出雲風流花踊り












 出雲大神宮の『鎮花祭』がありました。花鎮めとは「桜の花が散るのにあわせて疫病が流行ると考えられていて、これを鎮めるためにご祈祷する神事で、平安時代から宮中はもとより全国の各神社でも行われていたそうです。宮司さんにより厳粛に祈祷が行われ、拝殿で神楽「浦安の舞」が奉納されました。浦安の舞とは昭和天皇が詠まれた歌に曲と振りを付けて巫女が舞うもので、平和で穏やかな国であることを願った神楽です。
 『天地(あめつち)の神にぞ祈る朝なぎの 海のごとくに波立たぬ世を』

 神事の後で「出雲風流花踊り」が奉納されます。出雲大神宮には真名井の清水という湧き水があります。出雲大神宮の御神体山である御蔭山から湧き出る清水はどんな年でも枯れることがなく地域の田畑を潤していましたが、干ばつの年には湧き水だけでは足りなくて、お百姓さんたちは出雲神社に雨乞いのご祈祷をしていました。
 始まりはいつかわかりませんが、15世紀中頃、室町時代には「雨悦風流踊」(あめよろこびふうりゅうおどり)として、神に雨をお祈りし、雨の恵みに感謝してお礼に風流を踊ったと記録があります。風流踊りとは花笠や仮装をして笛太鼓を鳴らして踊るものをいいます。江戸時代には馬路町の人を主に300人以上が花笠などで踊ったそうです。
 踊り手は1月から12月までを表した花笠をかぶり、歌に合わせて踊ります。何種類もの歌があり『正月踊』は数え歌になっており、なかなか流暢な良い歌です。
「正月にハ 又門には門まつしめかざり 内にハ
二月ニハ 又燕が燕が ぢさいこ影にすをかけて 銭米成りと三度さへづる
三月にハ 又桃の花・・・」

 例年4月18日に出雲神社氏子の皆さんにより「出雲風流花踊り」が奉納され、京都府登録無形民俗文化財に指定されています。今年10月には出雲大神宮創建1300年を迎えるということもあり大勢の参詣者で賑わいました。さすがに丹波一の宮、「元出雲」と言われる神社で、歴史と文化を感じることが出来ました。