伝 説 の 亀 岡

第9話 愛宕神社

 亀岡には歴史のある所が多い。特に牛松山のふもとの保津町から千歳町に通じる道は歴史街道と言われ古代からの歴史が培われている。
 千歳町国分の和らぎの道をしばらく歩くと古い石の鳥居がある。
「愛宕神社」(阿多古神社)である。愛宕山にある愛宕神社が一般的に知られているが、ここが本家で、「元愛宕」といわれる。
 この神社の建立の歴史は古代古墳時代にさかのぼり、日本で2番目に大きい前方後円墳は応神天皇の墓とされてるが、その応神天皇の5代の孫である継体天皇が即位の年に建立されたといわれる。境内には幹周り5mもある千年杉が天高くそびえ、ムササビの生息する天狗の社として歴史がしのばれる。現在の神殿は鎌倉時代の建物で、一間社流造りの神殿は国の重要文化財に指定されている。
 光仁天皇のころ(780年頃)愛宕山の山頂にこの神社の分霊を祀り、愛宕神社と呼んだ。その後全国に御分霊を配し、その数は千余社に及ぶという。
 愛宕神社は火の神を祀り災難除けの守護神として尊崇され、各地に愛宕講ができ、いたる所に愛宕の常夜石灯籠が建てられている。「愛宕の三つ参り」と言い、生後三歳の時に参拝すれば一生火難災難を免れ無事に成長すると言われている。毎年4月24日には鎮火祭が行われる。
 この地域は当時愛宕(おたぎ)と言ったが、聖武天皇の時代(740年頃)に近くに国分寺が建てられ、やがてこの地域を国分と言うようになった。
 

   
 

この物語は、「故郷鎮守の森亀岡神社誌」(南郷書房)永光尚「亀岡百景」(南郷書房)などを参考にしています。