータ系とは独立されていますがケーブルの通路やコネクターの束ね場所など原物にて再確認しよう。 次項の配線図も参考に。
 

オルタネータ

 画像は追加する発電機のパーツ類でトーハツのオプション設定となる、オルタネータ(4/5 PS用)と取付けネジM5×20-2本、レクチファイヤ(6/8 PS用 assy)、エクステンションコード(6/8 PS用 assy)
 (注)エクステンションコード端末にはコネクターが取付けてありますが、これはトーハツのオプションパーツではありません。

フライホイール

 必要なパーツが揃ったところで取付けの作業を開始、リコイルスターターを外して、メインシャフトのナットを外す(普通の右ネジ)、そしてこのフライホイルを外せば・・・普通のプーリー抜きじゃ無理の様子です(~_~;)
 フライホイールにはリコイルスターター取付のネジ穴M6が3ケ所有るぞ、これにハイテンションボルトを突っ込んで・・・、再度取り外す事も有るかもしれないので専用の治具を製作する事にした。
 普通はショップにエンジンを持ち込んで、おまかせするべきなのかもしれない。

専用治具

 専用治具と言うよりも、プーリー抜きが使えるようにする為のアタッチメント。
 市販のプーリー抜きを使用してとりあえずフライホイールを外す事に成功。
(バコッ!外れる瞬間ホイールが跳ね上がる事が有るので注意です)

フライホイ−ルの内部

 苦闘の末、遂に内部の様子を見る事が出来た、点火プラグにスパークさせる為、だけの電力を発生するエキサイタコイルが見える、これも発電するって事は同じだが点火プラグ専用でコイルの太さと巻数がオルタネータとは少し異なるようだ。
 又、フライホイールの内側には永久磁石が4ケ所に取付けられている事を確認、実にシンプルな構造だ。

オルタネータ取付け

 オルタネータを取付けた様子、取付け方法はエキサイタコイルと向きが対象な事以外全く同じだ、ケーブルを通し、2本のネジで固定、最後に金具でケーブルをクランプする。
 フライホイール内側の磁石に付着していた鉄くずを、きれいに掃除した後、元に組み付けて作業完了。

レクチファイヤ

 レクチファイヤ、ヒューズは画像の様に取付けた、6/8馬力用の物なので標準設定の場所ではないが、なんとか納まっている。
 尚、トーハツ6/8馬力用レクチファイヤ(全波整流)の結線色は下記の通りです。
オルタネータ黄色-レクチファイヤ黄色
オルタネータ黄色-レクチファイヤ白色
レクチファイヤ赤色-ヒューズを配して直流プラス出力へ
レクチファイヤ黒色-アースを配して直流マイナス出力へ
(後、に取外してバッテリィー側ににレギュレーターとしました)

出力コネクター

 レクチファイヤからの出力はエクステンションケーブルにてエンジンからぶら下がるまでが標準仕様だ、しかしポータブルユーザーにはこれでは困ってしまう、燃料のワンタッチカプラーの様に外す事が出来ないと持ち運びの時お邪魔になってしまう。
 画像は電子部品店で購入のサトーパーツの汎用コネクターにオーディオテクニカのキャップで電極を保護してエンジン丸洗い可能に。

 オルタネータからの電力は交流(AC)なので直流(DC)を必要とする機器は直接に接続する事は出来ない。白熱電球(バルブ)は交流のまま直結出来るが発電電力はエンジンの回転速度によって大きく変化する為、すぐ球切れを起こす、当然エンジンを止めると点灯出来ない。
 フライホイール(マグネットローター)1回転で交流波形2サイクル出力される、尚、オルタネータからの電線色は2本共黄色でギボシ(コネクタ)メスが付く
 レクチファイヤを通ると図の様な波形になる、これで直流に整流したことになる。
 図は半波整流型、ダイオードと呼ばれる半導体にて電流を片側通行にしただけの事でダイオード1個のみで構成出来る、発生した電力の半分しか取り出せないが、出力側で大きく負荷(ショートなど)してもエンジンへの負担は半分で済む。
 レクチファイヤの端子が2本しか無いのはこのタイプの物で、ダイオードの電流入口側をアノード、出口側をカソードと呼ぶ
 全波整流型はダイオード4本でブリッジ接続された物で端子(電線)が4本有る、電力を無駄無く直流に整流される、出力波形が密なのでリップル(直流電圧の凸凹?)が少ない。
 出力側のバッテリィを逆接続させるとダイオードに大電流が流れてしまう(ショートする)為に保護ヒューズを設ける事が必須となる

 次に直流にして取り出した電力の使用方法ですが、これは一様にマルですが実用にはなりません、12Vで60Wのバルブをエンジン全開の時だけ点灯させれば良い場合に限られてしまいます。
 これは絶対バツです、発電量がエンジンの回転数で大きく変わる事と、また消費電力によっても左右される為、機器の定格電圧内に納まりません。(需要と供給のバランスが保てない)
 このようにバッテリィに一旦接続し電圧を安定させてから取り出さなければ実使用出来ません。
 もともと直流の機器を使用する為にはバッテリィは必須、消費された電力を補えるだけ発電機で供給してやれば良いのです、この需要と供給のバランスがマッチすればバッテリィの蓄電容量は少量小型で良い事になります。
 簡易な接続方法にワニ口クリップを使う方法が有ります、実際に電動リールなどには標準仕様になっていますが、しかし、発電機からの電力供給側にワニ口クリップを使用して接続する事は絶対に危険です。
 ワニグチクリップは簡単に繋ぐ事が出来る反面、簡単にはずれてしまう場合が有る事です、上記の絶対バツが簡単に実現されてしまうのです、またそれはエンジン全開時に発生する可能性が高く電子機器に高電圧が加わりヒューズを焼失する事に、又、外れたクリップを繋ぎ直そうと濡れた手で持って感電してしまったり、また逆接続したらヒューズを瞬時に焼失する事に。
 バッテリィへの接続方法は次のレギュレータ編も是非参照下さい  NEXT レギュレータへ