2006 2006年、Coccoのバースデイ前日の18日 昨年からちらほらと噂になっていた、ソロでの新曲発売というビッグニュースが新曲発売告知の特設サイトと共に届けられた。 (『遺書。』や『雲路の果て』などの楽曲のプログラミングを担当したシンセサイザー・プログラマーの岸 利至氏のサイトでは 昨年10月の時点で「久々にCocco(シングルのイントロ、おもしろカッコいい!)のレコーディングに参加」という記述があり、 また今年に入ってからはネット上の音楽ニュース、いくつかのCDショップでは予約受付などがすでに始まっており、オフィシャル発表待ちであった) ソロとしては5年ぶりの正式リリース、待望の根岸氏によるアレンジ、インパクト大のタイトル、 そして”つきぬけ度300%の超ド級ハイパー・ダンス・ロック・チューン”という煽り文句。 2月22日、様々な期待のなか新曲『音速パンチ』(初回限定版はプロモーションビデオ収録のDVD付)が発売。 カップリング2曲目の『どしゃ降り夜空』では、今までも数々の楽曲でギターを担当してきた Dr.StrangeLoveの長田氏が初めて共同プロデューサーとして参加。またベースでは、同レコード会社所属のGREAT3の高桑圭氏が初参加している。 3月3日には「ミュージックステーション」に出演、『音速パンチ』を披露した。 前回のSINGER SONGERでの出演では笑顔が多かったCoccoであったが、今回は一人なためか終始緊張した面持ちで、トークも頷くのがやっと状態。 しかし歌になると生き生きとした表情を見せ、ラストでは無事うたいきった興奮と喜びから 根岸氏に駆けより、熱い抱擁を交わすシーンもあり、5年ぶりのソロ出演はCoccoの新たな出発も感じさせる感動的なものとなった。 3月31日に、再び「ミュージックステーション」(春の3時間スペシャル)に出演。 ここでは『音速パンチ』のカップリング曲である『流星群』を熱唱。 前回の出演時は非常に緊張していたCoccoだったが、今回は和やかな雰囲気で終始笑顔だった。 4月3日からは毎日新聞にて、毎月第一月曜日に掲載されるエッセイ『想い事。』の連載がスタート。 第一回目はCoccoの顔写真付きのプロフィールと共に掲載された。 4月21日には長田氏も出演した黒沢秀樹氏(元L⇔R)のライブに、飛び入り出演。 全5曲(内2曲はギターも演奏)参加した。 5月24日には、早くもソロ復帰2作目であるシングル『陽の照りながら雨の降る』をリリース。 今作はCoccoの親しい友人やスタッフからなる、総勢64名にもよるコーラスが印象的な楽曲。 プロモーションビデオを、映画『誰も知らない』で注目された是枝裕和氏が監督したことでも話題になった。 (ちなみに是枝監督は『水鏡』ですでにCoccoのプロモの監督を務めている) 初回限定版には、CD未収録だった映画『ヴィタール』に捧げられた楽曲『blue bird』の8cmCD付き。 6月21日には待望のアルバム『ザンサイアン』をリリース。 初回版にはシングル『陽の照りながら雨の降る』、アルバム曲『Swinging night』(Cocco初のダンスビデオ!)を収録したDVD付き。 ”ザン”とは沖縄最古の書物「おもろそうし」に登場する人魚の名前であり、”サイアン”とは英語のCyan(原色の青、つまり真の青色)を表す。 Coccoはこの言葉を組み合わせ、沖縄の風景がどんなに変わってしまったとしても 『”この海がちゃんと存在していた”ということを残しておきたかった』という想いのもと、”人魚が見た真の碧”という意味を持たせた。 このアルバム発売と共に、7月24日から8月15日まで全国9ヶ所(広島・福岡・札幌・新潟・名古屋・神戸・大阪・沖縄)を巡る 「CoccoLive Tour 2006〜ザンサイアン〜」と題したツアーが決定。 ツアー期間中である8月5日には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006」にも参加を予定しており、 この時点ですでにハイスピードでのCDリリースや、プロモーション活動、6年ぶりのツアー決定などで 数年前には予想も出来なかったCoccoのアクティブな動きに、ファンは苦労しつつも”完全復活”の喜びをかみ締めた。 雑誌では「ぴあ関東版6/29号」「ROCKIN'ON JAPAN7月号」「BRIDGE49号」で表紙を飾り、ロングインタビューも掲載された。 6月23日の沖縄慰霊の日には、沖縄から中継されていた「NEWS23」に生出演。 根岸氏と共に、アコースティックバージョンの『陽の照りながら雨の降る』を披露した。 その後も、6月27日にFM802「Around the MARK'E SONIC STYLE」、7月2日にJ-WAVE「TOKYO HOT100」にゲストとして、 7月7日の「ミュージックステーション」出演時には、 ダンサーたち(プロモに出演されていた方々。なんと、Coccoのお姉さんも!)と共に「Swinging night」を披露。 7月22日の広島で行われるフェス「SETSTOCK'06」出演を皮切りに、 7月24日からは全国ツアーがスタート。 各所で、ご当地ネタのMCや、くじ引きコーナー、出来たばかりの新曲披露などが話題となった。 8月5日の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006」ではGRASS STAGEのトリを務めた。 最終日の8月10日の武道館公演を経て、8月14日に沖縄でシークレットライブを行い、 『今年は歌で恩返し』という意思のもと「沖縄ゴミゼロ大作戦ワンマンライブスペシャル2006」を地元、沖縄で開催。 当日の模様はWOWOWにて生中継され、Cocco初の沖縄でのワンマンライブであり、アンコールが行われた特別な一夜であった。 復活を待ち続けたファンと、歌への愛を自覚しそれを恐れなくなったCocco、 そして沢山の仲間たちに囲まれ、2006年のツアーは笑顔で駆け抜け、幸福感たっぷりのまま幕を閉じた。 8月21日発売の雑誌「AERA」(2006年8月28日号)では表紙を飾り、 インタビューでは憧れの祖父のように、沖縄の人々に知られる存在となりたい、との目標を語った。 夏が終わると、ぞくぞく各地でのライブが放送されはじめる。 まず、9月16日にはSKY PerfecTV!「Space Shower TV」にて、「SETSTOCK'06特集」が放送。 『音速パンチ』『焼け野が原』の2曲が流された。 10月5日には「MUSIC-ON!TV」にて、「ROCK IN JAPAN FES.2006 総集編 GRASS STAGE 0805」が放送。 『強く儚い者たち』『陽の照りながら雨の降る』『カウントダウン』の3曲が、 また、11月10日には「アーティスト特別編」にて『樹海の糸』『Raining』『愛うらら』『焼け野が原』『Happy Ending』『流星群』の6曲が放送。 10月6日には、WOWOWが沖縄でのゴミゼロワンマンライブを 生中継時には放送されなかったアンコール部分も含め、編集され再放送された。 10月21日にはNHK総合で、夏の武道館ライブの模様を収めた「Cocco Live in 武道館」が 44分のダイジェストバージョンとして、そして11月4日にはNHK BSにて90分のロングバージョンが放送された。 この間にも、10月3日から放送開始されたNHKの新番組「飛び出せ!定年」のテーマソングをCocco が担当し、 吉田拓郎氏の楽曲「今日までそして明日から」をカバー。発売などは未定。 10月13日には、今年4度目(スペシャルは2度目)となる「ミュージックステーションスペシャル」に出演。 『陽の照りながら雨の降る』を披露した。 11月14日、「ジョン・レノン音楽祭2006 Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」に初出演。 Coccoは黒のブラウスにジーンズ、眼鏡とラフな格好でギターを持ち、長田氏と共に登場。 (後に、毎日新聞で連載されているエッセイ「想い事。」にて 「・一番新鮮だったこと。 初めて眼鏡をかけてステージに立ったらみんな丸見えだったこと」と記している) MCでCoccoは、 ゛昨年から声をかけられてはいたが、「学校を贈る」というライブの趣旨を理解できず また、チャリティイベントというもの自体うさんくさい、という印象を持っていたため出演を断ったけれど 今年もう一度話を聞き、どうして「学校」なのかということが理解できたので参加を決めました。゛と、今回出演した経緯について語った。 そして゛参加するなら、責任を持ちたい゛との気持ちから 実際にこのライブによって、本当に学校が建てられているのか確認したい、と ベトナムにある学校を音楽祭のスタッフと訪問し、そこであたたかい歓迎と、学校に通う子供たちから贈られた沢山のプレゼント (手作りのカバンや、ネックレス、髪留め、指輪、ティッシュで作った本物そっくりの花など)に感動したことを伝えた。 ゛恵まれない子供たちにパンを、じゃなく、そういう子供たちを作らないためにコンドームを送ればいいと思っていたけれど、 いくら寄付をしたって、教育を受けられなければそれが何なのか分からないし、次のリーダーは生まれない。 そのリーダーこそが、国を変え支えていくことに繋がるのだと分かった。 子供たちから手作りの宝物をもらいました(と、身に付けていた沢山の贈り物を見せる) あと、手紙をもらって(この手紙も会場に見せる)そこには日の丸と、そして「I LOVE YOU」と書いてありました。 初めて会った、見ず知らずの外国人に「I LOVE YOU」と言える彼らは強いと思いました。 子供たちは愛されるために生まれてきて、愛するために生きています。 みんなが動かないと人は動かないし、世界は変わらない。 このイベントを続けていくことはとても大変だと思うし、それをやってきたオノヨーコって人の強さにも感動したし、 それを支えるスタッフやアーティストにも感動しました。 本当に、学校はありました。みんなとても美しい子供がいっぱい居ました。 また、あの学校に行こうと思います。 行って、沢山の人たちがあなたたちのことを聞いたんだよ、とか 贈ってくれたものを見たんだよ、と伝えたいです。 物事が動くときに、ちょっとずつのことで本当に何かが動くということ そしてこのコンサートで学校が出来ていくということを、彼らにもちゃんと話したいと思います。゛ そう話し、音楽祭と会場に向けてお礼を言い、ビートルズの楽曲である『Norwegian Wood(This Bird Has Flown)/邦題:ノルウェーの森)』をカバーした。 (ちなみに、訪問の様子は開催前である9月9日の深夜に、テレビ朝日で放送された「ベストヒットLIVE秋の特電SP」という番組の中で 今回のライブチケットの先行予約を案内する際に、少しだけ放送されていたそうです) 12月13日に発売された 松田聖子氏のカバー&トリビュートアルバム『Jewel Songs〜Seiko Matsuda Tribute&Covers〜』では、『渚のバルコニー』をカバー。 今までの尾崎豊氏や吉田拓郎氏の楽曲のときの歌唱とは違い、Coccoの普段の歌唱に近く また甘くやわらかい声色がオリジナルにも近いことから、なかなかの評判を博した。 12月19日〜25日には、12月21日に出版される、夏に沖縄で行われたライブのステージシーンのみで構成された写真集 『8.15 OKINAWA Cocco』 の発売を記念して、青山ブックセンターで写真展が開催された。 会場では、大きなパネルで写真集の一部が飾られ 他にも着用していた絹のドレスや、沢山の手書きのメッセージ、ライブでラストに必ず披露していた新曲「藍に深し」の手書き歌詞、 また限定発売の手染め琉球藍のTシャツ、ゴミゼロライブTシャツ、ペンライト、ポストカードなどのグッズ、 そして先行発売していた写真集には直筆サインや、お馴染みの記帳ノートがあったりと 以前催した絵本原画展のような丁寧な作りの、あいかわらずCocco本人や関係者がちょくちょく出入りする、和やかなムードの写真展となった。 12月18日には、活動中止以降ニュースのみを更新していた 所属事務所のオフィシャルサイトが大幅リニューアルされ、 Coccoのトレードマークである桃象を基調とした可愛らしく、明るく充実したデザインへと変身し 今まで未開通であったEnglishのページも、ついに開通した。 そして、2006年最後のビッグニュース スポーツ新聞にて「Cocco、紅白初出場」との情報が届けられた。 ファンのあいだでは素直に喜ぶ者、不安を感じる者、さまざまであったが 今年最後にCoccoが、紅白でどのようなパフォーマンスを、歌を聴かせてくれるのか期待はふくらむばかりであった。 しかし正式発表の日、紅組の出演者のなかにCoccoの名はなかった。 Yahoo!TOPにも掲載され、夏のライブでの「紅白出る!」発言や、ライブがNHKで放送・NHK新番組のテーマソング担当・NHK出版から写真集発売と、 NHKの貢献度は高かったのに何故?と謎が深まるところだが、 他にも「出演」と堂々と報道されていた歌手やミュージシャンらも、同じように名がなかったことから 一部報道機関が、未だ交渉中であった(または交渉したという事実があるのみで、出演承諾には至らなかった) 歌手やミュージシャンをフライングで報道してしまったせいではないか、との見解が最も有力視されている。 最後の最後に大きな肩透かしをくらったものの、 ソロとして復活したCoccoの、怒涛の一年は鮮やかに、次の年への期待を残し過ぎていった。 2007 →about Cocco →TOP |