・・・・・ 「日本の厠のルーツは」と、問われて思い浮かぶのは福井県三方町の鳥浜貝塚である。鳥浜貝塚は三方湖の南約一キロ、二つの川の合流点の川底を中心に広がる。縄文人が古代の湖に捨てた膨大なゴミが密封・冷蔵され、腐らず残った「縄文人のタイムカプセル」だ。漆塗りの櫛が朱色をとどめ、木の葉はまるでいま生えていたような緑色をして出土した。 ゴミの中に三千個の糞石があった。 糞石は古代のウンコの化石である。 鳥浜の糞石は五千五百年前を中心に、古いものは一万年前にさかのぼる。なまめかしいアメ色をして出土したものもあったが、空気に触れるやアッという間に褪色したという。 ・・・・・