第3師団創立46周年・千僧駐屯地創立56周年記念行事

2007年、5月13日に兵庫県伊丹市の千僧駐屯地で行われた千僧駐屯地及び第三師団の創立記念イベントであるでのイベントである。
場所は、171号線沿いの。川西との境の久代にある伊丹駐屯地と間違えやすいのだが、車で5分程度とそんなに離れていないのだから慣れていない人には紛らわしい。
内容は、この手の式典ではお馴染みの、10時半から記念式典としての観閲及びパレード、ドリルや音楽隊の演奏を間に挟んで訓練展示として模擬戦が行われる。過去の記事である「陸上自衛隊中部方面隊創立45周年記念行事レポート」と同様である。
開場は9時頃。しかし、ここは複数の門がある上に、メイン開場と式典開場に分かれており、一般の殆どは正門ゲートに並ぶものの、私を含めた式典の展示をメインで来ている人間は、南側グラウンドの門に並んでいる。
今回は、戦車の体験登場が300名となっている為に、開場と共に正門側は整理券の為に並んだようであるが、そのおかげか式典の席についてはゆっくりと席を選ぶことが出来た。それでも、席はどんどん埋まってしまい、椅子席の殆どは招待席であるので、じっくり座ってみたいのならばこちらのほうが良い。但し、椅子席からは逆光となる。
記念式典は、10時前より各部隊の入場が行われ、その後10時20分より観閲式が行われる。
国旗掲揚な総監の式辞などは例年通り。来賓の国会議員等の挨拶では、その人となりがよく判る。なんというか自己満足度というか自己顕示欲の度合いというか。現在の某国土交通相が数年前に行った挨拶は自慢ばかりという酷いもの。これまで見たものの中でも最悪のレベルであったが、今回はそんな酷いものはない。しかし、その一方で「塩爺」事塩川正十郎氏の挨拶は後援団体の代表として出てきたものの、ただ代表として出てきただけで自分の名前を出さなかったというのは、引退したから自分の名前を売る必要も無いというのもあるのだろうが、簡潔な挨拶という事や元の知名度から拍手が最も大きかったというのは印象的である。
その後、部隊展示。
新装備が増えたというのもあるのだろうが、態勢の変化もあり全体的な内容に違いか見られる。

 

展示が終わると、訓練展示の準備の為に時間が空くが、その間は太鼓や音楽隊による演奏があるのもいつも通り。
そして除洗車による散水が行われ、敵役の戦車が登場すると。
状況開始。OH-6による敵の観測の後、偵察隊が出動。バイク部隊と87式偵察警戒車オートバイと87式偵察警戒車が登場。
特科部隊による射撃陣地に化学兵器による攻撃が行われたという想定の元、生物偵察車・化学防護車による状況確認の後除染車により陣地の消毒を行い陣地を確保。
そして、FH-70榴弾砲、重迫撃砲、そして狙撃隊が進出する。
砲撃の後、対戦車ミサイル部隊として64式対戦車誘導弾・87式対戦車誘導弾が進出。そして、戦車隊がついに出動。

74式戦車の105ミリ砲による射撃の後、軽装甲機動車と96式装輪装甲車も出動し、歩兵による突入準備が行われる。軽装甲機動車のハッチから普通化隊員が01式軽対戦車誘導弾の射撃を行う。そして、後方には81mm迫撃砲も射撃体勢を整えている。
そして、火力支援と共に敵地陣地への攻撃が行われ、普通化部隊も突撃、占領された土地を奪還した。
そして状況終了。
この後、再度グラウンドを除染車等で湿らした後、装備品展示の準備が行われる。
グラウンド中央にUH-1Jが着陸するが、砂粒や枯れ草がダウンウォッシュで吹き飛ばされる。近距離なので体中にブチ当たり降り注ぎたまらない。
ちなみに、レンズに噛んだような気も…
そして、装備品展示が行われる。
今回は、ヘリの着陸や機材の展開に時間がかかった為に訓練展示終了から装備品展示までに時間がかかったが、なかなか面白いものも見ることが出来る。
以下は展示品。
衛星単一可搬局装置 JMRC−C4・発煙機(3型)・93式近距離地対空誘導弾。
車両は全て高機動車であり、車両の汎用性の高さを実感できる。
生物偵察車は73式大型トラックをベースに生物兵器などによる汚染状態を測定、化学防護車は82式指揮通信車をベースとした化学兵器による化学汚染状況を測定する。
また、生物偵察車と同じく73式大型トラックをベースにした除染車は、2500Lの水槽を持ち除染剤を散布することで防疫消毒などを行うことが出来る。
しかし、ここで気になったのは化学防護車の説明に「フォールアウト及び有毒なガス等に」という言葉があったのだが、このフォールアウトは核爆発により発生した物質が地上に降下するという意味である。話を聞いてみると、東海村の事故の後この言葉を使うようになったという事であったが、こういった所でもこの言葉が出るという事は北朝鮮を含めた核の脅威が現実的なものになっているのではないかとも取れる。
81式自走架柱橋は、74式特大型トラックをベースに高さ2〜4メートルの橋をかけることが可能。74式戦車までの車両が渡河することが可能である。
また、78式戦車回収車は、74式戦車をベースとしており装甲を有している為に戦闘中での戦車回収も可能である。
96式装輪装甲車は、戦車等と共に進攻し8名の兵員輸送することが可能であり、先のイラク派遣にも使用された。また、軽装甲機動車は小銃弾程度の防弾性能を持ち偵察や指揮用に使用され、上部ハッチに防盾を装備しMINIMIの設置も可能であり、01式軽対戦車誘導弾を使用することもある。
81式近距離地対空誘導弾とUH-1J。長く使われているベテランだが、改良は続いておりUH-1Jも更なる改良が行われ半世紀近く生産が続く事になりそう。
あと、74式戦車に155mm榴弾砲FH-70。この辺りは駐屯地祭のお約束。なので今回は撮影せず。
全体を見ると、今回の展示は、車両がメインで個人装備などの展示は見られなかった。また、過去は阪神大震災などの災害出動関係の装備品展示が行われていたものの、今回はそれらのものは全く見られなかった。本業に戻ったと言うべきなのだが、このような事からも差し迫った危機が変わっているということが実感できる。
特に、観閲式などでは市街戦装備の部隊や、狙撃部隊が出ており、数年前からは考えられないことである。
とりあえず、これで装備品展示などは終わり。最後に物品販売などを見て回る。
陸自といえば野外炊具1号によるカレーなどが名物であるが、今回はそのようなものは見られず、たこ焼き・フランクルルト・焼きそば・串かつ等の「普通」のお祭のメニューであった。残念。
また、グッズ類もいつも通りであるがTシャツは着心地や耐久性も良いのでいつも何枚か購入しているが第37普通科連隊(信太山)のシャツは、モノは良いけど背中に書かれた文句がネタっぽくて普通に着るのが…といった感じ。悪いものじゃないんだけどね。
そして、自衛隊限定のキューピーマスコット。こいつは凶悪である。凶悪といっても醜いのではない、凶悪なまでに可愛いのだ。陸海空と揃っているが陸は別バージョンで匍匐状態のキューピーがあり、それがまたなんともラブリーというか、「ガンダム」におけるアッガイの可愛さに通じるものがあるというか。とにかく陸海空と買ってしまった。
そして、最後に駐屯地内の食堂でカツカレー大盛(¥470)を食して会場を出た。
結局6時間近くいたが、朝の曇り空から一気に晴れたので、今年初の日焼けとなってしまった。

最後に、たかがお祭と言うかもしれないが、伊丹・千僧と何度も行っているうちに時代が変化している事、また地元の政治家などの言動など、ただ武器を見に行くというだけではなく様々な事が窺う事が出来る。特に陸上自衛隊は我々の生活に最も近い所に存在するだけに、装備するもの一つをとっても時代の変化に伴う動きというのも判りやすい。
単純にお祭としても楽しいイベントであるが、我々の生活がどうなっているのか、危機とはどのようなものなのか等を考えてみるという点からも一度って見る価値のあるイベントである。
見よ、凶悪なまでにラブリーな自衛隊キューピーを。
参考リンク
防衛庁・自衛隊 http://www.jda.go.jp/

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