月に想ふ
昼間の白い月が
夜の訪れとともに
光りはじめる
夜はきらい
世界の色をすべて
奪ってしまうから─
ずっとそう思っていたのに
輝く月を見るたび
あなたを想う
紫の薄布を纏い
そっと庭へ降りよう
光の音がしそうな
しじま
静寂の中
白梅のささやきが聞こえるから
輝く月の 光の下で
いつしかあなたを待つ
優しいその香りに誘われて
煌くその光に魅せられて
( 2004.4.19)