紅葉の遠乗り





朝露の残る木立の間を

風をきって走る

ピンと張り詰めた空気が

さわやかな流れとなって

二人を包む



規則正しく鳴る蹄の音

シンクロするように聞こえる

胸の鼓動

そっと耳寄せ

瞳を閉じた



紅葉がきれいだぞと

さりげなく差し出された

もみじの小枝

胸の奥に抱きしめる



空気が揺れる

取り巻く風が混ざり合う

駆け出す瞬間のときめきを

このもみじの朱に重ねて



澄み渡る空のように

心の雲も晴れてゆく

今この胸に架かるのは

いつか見た鮮やかな虹


                          Illustration by 紫翠様 (自由京)






こちらは花梨サイドからの詩ですが、
勝真サイドからのショートも書いています。
よろしければどうぞ。(続き物の3作目です)
紅葉狩り