スカイレイダー海上保安庁仕様を作る

 事の始まりは数年前、某国の工作船騒ぎの頃、相方とニュースを見ながら「こういう輩に対して、海保にどんな機体を装備させたい?」というネタに「スカイレイダー」と出たのが本機体の制作の遠因である。
 何故スカイレイダーかといえば、頑丈な機体と高い飛行性能に航続距離の長さ、多彩な搭載能力。各種派生型を生み出せるだけの余裕のある基本設計、何より海の上が仕事場となる海保には海軍機の方が良かろうなどの理由。そして、アリゾナの砂漠辺りに行けば中古機体残っていそうとかいうのもあったが、単純にして一番の理由は、ただ「スカイレイダーが好き」というだけである。
 で、そんな馬鹿話から数年が過ぎた頃、ワゴンセールにてタミヤの1/48スカイレイダーを購入した事で、その馬鹿話から生まれた機体を制作する事になったのである。ワゴンセールで安く買ったのなら、失敗してもダメージは小さいし。

 というわけで、組み立て。
 基本的には素組みではあるが、折れたり曲がりやすい機銃やピトー管は真鍮線を使って自作、特に機銃はパイプの組み合わせで銃口が開くという効果もあり一石二鳥。ただ、パイプ径の関係から僅かにオーバースケールとなるものの、1/48スケールなので大して目立たない。
コクピットは、組んでしまえば殆ど見えなくなるものの、今回はパイロットを乗せないので、デカールをベースにベルトをボリュームアップする等、中を汚して見せる事が出来るようにする。
 塗装については、海上保安庁はベースの色が白になるのだが、基本的に白の塗料は乗りが悪く隠蔽効果も低い。また、サーフェイサーを下地にすると細かいモールドが消えるという難点もあったが、GCIクレオスの新製品MrカラーGXが色の乗りと高い隠蔽能力に優れている為、サ−フェイサーなしでも数回の重ね塗りでほぼ完璧に塗装が可能である。
 但し、基本的にカーモデルに使うようなつやありの為、そのまま塗装すると下の写真のように全身テカテカになってしまう。これがもっとスケールの小さな旅客機やアクロバット機ならそれでも良いのだが、戦闘機などにこのテカテカは向かないと言える。そんな訳で、フラットベースをたっぷり混ぜる事で解決する。実際に使ってみると、色味はこれまでの白と違い寒色系なのでイメージ的にも合っている。
 機体色は白一色なので、細かいところの塗装やパネルラインへの墨入れを仕上げてほぼ完成。
 そしてここからが一番難しいところ、マーキングをどうするか。
 基本的に海上保安庁は、Sを象ったマークに二本のライン、そしてコンパスをイメージしたマークだが、ハセガワから発売されているYS-11をカラーパターンを参考にしたものの、このキットは絶版となっている上にYS-11の引退に伴う特需の為か店頭で見る事はできないのである。
結局、海保のサイトを参考にしてPCで制作する事に。
 基本的にコンパスマークは図形の組み合わせなので比較的簡単ではあるが、ラインについてはSのラインはともかく機体とあわせるために何度かのやり直しが必要となる。
 これらは、基本部分を作った後に、キットの塗装図をスキャンした上で縮尺をあわせ、マークのサイズやラインの角度、配置を決定した。
あと、ここでどうしても避けられない問題は機体番号がある。
 海上保安庁や警察・消防・防災機関は自家用等の民間機と同様でJAナンバーで登録されているが、分類ではレシプロ単発のスカイレイダーの場合、登録番号はJA3000番代から4000番台となるものの、これらの番号には現実に登録されている為。ネタだからといって適当な番号を入れたると現実にあるナンバーとダブる可能性もあるので、今回は機体番号については見送る事に。
 デカールが形になると、一度普通紙にプリントアウトした上で色のチェックを行う他、マスキングテープで機体に貼り付けて大きさなどに問題はないか確認し、いよいよ本番を出力する。
 デカールについては、少し前まではALPSのMDシリーズ用に出ているデカールが自作用の代表的なものであったが、最近ではインクジェット用のデカールも発売されている。ただ、白や金銀といった特殊や色のの印刷ができ、水濡れにも強いマイクロドライと違い、インクジェット用は下地スプレーを吹いた上で、印刷後に水に流れないようにする為のトップコートが必要と手間がかかるが、大きな面をカバーするにはインクジェットの方が有利であり、今回はこのインクジェットデカールを採用した。

 これらが終わると、最後に残るは搭載物の取り付け。
スカイレイダーという機体、レシプロ単発ながらもその搭載量は3トンと大戦中の4発爆撃機B-17並であり、ハードポイントは左右合せてなんと15個。核兵器を始め爆弾・ロケット弾・ガンポッド、果てやキッチンや便器まで搭載可能ながらも、ネタとはいえこの搭載量は「一寸やり過ぎたかな」と思ってしまう。
 単純計算で翼下に500ポンド爆弾を12発、またはロケットとの組み合わせでどれだけの量を搭載できるのか、それに、固定武装として20ミリが4門。はっきり言って北の工作船や密漁船相手にはこれだけでもオーバーキルである。それに、まともに考えれば、そんなに弾薬の備蓄があるのか、燃料代を考えればフル装備なんかしないだろうと
 結局、取り付けた爆弾は内側の3つのパイロンに500ポンド各2発とロケットランチャー1基。あとは外側にチャフだけというスカイレイダーとしては大した量ではないのだけど…
 それでも武装過多に見えてくるのだから恐ろしい。というか爆弾は要らなかったかも。
取り付けが終わると後は最後の仕上げ。機体の塗装時に墨入れを行ったが、スカイレイダーの写真を見ると機体側面が排ガスとオイル漏によるで真っ黒な汚れ。とはいえ、それをやるとマーキングが隠されてしまうし、日本ならそんな汚れはすぐに洗うだろうという考えで、カウルフラップの後から前部胴体辺りに少し汚しを入れる程度で仕上げのトップコートを薄く吹き塗装工程はずべて終了。
最後に、垂直尾翼からのアンテナ線を追加して完成となる。
 はっきりいって政治的にヤバイネタではあるのだが、機体番号などのマーキングが先にも書いたとおり不完全ではあるものの、仕上がってみると予想以上にカッコイイというかしっくりと来る機体になったのではないかと自画自賛している。
また、ワルノリしてこのシリーズを作ってみても面白いかなとか考えてみたり。


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