水 鏡
朝靄の湖畔で
おまえを見つける
泣かせるつもりなんて
なかったのに
素直になれない
言葉が足りない
あふれる想いが
空回り
涙の残る横顔
水面に映し 佇む姿
まぶたを固く閉じてみても
やっぱり 消えない
抱きしめたい手が
拳を握る
悲しげな瞳に
向き合えない
ほんの少しの勇気が欲しい
目を閉じたまま
湖に飛び込んだ
せめて 水に映る
その影だけでも かき消そう
大きな波紋を描いて
揺らめく水面
朝日に照らされ
色付く世界
驚くおまえが
呆れながら笑顔を見せる
ああ・・
もう少しだけ
このままでいよう
そうして笑っていてくれるなら
こんな風にしか出来ない
不器用なヤツだけど
いつか・・
涙を拭ってやれる
男になろう
そうして見つめていてくれるなら
Illustration by 紫翠様 (自由京)
この詩作を元にお話を書いています。お暇でしたら覗いてみてください。→創作「水鏡」
( 2003.12.4)