花日記

ローマ&フィレンチェ 4 
テルミニ駅発ミラノ行きは出発時刻の10分前を僅かに切った頃になってやっと三番ホームと表示された。
一斉に移動始める。改札口はない。
スーツケースやキャリーバッグをごろごろ鳴らしながら三番ホームは人で溢れる。
私はスーツケースはローマのホテルに残していたから小さなバッグだけだ。
人々は特に急ぐ風でもない。列車は8番車両まではおおよそ5分かかった。列車は十四、五両編成だろうか。
十分前の表示では間に合いそうにない気がする。
乗車して座席を探して坐るとしばらくして、うんともすんとも言わないままに列車は動き出した。時計を見ると六分遅れだった。遅れて出発とのアナウンスももちろんなし。
日本では一分三十秒遅れただけで107名の命をも奪う猛スピードをだして取り返そうと必死になる。
更に発車前には「まもなく発車します。お乗りの方はお急ぎください・・・危険ですから白線の内側に・・・」親切この上ない。このアナウンスに慣れているので急に動き出した列車に何か忘れ物をしてきたのではと一瞬不安になる。
ところでテルミニ駅には白線等あったのだろうか。記憶にない。記憶にあるのは線路のあちこちに雑草が生えていたことだ。草ぐらい抜けよ!と思った

テルミニ駅はヴィットリオ・デ・シーカ監督の「終着駅」の舞台になった駅だ。オールロケで製作された映画らしい。ビデオを借りてきて観たいと思っている。


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