CLRTAP 国連欧州経済委員会によって1979年(昭和54年)に採択、1983年(昭和58年)3月に発効した長距離越境大気汚染条約(Convention
on Long range Transboundary Air Pollution:CLRTAP)のこと。この条約ができたのには、1950年代から北欧を中心として、湖沼や河川がイギリスや中部ヨーロッパから流れてきた酸性の排気ガスにより、酸性化して魚や植物が死滅するなど生態系に深刻な影響が生じていたことが背景にある。ヨーロッパ諸国を中心に49ヵ国が加盟(日本は加盟せず)。
加盟国には酸性雨等の越境大気汚染の防止対策を義務づけ、酸性雨等の被害影響の状況の監視・評価、原因物質の排出削減対策、国際協力の実施、モニタリングの実施、情報交換の推進等を定めている。
この条約の発効後、資金供与について定めたEMEP議定書(1984年)、SOxの30%削減を定めたヘルシンキ議定書(1985年)、NOxの削減について定めたソフィア議定書(1988年)、VOC規制議定書(1991年)、SOxの削減について定めたオスロ議定書(1994年)、重金属議定書(1998年)、POPs議定書(1998年)、酸性化・富栄養化・地上レベルオゾン提言議定書(1999年)の8つの議定書により補足・強化された。 (索引へ)
EPA United States Environmental Protection Agency、アメリカ環境保護庁のこと。設立は1970年(昭和45年)。本部はワシントンDCに置かれている。2015年度の予算は81億4000ドル、2014年度の職員は15,408人。
空気、気候変動、生態系、健康、土地や廃棄物のクリーンアップ、農薬、有害物質、持続可能な社会の構築、水の管理など地球環境や公衆衛生に関わるすべての事柄を統括・規制する機関である。 (索引へ)
IAEA IAEA(International Atomic Energy Agency)は国際原子力機関の略称で、原子力の平和的利用を促進するとともに、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止することを目的として、1957年(昭和32年)7月に発足した。本部はオーストリアのウィーンに置かれており、2012年(平成24年)4月現在、154ヵ国が加盟している。
この機関が設置されることになったのは、第二次世界大戦終結後、①原子力エネルギーの平和的利用に対する関心が強まったこと、②東西冷戦が深刻化するとともに核兵器の拡散に対する懸念が強まったことから、原子力は国際的に管理すべきであるとの考えが広まったからである。
したがって、IAEAの事業は、原子力の平和的利用に関する分野と、原子力が平和的利用から軍事的利用に転用されることを防止するための保障措置の2分野に大別される。 (索引へ)
ICCAT ICCAT(International Convention for the Conservation of Atlantic Tunas)は「大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約」の略称。大西洋におけるまぐろ類の資源を最大の持続的漁獲を可能にする水準に維持することを目的とする条約で1969年(昭和44年)3月に発効した。
日本は1966年(昭和41年)5月に署名、1967年(昭和42年)8月に批准した。 この条約に基づき、「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT、International
Commission for the Conservation of Atlantic Tunas)が設けられており、大西洋における対象魚種の調査研究、対象魚種に関する勧告等の保存管理措置を行っている。
事務局はスペインのマドリッドに置かれ、2015年(平成27年)6月現在、50ヵ国(EUを含む)が加盟している。 2014年(平成26年)11月にイタリアのジェノバで開催された年次会合で、これまでの漁獲枠の削減、漁獲証明制度の導入など、保存管理措置が強化されてきた結果、資源の回復が確認された。その結果、クロマグロの漁獲枠を、東大西洋では2015年は16,142トン、2016年は19,296トン、2017年は23,155トンと前年比20%ずつ増すことが決められた。また、西大西洋では
現行1,750トンである漁獲可能量を、2015年及び2016年の2年間、2,000トンに増加することが合意された。 まぐろ類の資源を管理する国際機関は、この委員会のほかに、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)がある。 (索引へ)
IEA 国際エネルギー機関(International Energy Agency)のこと。OECDの下部機関として、第1次石油危機後の1974年(昭和49年)に設立された。事務局はフランスのパリに置かれている。
2015年(平成27年)7月現在、OECD加盟国(34ヵ国)の内、29ヵ国が加盟している。 設置のねらいは、OECD加盟国において、石油を中心としたエネルギーの安全保障を確立し、中長期的に安定的なエネルギー需給構造を確立することにある。
石油などに関する情報の提供や、省エネルギーの研究・普及、新エネルギー開発の国際協力などを主に行っている。機関内にIEA天然ガス技術国際会議や、IEA天然ガス情報センター等、技術情報の収集、交換、提供を目的とした会議が設置されている。
IEAの「世界エネルギーアウトルック2014年版」によると、エネルギー需要は現状のまま推移すると、2012年(平成24年)の13,371百万トン(石油換算)から、2040年(平成52年)には19,276百万トンまで増加する。現在、一次エネルギー消費の82%は石油、石炭、天然ガスなど化石燃料であるが、今後の増分も7割以上が化石燃料によってまかなわれる。一方、再生可能エネルギーの2040年までの増分は石油換算で1,120百万トンになる。その結果、世界の発電量は2040年には40,000TWh(テラ・ワット・アワー)に達するが、再生可能エネルギーがその22%をまかなうようになる。
現状のままだと、世界の温室効果ガス排出の6割を占めるエネルギー起源二酸化炭素排出は増加の一方で、2050年(平成62年)には2012年(平成24年)より44%多い47.0Gtに達する。もし、技術進展ケースをたどったとすると、今後は大幅な増加はなく横ばいから微減で増加する。しかし、これでも温室効果ガス排出量を2050年に現状に比べ半減させるという目標にはほど遠い。 (索引へ)
IUCN 自然及び天然資源の保全に関する国際同盟(International Union for Conservation of Nature and
Natural Resources)のこと。略称は国際自然保護連合という。 1948年(昭和23年)に設立され、本部はスイスのグランに置かれている。我が国は1995年(平成7年)6月に国家会員として加盟。環境省は政府機関会員として1978年(昭和53年)9月に加盟。その他、非政府機関会員として20団体が加盟。2012年(平成24年)11月現在、91カ国、127の政府機関、903の非政府機関、44の協力団体が会員になっている。
ICUNの目的および活動のうち、主なものは次のとおりである。 (1)自然及び天然資源の保全に関わる国家、政府機関、国内及び国際的非政府機関の連合体として、全地球的な野生生物の保護、自然環境・天然資源の保全の分野で専門家による調査研究を行い、関係各方面への勧告・助言、開発途上地域に対する支援等を実施している。
(2)特に、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)と、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)とは関係が深い。ワシントン条約については、附属書改正提案の検討に際し、締約国の意思決定に資する科学的な情報提供を行っている。また、ラムサール条約においては、事務局業務を行っている。
IUCNには専門委員会として、世界中の生物多様性の保護に取り組む専門家からなる種の保存委員会、世界保護地域委員会、生態系管理委員会、教育コミュニケーション委員会、環境経済社会政策委員会、環境法委員会の6つがある。
IUCNが2014年(平成26年)11月17日に公表した最新のレッドリストで、カラスフグやアメリカウナギとともに太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定した。
出典:外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kikan/iucn.html 国際自然保護連合http://www.iucn.org/
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JAB JAB(The Japan Accreditation Board for Conformity)は日本適合性認定協会の略称。 わが国唯一の純民間で非営利の品質マネジメントシステムおよび環境マネジメントシステムの認定機関である。
前身の日本品質システム審査登録認定協会は1993年(平成5年)11月に、関係団体による基本財産拠出の協力を得て財団法人として設立され、1993年(平成5年)12月より運営を開始した。その後、環境その他の分野に対応するため1996年(平成8年)6月に現在の名称に変更し、2010年(平成22年)7月に公益財団法人に移行している。
審査登録機関、認証機関、試験所等の認定および登録、審査員研修機関の認定および登録、製品認証機関の認定および登録、適合組織(品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム)等の公表、海外との相互承認の推進、調査および研究、普及・啓発活動など適合性評価制度に関わる事業を行っている。
JISCとともにISOの適合性評価委員会(CASCO:Committee on conformity assessment)に代表を送っている。 (索引へ)
JCLA 日本化学試験所認定機構(Japan Chemical Laboratory Accreditation)のこと。計量法第121条に基づき、特定計量証明事業者の認定審査を行う指定機関として、1998年(平成10年)に設立された。
社団法人日本化学工業協会の下部機関であり、化学関連分野の試験所認定を行っている。認定範囲を、環境(測定)のほか、プラスチック、ゴム、塗料、石油、その他の化学製品としており、試験方法は国際規格、国内規格、業界規格のほかに、インハウス(企業内)試験方法も対象にしている。環境の技能試験の開発については、社団法人日本環境測定分析協会などが協力している。 (索引へ)
LOHAS Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとったもので、「ロハス」または「ローハス」という。健康的で持続可能な生活スタイルの意味。
アメリカの社会学者であるポール・レイと心理学者のシェリー・アンダーソンが、研究結果を基に新しいライフスタイルの人たちが増えていると1998年(平成10年)に発表したのが最初といわれている。
1970年代から続いた大量生産、大量消費は生活を便利にしたが、地球温暖化や、オゾンホールの拡大など深刻な地球環境問題を引き起こした。この反省から、地球環境への負荷が小さく、健康を重視するライフスタイルである「ロハス」が生まれた。
「日米合同LOHAS消費者調査2005」によると、現在の日本人の29%がロハス層ということである。 太陽光発電をはじめとする環境配慮型住居、ハイブリッド車、有機食品、サプリメントなどをロハス関連商品と呼ぶ。 (索引へ)
PIC条約 PIC条約(The Rotterdam Convention on the Prior Informed Consent Procedure
for Certain Hazardous Chemicals and Pesticides in International Trade)はロッテルダム条約ともいわれるが、正式名称は「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」という。
1992年(平成4年)に開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択されたアジェンダ21に基づき、1998年(平成10年)9月にロッテルダムで採択された。
2004年(平成16年)2月に発効し、2013年(平成25)年8月現在、153ヵ国およびEUが締結している。 この条約は先進国で使用が禁止または厳しく制限されている有害な化学物質や駆除剤が、危険有害性に関する情報が乏しい開発途上国にむやみに輸出されることを防ぐために、締約国間の輸出に当たっての事前通報・同意手続(Prior
Informed Consent;PIC)等を規定している。 主な内容は、①特定の化学物質を禁止しまたは厳しく規制するための国内措置をとった締約国は、当該措置を事務局に通報する(第5条)、②条約の附属書Ⅲに掲げられた27種の化学物質の将来の輸入に関する回答を送付する(第10条)、③自国において禁止または厳しく規制された化学物質が自国から輸出される場合には、輸入締約国に対して輸出の通報を行う(第12条)などである。 (索引へ)
RFID Radio Frequency Identificationの略。 RFIDとは、半導体メモリーを紙やプラスチックでできたカードやタグに貼り付けたり、直接印刷しておいて、電磁誘導や電波でデータを書き込んだり読み出したりできるようにした方式のことをいう。したがって、電波が届く範囲であれば遠くにあっても読み書きが可能である。また、非接触なので、梱包されている複数のタグを同時にスキャンすることが可能である。将来、バーコードに変わって使われることになるといわれている。
0.5mm四方の小さな物まで開発されており、素材の成分などを記録しておけるので、さまざまな機材や部品のリサイクルや廃棄の管理が可能になり、環境の分野でも期待されている。
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RoHS指令 RoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in Electrical
and Electronic Equipment)指令はEU(欧州連合)15ヵ国で、2006年(平成18年)7月から施行された有害物質の使用制限指令で、「電気電子機器の有害物質使用制限指令」ともいわれる。
この指令では、原則として、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムおよびポリ臭化ビフェニル(PBB)とポリ臭化ディフェニール(PBDE)の2種類の臭素系難燃剤を使用禁止としている。
この指令はアムステルダム条約95条に準拠して目的を定め、EU各国の自由裁量権を制限するものであり、具体的なことについてはEU加盟各国の国内法に委ねられる。
EU域内において国ごとに使用禁止物質が異なると統一市場が成り立たないので、このような指令に基づき国内法を整備することにより、製品の自由流通を図るというのが目的である。
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SDS制度 安全データシート(Safty Data Sheet)制度の略称。 化管法によって定められた安全データシート(SDS)制度は、事業者による化学物質の適切な管理の改善を促進するため、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法、あるいは単に化管法ともいう)で指定された「化学物質又はそれを含有する製品(化学品)」を他の事業者に譲渡又は提供する際に、その化学品の特性及び取扱いに関する情報を取引先の事業者に事前に提供することを義務づけるとともに、ラベルによる表示に努める制度である。2011年(平成23年)度まではMSDS(化学物質安全シート:Material Safety Data Sheet)と呼ばれていたが、2012年度から国際的な整合性を保つ観点からSDSに統一された。 この背景には、化学品を取扱う事業者には、本来、規制の有無に関わらず、人の健康や環境への悪影響をもたらさないよう化学品を適切に管理する社会的責任が求められる。特に、化学品の適正管理を行うためには、有害性や適切な取扱方法などに関する情報が必須である。ところが化学品の譲渡・提供を行う事業者は、取引先の事業者に比べて化学品の有害性等の情報を入手しやすい立場にある一方で、これらの情報は、取引の際に積極的に提供されにくい性質を有することから、“事業者から事業者へ”の有害性等の情報の確実な伝達の必要が認識されるようになってきた。そのため、1999年(平成11年)7月に公布された「化学物質排出把握管理促進法」のもと、化学品の性状や取扱いに関する情報の提供を規定する制度(化管法SDS制度)が法制化され、2001年(平成13年)1月から運用されている。同時に、化学品の譲渡・提供事業者に対し、化管法ラベルによる表示を行うよう努めることとしている。 (索引へ)
WCPFC 中西部太平洋まぐろ類委員会(Commission for the Conservation and Management of Highly
Migratory Fish Stocks in the Western and Central Pacific Ocean)は、2004年6月19日に発効した「西部及び中部太平洋における高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する条約(Convention
on the Conservation and Management of Highly Migratory Fish Stocks in the
Western and Central Pacific Ocean)に基づいて設立された委員会。中西部太平洋におけるマグロ類など高度回遊性魚類資源の長期的な保存及び持続可能な利用を確保することを目的とする。事務局はミクロネシアのポンペイにおかれている。 この委員会の主な機能は、次の通りである。 (1)総漁獲可能量・漁獲努力量の決定や当該資源の長期的持続性を確保するために必要な保存管理措置・勧告を採択すること。 (2)委員会の構成国間の協力・調整を推進すること。 2014年9月現在の条約締約国は、豪州、カナダ、中国、クック諸島、ミクロネシア、フィジー、仏、日本、キリバス、韓国、マーシャル、ナウル、ニュージーランド、ニウエ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン、トンガ、ツバル、バヌアツ、パラオ、米、EU、台湾、インドネシアの計26カ国。日本の効力発生は2005年8月7日。 2014年9月4日福岡市で開催された小委員会で、減少しているクロマグロの生息数を増やすために、重さ30kg未満の幼魚の漁獲枠を2015年から過去の実績の半分とすることで合意した。(出典:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fishery/wcpfc.html) (索引へ)
WECPNL 加重等価平均騒音レベル、Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Levelのこと。航空機騒音の単位の一つ。
同じ音の強さであっても、継続時間が長かったり、周りが静かになる夜間の方がうるさく感じられる。そこで、時間帯と機数を考慮して騒音レベルを算出したときの単位である。
航空機騒音のパワー平均レベルをdB(A)、午前0時から午前7時までの間、午前7時から午後7時までの間、午後7時から午後10時までの間、午後10時から午後12時までの間の航空機の機数を、それぞれ、N1、N2、N3、N4とすると、環境基準の基準値は、次式のように表される(単位はWECPNL)。
dB(A)+10log N-27 N=N2+3N3+10(N1+N4) (索引へ)